品質管理から微生物研究、そしてシステム導入へ──「まずはやってみる」精神で挑戦を
大学時代は農学部で学びながら、スキーサークルに所属していました。長野県出身で、小学生の頃からスキーに親しんでいたこともあり、大学でもその腕を磨くことに力を入れていました。動物や食べ物への関心から農学部を選びましたが、医療従事者の多い家庭環境の影響で医学部も検討したほど、理系分野への興味は強かったです。
就職活動では、食品・飲料メーカーを中心に志望。作ることや食べることへの関心から、実際に店頭に並ぶ商品を自分で作れたら、という思いがあったためです。日清フーズ(現・日清製粉ウェルナ)を選んだ理由は、「日清 フラワー」の小麦粉や「マ・マー」のパスタなど、家庭でもよく使用する身近な製品を扱う企業だったことが大きな決め手となりました。
2007年に入社後、品質管理課に配属され、主に原料管理を担当し、パスタソースや冷食の原料、調味料など、2,000種類以上の原料のモニタリングや品質確認を担当しました。
当時の管理業務はすべて紙ベース、もしくは個別のExcelファイルで行われており、情報の連動性や一元管理ができていない状態でした。それにより、部署間で同じ情報を何度も入力する必要があるなど、業務効率や正確性、セキュリティ面に大きな課題がありました。原料に問題が発生した際も、該当する配合を一つずつ手作業で確認する必要があり、迅速な対応が困難でした。
「このままではいけない」と感じ、社内でプロジェクトを立ち上げ、原料・配合管理システム「eBase」の導入に挑戦。まずは原料データベースを構築し、次に配合データベースを整備することで、情報の一元管理と連携を実現。その結果、業務効率と品質管理の精度が大きく向上しました。
その後、日清製粉グループ本社に出向し、微生物制御研究室に異動となりました。微生物研究はまったくの未経験で、正直なところ不安もありました。しかし、「まずはやってみよう」という気持ちを大切にし、基礎から学び直すことに決めました。パスタソースやチルド製品の微生物制御設計を構築するための摂取試験など、地道な基礎研究に取り組む中で、少しずつ知識と経験を積み重ねていきました。
この経験は、現在の工場とのやり取りや問い合わせ対応においても大きな力となっています。未経験だからこそ得られた視点や、学びながら築いた知識が、現場との信頼関係や実務対応に活きていると感じています。
2012年に出向帰任し、生産部に異動してからは、品質管理業務と並行して新しいシステムへの切り替えに携わることに。2014年には食品業界向け品質情報管理システム「MerQurius(メルクリウス)」の導入準備を開始しました。メルクリウスは、原料や包材の品質情報を一元管理して食品表示作成や配合計算の支援から、法規対応や業務効率化を図り、安心・安全な商品開発を実現するクラウド対応のソリューションです。一つの原料を採用するためには原料の詳細の情報が載っている規格書が必要となり、まず約2,000種の原料の規格書をすべてメルクリウスのシステムを使って集めるところから始めました。
いよいよ2018年にはメルクリウス導入プロジェクトチームが立ち上がり、私は唯一の専任担当者としてプロジェクトを牽引しました。導入から関わっていたことから、「メルクリウスなら、南澤」と言われるほどになりました。
社長の承認のもと、効率化と情報の一元管理をめざし、システム会社との打ち合わせを重ねながらメルクリウスの導入を部署横断で進めていきました。各部署の業務内容を詳しく把握する必要があり、多くの担当者とコミュニケーションを取りながら情報を収集。人と関わることが好きだったこともあり、多くの人と協力しながら進められたこのプロジェクトは、私にとって大きな成長の機会となりました。
これまでのキャリアにおいて、いくつも挑戦をしてきました。そのたびに私が大切にしてきたことは、最初から「できない」と断るのではなく、「まずはやってみる」こと。人数が限られている中で、自分が主体的に取り組まなければ物事が進まない状況で、能動的に動き、信念を持って取り組むことを重視しました。
これからも、未知の領域に対しても臆することなく、「まずはやってみる」姿勢を大切にしながら、現場の声に耳を傾け、より良い仕組みづくりに挑戦していきたいと思っています。
「使いやすくなった!」の声が力に。終わりなき改善への道
現在、私は日清製粉ウェルナ生産本部生産統括部品質管理グループに所属しており、この部署は大きく3つのグループで構成されています。1つめはお客さま相談室に寄せられる問い合わせに対応するチーム、2つめは製品出荷前の分析や確認を行う検査チーム、そして3つめが私の所属する提出書類チームで、システムの運用管理や顧客に提出するカルテ作成を行っています。
私は提出書類チームのリーダーとして、各カテゴリーの日々の受付業務の取りまとめや、業務量が多い際のフォロー、判断に迷うケースでの方向性の提示などを担当。また、営業部門とのやり取りが発生する際の対応も行っています。
また本格稼働を開始した「メルクリウス」の運用管理も重要な業務の一つ。導入当初は紙文化からシステムへの移行に戸惑う方も多く、とくに年配の方々からは抵抗感もありました。そこで、必要な会議資料はメルクリウスからの出力に限定するなど、システム利用を必須とする仕組みを設けることで、徐々に浸透を図っていきました。
2019年のコロナ禍での在宅勤務により、システムを通じた情報のやり取りが必然的に定着し、現在では「メル」と、愛称で呼ばれるほど組織に浸透しています。導入から3年ほどは使用方法の説明や改善要望への対応に注力しましたが、今では情報がシステムに集約される仕組みが整っています。
また、お客さまへ提出する製品仕様書である「カルテ」についても、各カテゴリーで異なっていた作成方法や運用ルールの統一化を進めており、メルクリウスの情報を基にした標準化を推進しています。
仕事を進める上で大切にしているのは、相手の立場に立って考えること。営業部門は取引先からの対応に追われ、生産部門は製品安全に重点を置くなど、立場によって優先順位は異なります。そのため、相手が今どういう状況にあって、どのような情報を必要としているのかを常に考えながら対応するように心がけています。
システム管理の責任者として、終わりのない改善活動に取り組む日々ですが、改善を行うとすぐに結果が見え、ユーザーから使いやすくなったという声が直接聞けることが励みになっています。立ち上げから私一人で対応してきた部分も多かったため、誰でも実行できる形に整備し、新たなシステム化にも取り組んでいきたいと考えています。
「100%をめざさない」──完璧を求めず、育児しながら働き続けるための選択
2017年と2019年の2回、産休・育休制度を利用しました。仕事を辞めるという選択肢はなく、仕事は仕事、子育ては子育てと、明確に分けて、両方とも大切にしたいという思いがありました。子育てだけでなく、さまざまな経験ができる仕事の世界も持っていたいと考えたんです。
育休から復帰後は、時間の制約ができたため、定時できっぱりと仕事を終えて子どもを迎えに行く必要が出てきました。そのため、限られた時間内でいかに効率的に仕事を進めるかを以前よりも強く意識するようになりました。
仕事と育児の両立でとくに心がけているのは、「100%をめざさない」ということ。仕事面でも育児面でも完璧を求めすぎると精神的に追い詰められてしまうため、たとえば、体調が優れない時はお母さん業をほどほどに休むなど、家族には「“8割母さん”でお願いします」と、完璧にはできないことを宣言しています(笑)。
子どもが急に体調を崩した際は、現在の業務が在宅でも対応可能なため、在宅勤務制度を活用しながら業務にあたります。とくにメルクリウスの導入により、自宅からもシステムにアクセスできるようになり、業務の継続が容易になりました。子育て中の社員にとって、このように柔軟な働き方ができる制度や環境があることが、継続就業のポイントになっています。
一方で、育休を取得して一時的に業務から離れることで、継続して働いてきた社員との違いを実感することもありました。ブランクにより取り残されたような不安を感じることがありましたが、当社には育児中の社員同士の交流を促進する制度があり、同じ立場の方々とグループチャットで日々の悩みや管理職としての働き方の課題などについて意見交換をし、お互いに支え合いながら不安を解消しています。
育児と仕事を両立する上で、自分らしく働ける環境があることはとても心強いです。柔軟な制度や周囲の理解、そして同じ立場の仲間とのつながりがあるこの会社だからこそ、育児をしながらも安心して働き続けることができています。
幅広いフィールドが広がる食品化学系。得意分野に特化することもでき、適材適所で活躍
現在、戦略的な人材活用が求められる状況を踏まえ、AIやRPA(Robotic Process Automation)の導入も視野に入れ、人的リソースをより重要な業務に振り向けられるようにしたいと思っています。また、直近の目標としては、営業担当者がより早く資料をお客さまに提出できるよう、カルテの提出運用の整備を進めたいです。
さらに、現在Excelで管理されているコスト関連の業務をメルクリウスに統合することも計画。各グループが個別に管理している状況から、一元管理による効率化をめざしています。
そして、メルクリウスに集まった大量の情報を今後、業務効率化にどう活用していくかが、次のフェーズであり、これから取り組むべき大きな課題となっています。
仕事をする上で大切なのは、自分で進められる部分を見つけ、取り組んでいくこと。私の場合、メルクリウスの運用や改善に努めることで、実際に業務の効率化という形で成果が表れています。
また営業担当者が受注のためにカルテを必要とする際、急ぎの依頼にも対応し、その結果として成果に結びついた時は大きな達成感がありますね。われわれの部署は直接お客さまと対話はしませんが、作成するカルテが営業活動に貢献できるように、日々の小さな達成感の積み重ねが、仕事を続けていく原動力になっています。
食品化学系の仕事の魅力は、その幅広さ。工場での製造から、開発、品質管理、表示作成まで、製品が完成するまでのさまざまなプロセスに携わることができます。部署異動によって多くの経験を積むことができますし、一方で、私のように一つの分野に特化してキャリアを築くこともできます。
当初私は開発職を希望していましたが、原料管理や開発・生産グループをフォローする現在の立場の方が自分に合っていると感じていて。相手の困りごとを理解し、解決していく過程にやりがいを見出しています。一人ひとり、それぞれの適性を見て、会社は配置を考えてくれていると感じます。
最後に、当社に興味を持たれている方へお伝えしたいのは、さまざまな経験が業務に活きるということ。
当社の製品は子どもたちが口にするものが多く、母親としての視点も重要だと感じています。男性・女性の視点だけでなく、子育てなどさまざまな経験を製品開発などの業務に活かしていけます。
ライフステージの変化に関する会社の支援体制も時代の変化とともに柔軟に変わっています。実際に育休を取得した経験から、周りの反応は思っているよりもずっと温かく、「おめでとう」という祝福の言葉をかけてくれます。自分が休むことで迷惑をかけるのではないかと心配する方が多いですが、それは本人が思っている以上に周りは気にしていません。むしろ堂々と育休を取得することをお勧めします。
自分の得意分野を活かしながら、挑戦を重ねて成長できる環境が整っていること、そしてライフステージの変化にも柔軟に対応できる制度があることは、当社の大きな魅力です。興味を持っていただけた方にはぜひ応募していただきたいです。
※ 記載内容は2025年8月時点のものです

