ルールを深く理解し、誠実に向き合う──お客さま目線で品質を守る
TCSX(トータルカスタマーサティスファクション本部)品質監査室にふたりは所属し、飯泉は生産監査に、魏は法規適合性監査に携わっています。
飯泉:品質監査室は、日産自動車の3層構造の監査体制のうちの第2層に位置し、お客さま目線に立って、法令遵守や品質基準の維持を目的とした監査活動を行っています。中でも私は、溶接・防錆・重保重要の3つの領域の監査を担当し、生産現場での作業が基準書や標準作業書に沿って行われているかを確認しています。
魏:私が担当しているのは、COPおよびRS監査の業務です。COPは「Conformity of Production(生産適合性)」のことで、生産車両が法規に適合しているかどうかを確認します。RSは「Recall Service(リコールサービス)」の略で、リコール対応が適切に実施されているかを監査する業務です。監査の対象は日本国内だけでなく、グローバル全体に及びます。年に数回は海外の生産拠点にも足を運び、プロセスを通じて取得された試験データやアウトプットを詳細に精査しています。
異なる領域で重要な役割を果たす飯泉と魏。日産自動車の品質を守るため、それぞれ大切にしていることがあります。
飯泉:お客さまの目線で判断することを常に心がけています。そのために、私がとくに強く意識しているのが、「なぜそのルールがあるのか」を理解することです。そうすることで仮に問題があった場合でも、「こう改善することができます」と具体的な提案ができるため。どのような問題が発生する可能性があるかを、現場に納得がいくかたちでわかりやすく丁寧に説明することを心がけています。
また、どのような問題が発生する可能性があるかを、現場に納得がいくかたちでわかりやすく丁寧に説明することを心がけています。
魏:私はまず、生産現場で何が起きているか正確に情報を吸い上げ、客観的にインプットすることを重視してきました。円滑なコミュニケーションを図るため、工場の関連部署の担当者と話せる場を積極的に作り、要件やニーズを深く理解することを大切にしています。
また、法規が絡む業務のため、情報をアウトプットする際には、相手に対してだけでなく、自分にも誠実であることを意識しています。データと事実に基づいて、問題点やリスクを明確に示し、正しい情報を伝えることを心がけています。
理想のキャリアを求め、日産自動車へ。ダイバーシティが育む品質への新たな視点
共に2019年に中途入社した飯泉と魏。飯泉は生産現場で、魏は法規適合性と品質保証の分野で経験を積んできました。
飯泉:前職の大手自動車メーカー子会社では、溶接設備の導入計画と設置を担当していました。その後、親会社に出向して板金部品の図面検討に携わり、溶接しやすい設計の形状提案や調整を経験。帰任して数年後に日産自動車に転職しました。
転職を決めたのは、仕事をする中で「何のためにこの作業を行っているのか」という目的への疑問を感じたため。当時は、お客さまからは遠い立場だったため、問題を感じていても解決できないもどかしさがありました。「お客さまのために仕事をしたい」と、強く思うようになりました。
そんなときに出会ったのが、お客さま視点で業務に携われるという日産自動車のトータルカスタマーサティスファクション本部の品質監査室の求人です。これまでの知見を活かして貢献できると感じて応募し、2019年に入社しました。
魏:私はトラックメーカーで海外認証(輸出先の規格や規制への適合性を証明するために必要な認証)を担当していましたが、当局の監査を受ける中で監査の仕事に興味を持ち、中国の監査機関に転職しました。
日本国内の法規適合性監査に携わった後、さらに視野を広げたいと考え、ドイツのサプライヤーに転職。トランスミッションの市場品質保証や新規プロジェクトの立ち上げに携わりました。日産自動車に転職したきっかけは、前職の上司が日産自動車のOBで、多様性を尊重する文化やグローバルなビジネスの可能性があるという話を聞き、魅力を感じて、2019年に入社しました。
ときを同じくして、ふたりは品質監査室へ。そこで待っていたのは、想定以上の環境でした。
魏:品質監査室には、さまざまなバックグラウンドのメンバーが集まっています。想像以上に多様性のある職場に驚きました。また、海外とのやり取りが日常的にあり、グローバルな視点で仕事に携わることができています。現地に赴く機会も多く、非常に学びの多い環境です。
飯泉:魏さんが話したように、品質監査室には互いの意見を尊重し、受け入れる風土があります。お客さまの視点に立つためには、お客さまのために「やるべきこと」「やるべきではないこと」をラベリングする必要がありますが、それに対する理解があり、前向きに議論できる環境は非常に魅力的です。
「何のために」を伝え、対話を重ねて築く信頼関係。ワンチームで品質向上に挑む
監査業務に携わるうえで、ふたりが貫いてきたのが、相手に寄り添う姿勢。その背景には、ものづくりへの強い信念がありました。
魏:監査される側には、「なぜ監査されなければいけないのか」という気持ちを感じる方もいて、ときに否定的な感情を向けられることも少なくありません。ちゃんとやっているか疑われているわけですから、私が監査を受ける立場でも同じ心境になると思います。
そこで、監査後の雑談や休憩時間を使って、率直な意見を聞く場を設けました。それによって互いの理解が深まり、「自分の言い方に問題があった」「もっと客観的なデータを示すべきだった」と、改善点が浮かび上がってきました。
以前は、「こうすれば法規適合性が向上する」と一方的に伝えていましたが、それではなかなか理解してもらえません。そこで、伝えたい内容を文書化し、写真やデータを添えて責任者と再度話し合ったところ、納得していただくことができました。そうやって生産現場とワンチームで改善に取り組むことが、品質を確保し、安全な製品をお客さまに届ける近道だと考えています。
飯泉:生産現場の方は、仕事に対してプライドを持って取り組み、私たちの依頼にも時間を割いて誠実に対応してくれます。
私も魏さんと同様に、相手を正しく理解し、同じ日産自動車の社員として、「どうすればクルマの品質を向上させ、お客さまに満足していただけるか」という視点で考えることが重要だと感じています。
たとえば、塗装工程では新車の生産を開始する前の塗装膜厚の測定ポイントが非常に多く、「なぜこれほど多くの箇所の膜厚を測定する必要があるのか」と尋ねられたことがあります。ルールをつくった方にヒアリングしたところ、車形状・特定の色・部位においては塗装剥がれがおきやすい事があり、新車を出す前に多くのポイントを測定し傾向をつかんでおく事が大事なお客さまの車の塗装剥がれを起こさないために重要だということがわかりました。
そこで、実際に塗装が剥がれた事例を探し出し、測定理由と画像をお見せしたところ、すぐに理解していただきました。ルールには、「何のために」という部分が省略されがちです。そのため、なぜそれを守らなければならないのかが明確でないことがあります。目的をしっかり伝え、製造作業に従事している方に理解をしてもらうことが、私たちの責任だと思っています。
グローバルな視点と多様性が切り開く可能性。チャンスを活かし、さらなる高みへ
今後さらなる活躍が期待されるふたり。明日の品質監査室を担う存在として、めざす姿があります。
魏:監査のグローバル展開に向けて、トレーナーとして国内外の監査員の育成にも取り組んでいます。これまで国内で培った知見や経験を海外にも広げ、より良い製品づくりを支える仕組みを構築していきたいです。とくに現在の教材は文字ばかりで理解しづらいため、写真やイラスト、フローチャートなどを活用して、効率的に知識を伝えられるものにしていきたいと考えています。
さらに、定期的なミーティングを通じてリマインド教育を行い、法規のトレンドなど最新情報を共有する機会も増やしていくつもりです。
飯泉:現在、日産自動車では3層構造の監査体制を取っていますが、これまでの活動の成果もあり、状況は安定してきています。ただ確認作業を増やせば良いというものではありません。今後はより俯瞰的な視点で、監査体制の最適化を図っていきたいと考えています。
また最近、工場の健康状態を評価する役割が新たに加わりました。これは、工場で発生する問題を自ら解決できる仕組みをサポートするもので、他工場の成功事例などを参考に、問題解決のための「処方箋」を提供し、工場の健康状態を維持する活動です。まずは自分が果たすべき役割を深く理解し、関係者と協議しながら方向性を決めていきたいと思っています。
そんな未来を現実のものとするために、中途入社した立場からふたりは次のように語りかけます。
飯泉:日産自動車に入社してまず感じたのは、多様な価値観を認め合う風土が根づいていることです。社員がやりたいことを会社が受け止めてくれる環境が整っており、仮に配属先が自分に合わないと感じた場合でも、社内で新たな挑戦ができるチャンスが広がっています。これは、中途入社の方にとって大きな魅力です。
また、キャリアアップの基準が明確に設定されているなど、どんなキャリア志向の方にも対応できる充実したサポート体制があります。非常に働きやすい環境だと思います。
魏:自動車業界はいま、100年に一度の大変革期を迎えており、私たちの部署に限らず、社内には多くのチャレンジの機会があると感じています。
激しく変化する自動車業界で、さらなる品質向上をめざすふたり。これからもお客さまの快適なカーライフのためワンチームで改善に取り組んでいきます。
※ 記載内容は2024年11月時点のものです
