外科系内視鏡の修理現場から医療を支える。貴重な言葉がやりがいに
──所属する部署やそこでの仕事の内容について教えてください。
医療修理部で、外科系内視鏡の軽修理工程(※)を担当しています。チームは約30名体制で、消化器内視鏡と外科系内視鏡という大きく2種類の軽修理を行っており、そのうちの4分の1が外科系内視鏡の担当です。メンバーの平均年齢は30〜40歳程度。技能者として必要な経験を積むために一定の年数が必要なことから、比較的経験豊富なメンバーがそろっています。
私は主に外科系内視鏡の軽修理工程において、作業状況の管理とQCD(品質・コスト・納期)に関する改善活動を行っています。
外科系内視鏡では、月間で数百件の修理依頼があり、これらを決められた期日以内に出荷することを目標としています。この目標はお客さまとの約束納期であり、順調に進めば達成可能な日数ですが、実際の現場ではさまざまな課題が発生します。
たとえば、品質不具合、欠員による作業能力の低下、監査準備による作業時間のロスなどさまざまです。そのため予期せぬ問題が発生すると納期遅延してしまうので、どうすれば期限内に出荷できるかを常に考え、一つひとつ対応し、繰り返さないよう改善を実施しています。とくに、不具合が発生した際には原因を徹底的に解析し、同じ問題が再発しないよう対策を講じています。修理が円滑に進むような仕組みづくりと、継続的な改善活動が私の重要な役割です。
※ 内視鏡先端のゴムや操作部のスイッチなど、製品の一部の部品のみを交換する修理
──長野オリンパスで働く魅力、やりがいをどんなところに感じていますか?
やはり、医療に貢献できることです。以前、私の祖父がオリンパスの製品によって早期にがんを発見できました。もしその製品がなければ、病気の発見は遅れていたかもしれません。命を助けられる仕事は医師が中心だと思っていましたが、医療機器を通じて支えることができると実感した経験でした。
家族以外にも、友人と話している中で「オリンパスの製品で検査したよ」「病気を見つけてもらえた」といった声を聞くことがあります。貢献できたという直接的な実感は、何度も味わえるわけではありませんが、1度言ってもらったその言葉は、ずっと私のやりがいにつながっています。
改善活動で培った力をもとに、新たな工程へと挑戦
──学生時代はどのようなことに取り組んでいましたか?また、オリンパス入社時の業務内容についても教えてください。
私は小学校4年生からサッカーを続けてきました。高校はサッカーの強豪校に進学し、ボランチというポジションでプレーしていました。また、商業科だったため、パソコンや簿記などの勉強もしていました。性格は、負けず嫌いなタイプだったと思います(笑)。
高校卒業後は、そのまま地元の企業である長野オリンパスに入社しました。最初の配属先は物流・備品グループで、修理品の入荷と出荷を担当していました。西日本エリアの医療現場から送られてきた修理品を開梱し、中身とケースが合っているかを確認する入荷作業と、修理が終わった製品をお客さまに返送する出荷作業が主な業務でした。
この部署では改善活動に力を注ぎました。月10件という改善目標に向けて、日々チャレンジ精神をもって提案を続けました。とくに印象に残っている改善事例は、出荷漏れ防止のための連絡ボードの設置です。
当時、物流チームは6箇所に分かれて作業をしており、3階と1階で出荷工程が異なっていました。そのため、すべての荷物の出荷が完了したかどうかの状況把握が難しく、出荷漏れという不具合が発生することがありました。この問題を解決するため、出荷完了・未完了が一目でわかる連絡ボードを設置しました。その結果、出荷漏れのトラブルは解消され、改善事例として社内で発表する機会もいただきました。
入社前はどちらかというと「今やっていることが正しい」と思い込むタイプでしたが、この経験を通じて課題発見能力や改善能力を培うことができたと感じています。
──修理グループに異動し、ラインリーダーになった経緯を教えてください。
物流・備品グループに配属されて5年が経ち、ちょうど新しいことにチャレンジしたいと考えていた時期に「別の工程で経験を積まないか」というお話をいただき、現在所属の修理グループに異動しました。
その後、8カ月間で消化器内視鏡の工程検査・外観クリーニングの技能を習得しましたが、修理の直接作業は経験がなかったため、さまざまな苦労がありました。作業を正しく覚えていくには、製品構造の理解に加え、対象作業がなぜこの手順・方法(マニュアル)で行う必要があるのかを理解することが大切です。
ですが最初のころは、わからないことがあると上長や、他職場の方、指導者の方などに聞いてばかりで、周囲に頼りきりの状態で心苦しかったです。さらに全国の内視鏡医療を止めないためにも、迅速かつ高品質な修理対応はとても重要であるため、プレッシャーでいっぱいでしたね。
それでも、自分がわからないことは隠さずに、積極的に質問しつつ、同じ質問を繰り返さないよう、しっかりメモを取りました。自主的にマニュアルも読み込みながら、判断に迷う案件はいったん職場に持ち帰って調べ、技術部門や品質部門に確認するなど、地道に努力を重ねたんです。
その結果、だんだんと工程全体のことがわかるようになり、リーダーとして消化器内視鏡のライン管理を任せていただけるようになりました。
困難を乗り越えてさらに先へ。支えとなる思いと場所
──なぜ外科系内視鏡を担当することになったのですか?
私の所属チームは冒頭にお話しした消化器系と外科系2つの修理ラインがありますが、2024年夏に外科系ラインのリーダーが不在となる状況になりました。そんな折当時の上長より、消化器系修理ラインでの実績を高く評価していただき、「また一からのスタートにはなるが、西本さんの粘り強く努力する力を、外科系ラインのリーダーとして発揮してほしい」との言葉をいただき、現ポジションに任命されたことがきっかけです。
大きな葛藤はありましたが、再び学ぶという選択をしました。
外科系内視鏡は、製品の種類が非常に多いのが特徴です。さまざまな形状や機能があり覚えることがさらに多かったです。また、「最適な作業手順を浸透させる」というミッションもありました。チームの中には「今までのやり方で問題ない」という意識が根付いており、改善の必要性を理解してもらうことに苦労しました。
ちょうど同時期に、新しいメンバーの入社も続いたため、製品知識を学びながら教育して、これまでの固定概念を払拭させながら、何が正常で何が異常なのかを理解させ、修理を止めることなく回さなければなりませんでした。今振り返っても本当に大変な時期でした。
ただ、こうした状況を理解してくれた上司やメンバー、他のグループなど、たくさんの方々が力を貸してくれました。現在では固定概念を払拭し、ラインメンバー一丸となってライン運営ができており、自身の知識とスキル向上ができた経験だったと感じています。
──こうした困難を乗り越えた原動力を教えてください。
「修理を止めない」という責任感は常にありましたが、私自身の負けず嫌いな性格も原動力になっていました。この状況をなんとしても改善したい、その行動は自分の成長にもつながるはずだと信じていたんです。
また、週4回続けているサッカーも支えになりました。仕事で壁にぶつかっても、サッカーを通じて発散することができたので、バランスを取ることができました。
最近では、女性リーダー向けの研修にも参加しています。さまざまな拠点から集まった参加者と、普段抱えている不安や悩みについて率直に話す場です。全員が本音で語り合える機会は貴重で、非常に楽しく、モチベーションの向上につながっています。こうした研修を通じて、同じような立場の人と出会うことで、刺激を受けつつ、悩みの解消にもつながっています。
母の教えを胸に。人を大切にして、共に成長する未来へ
──仕事をする上で大切にしている価値観はありますか?
大切にしていることは、「1人より2人」という考え方です。これはサッカー経験から培ってきた価値観です。私は個人プレーよりもチームプレーが得意で、1人で頑張るより、周りと一緒に頑張った方が自分の力を発揮できることを実感してきました。
そのためには、人を大切にすることが不可欠です。自分1人でできることには限りがあります。でも、ともに頑張ってくれる仲間がいれば、1人では成し得ない大きなことも実現できると信じています。自分にはない多様な価値観に触れることで、新たなエネルギーが生まれると感じています。まず相手の立場に立って物事を考え、相手の意見や考えを理解するように努力し、それでも自分の考えが正しいと思う場合は、きちんと話し合い同じ方向に進んでいけるように意識しています。
このような考え方の根底には、母からの教えがあります。「人に悪いことをしたら必ず自分に返ってくる」という言葉を幼い頃から言われ続けてきました。実際に、自分が誰かに対して良くない態度をとってしまった時、必ず同じように返ってくる経験をしてきました。そのため、「巡り巡って自分に返ってくることを考えると、よいことをしよう」という考えが、私の行動指針になっています。
──今後の展望について教えてください。
単に指示を出すリーダーでなく、「1人より2人」の考え方で、私を含むメンバーの一人ひとりの能力を最大限に引き出せるように、信頼関係を築きながらリーダーとしてさらに成長していきたいと考えています。
私は「利益を生み出しているのは作業者の方々だ」という意識を持っています。とくに私自身が修理作業をできないからこそ、その思いは強くなります。お客さまから預かった製品の修理ができなければ、医療従事者のもとに製品は届かず、利益も生まれません。私たちがいくら生産効率を上げたり、品質を向上させたりしても、修理が止まってしまえば意味がないのです。作業者がいなければ、医療に貢献ができず、事業は成り立たない。
だからこそ、メンタル面も含めて環境を整えることが重要で、それができて初めて私たちのやりたいことができ、成果につながると考えています。ただ相談を受けるだけでなく、作業者と一緒に問題を乗り越えていけるリーダー、一緒に改善活動ができる存在になっていきたいです。
※ 記載内容は2025年7月時点のものです

