金融分野で働くすべての人に活躍してもらうために。エンゲージメント推進室の発足
サステナビリティ経営を中期計画目標に掲げ、9つのマテリアリティを設定するNTTデータ。髭が室長を務めるエンゲージメント推進室は、まさに働き方改革を推進する「Future of Work」や誰もがいきいきと活躍する「Human Rights&DEI」を体現した取り組みであると言えます。
「NTTデータには金融・公共・法人と3つの分野がありますが、中でも金融分野のバックオフィスを担うのが金融戦略本部の務め。人事・採用・育成・技術戦略・ダイバーシティ・総務・グループマネジメント室・広報戦略・事業戦略という9つの組織があり、エンゲージメント推進室はこれらの部長が兼務する形で発足しました。私は室長としてさまざまな業務に取り組んでいます」
もともとは金融戦略本部の人事・採用・ダイバーシティに携わってきた髭。さまざまな役割を担う組織が一丸となってエンゲージメント強化に取り組む姿勢が大切だと語ります。
「エンゲージメント推進室は新卒入社の方であれ、経験者採用で入社した方であれ、会社に定着していきいきと活躍してもらえるよう、サポートする組織です。2022年7月に私が人事へ異動したことをきっかけに取り組みが進み、社内で時間をかけて『エンゲージメント』という言葉の理解を深めてきました。
とはいえ抽象度の高いテーマだけに、具体的な施策実行が難しい。そこでデータ分析を行いながら組織的にエンゲージメント強化に寄与するために設立されたのが、このエンゲージメント推進室です」
現在は「金融版BEST PLACE TO WORK」をビジョンに5つの柱を立て、さまざまな施策に取り組んでいます。
「組織を下支えする『風土・文化の醸成』『働きやすい環境』、個人のキャリア自律を実現する『自己成長』『やりがい』、そしてステークホルダーの多い当社だからこそ必要な『良好な人間関係』。この5本柱を中心に据え、活動しています。
また具体的なプロセスモデルとして、社員の声を聞き、それを受け止め、施策を実行し、社員に共有するというサイクルを策定。現在は社内調査で社員の声を聞き、それを分析した上で、社員をサポートできそうな施策を列挙し、実行しています」
人事とはどうあるべきか──人事の多岐にわたる役割に着目し、部署全体の連動を重視
2000年の入社当初は銀行向けシステムを開発するエンジニアからキャリアをスタートした髭。これまでにさまざまな業務を経験してきたと語ります。
「15年ほどエンジニア、プロジェクトマネージャーとして現場で経験を積んだ後、コーポレートの人財育成や採用を経験しました。その後人事と関係のない業務に就いていた時期もあったのですが、2022年に再び採用、2023年から育成・ダイバーシティを任されることに。この時あらためて『人事とはどうあるべきか』を考えるようになったんです」
髭が再び人事を任されるようになって気づいたのは「金融戦略本部全体が有機的に連動すべきである」ということです。
「人事の機能は採用・育成などどうしても縦割りになりがちです。しかし本来は、ビジネス戦略と連動して動くべきもの。たとえば事業や目標があるならば、それを達成するためにどんな人材をどれくらい配置する必要があるのか把握した上で採用や育成をしていく必要があります。
また人事の仕事は採用や育成にとどまりません。企業のイメージづくりや働く幸せを感じる組織づくりも人事の仕事の1つ。すべてが連動して動かなければならないことに気づきました」
また、エンゲージメント強化を意識するようになったのもこのころだと言います。
「私がエンゲージメントを意識するようになったきっかけは大きく3つ。1つめは従業員の持つ能力を資本として持続的な経営をめざす『人的資本経営』にとって、エンゲージメントの強化は欠かせないと思ったことです。
2つめは経験者採用に関わって、辞めていく社員と同等の能力を持つ方の採用の難しさに気づいたこと。いかに辞めずにいきいきと働き続けてもらうかを考えることの大切さに気づきました。
そして3つめがキャリア面談を通じて気づいた『キャリア自律』という言葉の難しさ。キャリア自律と聞くと、ともすれば社員個人がやりたいことを主張するばかりになりがちですが、今後やりたいことだけでなく、今の業務に対する意義や価値も理解する必要があると感じます。働き方に関する価値観が変わってきているからこそ、社員と企業の関係性を今一度考え直す必要があると感じたのです」
金融分野で働く人々が何を思うのか。データに向き合うことでわかったさまざまな発見
「エンゲージメント強化」という抽象度の高い取り組みをしていく上で、髭が重視したのはデータにもとづいた運用。社員の声を聞くために、昨年行った全社エンゲージメント調査の中から金融分野のエンゲージメントに関するサーベイを実施しました。
「個人の狭い視野で考えるのではなく、金融分野の全体像を見据えた上で取り組みを考えていく必要があると思い、3カ月ほどかけてデータ分析に注力しました。社員を性別や職種などの属性ごとに16のカテゴリに分類し、金融分野の社員がどのような価値観で働いているのか、当社に何を求めているのかが把握できるようにしました」
サーベイではさまざまな課題が浮き彫りになったと語る髭。その一例を以下のように語ります。
「とくに印象的だったのは管理職のエンゲージメント低下や、組織風土の停滞ですね。社員がやりがいを感じるためには組織の雰囲気だけでなく、上司のサポートが必要ですが、その管理職自身が忙しくて、部下をサポートする余裕もないことが判明。管理職が負担に感じていることは何か、本当にやりたい仕事とはなにかを考える良い機会になりました。
また金融分野は伝統的な仕事をしてきた分、保守的な雰囲気になっているとの声も。スピード感がなく、リスクを取って挑戦することも難しいなど、風土にも改善の余地があることがわかりました」
サーベイのデータをもとに、すでに実践している取り組みもあります。
「今回の調査で男性の上司と女性の部下には、価値観などさまざまな違いがあることがわかりました。そこで、男性上司をターゲットにイベントを開催し、サーベイの中でわかった双方の大きな違いを紹介。価値観の良し悪しではなく『違いがあるんだ』ということを認識してもらうことから始めています。
たとえば、『どのような会社で働くのが理想か』という問いに対して、男性上司は『働きがい・やりがいを強く感じることができる会社』が1位なのですが、女性部下は2位で、女性部下の1位は『働き方の自由さや柔軟さのある会社』です(男性上司は6位)。このようにデータを示して説明すると、社員の相互理解も深まると思うんです」
社員と企業が互いの期待に応えられる関係性。室長の思う理想のエンゲージメントとは
今回のサーベイの結果を受け、髭が目下取り組んでいるのが「風土改革」と「キャリア支援育成」です。
「前述の通り、サーベイでは金融分野全体に保守的な印象があり、組織の縦割り感があることなどが浮き彫りになりました。『社員が挑戦できる場を作るべきだ』『社員の想いに応えてほしい』という声も。一方で、会社が社員の期待に応えることと、社員が会社の期待に応えることは対等であると考えているんです。そこで現在、エンゲージメント推進室では社員・組織・企業の3者がそれぞれwinの状態を得られる『Triple Win』をミッションに掲げ、有志の社員と共に風土改革を行っていくことを検討しています。
加えて、職種や性別、入社の経緯など境遇が似ている人、あるいは異なる人を集めてつなぐイベントも実施。エンジニアやプロジェクトマネージャーなど業種別のイベントを開き、互いの業務内容や悩みなどを話し合い、認め合う機会も設けています」
キャリア支援制度についても続けます。
「仕事の意義や価値を理解した上で自身の成長も実感し、『このチームで働きたい』と思ってもらえるような状態をめざしています。最近行っている取り組みとしては、入社7年目の社員を集めた交流会などが挙げられます。この時期は会社でリーダーなどを任される一方で、ライフイベントも活発になるなど、働き方について思い悩む方も少なくありません。
私は『キャリアの作り方は人それぞれ』と伝え、やりたいことが明確でなくても、今やっていることを全うすることで積み上がっていくものがあると伝えたいですね」
会社が社員の期待に応え、社員が会社の期待に応える。そんな関係性を作りたいと語る髭。
「『エンゲージメント』という言葉は人によってさまざまに解釈されます。私は1日の仕事が終わった時、社員の方が『今日は大変だったけど、充実していたな。明日も頑張ろう』と思えるような状態を理想のエンゲージメントだと思っています。
またエンゲージメント強化や風土改革は一朝一夕には行えないもの。これからもデータにもとづきながらさまざまな施策を行い、時間をかけて社員を巻き込みながら新しい風土を作り上げていきたいですね」
同じくエンゲージメントに悩む企業の良き道標になりたいと語る髭の挑戦は続きます。
※ 記載内容は2024年3月時点のものです
