「多摩区ソーシャルデザインセンター」との出会い
角谷が多摩SDCと出会ったのは2022年のこと。社会課題の解決に向けたサービスデザインを担当していた角谷は、日頃から「ソーシャル」「デザイン」について情報収集をしていました。そしてある日、自分の居住エリアに、多摩区ソーシャルデザインセンター(多摩SDC)が存在することを知りました。
多摩SDCは川崎市市民創発による「暮らしやすい地域づくり」の提言に沿って、2020年9月に設立されました。「まちのひろば」「中間支援」「市民創発」の3つを柱に、学生代表の下、若いメンバーが中心となり、こども食堂や地域の運動会、学習塾などさまざまな活動を行っています。
「多摩SDCの存在を知ってから、ずっと気になっていました。多摩SDCが設立3年目を迎え、活動評価の報告書が作成されたと聞き、閲覧するために区役所へ行きました。
学生が賑やかに活動している様子が素晴らしく、この報告書をもって活動がクローズしてほしくないと思いました。ネクストキャリアとして、居住エリアにおける自分の居場所として、多摩SDCに関わりたいと思ったんです」
こうして学生のメンバーが多い中、50代後半の角谷は多摩SDCのメンバーとして活動を始めました。学生たちの悩みに寄り添い、そして、学生たちと互いに学び合っています。
活動していたからこそ得られた喜びがある
多摩SDCの活動で、学生のサポートを中心に行っている角谷。学生たちが、学生らしく自由闊達に活動していますが、時々、「大人の対応」が必要になることがあります。そんなとき、角谷の経験や知識が役に立つようです。たとえば、メールの書き方や、スケジュール管理の方法などです。さらに、角谷自身の活動もあります。
「数少ない現役会社員のメンバーの中で、若者だけでも大人だけでもない多世代のコミュニティを作りたいという話になり、カラフルカフェというコミュニティの立上げに参加しました。月1くらいで集まり、毎回いろいろなテーマで対話やワークを楽しんでいます」
活動は夜や週末に行われており、仕事と折り合いをつけながら参加しているそうです。また、角谷には多摩SDCの活動の一環で嬉しかったことがあります。
「多摩SDCの活動の一環として、地域の商店街の会長から、町の歴史についてお聴きする勉強会に出席しました。その後、地域のイベントに参加した時、その会長から、『この間お会いしましたよね』と声をかけていただきました。地域に暮らしている実感を持て、なんだかとても素直に嬉しかったです」
自分も相手もハッピーになる付き合い方
角谷は多摩SDCの学生たちと活動する中で、会社とは異なる学びを得たと言います。
「多摩SDCでは会社と同じような気持ちで発言したり、行動したりしてはダメだと思いました。学生メンバーが、それぞれの活動を進めている中、会社での仕事の仕方をアドバイスしたくなる瞬間が時々あります。
しかし、学生たちの活動の動機はさまざまです。合理性や経済性の観点で、つい助言したくなることがありますが、学生たち個々人の気持ちや状況を考えて、内容や伝え方を工夫することが必要だということを実感しました」
その気づきが、会社での若手社員への接し方にも良い影響を与えていると、角谷は話します。
「フラットな関係で一緒にやるという意識を持つことが大事だと感じています。教えてあげる、提供してあげるという感覚だとうまくいかない。何事も一緒に作り、一緒に楽しむというのが、持続可能性をより高めるんじゃないかと漠然と思っています」
角谷は、学生から率直な質問を受けたり、飲み会に誘われたりするなど、さまざまな交流を楽しんでいます。
楽ではないけど、やるからには楽しく仕事しよう
多摩SDCの活動を通して、取り組んでみたい課題が見えてきたという角谷。今後の展望について、このように語ります。
「多摩SDCの学生と企業をもっと結び付けたいと考えています。たとえば学生たちは、就職活動で多摩SDCの経験をアピールしているようですし、私としても価値のある活動をしていると思いますが、それぞれ個人でのアピールに留まっています。
私は多摩SDCの学生と彼らの活動を、いろいろな会社に紹介したいと考えています。社会課題への取り組みは企業の重要なテーマになっていると思います。それを学生時代に本気で取り組んでいるのが多摩SDCの学生たちだと思うんです。
また、若手の研修に苦労している企業は少なくないと思います。そのような企業から、若手社員を多摩SDCの活動に『逆インターン』として参加させていただいたら、プロジェクトの企画・実行の実地訓練ができるとも思います。多摩SDCの数少ない中高年の会社員メンバーとそんな夢を語り合っています」
最後に仕事への向き合い方を模索している人に向けて、角谷は自身の考えを話します。
「『楽ではないけど楽しく仕事をする』というのが、私のモットーです。30代の頃に読んだ本に『態度は選べる』という言葉が書いてありました。この言葉を意識して仕事に取り組んでいます。
つらそうにするのも、楽しそうにするのも、結局自分が選んでいるということです。毎日徹底できているわけではありませんが、どうせやるからには楽しそうに仕事をしたいと思っています」
※ 記載内容は2025年2月時点のものです
