スマートスピーカーに声をかけるだけ。シニアの使いやすさにこだわった「ボイスタ!」
サステナビリティ経営に取り組むNTTデータでは、取り組むべき優先テーマを9つ設定。そのうち、誰もが等しくアクセスできるサービスを示す「Digital Accessibility」と地域などの課題やニーズを理解し暮らしを豊かにするサービスを示す「Community Engagement」を体現しているのが、スマートスピーカーを使った、シニアと社会をつなぐプラットフォーム「ボイスタ!」です。部長の村木はこう語ります。
村木:「ボイスタ!」はAmazon社のパーソナルAIアシスタント「Alexa」を活用したシニアと社会をつなぐプラットフォームです。現在は高齢者施設や自治体を対象に導入いただき、利用者となるシニアの皆さまにご活用いただいています。たとえば、職員の訪問日や施設のスケジュールなどを音声によってお知らせしたり、声で話しかけるだけで欲しい情報を入手できたりするほか、画面付きのスマートスピーカーに向かって「電話をかけて」と話しかけるだけで家族や職員とのビデオ通話を楽しめます。
今の時代はさまざまなオンラインサービスが用意されており、スマートフォンやパソコンなどのデジタルデバイスを扱える人にとっては、便利で豊かな生活を送れる環境であるといえます。一方でシニアの方々の中には、小さな画面の文字が見えづらい、タッチでの文字入力操作が難しいなどの理由で、デジタルデバイスを使いこなし、便利なサービスにアクセスすることが難しい方も少なくありません。
そこで私たちは“音声での操作”に着目し、スマートスピーカーを使ったサービス「ボイスタ!」を開発しました。実際にシニアの方々に使ってもらうことによって、デジタルの便利さを理解していただこうと思ったんです。現在は12人ほどのチームで開発に取り組んでいます。
日頃はBtoBのサービスを提供することが圧倒的に多いNTTデータ。「ボイスタ!」はBtoBtoCのサービスであり、直接エンドユーザーであるシニアの声が届くところが特徴的だと言います。
米澤:私は営業担当として高齢者施設や自治体など、当事業部がこれまであまり関わってこなかった業界の方に対して新しいサービスのご案内・ご提供をしています。お客さまの新規開拓はもちろんですが、既存のエンドユーザーの声を聞き、今あるサービスをより良くしていくのも大きな仕事の1つです。
山本:私は開発担当としてUI/UXなどを考え、形にしています。まったく新しいサービスなので、施設などに実際足を運びお客さまへ商品の紹介をしたり、エンドユーザーの声に耳を傾けたりすることも多くあります。ゼロから新しいものを作るこのプロジェクトに関われることに喜びを感じています。
それぞれの思いを胸にしんきん事業部へ。コロナ禍も乗り越えて開発に取り組む
さまざまな歩みを経てしんきん事業部へと集った3人。これまでの歩みを振り返ります。
村木:ものづくりをしたいという思いで入社し、初めはしんきん事業部の屋台骨であるバンキングのシステム開発を10年ほど経験しました。育児休暇を経て任されたのが事業部の営業を支える裏方業務。会計などの基本的な知識を学び、事業部の組織運営に従事してきました。その後、より外の世界を見てみたいと思い、現在のプロジェクトに加入。システム開発や組織運営など、これまでの経験がすべて役立っていると感じますね。
米澤:私はもともと別の会社で医薬品の営業を経験した後、シニア向けサプリメントの開発に携わり、そこでBtoCの営業を経験。病気の方が使う医薬品、健康意識の高い未病の方が使うサプリメントと、一貫してヘルスケアに携わってきた経験から、健康課題を解決するためには価値のある情報をすべての世代の方に届けられるプラットフォームを作ることが大切だと感じていました。そこで「ボイスタ!」の開発に携わるために2022年にNTTデータへの転職を決意しました。
山本:私は2022年に新卒でNTTデータへ入社。幼いころからロボットが活躍するアニメを見て「こんな世界になったらいいな」と思っていたので、IT技術を用いて少しでもそれに近いものを実現したいと思っていました。「ボイスタ!」はいわば、ロボットと会話ができるデバイス。自分の夢に一歩近づいたような気持ちがしてうれしいですね。
入社時期の近い米澤と山本は、入社直後コロナ禍による出社制限も経験しますが、社内用SNSも活用するなど、工夫しながら徐々に打ち解けていったと語ります。
山本:入社当初は出社ができず、コミュニケーションが取りにくいと感じることもありました。しかし当社は社内SNSの活動が盛んなので、こまめに返答するなど工夫をして乗り越えました。当社の先輩方は皆人柄がよくフレンドリー。部下にも誠実に向き合ってくれる方が多いので、安心して業務に取り組めました。
米澤:当社は経験者採用を活発化させたのが2019年ごろということもあり、まだまだ経験者採用の社員が少ないイメージ。初めは、同じ経験者採用の仲間や同世代の方を探すのにも苦労しましたが、上司が引き合わせてくれるなど、徐々に交流の輪が広がっていきました。SNSのコミュニティも盛んに利用されていて、社内のサークルもありますし、幅広い交流を楽しんでいます。
さまざまなステークホルダーと協力しながら作り上げた「ボイスタ!」
「ボイスタ!」開発の発端は2018年ごろまで遡ります。しんきん事業部内で既存のシステム開発のみならず、新しいサービスを自分たちで作っていこうという取り組みが行われたことがきっかけです。
村木:新しいサービスを作り出せる人財を育てたいという意図で2年ほど研修を受けながらさまざまな取り組みをしていました。そのうちに、信用金庫のお客さまの約60%がシニアであることから「シニア向けのサービスを作るのがよいのではないか」と考え、実際に企画されたのが2020年ごろです。
プロジェクトの完成までにはさまざまな出会いがあったと語る3人。
村木:まず大きかったのが三井物産の社内ベンチャーとの出会いですね。スマートスピーカー発売当初から“音声操作”に着目し、シニア向けのスマートスピーカーを用いたサービスを展開していましたが、訳あってそのプロジェクトが途中で頓挫してしまうことに。そこで力を借りながら、当社で事業・人財を継承することとなりました。すでにシニアに関するさまざまな知見が貯まっていたので、その後の企画に大いに役立ちました。
Amazonとの出会いも大きかったですね。実は初期段階では別のスマートスピーカーを活用する予定だったのですが、メーカーの仕様変更で使えなくなってしまい、プロジェクトそのものが存続の危機に。そんな時、AmazonがBtoB向けのサービスを日本で展開するため、「ソリューションベンダーにならないか」と声をかけてくださったんです。
山本:スマートスピーカーの種類が変わった際は英語のドキュメントを読みながら、開発手段を検証するのは大変でした。しかし、日本未上陸の機能を自分で開発できたことは良い経験になりました。また、BtoB向けのサービスが本当に日本でも受け入れられるのか分からなかったため、実際に利用されるユーザーさまの意見を伺いながら、使いやすいサービスになるように工夫しました。
米澤:私は「ボイスタ!」を広めるためにジョインしたので、存続の危機を脱した時はホッとしました。また、第一弾として「ボイスタ!」の導入を決めてくださったニチイケアパレスさまとの出会いも重要です。当社としては日頃関わりの少ない業界の方々と知り合うことができ、少しずつ信頼関係を育みながら、協力体制を築くことができました。開発メンバーと共に現場に足しげく通い、リアルな意見をいただけたことで、より使いやすいサービスになったと感じています。
シニアもデジタルを活用できる社会。「ボイスタ!」をより広く届けるために
こうして2023年12月にリリースした「ボイスタ!」。自身の想いや周囲の反応についてこう語ります。
山本:私にとって入社後初のプロジェクトが無事に形になり、すごくうれしかったです。BtoBのサービスをメインで扱う当社にしては珍しく、テレビでも紹介されたので、家族や同僚からも驚かれましたね。
米澤:一度は崩壊の危機に陥ったサービスを晴れて皆さまに届けることができ、達成感がありました。リリース後、社外からお問い合わせをいただくことはもちろん、社内でも「あの『ボイスタ!』ね!」と認知されているのが誇らしいです。
現在は高齢者施設や自治体をお客さまとして、入居者や地域の方に利用されていますが、ゆくゆくはより幅広く展開していきたいと意気込みます。
村木:シニアの中でも特に生活にお困りなのは在宅独居の方。今後は施設や自治体での実績をもとに、なんらかの形で在宅独居のシニアの方々にも「ボイスタ!」を届けていきたいです。たとえば金融機関を介してシニアの方々へ届けるなど、しんきん事業部らしい動きもできたらうれしいですね。
今後も利用者目線で新たなサービスを作っていきたいと語る3人。今後の展望について語ります。
山本:開発に携わっていると、つい開発者目線でものを見てしまうことも少なくありません。しかし、私は常にエンドユーザー目線でものづくりに取り組んでいきたいです。
米澤:今後もさまざまな角度からサービスを提供していけるよう、複数の視点で物事を考えることを意識したいですね。お客さまの立場はもちろんのこと、異なる業界から経験者採用で入社した身として新しい視点で物事を発信し、周囲と良い化学反応を起こしていきたいです。
村木:まずは「ボイスタ!」をより多くの方に届ける取り組みをしていきたいですね。冒頭でお話ししたように、シニアの方の中にはデジタルデバイスを利用することができない方も少なくありません。しかし、オンラインサービスがこれだけ多く利用されている中でシニアの方々だけを置き去りにしてしまうのはあまりに残念なこと。「ボイスタ!」をファーストステップに、多くのシニアの方がデジタルを活用した便利な暮らしを送れるようサポートしていきたいです。
開発者の想いが詰まった「ボイスタ!」。これからも多くのシニアの生活に役立つことでしょう。
※ 記載内容は2024年3月時点のものです
