PLM戦略を推進。最適化によって、医療の未来を支える
──所属する部署やそこでの仕事の内容について教えてください。
私は、内視鏡事業部 プロダクトライフサイクルマネージメント(以下、PLM)コントロールタワーに所属しています。このチームが担うのは、全社的なPLMのコンセプト立案と実行です。内視鏡だけでなく、処置具を含む製品の企画・設計から、製造、販売、保守、廃棄に至るライフサイクル全体の情報を一元的に管理し、最適な運用をリードする役割を果たしています。
たとえば、古い製品を生産し続けるには、設計変更や生産体制の維持が必要です。さらに、サービス、サプライチェーン、品質保証や薬事など、社内のあらゆる部門に影響が及びます。
こうした課題に対処するため、EOL(End of Life)、つまり製品の寿命を適切に定義・管理 することで、製品競争力の向上、開発リードタイムの短縮、品質の向上、そしてコスト削減を実現し、ビジネスの成長につなげることが、私たちの使命です。
また、PLMはお客さまの期待に応えるための取り組みでもあります。常に高品質な製品とサービスを提供し、安全性や信頼性を維持することも、私たちの重要なテーマです。
現在、チームには約11名のメンバーが在籍し、ワークストリームに分かれて活動しています。 それらを統括し、全体の進捗を管理することが私の役割です。
──オリンパスで働くやりがいをどんなところに感じていますか?
以前、総合商社で自動車生産プラントの営業に携わっていたころ、自分が社会にどのように貢献しているのか実感できず、もっと直接的に人の役に立てる仕事がしたいと考えていました。
現在は、健康や医療に関わる分野で社会的意義の高い製品に携われることが、私の原動力となっています。
また最近、私の父が肺気腫の手術を受けた際、オリンパスの機器のお世話になりました。父から治療に関する相談を受け、それに応じられたのも、オリンパスで働いていたからこそです。
内視鏡や処置具がなければ、ドクターは患者さんに適切な対応ができません。お客さま、そして患者さんや家族の健康を支える技術やサービスに貢献できることは、私にとって大きなやりがいです。
文化の違いを、力に。組織の構造改革に取り組む中で見えた多様性の力と可能性
──入社の経緯と、これまでのキャリアについて教えてください。
総合商社からアメリカのヘルスケアカンパニーに転職し、CTやMRなどの大型医療機器の営業やマーケティングを担当しました。しかし、前職では重要な意思決定がすべてアメリカで行われます。ヘッドクォーターの決断が、日本のマーケットに必ずしもフィットしないことにもどかしさを感じていました。
国内で意思決定される環境で働けること、グローバル・メドテックカンパニーをめざす新たな挑戦の一端を担えることに魅力を感じたことが、オリンパスへの入社を決めた理由です。
入社後、企業変革プラン「Transform Olympus」のTransform Office Leaderとして、組織の構造改革に携わりました。Transform Olympusには大きくふたつの柱があり、そのひとつが業績の改善です。1,000件を超えるプロジェクトの進捗を管理し、パフォーマンス向上を推進しました。
もうひとつの柱が、健やかな組織文化への改革です。伝統的な日本企業の体質から脱却し、よりオープンで自由な風土への転換をリードすることも、私たちの重要な役割でした。
──転職してすぐに構造改革に着手する中で、どのような難しさがありましたか?
当時はオンボーディングの仕組みがなく、社内での人脈を一から自分で構築する必要がありました。
そこでまず取り組んだのが、プロジェクトの核となる人物との関係づくりです。社内のキーパーソンを見つけ、対面で挨拶を交わし、その人からさらに重要なメンバーを紹介してもらうという具合にネットワークを広げていきました。
また、長年外資系企業にいたため、オリンパスのカルチャーに馴染むのも苦労した点です。私が当たり前だと思っていたことがまったく理解されず、逆に、相手の考えをすぐに受け入れることもできませんでした。
しかし、組織が変われば、文化や価値観が異なるのは当然です。むしろ、そうした違いこそが新しいものを生み出すチャンスになると考え、単にギャップを埋めるのではなく、違いを認め、受け入れることを大切にしてきました。
人は誰しも、自分の考えや悩みを誰かと共有したいと考えているものです。以前、尊敬する上司から「人の話をよく聞きなさい」と諭されたことがあり、それ以来、譲れない部分を持ちつつも、自分と異なる考えや価値観と出会ったときは、まず耳を傾けることを心がけています。
これは、グローバルな環境でのコミュニケーションにも通じます。オリンパスは日本の企業ですが、「日本の考え方や業務フローが世界のスタンダードではない」ことを常に意識することが非常に重要だと考えています。
公平な評価と失敗を恐れない文化が組織を強くする。実践で培ったマネジメントの哲学
──PLMのリーダーを担うことになった経緯と、リーダーとしてPLMに取り組む難しさや醍醐味を教えてください。
Transform Officeのような本社機能ではなく、よりビジネスの現場に近い領域で貢献したいと考え、PLMを選びました。
しかし、PLMの重要性を誰もが認識している一方で、実際に進めるとなると簡単ではありません。部門ごとに目標や課題が異なるため、組織横断的なアプローチが難しいのが現状です。
また、グローバルの視点で見ると、各リージョンがそれぞれ独自のやり方を採用しています。どこまでを標準化し、どこまでユニークネスを残すのかという判断は、非常に繊細で難しい問題です。
しかし、こうして利害が交錯する状況において、課題を適切に設定し、利用可能なデータや材料を活用して決断を下すことこそがリーダーの役割です。 正解がない中で、最善の答えを導き出すプロセスには重大な責任がともないますが、そこにリーダーの醍醐味があると考えています。
メンバーの成長に貢献できることも、やりがいのひとつです。部下たちがチャンスをつかみ、理想のキャリアを築くための支援ができることに、大きな充実感を覚えています。
──メンバーと接する上で、大切にしていることはありますか?
それぞれがどんなことに取り組み、どのような状況にあるのかを理解した上で、フェアな判断をすることを心がけています。
たとえば、取り組んでいるプロジェクトの難易度が進捗に影響を与えることは珍しくありません。難しい課題がスムーズに解決できないのは当然です。部下を評価する際、過去の印象的な出来事に左右されがちですが、常に公平なコミュニケーションを意識しています。
また、誰にでも強みと弱みがあり、それぞれの個性を見極めることが重要だと考えています。小さな認識のズレが、大きな食い違いに発展してしまうことがあるものです。相手がどのような視点で物事を考えているのかを理解することも大切にしています。
さらに、失敗に寛容でありたいとも考えています。重要なのは、失敗しないことではなく、そこからどう立ち直るかです。部下がうまくいかなかったときこそ、前向きな姿勢を持てるよう励まし、次のステップへ進むためのサポートを心がけています。
挑戦と失敗がリーダーを育てる。折れない心をつくるレジリエンスの教え
──次世代のリーダーに向けて、メッセージをいただけますか?
挫折の経験こそが、キャリアの糧になると考えています。失敗するのは、挑戦している証拠。周囲の評価を気にする必要はありません。
私も若いころは、上司が用意してくれた簡単なタスクをこなし、スムーズに結果を出せていました。しかし、ポジションが上がるにつれ、任される仕事がどんどん複雑になり、簡単には成果を出せなくなります。むしろ、思い通りに進まないことのほうが多いといっても過言ではありません。
そんなときに大切なのが、失敗を恐れないことです。リーダーだからといって、すべてをスマートにこなす必要はありません。楽しみながら挑戦し続けられるかどうかが重要だと私は思っています。
以前、上司から「レジリエンス(回復力)」という言葉を教えられ、それをずっと大切にしてきました。困難に直面し、うまくいかないことがあったとしても、また立ち上がればいい。正しいアプローチで挑戦して失敗したのなら、もう一度チャンスを与えられるべきです。メンバーであれリーダーであれ、何があっても前向きな姿勢を保ち続ける力こそが、本当の強さだと信じています。
──今後の展望を教えてください。
PLMの取り組みには多くの学びがあり、新しい視点や考え方を身につけるまたとないチャンスです。今後もこの分野で経験を積むのか、それとも次のステップへ進むのかを見極めるためにも、メンバーたちには積極的に挑戦し、自らの可能性を広げてほしいと思っています。
チームはもちろん、会社の枠をも超えて彼らが活躍の場を広げていくことが私の願いです。そのためのスプリングボードとして、今いる環境で多くの経験を積んでほしいと考えています。
また、お客さまや患者さん、そして部下を含め、自分が関わるすべての人に貢献し続けることが私自身の目標です。周囲に良い影響を与えられるような、信頼されるリーダーをめざし、これからも成長し続けたいと思っています。
※ 記載内容は2025年2月時点のものです

