既存製品の拡販と新製品の開発を両軸で推進。未来の医療を創る製品戦略に向けて
──現在の部署の概要と仕事の内容について教えてください。
消化器科処置具プロダクトマーケティングは、高周波ナイフや局注針といった内視鏡処置具のマーケティングを担当する部署です。製品群ごとにユニットが編成され、戦略の立案や製品企画、販促活動から、市場導入後の不具合の対応まで、製品のライフサイクル全般に関わる幅広い業務に携わっています。
中でも私は、止血分野を担当しています。出血を止めたり、消化管に開いた穴をふさいだりする処置具を取り扱うユニットのフランチャイズオーナーとして、業務全体を管理する役割を担い、ビジネスの成長に貢献することが主な役割です。
止血分野のグローバルでの市場規模は約1,700億円(※)で、その中でも止血クリップは約980億円(※)と非常に大きな割合を占めています。そのような市場規模の大きい領域は他社にとっても魅力的であるため、止血クリップなどの市場では中国をはじめとする海外メーカーが次々と参入しています。そして、低価格な製品を提供する企業が増えた結果、価格競争が激化しています。
こうした中、医療現場のニーズを掘り起こしながら製品の付加価値を実感いただく活動を通じて既存製品のシェアを拡大し、いかにビジネスを成長軌道に乗せるかが重要な課題です。
一方で、新しいビジネスの創出にも取り組んでいます。市場環境の変化に柔軟に対応しながら、技術革新や新製品開発を通じて、次世代のビジネスの柱を築くことが、私たちにとってもっとも重要な使命だと考えています。
※ 2024年度数値 当社調べ
──オリンパスで働く魅力、やりがいをどんなところに感じていますか?
海外駐在を経験し、医療従事者の方々と直接話す機会に恵まれたことで、オリンパスの製品が医療現場でどれほど貢献しているのかを実感しました。
とくに、いま私が所属しているマーケティング部門は、製品の方向性を決め、その後の開発や市場展開に大きな影響を与える非常に重要な役割を担っています。医療機器の提供を通じて、患者さんに貢献できていることは、大きなやりがいです。
また、医療現場に触れる機会が多いことは、実生活でも役立っています。自分自身や家族、友人の健康に関わる場面で知識が活かされることも、モチベーションにつながっています。
ものづくりの核心へ。海外駐在で磨いた現場視点と市場洞察の目
──医療業界に興味を持ったきっかけはどのようなものでしたか?入社の経緯と、開発部門での仕事の内容とあわせて教えてください。
両親が医療従事者だったこともあり、幼い頃から病院が身近な存在で、物心つく頃には自然と患者さんの力になれる仕事がしたいと考えていました。
医療機器の開発に関われる職場を探す中で出会ったのがオリンパスです。医療機器といっても診断機器や電子カルテなどさまざまな分野がありますが、私が興味を持ったのは、患者さんを治療する機器。この分野で市場を牽引する高い技術力に魅力を感じ、入社を決めました。
入社後は、処置具開発部に配属され、胆管やすい臓といった臓器を治療するための処置具の開発に携わりました。主に商品開発の終盤フェーズで、QMS(Quality Management System)や法規制に関するドキュメント作成などを担当し、処置具に関する基礎知識や物事の考え方の基本を学びました。
──その後、開発駐在員として海外勤務を経験されますが、挑戦に至った背景、駐在先での取り組みや学びについて教えてください。
前述のドキュメント作成も重要な開発プロセスですが、自分自身が想定するものづくりの核心部分に関われないことに、次第にもどかしさを感じるようになっていました。
そんな中、開発駐在から戻ってきた方々と話す機会がありました。未来を見据えながら医療従事者と議論を重ね、オリンパスとして医療課題にどう向き合うべきか、どんなデバイスが必要なのかを考えるのは、まさに自分がやりたかったこと。彼らの熱意ある姿勢にも感化され、この仕事に挑戦したいという気持ちが強まりました。
海外駐在が実現したのは入社3年目の終わりごろでした。まだ若手でしたが、語学力を磨き、国際会議の事務局運営に携わり、地道に準備を重ねていたことと「海外に行きたい!」と上長に言い続けていたことが評価されたのだと思います。
現地では主に現場のニーズ調査や開発中の製品のプロトタイプ評価に取り組みました。また、意見をいただく先生方の探索・選定にも力を注ぎました。私の赴任先は欧州(ドイツ)でしたが、欧州といっても複数の国によって構成されているため、どういった先生方から意見を集約すると“欧州”に響く製品に近づくことができるかという点を意識して活動していました。
これらのユーザーやセールス担当との対話、症例見学を通じて市場への理解が深まるにつれて、自分が企画した医療機器で世の中に貢献したいという気持ちが強くなっていきました。
現場の声が、未来を創る。組織を動かすマーケティングへの挑戦
──帰国後、現在の部署で新たな仕事に取り組む中で、どのような気づきがありましたか?
現場のリアルなニーズを理解した上で施策に展開することが重要だと気づきました。われわれマーケティングはセールスメンバーの販売活動を後押しし、成果につながる情報を提供する必要があります。
しかし、医療機器を患者さんに使用することはできませんので、現場での製品の使い勝手や困りごとなど、感覚的な事象を理解するためには医療従事者や現場を熟知するセールスメンバーの「生の声」が欠かせません。私には営業としての経験はありませんので、現場の情報をまるで自分事かのように解像度を高く把握できるよう、なるべく現場に足を運び、関連部署と密にコミュニケーションを取るよう努めています。
一方で、開発での経験が役に立っている場面も感じています。戦略や新商品を企画する際にはニーズの側面だけでなく、技術的な実現可能性を踏まえて判断することが重要です。その際、開発部門の視点や考えを理解し、尊重しながら合意形成を進められている点は、これまでの経験が役立っていると感じています。
──マーケティング部門でとくに印象に残るプロジェクトや、そこでの学びについて教えてください。
ある止血分野の製品プロジェクトに取り組んでいましたが、残念ながら途中でプロジェクトが中止になったことがありました。要因はいくつかありますが、マーケティング部門としてはどのターゲットに向けてどのような価値を提供するのかを充分に絞り込めないまま製品化を進めたことが理由の一つとであると考えています。
ターゲット顧客が絞り込めていないため、要求仕様が複雑になったことで、開発活動が技術的な壁に直面し、計画の遅延や原価の高騰を招いてしまいました。
その結果、マーケティングと他部門との間に、「マーケティング部門が考えていることは本当に正しいのか」「また途中で失敗するのではないか」というフラストレーションや不安が生まれてしました。
テーマの規模によっては何十人、何百人ものメンバーが参画する医療機器開発ですが、これらメンバーのモチベーションが失われることは組織にとって大きな損失です。開発プロセスに関わる多くの人たちのキャリアにも影響を及ぼしかねない出来事であり、マーケティングがもつ責任の重さを痛感した出来事でした。
この経験を踏まえ、現在のプロジェクトでは、マーケティング部門が一方的に考えただけではなく、プロジェクトメンバー全員が理解し、納得できるよう、現場の課題やそれを解決することでどのような効果が期待できるのかをわかりやすく示すことを意識しています。
たとえば、コンセプト動画を作成したり、医療従事者のリアルな声をそのまま届けたりと、取り組みの価値や意義を具体的に伝える工夫を重ねてきました。
オリンパスには、医療を通じて社会に貢献したいという強い想いを持つ方々が多く働いています。現場の困りごとやそのときの熱量を温度差なく共有することで、取り組んでいるプロジェクトの意義に対してメンバー全員が同じ認識に立つことができれば、One Olympusとして活動を進めることができ、ひいては組織全体のモチベーション向上につながると考えています。
主体性が拓くキャリアの可能性。越境思考が開く技術の新たな扉
──仕事をする上で大切にしていることを教えてください。
何事にも主体的に取り組み、自分ごととして捉える姿勢を大切にしています。プロジェクトは役割分担して進められますが、自分の職務範囲だけでなく、周囲の動向にも目を配り、「自分だったらどうするか」と考えるよう心がけてきました。
たとえば、他チームが特定の課題に対して導き出した答えが、自分の考えと異なる場合、そこから新たな視点や考え方に気づかされることがあります。そのような考え方(勝手に自分事化)を習慣化することで、同じような課題に実際に直面した際にすばやく適切な対応が可能になります。
専門分野を超えて関心を広げることは、自分の知見を深めるだけでなく、多角的な視点を養う上でも非常に重要だと考えています。
──今後の展望を聞かせください。
特定の製品の企画や戦略の立案にとどまらず、自分の影響範囲をさらに広げていくことが目標です。現在、マーケティング業務と並行して、分野横断的な事業戦略の策定にも携わっています。これまでできなかった治療を可能にするような大きな変化を生み出し、より良い内視鏡治療の未来に貢献できる存在になりたいと考えています。
また、子どもが生まれたことで仕事観にも変化がありました。キャリアと私生活の両立を図ることが個人的な課題です。仕事で責任を果たしつつ、家庭では家族と過ごす時間も大切にして、充実した人生を築いていきたいですね。
──医療分野の知識がないことを理由に入社をためらう方へメッセージをお願いします。
医療のバックグラウンドは必須ではありません。むしろ、AI技術やデザインといった自分の強みを伸ばすことがより重要だと考えています。
たとえば、先に紹介したコンセプト動画はクリエイティブセンターの協力を得て制作したものでしたが、先方は本プロジェクトを担当されるまで製品に関する専門知識をあまりお持ちではありませんでした。
しかし、すてきな成果物に仕上がったのは、医療や製品に関する情報を持つマーケティング部門と、動画作成やコンセプトメイクに関するノウハウ・スキルをもつクリエイティブセンターが互いの強みを掛け合わせたからだと考えています。
ビジネスで価値を生み出す鍵は、技術や専門性の高さにあると思います。オリンパスがさらに成長を遂げるためには、多様なプロフェッショナルが集まり、それぞれの強みを活かし合うことが不可欠です。皆さんが持つスキルを武器になるまで昇華させることで、医療現場への貢献の可能性は大きく広がるはずです。皆さんと新たな価値を創造できることを楽しみにしています。
※ 記載内容は2024年11月時点のものです

