調達を超えた価値創出を。部門を超え、共に課題を解決できることがやりがいに
──現在の仕事内容について教えてください。
私が所属している間接購買部門は、社内の製品に直接関わらない調達(通称:間接材)全般を担当する部署です。社内で使用する机やイス、コンサルティング、人事、開発などの業務委託、ITシステム、サーバー、工場設備、航空券の手配まで、最適なサプライヤーを最適な価格で調達すべく幅広い業務を行っています。
私たちの部署のミッションは、費用対効果、持続可能性、行動規範の遵守に重点を置き、高品質なサービスを効率的に調達することです。私たちはリスクを抑え、イノベーションを進め、社内関連部門および当社の成長を支えることをコミットしています。
また、私はシニアマネジャーとして、日本の案件の対応・管理をする一方で、アメリカやヨーロッパの間接購買組織と連携し、とくにプロフェッショナルサービス(業務委託)とトラベルのカテゴリを担当しています。
最近取り組んでいる大きなプロジェクトの例として、開発業務委託の最適化をめざすプロジェクトがあります。インドのオフショア企業をベースに、120社近くあるサプライヤーを集約し、優良サプライヤーとのアライアンスによってWin-Winの関係構築をめざしています。
このプロジェクトでは、実態把握調査から戦略策定まで、すべて自分たちで実施している点が特徴です。難しい面もありますが、開発部門の方々としっかり対話し、良好な関係性を築きながら進めてきました。
──オリンパスで働く魅力をどんなところに感じていますか?
組織がフラットで、さまざまなチャレンジができる環境が整っている点です。私は転職者ですが、新卒入社・中途入社の分け隔てなく挑戦ができ、歓迎してくれる風土は非常に素晴らしいと感じています。
仕事面でのやりがいは、さまざまな間接材の調達案件から、各部門やサプライヤーとの出会いを通じて、新しい発見があることです。私は人と関わることが好きなので、社内のさまざまな部門の方々をサポートし、共に課題解決できることがモチベーションになっています。
医療機器メーカーならではの魅力もあります。たとえば、開発部門とのプロジェクトでは、業務委託先の選定においてコンプライアンスや品質管理(QMS)の観点も重要になってきます。高い基準や要件を意識しながら仕事ができることは、オリンパスで働くからこその醍醐味です。
間接購買は、全社の業務効率化やコスト最適化に直結する重要な役割です。各部門が必要とするリソースを最適なかたちで調達し、会社全体の価値向上に貢献できることに大きな喜びを感じています。
研究職からマーケティング、そして購買戦略へ。異色のキャリアが育んだ視点とスキル
──これまでのキャリアを教えてください。
私は理系出身で、学部・大学院ではバイオテクノロジー専攻で遺伝子やタンパク質の研究をしていました。その後、大手飲料メーカーに入社し、研究室で勤務したのち、マーケティング部門で商品企画の仕事に携わりました。
オリンパス転職後は、17年ほどカメラ事業に携わり、商品企画や営業企画、海外営業などを担当しました。とくに後半は一眼レフカメラの事業に関わり、カメラ文化をいかに浸透させるかという気持ちで仕事に取り組んでいました。
──間接購買部門に異動した時の心境はどのようなものでしたか?
間接購買部門は、社内の規則やプロセスを重視し、購買時の手続きやルールをきちんと守ることを求める部署です。それまでは自分の予算で自由に発注できる立場だったこともあり、管理的な部署への配属に当初は戸惑いを感じていました。
着任から1年半ほどは自分が価値を生み出せている実感が持てず、悩んだ時期もありましたが、ある大きなコンサルティング案件に関わったのが転機となりました。
当初3億円と見積もられていた案件について、要求部門と協力しながら要件を見直し、複数の業者に対してコンペを実施することで、最終的に約8,000万円まで費用を圧縮することができたのです。
とくにオリンパスのような収益性の高い企業では、外部企業から提示された金額をそのまま受け入れてしまうケースが少なくありません。しかし、間接購買部門が介入し、競争環境の創出や、過去の事例や市場データの分析から、適切なサプライヤーから適正な価格の調達を実現し利益を最大化することができます。
このプロジェクトを通じて、方々から感謝の言葉をいただき、この頃から間接購買の仕事の意義を少しずつ実感できるようになりました。
マーケティング時代の経験が、思いのほか現在の業務に生きていると感じます。限られたリソースと予算の中で優先順位をつけて方針を決めていく戦略的な考え方は、部署が変わっても同じように重要です。
BtoBビジネスの価格設定の妥当性に疑問を抱き、適正化に貢献できつつあるのも、BtoCビジネスでコスト意識を培ったからだと思っています。
信頼関係が力に。社内ネットワークを活かした価値創出に向けて
──間接購買部で印象に残っているエピソードを教えてください。
国内の出張予約システムを導入した時のことが印象に残っています。これは単なるシステム導入にとどまらず、全社の支出を可視化し、最適化を図る重要な取り組みでした。
従来の出張申請は、上長と部下のあいだの承認で完結し、誰がどれだけ出張しているのか全体像を把握できない状態でした。そのため、ガバナンスやコンプライアンスの面で課題があり、支出の最適化を図る上でも改善が必要でした。
そこで着手したのが、出張予約システムの導入と、コーポレートカードの活用を組み合わせた新たな仕組みづくりです。
システムの導入には大きくふたつの課題がありました。1つは、ユーザーの利便性の問題です。これまで一般的な予約アプリを自由に使用できていたものが、会社指定のシステムに切り替わることで手間が増えること、システムの手数料が発生することに抵抗感がありました。
もう1つは、アプリケーションの使い勝手に関する課題です。この課題に対しては、いまもサプライヤーと共に日々改善を重ねています。
現在、ホテル予約については80%程度の利用率を達成していますが、交通系の利用率はまだ50%前後です。システムの「箱」をつくるよりも、実際に使ってもらうための浸透フェーズのほうがハードルも高く、同時に重要だと感じています。
──仕事をする上で、大切にされていることは?
些細なことでも、きちんと感謝の気持ちを伝えることです。とくにマネジャーになってからは、この点を意識的に実践してきました。オンラインのやりとりはもちろん、直接の会話や食事の機会を設けることで、こまめなコミュニケーションも取るようにしています。
また、他部署から何か相談を受けた時などは、これまでの案件に関わった部署や社内の人脈を活かして、必要な情報や知識へつなぐようにしています。その分野に詳しい社員やサプライヤーを紹介するなど、間接購買業務ネットワークが業務を円滑に進める上で重要な要素となっています。
市場にアンテナを張り、客観的な視点を持つことも心がけている点です。過去の事例やデータ参考にしながら、一歩引いた立場で支援することをめざしています。
事業部門の良きパートナーとして、全社の成長を支える存在へ
──間接購買の仕事を通じて得た気づきや学びは?また、間接購買の存在価値や意義についての考えも聞かせてください。
経営視点での財務感覚が養われたと感じています。たとえば、部門の予算を単なる支出ではなく、会社全体の資産として捉えるようになりました。コスト削減を進めることで、利益向上に貢献できることをあらためて実感しています。
間接購買は、事業部門の調達にブレーキをかける存在と思われがちですが、実際にはパートナーとしての役割を果たしています。実際に活用した方々の満足度も高く、継続的に依頼をいただくケースも増えています。
依頼いただいた部門からは、「サプライヤーの選定で事前のやり取りや評価まで積極的に関与いただき新たなサプライヤー候補の開拓ができた」「ストレスのかかる価格交渉も間接購買さんですべて対応いただき、本業に集中できた」「サプライヤーリスクや事業部門が見落としがちな下請け法など専門的アドバイスがもらえた」などの声をいただています。
──今後の展望を教えてください。
間接購買の社内のプレゼンスをさらに高めていく必要があります。まずは部署の役割や提供できる価値を積極的に発信していきたいと考えています。
加えて、各部署の期待に応えられるよう、専門的な知識や経験をさらに深めていくことも重要です。実力を高めることで信頼関係を築き、より強いパートナーシップを確立していきたいと思っています。
私個人としては、現在携わっている間接材調達での専門性をさらに高めるとともに、製品に直接関わる部品やソフトウェアなど、直接材の分野についての知見も広げていきたいと考えています。
直接材の領域は非常に幅広く、新たな挑戦となりますが、調達全体のスキルを高めるためにも、学びを深めていきたいです。
間接購買は、社内のさまざまな部門を支え、会社全体の価値向上に寄与する重要な役割を担っています。1人でも多くの方々の理解と協力を得ながら、質の高い調達の実現を通じて、会社の成長を後押ししていきたいと考えています。
※ 記載内容は2025年1月時点のものです

