法規的な要件をチェックし、安心・安全なクルマをお客さまに届ける仕組みを支える
世の中には数多くのクルマが流通していますが、そのすべては法規的な基準を満たした上で、世に出ています。
その“法規的な基準自体を守るためのしくみが機能しているか”を調べて改善していくのが、吉永が所属する品質監査室という部署です。
吉永 「安全性や環境基準など、基本的な品質の確認は工場が担当していますが、その指標自体に間違いがあればなんの意味もなくなってしまいます。工場での確認項目を精査したり、チェック体制を指導したりすることによって、お客さまに安心して乗ってもらえるような自動車を提供するために尽力しています。
グループメンバーは4人ほどですが、扱うクルマはグローバルも含めた日産自動車が販売するすべての車両と、幅広いのが品質監査室の特徴です」
法規的なチェック項目と向き合うという点で、基本的にはデスクワークが多い業務。しかし、ときには工場を視察し、実作業に立ち会うこともあると言います。
吉永 「私たちのグループが担当しているのは『排気ガスの抜き取り試験』です。排気ガスの中にはさまざまな成分が含まれており、それらの成分の一つひとつに対して、細かく測定方法や基準が定められています。
もちろん、ひとつでもオーバーしてしまうと法律違反。クルマの動かし方や環境条件、温度によって数値が変動することもあるので、細心の注意を払いながら丁寧に確認作業を実施しています」
万が一、試験段階で基準をオーバーしてしまった場合、そこには必ずなんらかの原因があります。
測定方法が悪かったのか、条件が悪かったのか、それとも根本的なところに問題があるのか。現場のスタッフと協力しながら、試験の手法について考えていくことも、吉永の業務のひとつです。
吉永 「新しい法規が入れば、現場での測定の仕方も変わります。現場の人とのやりとりも多い仕事です。
現場への伝え方で意識しているのは、一つひとつ伝えること。専門的な内容になることも多く、一度にまとめて伝えては、現場の方の混乱を招いてしまいます。時間をかけて、具体的な変更点や、なぜ変わるのかなどを細かく伝えるようにしています」
エンジン開発を軸に築いたキャリア。異動のきっかけは、自動車業界が変化したこと
幼いころから乗り物に関心を持っていた吉永は、大学を卒業して以来、エンジンの開発に携わってきました。
吉永 「最初に就職した自動車メーカーで担当していたのはレシプロエンジンの実験、中でも音と振動に関する『音振実験』。それを4年ほど経験したのち、2003年に日産自動車に転職しました。
前職と同じくエンジンの音振性能の向上を担うグループに配属となり、約15年間、実験業務と設計業務を往復するような経験をしています。その中では、日産自動車が提携していた海外の自動車メーカーとのプロジェクトにも関わるような機会もありました」
当時は、ディーゼルエンジンを中心に担当していた吉永。しかし2015年ごろから欧州を中心にディーゼルエンジンの生産が縮小し、EV化の流れが加速するように。そうした変化を感じた吉永は、2018年、これまでとは異なる方向へとキャリアの舵を切ります。
その先が、品質保証部門でした。エンジンに携わってきた経験を活かしたいと考え、社内公募に応募。市場品質改善部に異動することとなります。
吉永 「希望していた通り、異動後は国内外を問わずエンジン部品の品質改善を担当しました。開発と品質改善は関わりが深い部門です。市場で品質に問題が発生すれば、課題解決を任されるのは開発部門ですからね。その点、これまでの経験を存分に発揮することができました」
それから現在の品質監査室への異動となったのは、2022年のこと。エンジンの内部構造に精通するメンバーとして、新たな部署へ行くことが決まりました。
吉永 「品質監査室に異動して初めて、法規について勉強しました。原文を理解しなければならない点では、やはり学ぶことばかりですし、大変な面も多いです。
一方で、内容はエンジンにまつわるものですから、エンジン面での開発知識がある私からすると、理解しやすい実感があります。また、開発にいたときに知識として覚えていた基準を、法規を知ることで背景まで理解できるようになったのは、異動したからこそ。
加えて、法規は、気候変動や燃料の問題といったスケールの大きい課題をもとに新たに作られるものでもあります。そうした法規を現場に伝えていくという仕事は、社会貢献に通ずる部分であるとも感じます」
過去の経験を活かしながら新しい部署で奮闘。責任を持つところに、やりがいがある
品質管理室に異動後、新しい業務で苦労しているのは、工場とのコミュニケーションだと言います。
吉永 「品質監査室と工場、お互いの認識を共有することの難しさに直面しました。工場側は、基本的には定型業務を効率的に進めていくことに強みがある一方で、不測の事態が発生したときの柔軟性という面は得意ではない印象です。
そうした中で、私たちが現場から相談を受けたり、改善点を提案するのは、既存のルールで何らかの不具合や変更の必要性が生じたときです。柔軟な対処が求められるため、工場側とのやりとりでは、難しくなることが多いです。
たとえば、相談がたくさん寄せられるのですが、私たちだけで一つひとつすべてに丁寧な対応をすることは不可能です。ときに、現場の判断で動いてもらう必要もあります。そこで今は、お互いの関係性を構築し、それぞれで対応へかかる負荷を低減できるような工夫を続けている最中です」
部署外の人々とコミュニケーションに日々頭を使う吉永。そうした部署外のメンバーとの関係づくりは、過去に経験してきたものでもありました。
吉永 「海外のメーカーと連携していた当時は、別の企業の担当者と会話をし、共通の提案をつくり上げていくことが求められました。当社内では『コラボレーション』という言葉がよく使われるのですが、まさにコラボレーションの練習になったと思います。チーム内外のメンバーと交渉する力は、現在の仕事でも大いに役立っていますね」
法規の知識に加え、現場との柔軟なコミュニケーションが求められる品質監査の仕事。吉永から見て、ここで働くことのやりがいは、どんなところにあるのでしょうか。
吉永 「われわれは、お客さまに渡る商品の品質に責任を持つ部署。そして責任を1人ではなく、部全体で担います。そこに難しさはありますが、同時にやりがいがあります。私自身、長く自動車業界に身を置いて、世の中に影響を与えるさまざまな事件も見てきました。そうした企業ブランド、社会にも直結するような責任が私たちにはあるのです。そもそも問題が起こらないに越したことはありません。
しかし、重大な問題が発生する前に、法規に則って問題点を取り除いておくことは非常に重要です。徹底した品質チェックによって、これからも安心・安全に自動車を利用していただく支えになりたいと考えています」
異動したばかりだからこそ、今後も知識を身につけ、品質監査の業務に活かしていきたい
法規についての理解を深めるため、自動車に関するニュースを敏感にチェックしていると語る吉永。将来についてはこのように考えています。
吉永 「まだ新しい部署に入ったばかりなので、まずは知識を身につけたいです。最終的には、法規について勉強したことを、品質監査の業務に落とし込んでいくことが目標ですね。
また、これからエンジンについての法律が長期スパンで見直される可能性があると言われています。せっかく法規に関わる仕事をしているので、そうした動向にも目を光らせ、しっかりと見届けていきたいと思います」
中途採用で入社しキャリアを重ねてきた吉永。そのキャリアを振り返り、今、日産自動車の魅力をどのように感じているのでしょうか。
吉永 「私が入社したときも、『エンジンの性能をやりたいです』という希望を通してくれたので、社員の意見を汲んでくれる会社だと思っています。また私自身、社内公募を利用して異動しており、キャリアは制度面からも支えてもらえる実感があります」
長年に渡ってエンジンの開発に携わり、現在はプロフェッショナルとして自動車の品質保証に貢献する吉永。最後に、日産自動車への転職を考えている人へ次のメッセージを送ります。
吉永 「たとえばエンジンに関わりたいとか、漠然とでも自動車に関する仕事をしたいと考えている人は、ぜひ当社で挑戦していただければと思います。そして、もしまだやりたいことが見つかっていない人にとっても、入ってからやりたいことを見つけられる職場だと思っています。
私も品質保証に関する仕事には、入社してから挑戦しています。社員一人ひとりの希望を反映してくれるところは、日産自動車のおすすめできるところですね」
品質監査の仕事に携わってからは、まだ1年と少しばかり。吉永は、今後も自らの経験を生かしながら、学び、新しい知識を得て、安心なクルマづくりを支えていきます。自動車業界の変わりゆく未来をその目に映しながら。

