手作業による精密な組立工程を担当。間接的に医療に貢献できることがやりがいに
──現在の業務内容について教えてください。
日の出工場の製造グループで筐体製品の組立や滅菌工程に携わっています。「筐体製品」とは、箱型の形状をした製品のこと。日の出工場は、大量生産を得意とする工場ではなく、世界で初めて電動回転式を採用した小腸内視鏡システムのコントロールユニットや、膨大な画像処理が必要な4K3Dイメージング技術を搭載した手術用顕微鏡システムなど、専門的な技能が求められる新製品を主に扱っています。
白河や会津にあるオリンパスの他工場から買い入れた部品を完成品に仕上げるところまでが私の業務で、そのほとんどすべてを手作業で行っています。
組立工程の中で私が務めるのはサブリーダーのポジションです。スーパーバイザーのひとつ下の立ち位置で、QCD(品質、コスト、納期)管理 や欠勤代行、メンバーの業務調整、設備の維持管理、そして新製品立ち上げに向けた準備など、チームの全体管理を担当しています。
新製品の立ち上げに関わることも多いため、計画ごとに適材適所の人員配置をしたり、部品に不良があった場合に対応したりしながら、生産体制を維持・安定化することが私の役割です。
──医療機器の製造に関わる中で、どんなところにやりがいを感じていますか?
私たちが手がけているのは、患者さんの命に関わる製品です。すべての作業は厳しいルールに基づいて進められており、小さなミスも許されません。大きな責任とプレッシャーを感じながら組立作業に取り組んでいます。
そうやって間接的であれ患者さんの命を救うことに貢献できているのは、医療機器を扱うオリンパスだからこそ。社会貢献度の高い仕事に携われていることにやりがいを感じています。
技能の幅を広げたキャリア初期。オリンパスに入社してものづくりへの情熱がかたちに
──入社後、どんな仕事をしてこられましたか?
入社後、現在も所属する職場に配属され、内視鏡の湾曲を上下左右に制御するアングルノブなどの操作部や、ビデオプロセッサーと接続するコネクタ部分など、超音波内視鏡の組立を主に担当しました。
初歩的な作業から始めて、高い技能が求められる作業、製品知識が必要な作業などを含め、ひとりですべてこなせるようになるまで約5年。その間、さまざまな製品の組立を経験してきました。
初期のキャリアでとくに印象に残っているのは、4年目にLED光源をスコープ先端部に搭載した新製品の組立作業に抜擢されたときのことです。いままでにない製品ということでプレッシャーはありましたが、組立の作業手順やラインの構築などを一任され、やりがいを感じながら取り組むことができました。
当時とくに苦労したのが、知識も経験も豊富な年上の技術者たちと意見を交わし自分の意見や考えを理解してもらうこと。いま思えば、的を射ていない発言も多かったと思いますが、胸を借りるつもりで提案を繰り返していたのを覚えています。
たとえば作業マニュアルを改訂する際、内容を細かくしすぎると、それを理解し使用する作業者の負担が大きくなってしまいます。また、誰か一人のやり方に偏った手順にしてしまうと、他の作業者にとって適した方法ではなくなってしまう可能性もあり、誰にとっても必要なことをわかりやすく伝える、ということが求められます。先輩社員と議論を交わしながら、実際に作業する方の目線で効率的な組立方法を考えたり、工程を管理したりした経験はサブリーダーを務めるいまに生きていると感じます。
──そのほか、印象的な出来事があれば教えてください。
社内で開催されるはんだ付け技能競技大会に初めて参加し、優良技能賞を獲得しました。これはオリンパスの各工場から選抜された代表者が技能の腕を競い合うもの。客観的に評価されたことは、技能面での確かな成長を実感できた出来事でした。
その後、約7年にわたって指導員も務めています。日の出工場ではライセンス制度が設けられており、資格試験に合格しないとはんだ付け作業を行うことができません。指導員の任務は、新入社員にはんだ付けの基礎技能を教えること。仕事の楽しさを教えることで若手の育成に貢献したい、との想いから、かつての自分に指導するような気持ちで引き受けていました。
いま振り返ってみると、高校時代は苦手なことから逃げてばかりいた自分にとって、オリンパスへの入社が転機になりました。面倒見の良い先輩社員に出会い、やがてその背中を追いかけることが目標に。自分のポテンシャルを信じて技能を磨き続けることができたのは、職場の仲間の支えがあったからだと思っています。
内視鏡組立プロジェクトのサブリーダーに。成長のきっかけとなったキャリアの転換点
──筐体製品や処置具の組立、滅菌工程を担当するようになった経緯について教えてください。
入社5年目に、それまで日の出工場が担っていた機能の一部が白河オリンパスに移されることになりました。私が手がけていた超音波内視鏡の組立作業も移管対象だったことから、数カ月間にわたって引き継ぎ業務を担当。その後、筐体製品や処置具の組立工程、滅菌工程に携わるようになりました。
たとえば滅菌工程では、組み立てた製品を梱包や出荷の前に滅菌するオペレーター作業が中心です。工場内で大量生産されている製品の滅菌・検査工程などさまざまな業務を担当するようになり、経験と知識の幅が格段に広がりました。
電子機器組立て技能士(2級)の検定を受けたのもこのころです。これは国家資格のひとつで、電子回路を内蔵するあらゆる機器に共通する基本電子回路の技能が問われます。自身のキャリアアップにも必要なステップと考え取得しました。
一方、筐体製品や処置具の組立工程、滅菌工程をするようになってとくに苦労したのが、異なる作業環境への順応です。より効率的に作業を進めることが求められるなど、繊細な手作業に多くの時間を必要とする超音波内視鏡の分野とは考え方や仕事の進め方が異なる部分も多く、馴染むまでに時間が必要でした。
──その後、サブリーダーに任命されますが、どんな苦労や学びがありましたか?
日の出工場で内視鏡の製造を再開する動きがあり、超音波内視鏡の組立に長く関わった経験を買われ、プロジェクトの先導を任されました。ただ当時9年目の私には、高い技能を持った百戦錬磨のベテランたちに業務を指示することに強い抵抗感がありました。
そこで私が心がけたのが、まず自分が率先して現場で行動すること。作業者の目線を持ったリーダーだと認めてもらえれば、必ず後を付いてきてくれると考えたからでした。
入社11年目に社内で開催される「小集団改善事例発表会」に参加したときのことも印象に残っています。当社の各工場ではサークルと呼ばれる小集団を組織し、さまざまな改善活動に取り組んでいますが、これは各工場から選ばれた代表チームが年に1度、その活動の成果を発表するものです。
当時、私はディスポーザブル製品の立ち上げに関わり、ある部品と部品を接着剤でつなげる際の作業性に課題を感じていました。そこで、双方の部品を固定するための治具をつくることを提案。効率化に至ったプロセスについて発表しました。
表彰にこそ至りませんでしたが、工場内の評価は上々。自分が中心となって進めたプロジェクトを成功させたことには確かな手ごたえがありました。
この事例に限らず、中間管理層に位置するサブリーダーとして私が一貫して意識しているのは、自分よりも周囲のことを優先することです。上司であるスーパーバイザーをサポートする一方、メンバーの気持ちも理解し、全員が楽しく仕事に取り組めるマネジメントの方法を模索しています。
恵まれた環境と豊かな経験が成長の礎に。周囲への感謝の気持ちを胸に、これからも前へ
──入社以来、組立技術の向上に努め、新たな製品の立ち上げをリードしたり、若手の育成にも積極的に取り組んだりと、坂本さんが仕事と真摯に向き合い続けてこられた原動力を教えてください。
良い上司に恵まれたからこそ現在の自分があると思っています。ここまで自分が成長できたのは、たくさんの方から指導を受けながら、さまざまな経験をさせてもらったおかげ。上司だけでなく同僚に対しても、こうして同じ会社、同じ職場で巡り合えたことに感謝し、誠意を尽くしたいと考えてきました。
自分よりも周囲のことを優先することを意識するようになったのも同じ理由です。入社当初は、自分のことを中心に考えることが多かったように思いますが、上司や同僚の世話になったり、結婚して子どもができたりするうちに、人間ひとりでは生きていけないことを実感。どうすれば皆が幸せになれるかを考えるようになりました。上司や同僚らから、「坂本がいて良かった」と慕われる存在になりたいという気持ちでいまは仕事に取り組んでいます。
──今後の展望を教えてください。
サブリーダーとして、作業者目線でメンバーがより働きやすい環境づくりをしていきたいと考えています。そのためにも、今後も組立業務に自ら率先して取り組み、新しい経験や知識を貪欲に吸収する一方、これまでに培ってきたものを後進に積極的に伝えていくつもりです。
ただし、高い品質を維持するためには、技能を引き継ぐだけでは十分ではありません。良い製品をつくる上での鍵となるのは、現場の一人ひとりが相手を思いやる気持ちです。自らの行動を通じて、人のために行動し協力し合うことの大切さを示していけたらと思っています。
※ 記載内容は2023年10月時点のものです

