パーソナルデータ流通基盤「BizMINT」を活用した引越しワンストップサービスを開始
サスティナビリティ経営を推進するために、9つのマテリアリティを掲げるNTTデータ。そのうちの1つに、誰もが等しくアクセスでき、人々のQOLを高める「Digital Accessibility」があります。2023年よりサービス開始されたBizMINTによる引越しワンストップサービスは、仕事や家庭の事情、障害などで引越し手続きが困難な方でもワンストップで手続きが叶う、まさにデジタルアクセシビリティを実現したサービスといえます。
「BizMINTとは、パーソナルデータを流通させるためのプラットフォームです。現代は自身の個人情報がどのように流通し、何に活用されているかを自分自身で管理しなければならない時代。
そこでBizMINTはマイナンバーカードを活用し、利用者のなりすましを防止しながら、本人の同意のもと情報を必要な事業者同士でやりとりできるハブの役割を担っています。もちろん、情報は暗号化された状態で流通しますので、個人情報保護の観点でも配慮されています」
現在は第一弾のユースケースとして、BizMINTを活用した引越しワンストップサービスを開始。中村は営業企画担当として業務にあたります。
「これまでデジタル庁が主体となり、マイナポータルを活用した引越し手続オンラインサービスを推進してきました。BizMINTによる引越しワンストップサービスでは行政に対する届出だけでなく、電気ガスなどのライフラインや新聞、ケーブルテレビなど民間企業への手続きもワンストップで行えるのが特徴です。
利用者が専用の引越しポータルサイトにアクセスし、住所など必要な情報を入力すると、BizMINTを介して行政や民間事業者などの『受け手事業者』へ新しい住所など必要な情報が届くようになっています。もちろん、電気ガスなら利用開始日時、銀行なら口座番号といった事業者が必要とする情報が連携されます」
面倒な引越し手続きをワンストップで行える点は利用者にとって大きなメリット。一方で受け手事業者側にも以下のようなメリットがあると語ります。
「引越しは電気ガス、ネット回線など、生活に必要なさまざまなサービスの乗り換えを検討するタイミングの1つ。BizMINTをご利用いただくことで煩雑な手続きをワンストップで行えるとなれば、競合他社と比較してアドバンテージになると考えています」
これまでにないサービスを作る喜び。500人ものモニターを集めて行なった実証実験
新卒で大手金融機関に入社した中村。個人のお客さまを対象とした新規営業に注力しますが、金融業界の時代の変化にさらされ、徐々に新しい分野に目を向けるようになります。
「IT業界の台頭を目の当たりにし、この業界で働いてみたいと思うようになりました。当社には金融事業部など自分の経験が活かせそうな部署もあったのですが、より多くの人の生活に関わる仕事をしてみたいと思い、公共事業に関わるデジタルソサエティ事業部へ。入社早々、BizMINTの立ち上げに関わりました」
パーソナルデータ流通市場が盛んになることを鑑み、2020年から取り組みが開始されたBizMINT。発足当初はサービス名を決めるところから着手したと振り返ります。
「営業チームで無数のアイデアを出し合い、その中からまずは「My Information Tracer」の頭文字をとって『mint』という名前が決まりました。その後『BizMINT』に変更され、今日に至ります。
名前が決まった後は『このサービスをまず何で活用するか』を検討しました。その中で手続きが煩雑で手を焼く方も多い『引越し』をユースケースとすることが決定しました」
パーソナルデータ流通基盤というこれまでにないソリューションの創造に携わってきた中村。ソリューション拡販のための営業活動はもちろんのこと、販売の戦略を立てたり、プロモーション方法を考えたりと幅広い業務に携わっていると言います。中でも印象深かったのは、特定の自治体で行われた実証実験です。
「2020年度から2021年度にかけて、合計500人のモニターを集めた実証実験を行いました。当時の内閣官房IT室(現・デジタル庁)と連携をとりながら、実際にBizMINTを用いた引越しワンストップサービスの実現性の検証を行いました。
実証実験が行われた段階では、マイナンバーカードの普及率も現在ほど高くなかったほか、まだマイナポータルによる引越し手続きも行われていなかったので、この国でまだ誰もやったことのない取り組みに携わることができ、うれしかったですね。ニーズ調査ではおよそ90%のモニターの方に『サービスを利用したい』とお答えいただいたほか、受け手事業者の方々にも利便性を感じていただくことができ、実りある実験になりました」
さまざまなステークホルダーとともに作り上げる引越しワンストップサービス
入社と同時にBizMINTの営業企画を任され、苦労したことも少なくないと語る中村。中でも大変なこととして、膨大な量のステークホルダーとの関係構築を挙げます。
「BizMINTはあくまでパーソナルデータの流通基盤であり、サービスの入り口にある引越しポータルサイトや情報を取得する行政、民間の受け手事業者など、さまざまなステークホルダーがあってこそ成立するサービスです。NTTデータには行政はもちろんのこと、数多くの企業とのリレーションがあるため、社内の担当者にも協力を仰ぎながら、取り組みを社外へと発信し、サービスの良さを伝えていく必要があります。
多数のステークホルダーと関係性を築き、調整を行うことは困難ですが、そこで生かされたのが前職での経験。前職でも新規のリテール営業に取り組んできたので、お客さまと関係性を築いていくという点では今の業務とよく似ていると思います。ゼロからコツコツと信頼関係を築き上げ、サービスの良さを知っていただき、ご協力いただけるとうれしいですね。
また、前職では個人のお客さまに対する営業をしてきましたが、今は国や事業者をお客さまとして規模の大きい取り組みに携われているので、社会にインパクトを与えられているという実感があって、感慨深いです」
こうして2023年11月にサービススタート。引越しポータルサイト1社と石川県加賀エリアの事業者4社から導入をスタートしました。
「サービス開始とともに全国1741自治体さまへの手続きが可能となりました。2024年3月の繁忙期にはすでに多くの申請件数をいただくことができ、『サービスが動き始めているな』という実感があります。
一方で民間の受け手事業者さまに関しては、まだまだ一部のエリアでの導入に留まっていますので、今後あらゆるエリアで電気ガス、ネット回線、新聞などの手続きも一気通貫して行えるようになることを期待しています。このサービスは各エリアの受け手事業者さまにまとまって導入してもらってこそ真価を発揮するもの。
そこで現在は、各自治体さまに旗振り役になっていただけるよう話を進めています。最近では香川県全域で実証実験を行なっているほか、さまざまなエリアで自治体さまと地場の事業者さまを巻き込んだ共同検討会を立ち上げています。地道な活動を繰り返し、全国のあらゆるエリアで活用できるようにしていきたいですね」
広がるBizMINTの可能性。行政と民間にまたがって便利なソリューションを提供するために
2023年12月には自身も引越しを経験したという中村。BizMINTを用いた引越しワンストップサービスの利便性について、実体験にもとづいて語ります。
「サービスのことを詳しく知らない家族に操作してもらって、引越しポータルサイトから自治体への届出を行いました。役所に足を運ぶ必要もなく、これまでと比較してかなり簡単に手続きが行えたと感じています。
今後、民間の受け手事業者さまにも多く導入していただき、電気ガスなどの手続きもまとめて行えるようになると、引越し手続きがさらに楽になると確信しています」
またこのサービスの魅力が多くの方に伝わっている実感があると語ります。
「私は引越しワンストップサービスの広報PRの窓口として、実証実験やサービス開始のタイミングでプレスリリースなどの対外発信を行ってきました。プレスリリースを見た社内の方々から『見たよ』『形になってよかったね』と声をかけてもらえることも多く、うれしい限りです。また、窓口として事業者さまからのお問い合わせをいただけることも少なくありません」
利用者、そして事業者の期待とともに全国へ広がっていくことが期待されるこのサービス。「引越し」というユースケースに注力した後の展望についても、中村は思い描きます。
「今回の取り組みをきっかけにつながった事業者さまたちと、BizMINTを用いた新たなサービスを創造していきたいですね。たとえば、人が亡くなった時の手続きや子育て・医療に関する手続きなど、行政と民間にまたがる煩雑な手続きをワンストップで行えるようにし、生活者の方にとっても身近な『官民連携』の一例になっていけたらと思っています。
そのほか、行政の持っている納税情報、検診情報などのパーソナルデータを本人の同意のもと、民間企業に連携・活用していただくことも検討しています」
パーソナルデータを本人の同意のもと的確な受け手へと流通できるBizMINT。今後も幅広い場面で活用が期待されています。
※ 記載内容は2024年3月時点のものです
