世界中の患者さんのために。チームで成し遂げる内視鏡づくり
──現在の仕事内容について教えてください。
私が所属しているのは、「総組工程」という内視鏡の最終的な組立を行う部署です。さまざまな工程で組み立てられた操作部や挿入部、レンズユニットや撮像ユニットなどをひとつに組み上げ、皆さんが知っている内視鏡として完成させる役割を担っています。
具体的には、体の中に入れる挿入部に、医師が手で持って操作する操作部を組み付ける作業や、画像を映し出すためのスコープコネクタ(ビデオシステムセンターに接続する部分)を組み立てて操作部と連結させる作業など、内視鏡製造における仕上げの部分を担当しています。
職場には27名のメンバーがおり、前工程と後工程に分かれて作業を行っています。前工程は主に組立作業を担当し、各部品を精密に組み付けていきます。一方、後工程では機能検査を中心に、先端湾曲部分の角度調整や水漏れ検査、外観検査などを行い、製品の品質を最終確認します。私は組立をメインに行う「前工程」で、12名いるラインのアシスタントチーフを務めています。
日々の生産管理や品質管理はもちろん、メンバーが安全かつ効率的に働けるような職場環境の管理も私の大切な仕事です。1日に何十台もの製品を組み立てるのですが、チームで協力しながら日々の生産目標を達成しています。
──仕事の魅力ややりがいをどのように感じていますか?
自分たちが作った内視鏡が、世界中の医療現場で使われているという事実が、何よりのやりがいです。テレビの医療ドラマなどで内視鏡が映ると、「あれは私たちが作った製品かな」なんてチェックしてしまいますね。
毎日当たり前のように作っている製品一つひとつが、誰かの命を救うきっかけになるかもしれない。そう思うと、身が引き締まりますし、大きな誇りを感じます。
また、会津オリンパスには、温かい社風が根付いているのも魅力です。トラブルが発生した際には、部署の垣根を越えて「会社全体でなんとかしよう」とみんなが協力し合います。これも、「ペイシェントセーフティ(患者さんの安全)を第一に、良い製品を届けたい」という想いを全員が共有しているからこそ。この一体感が、私たちのものづくりを支えているのだと思います。
ゼロからの挑戦。梱包作業から組立のプロフェッショナルへ
──学生時代はどんな風に過ごしましたか?オリンパスに入社した経緯と合わせて教えてください。
学生時代は部活動に熱中していました。中学・高校とテニス部に所属し、練習ばかりの日々でしたね。大会にも出場し、会津地区で1位になったこともあります。また、中学では合唱部にも所属しており、全国大会も経験しました。
オリンパスに入社した経緯は、高校卒業後の進路を考えた時に、地元である会津で働きたいという思いがあったからです。当時は内視鏡がどのようなものか、詳しい知識はありませんでしたが、「世界中で事業を展開する大きな会社で活躍したい」という気持ちで入社を決めました。
──入社後の仕事内容を教えてください。
最初に配属されたのは、現在と同じ総組工程でしたが、担当は組立ではなく出荷前の「梱包作業」でした。複数のチームで組み立てられた多種多様な製品が私のところに集約され、それらを間違いのないよう国内外の出荷先に応じて梱包していく仕事です。
製品といってもさまざまな形状があり、1日に約200~300台も対応をするため、取り扱いに苦労しました。ただ、この経験が後々とても役立ちました。最終工程を経験したことで、製品がどのような流れで作られ、お客さまのもとに届けられるのか、全体像を最初につかむことができたからです。
入社2年目の時には、東日本大震災の影響で白河の事業場へ2カ月ほど出向する機会もありました。そこでは組立ではなく、製品が正しく機能するかを調べる「機能検査」を担当しました。慣れない土地で、初めて一人暮らしをしながら業務を覚えていきましたが、現地の皆さんが温かく迎えてくれました。休日は出向した会津の仲間と観光に出かけるなど、今では良い思い出です。さまざまな職場を経験できたことは、視野を広げる貴重な機会になりました。
一歩ずつ成長してリーダーに。チームを導くために大切にしていること
──出向後、どのような業務を経験してからリーダーになりましたか?
出向から戻った後、総組工程の後工程に配属されて、本格的に組立業務を学んでいきました。内視鏡先端の湾曲角度の調整から始まり、操作部への各種部品の組み付け、そして水漏れ検査や外観検査まで、すべての工程を習得していきました。
とくに印象的だったのは、組立の実作業です。私はもともと不器用でした。ビスのような小さな部品を何度も落としてしまったり、両手で違う動きをしなければならない作業に苦労したりと、最初は「私にできるのだろうか」と不安でいっぱいでした。
たとえば、挿入部の中を通るチューブ類を操作部に組み付ける作業では、わずかな力加減の違いでチューブを傷つけてしまうことがあり、結果、後工程の水漏れ検査で不具合が発見されるということがあります。「ここを傷つけるとこういう不具合が起きる」という因果関係を理解し、繊細な手作業を身につけるまでには時間がかかりました。
こうした苦労を乗り越えられたのは、先輩方が根気強く、丁寧に教えてくれたからです。一つひとつの工程を覚え、できることが増えていく過程で、組立の楽しさに気づくことができました。
その後、後工程の組立・検査を一通りマスターし、ラインリーダーを補佐するアシスタントリーダーを任されました。リーダーのサポート業務を通して、ライン全体の管理に興味が湧き、「いつかは自分も」と考えるようになった頃、前工程のラインリーダーを担うことになりました。
前工程は、これまで経験した業務とは異なる領域で、まだまだ知らないことも多く、周りの有識者に助けてもらいながら業務を進めています。徐々に製品が形になっていく過程を間近で見られることに、新たなやりがいを感じています。
──リーダーとして大切にしていることはありますか?
メンバーとの日々のコミュニケーションです。年上、年下に関わらず、何かをしてもらったら必ず感謝を伝える。そして、「昨日何食べた?」といった些細な会話を大切にし、全員と毎日言葉を交わすようにしています。そうすることで、なんでも話せる風通しの良い雰囲気を作りたいと思っています。
また、リーダーとして予期せぬ事態への対応についても、注力しています。たとえば、災害などの影響で部品の供給が止まり、生産計画が遅れてしまうことがあります。そんな時は、ただ待つのではなく、その時間を利用してメンバーの技能拡大、つまり他の工程の作業もできるようにトレーニングを進めます。
計画の遅れを取り戻すために、ときには休日出勤をお願いすることもあります。もちろん、メンバーにとっては負担になることです。しかし、「この製品を待っている患者さんのため、そして会社の成長のために、今が頑張りどきなんです」と正直に伝え、協力を仰ぎます。そうすると、みんな一丸となって乗り越えてくれます。志を共有できるメンバーに支えられているからこそ、困難な状況も乗り越えられるのだと感じています。
めざすは、的確な判断ができるスーパーバイザー
──仕事をする中で、会津オリンパスならではの強みを感じることはありますか?
会津オリンパスで行われるものづくりは、今でも人の手による作業が重要な役割を占めており、それが私たちの大きな特長になっていると感じています。
毎日同じ部品を触っていると、わずかな違いにも気づくようになります。「今日のチューブはいつもより少し細い気がする」、「この部品、少しだけおかしい」といった、機械では検知できないような些細な違和感に気づくことができるんです。実際にメンバーから上がってきたその声が、部品の寸法不良の発見につながったこともありました。
かつての工場長は「人間が一番精密なんだ」と話していたそうです。機械は人間が作れるが、人間は機械には作れない。そして人間の感覚を超える機械もない、と。私自身も仕事をする中でそうした実感を持っています。機械化やデジタル化ももちろん重要ですが、人の感覚の鋭敏さ、そして丁寧な手仕事によって、支えられている製品もあるのだと実感しています。
──最後に、今後の展望と、これから就職活動をされる学生さんへのメッセージをお願いします。
現在はラインの管理が主な役割ですが、将来的には職場全体を管理するスーパーバイザーをめざしたいです。目標は、直属の上司である女性のスーパーバイザーです。その方は内視鏡に関する知識が豊富で、何かトラブルがあった時も常に的確な指示を出してくれます。私自身は優柔不断なところがあるので、経験と知識を積み重ね、いつかその方のように、自信を持って的確な判断ができるリーダーになりたいです。
関税問題をはじめ、世界経済の不安定な状況が続く中にあっても、内視鏡製造に携わる人間として、どのような環境下でもオリンパスの内視鏡を選んでいただけるよう、これまで以上に品質へのこだわりを持ち、真摯にものづくりに向き合っていきたい、そう思っています。
これから社会に出る皆さんには、「自分のやりたいことを見つけてほしい」と伝えたいです。私自身、内視鏡について知識がない状態からスタートして、学んでいく中で仕事の楽しさを見つけていきました。もともと人と接することが好きで、チームで協力して何かを成し遂げることに喜びを感じる性格だったので、リーダーになった今は、よりモチベーションを感じています。皆さんも、まずは挑戦しながら、興味のあることや向いていることを見つけてみてください。
※ 記載内容は2025年8月時点のものです

