オリンパスの事業活動のために、基盤を整える
──所属部署と現在の仕事内容について教えてください。
私が所属するファシリティマネジメント部門では、日本国内の不動産管理の統括を担当しています。土地の売買、建物の建設や解体、オリンパスが保有する物件や工場の施設管理など、業務内容は多岐にわたります。
従業員の皆さんが快適に働けるよう、水や電気、エアコンなどを当たり前に利用できる環境のメンテナンスや保全活動を行うこともあれば、新たにオフィスを構えるときの入居先選定や賃貸借契約を担当することもあります。
働く場所と働き方の改革をめざすプロジェクトにも携わってきました。現在は部門間連携の活性化を目的としたレイアウト変更のため、八王子事業場の大規模なリノベーションを進めていて、私は建設会社の選定やスケジュール策定などの役割を担っています。また、長野の事業場の新棟建設プロジェクトには初期のプランニング段階から参画しています。
各事業・機能部門の目標を建物や設備の視点から具現化することが私たちの役割。その実現には莫大な費用がかかるため、効果的なコストマネジメントも重要な任務のひとつです。企画者や各事業・機能部門が思い描くことを予算内でかたちにするための最適な提案や工夫も行っています。
──どんなところに、仕事の意義ややりがいを感じていますか。
建物が計画通りに完成したときに大きなやりがいを感じます。直近の長野の新棟建設プロジェクトでは、計画初期の段階から参画しました。このプロジェクトでは、隣地の土地取得が必要でしたが、土地の造成が始まり、建物の基礎が造られ、鉄骨が組み上がり、外壁や屋根が取り付けられ、内装工事へと進展していく過程を目の当たりにしてきました。それぞれのフェーズで進捗を確認し、建物が完成に近づいていく様子を見ていると大きな達成感を覚えます。
一方、オリンパスの不動産管理は医療事業を手掛けているがゆえの難しさもあります。たとえば、医療機器の工場を建設する際には多様な要件を満たす必要がありますが、中でも重要なもののひとつが「防虫・防鼠」です。
医療機器に虫や鼠などが混入することは許されません。内部での発生はもちろん、外部からの侵入も徹底的に防ぐ必要があります。オリンパスが安全・安心な製品をつくることができるのは、安全・安心な工場があってこそ。医療機器の工場として満たすべき基準を徹底しています。
建設担当当初は、建物を完成させることがゴールという感覚がありましたが、現在は安心・安全な製品を製造できているかがゴールになったように感じます。新たな建物で工場が稼働し始めた際には、初の生産ロットが問題なく出荷されてようやく一つのゴールを迎えたと感じます。
ベトナム工場に赴任。現地で身につけたコスト意識が財産に
──オリンパス入社の経緯や、入社後に携わった仕事について教えてください。
小さなころから手先が器用でモノを修理することが好きだったので、入社前は内視鏡や医療機器を修理するフィールドサービスの仕事を希望していました。ところが、入社前の面接で「手先の器用さを活かせる仕事は、フィールドサービス以外にもある」と勧められ、八王子総務部設備環境グループに配属されることに。
入社後は八王子事業場の建物・設備の保全管理や改修工事、レイアウト変更などを担当しました。日々の仕事としては、従業員が通常通りに仕事をできるよう、設備の保全・維持管理を行っていました。毎朝、従業員の皆さんが業務を始める前に建物を点検して問題があれば可能な限り修理・対応します。
また、古くなった設備を定期的に更新する仕事も担当していました。古い設備を全面改修する場合は専門業者に依頼をかけるため、自身で現場を見て業者への見積・発注、工事の管理を行っていました。
八王子事業場は研究開発拠点のため、「新製品向けの実験をするために、温度が約〜度で、湿度が約〜度の空間をつくってほしい」と開発者から細かい要望が寄せられることも。その都度、専門業者と話し合いながら条件に沿った環境を整備しました。
──入社後、とくに印象に残っている出来事はありますか。
入社10年目の2012年3月にオリンパスベトナムへの異動が決まり、翌々年の3月末までの約2年間ベトナムに駐在したときのことが記憶に残っています。2008年にベトナムに工場が建てられた際、施設管理スタッフの人員不足を穴埋めするため半年ほどベトナムに応援で出張したことがありましたが、まさか長期駐在をすることになるとは予想もしていませんでした。
ベトナムで施設管理、環境、安全衛生部門のマネージャーとして2年間勤務した経験から、コスト意識が身についたと感じています。当時、ベトナムの工場は複合工場として医療事業と映像事業の製品を製造していましたが、映像事業は浮き沈みがあり、私が赴任したころはまだ売上や利益が安定していませんでした。当時のオリンパスベトナムの社長からは、「事業の売上や利益を意識して、極力コストを抑えてほしい」と指示を受け、コスト削減に取り組みました。
八王子事業場にいたころもコストは意識していましたが、当時は「建物や設備の維持・保全にコストが掛かることは当然のこと」という感覚に近かったと思います。ベトナムではその感覚をあらためる必要がありました。一方、「工場の稼働は絶対に止めてはいけない」とも言われていたため、コストバランスを意識的に考えるようになりました。ビジネス視点で施設管理を理解し実践できるようになったのは、ベトナムでの経験があったからだと思っています。
進化し続けるビジネスマインド。一つひとつの小さな成果がやりがいに
──ベトナムから帰国後、どのようなスタンスで仕事と向き合ってきましたか。
帰国後は総務部設備グループに配属されて、現在も担当する業務に携わるようになりました。ベトナム駐在前と比べて仕事に臨むスタンスは大きく変わったと思います。
ベトナムで学んだのは、工場操業を継続していく上で、建物や設備の維持・保全には優先度や重要度があるということです。そして、この優先度と重要度を年度の予算と照らし合わせ、今、何にコストを掛けることが会社の利益へ貢献するために最適かを考えるようになりました。ベトナム駐在を通して、コストとクオリティのバランスを考えられるようになったことは大きな収穫でした。
新しい建物を建てるとき、そのプロジェクトや入居予定の部門からは多くの要望が寄せられますが、限られた予算内ですべてを実現することはできません。優先順位をつけて要望を調整するか、予算を増やすかの選択を迫られます。とくに売上や利益が予測できないプロジェクトでは、投資リスクを最小限に抑えつつ、予算内で最大の効果を発揮するための提案に努めるようにしています。
──入社時と比べて、施設管理や不動産管理の仕事に対する意識はどう変わりましたか。
いまはこの仕事が天職だと思うようになりました。周りの人の役に立ち、具体的な成果が出せている手ごたえがあるからです。
八王子事業場で働いていたころは、自分が手を動かして設備トラブルの解決や、職場からの要望を形にしたことで従業員から感謝されていました。一方、ベトナム駐在中は、効果的な仕分けとコスト削減の施策を実行したことで工場の収支改善に貢献できた実感がありました。そうした経験があるたびに、「この仕事を選んでよかった」と確信を深め、新たな原動力になっています。
ファシリティマネジメントの視点と精神で仕事に取り組める組織へ
──仕事をする上で、どんなことを大切にしていますか。
安全性、遵法性、公平性です。
現在の仕事に責任者として携わるようになってからは、何よりも安全第一を心がけています。ときにはトラブルシューティングのために、高所や高電圧を取り扱う変電所、悪天候の中で作業をしなければならない場面も。作業に立ち会う当機能のメンバーや協力してくださる専門業者の方には、安全が最優先であることを伝えています。
また、遵法性は建設に携わる立場としてとくに重視すべき要素です。各事業・機能部門から出てきた要望に対して、良いアイデアだからといって安易にイエスと返すのではなく、建築基準法や消防法など関連法規を満たしているかを確認した上で実現可否を回答することが求められます。
新棟建設や建物内の大規模改修となると扱う予算が数百億円に及ぶことも。よって、公平性や透明性にも注意を払っています。
──今後の展望を教えてください。
ファシリティマネジメントとして仕事にコミットしていきたいと思っています。「施設管理」ではなく、あえて「ファシリティマネジメント」と呼ぶのは、両者の定義と概念が異なるからです。
施設管理とは、建物や施設などを適切な状態で継続的に保ち、本来の機能を発揮させる業務のこと。一方のファシリティマネジメントは、建物や施設などを効率的に活用し、いかに会社の利益や経営に貢献するかを指します。
オリンパスでは、部署名が「ファシリティ」へと更新されましたが、メンバーの意識はまだ「施設管理」の段階にとどまっていると感じています。組織がファイナンス直下に位置けられたことで、より会社の利益や経営への貢献が求められるようになりました。メンバーそれぞれがファシリティマネジメントの視点と精神で仕事に取り組める組織へと進化させていきたいと考えています。
また、各スタッフそれぞれが専門性を向上させ、プロジェクト発足時に「〜さんに加わってほしい」と指名してもらえることもめざしています。そのためには、プロフェッショナルを育成する土壌を醸成していかなくてはなりません。まずは業者の選定や競争入札のプロセスを最適化し、コストを効率よく抑えながらも事業・機能部門のニーズを最大限満たすアプローチを取り入れていきたいと考えているところです。
そして、私たちがプロジェクトの早い段階から参加することで発揮できる付加価値があることを、社内に広く伝えていきたいと思っています。
※ 記載内容は2023年10月時点のものです

