ステークホルダーと共に、食文化を創る時代へ──“共創”と“触発”で未来をひらく挑戦
2025年5月に水島工場の竣工を迎えた当社は、IoT・AI・ロボットなどを取り入れたスマートファクトリー構想を本格化させ、「食文化創発カンパニー」という新たな事業コンセプトを打ち出しました。「その想いに、小麦粉でこたえたい」というスローガンを掲げ、単純に小麦粉を製造・供給するだけでなく、小麦粉を通して社会や企業、そして生活者が求める“食の未来”を共に創り、食文化をもっと豊かにしていくことをめざしています。
製粉事業の魅力は、人間の生活になくてはならないものの中でも、小麦粉が持つ変幻自在な特性にあると考えています。小麦粉はパンや麺、お菓子、カレー、さらにはビールづくりまで、姿を変えて幅広い食品に変化する「変幻自在な素材」です。だからこそ、日本の食文化に深く貢献しており、社会の食生活の基盤を支える存在でもあります。
製粉事業は、非常に多くのステークホルダーと関わっています。パン・麺・菓子メーカーといった食品メーカーとの共同開発、物流事業者との連携、グループ会社との協働、行政機関との調整、そして国内外の生産者の支え。本当にたくさんの方々が製粉事業に関わり、私たちの食卓を支えているのです。こうした数多くのプレイヤーと共に価値をつくっていく“共創”の文化こそが、この仕事のおもしろさです。
さらに、当社は高いシェアを背景に、業界全体への影響力が大きい点が特徴です。過去には冷凍麺、ナポリピッツァ、つけ麺といったメニューが当社の取り組みをきっかけに広まりました。業界の「トレンド」を生み出してきた歴史を持つ当社だからこそ、新しい食文化を形にできる可能性が無限に広がっています。
今回発表した新コンセプトは、経営トップが中心となって約1年かけて準備してきたもので、コンセプトを打ち出した背景には時代の変化があります。過去、私たちは食品業界におけるリーディングカンパニーという位置づけでしたが、情報が変化し続ける現代では、一社が業界をリードするだけの時代ではなくなりました。
そのため、お客さまやステークホルダーの方々と一緒に未来を描いていくことが今求められているのだと思います。「創発」という言葉には、新たな価値を共に作る「共創」や、相手を動機づけして新しいことをやっていく「触発」という意味が込められています。当社が掲げる「その想いに、小麦粉でこたえたい」というメッセージには、こうした「創発」の姿勢が込められています。
小麦粉という素材を通じて、お客さまやパートナーと共に食文化をより豊かにしていく。それが私たちの使命であり、新しい価値を提供し続けていきたいと思っています。
苦労の3年間がつながる瞬間──「点と点をつなぐ力」で切り開いてきたキャリア
学生時代は法学部で学び、家族が公務員だったこともあって公務員を志していました。進路を考える中で、アルバイト先の焼肉店で接客の楽しさを知り、“食を通じて人とつながる仕事”に魅力を感じ、縁の下の力持ちとして社会を下支えするような仕事に惹かれるようになったのです。就職活動を通して出会った日清製粉グループでは、面談で会った社員の誠実さや、携われる仕事の幅広さに惹かれ、2008年に新卒で入社しました。
岡山工場および中四国営業部で1年間の新入社員研修を終えた後、2年目から名古屋営業部に配属されました。中小企業の経営者や役員と直接商談する機会も多く、若手としては大きな挑戦が続きました。前任者との比較で評価されることもあり、厳しい環境に苦しんだ時期もありました。しかし、その経験が基礎力を磨く大きなきっかけとなり、徐々にお客さまから信頼される場面が増え、仕事への自信が芽生えてきたのを思い出します。
当社には定期的に面談を行う制度があり、そこで自分のキャリアについて考える機会が設けられています。2015年、28歳の時に、私は新しい環境に身を置きたいという意思を伝えました。現場営業の中でも少し毛色が違うコンビニを相手にした広域営業部に挑戦したいと希望し、異動となりました。
環境が変わり、これまでのやり方が通用しない局面も多く、再び壁にぶつかりました。それでも、諦めずにやり続けることが私のモットーです。先輩方のやり方を観察しながら自分なりにアレンジして改善を続けると、異動して3~4年が経った頃にようやく変化が現れました。少しずつではありますが、自分なりの成果が生まれてくるようになったのです。
「点と点がつながる瞬間が必ず来る」
振り返ってみると、新天地ではじめは苦労するものの、後半はそれが時間を掛けて実を結ぶという流れがあるように感じます。だからこそ、どんなに困難な状況でも、信じてやり続けることの大切さを学びました。うまくいかない時期があっても、諦めずに努力を続けることで、これまで積み重ねてきた点と点がつながり、大きく成長できる瞬間が必ず訪れると信じています。
部長代理として迎えた新たな試練──前例にとらわれず挑戦し続けられる組織へ
2023年6月、営業本部営業部の部長代理に就任しました。正直に言うと、この役割を任せられるとは思っていませんでした。これまでも新しい部署での最初の3年間はたいへん苦労していたというジンクスもあり、さらにはこの部署のプレイヤーとして実務を経験しないままマネジメントをするということにも不安が募りました。
会社に入って10年以上が経ち、ある程度自分なりに対応するスキルを身に付けたと感じていましたが、実際に着任してみると、「一人の力では成し遂げられない」ということをあらためて実感しました。マネジメントの役割は、これまで以上に周囲との連携が重要であり、業務の幅も一気に広がります。その一方で、“やるべきこと”と“やらなくてもいいこと”を区別する視点が求められるようになりました。
この役割を任せてもらって、日清製粉の事業に対する想いにも変化がありました。当社には、過去の取り組みを大切にする文化と、新しいことに挑戦してきた歴史の両面があります。だからこそ私は、「前例だから続ける」のではなく、「価値があるから続ける」組織へと変えていきたいと考えています。
私が着任してから新しい取り組みもいくつか実行してきました。一つは、部内コミュニケーションを強化するための「営業大会」です。コロナ禍でメンバー同士が互いを理解できる場が減っていた課題に対し、自己紹介シートの共有や交流の機会をつくることで組織の一体感を高めました。
また、育成にも力を入れています。たとえば、30歳前後のメンバーを対象にしたキャリアディスカッションの場を設け、将来に向けた学びや成長を後押ししています。マインド面、スキル面両方とも育てていかないといけないという思いがあり、そういう場作りをすることが大事だと考えて実践しています。
現在、私の席に相談のために自部署のメンバーや他部署の方がたくさん来てくれます。このことは「頼られている」という実感と同時に、「自分も成長し続けなければならない」という強い刺激になっています。
忙しさの中にも、“人と組織が変わっていく手応え”がある。前例に縛られず挑戦できる組織づくりは、今まさに成長途上にあり、やりがいを原動力に自身も成長を続けたいと思います。
食のトレンドをつくる醍醐味──小麦粉で価値を創り続ける仕事
日常的に食べるラーメン、うどん、パンなどはもちろんのこと、世に出てくる新しい食べ物には小麦粉を起点としたものがたくさん存在しています。小麦粉は常に食のトレンドの中心にいる素材なのです。
現在、当社がとくに注力しているのが、高食物繊維小麦粉「アミュリア」を活用した新しい食体験の創出です。健康志向の高まりとともに、食物繊維を日常的に摂取できる「普段使いの食品」へのニーズが増えています。当社としては、この社会的なニーズに対し、原材料メーカーとして何ができるかを考え続けてきました。
高食物繊維小麦粉は、パンや麺、惣菜、冷凍食品など幅広い商品のベースに使える素材です。こうした特性を活かし、企業の社員食堂や産業給食会社との連携、あるいは食品メーカーとの試作・メニューづくりなどを通じて、「高食物繊維をもっと身近にする」取り組みを進めています。素材単体で広めるのではなく、実際の“食べる機会”を増やしていくことが重要だと考えているからです。
高食物繊維小麦粉の普及を実現するには、社内外の多くの部門・パートナーと足並みをそろえながら進めていく必要があります。簡単なことではありませんが、だからこそ “今どこに力を注ぐべきか” を見極め、チーム全体が同じ方向を向ける環境を整えていくことが大切だと感じています。
私が描く理想の会社像は、「チャレンジを心から楽しむことが出来る会社」です。挑戦したいと思える環境があり、社会に貢献している手応えがあること。浮き沈みのある状況の中でも、楽しく乗り越えていける組織にしていきたいと思っています。
最後に、これから当社への入社を考えている方々へお伝えしたいことがあります。営業職に限って言えば、幅広い知識を持つことや多様な経験を積むことが必要になります。しかし何より大切なのは、「こういうことがやりたい」や「できたらいいな」という気持ちを持つことです。がむしゃらに何かやりたいことがある人は魅力的ですし、スキルは後からついてきます。
当社は、挑戦を応援してくれる会社だと自負していますし、小麦粉を通して世の中とつながっている実感があります。小麦粉や食が好きな人、食文化づくりに携わりたい人と、一緒に未来をつくっていきたいと思っています。
※ 記載内容は2025年12月時点のものです

