数字に表れない部分を大切に。9店舗を束ねる現場主義のマネジメント
株式会社なの花西日本(以下、なの花西日本)で第4ブロック長を務める田中さん。大阪市北区、西区、兵庫の川西、尼崎など、計9店舗のマネジメントを担当しています。
「ブロック長という立場で、60数名の事業職員の働きやすさを考慮した面談の実施や、日々の売上・予算の進捗確認を行っています。当社は若手でも本人の希望を考慮し、薬局長に就任することがあり、エネルギッシュに目標に向かって進む雰囲気があります」
月の8~9割は店舗応援に入り、残りの1割で店舗のラウンドを実施。各店舗の特長は実にさまざまです。
「中之島の基幹店舗では1日300枚の処方箋を扱うこともあり、患者数も多いです。一方、街中の小規模店舗では、1つのクリニックに対して1薬局が対応する『マンツーマン』形式で、1日30名程度の患者数です。基幹病院では専門的な治療に関する処方内容が多く、より複雑な薬の知識が必要となります」
田中さんは、9店舗を見る中で大切にしているのは、数字だけでは見えない現場の実態を把握することだと言います。
「薬剤師を何人配置するかを考える際には、処方箋枚数を参考にしますが、ただ同じ枚数でも基幹病院とマンツーマンのクリニックでは処方内容が全然違います。
1人で対応するのが難しい場合もあり、それは現場に入らないと理解できません。そういうところは実際に自分で入って確かめて、適正な人数を見極めるようにしています」
さらに、マネジメント業務においてとくに意識しているのが、自ら現場に入り、実際に働いて見せること。
「言葉で伝えることも大切ですが、背中で語るというか。自分が率先して『こうやったらどうか』と声をかけたり、時には何も言わずに見守ったり。
好奇心旺盛なので、現場がどうなっているのか知りたいですし、中に入って一緒に働きながら、目標に到達したい。やっぱり現場が楽しいんですよね(笑)」
小さな薬局での大きな学び。初めて任された薬局長の責任の重み
高校生まで野球に打ち込んでいた田中さん。その後の進路を考える中で、看護師として働く姉の影響から医療業界に興味を持ちはじめました。
「母から医療系の資格を取ったらいいのではないかと言われたことと、もともと製薬会社で新薬を作りたいという思いがあったので、薬学部への進学を決めました」
しかし、薬学部5年生の時に方向転換を迫られます。
「製薬会社で働くには、大学院でさらに学び直す必要があると言われました。6年間を経て、さらに勉強するのは先が長く感じて。5年生の実習期間に臨床現場や薬局での仕事に興味を持つようになりました」
就職活動では、働く環境を重視して企業選びを行いました。
「給与水準や自身の資格を活かせる点を重視し、就職先は薬局に決め活動を進めました。9社ほどの企業説明会に参加し、絞った候補は2社。最終的に決め手となったのは、人事担当者の温かく誠実な対応で、ここで働きたいという気持ちが強まりました」
入社1年目は、わからないことだらけで必死に勉強の日々を送ります。
「最初の配属先では、OJTトレーナーの先輩が付いてくれて、とても気にかけてもらえました。先輩の動きを観察しながら、がむしゃらに勉強していました」
そして入社からわずか1年で、薬局長に抜擢されることになります。
「小規模店舗の薬局長が退職することになり、『やってみないか』と声をかけてもらって。事務スタッフ1名と薬剤師は私だけという小さな店舗でしたが、チャレンジすることが好きだったので、迷わず引き受けました」
薬局長就任後は、それまでとはまったく異なる責任の重さを実感します。
「以前の店舗では他のスタッフに任せられる仕事もありましたが、小規模店舗ではすべて自分でこなさなければなりません。薬の発注から売上管理まで、さまざまな業務を1人で担当することになり、その経験が非常に勉強になりました」
寄り添う姿勢を大切に。皆が長く働けるよう、一人ひとりの想いに耳を傾ける
2023年にブロック長に就任し、田中さんの役割は大きく変化します。
「薬局長として働いていた頃は、自身の店舗にしか目を向けていませんでした。店舗の目標をクリアすれば良かったのです。しかし、ブロック長になってからは、全店舗の目標達成をめざさなければなりません。より広い視点で、状況を把握していく必要性を感じています」
新しい立場で最も重視しているのは、本部と現場をつなぐ架け橋としての役割です。
「会社の意図や指示をしっかりと自分の中に落とし込んだ上で、現場の意見を聞きつつ、どうしていけば良いのかを考えています。双方の意見を取り入れ、咀嚼して現場に伝えることを意識しています」
これまでの印象深い出来事として、中之島店の移転、西区での新しいクリニックの誘致、宝塚での新規出店を挙げます。とくに新規店舗の立ち上げでは、入手困難な医薬品の手配やチームビルディングに注力しました。
「新規店舗では全員がオープニングスタッフになります。当社に新しく入社された方もいれば、他店舗から異動してきた方もいます。新入社員の方は当社の業務の仕方が初めてなので、一緒に教えたり、歩幅を合わせながら準備を進めてきました」
現在は、職員のモチベーション維持にも工夫を凝らしています。
「スタッフの気持ちに寄り添って定期的に話を聞くことで、ガス抜きをし、気分転換や前向きな気持ちになれるよう心がけています。話し方や表情を見ながら、言葉ではこう言っているけど、実は本音は違うのではないかと、注意深く聞くようにしています。1人でも欠けると忙しい店舗では運営が難しくなってしまうので、皆が長く安心して続けられるよう工夫していますね。
また以前は、『ありがとう』という言葉は使っていましたが、『すごいね』『できるようになったね』といった認める言葉はあまり使っていませんでした。
しかし職員のスキルが向上した時などに、そういった励ましの言葉をかけることの大切さを実感。みんながより意欲的に、嬉しそうに仕事に取り組んでくれるようになったので、とくに意識して取り組んでいます」
薬局で患者さまに「元気を与えたい」──感謝の言葉がやりがいにつながる
第4ブロック長として、田中さんは今後どのような存在になっていきたいのか。その想いを語ります。
「本部の指示や現場の意見を汲み取って、すべての職員に働きやすい職場だと感じてもらえるように、そういう手助けというか橋渡しのような存在になりたい。会社の意図や指示をしっかり自分の中に落とし込んだ上で、現場の意見を聞きつつ、どうしていけばいいのかを考えています」
本部と現場をつなぐ「橋渡しのような存在」をめざす田中さん。仕事のやりがいについても語ります。
「私自身、入社後から、不安な気持ちで病気に関わる患者さんに対して、薬局では『元気を与えたい』『笑顔になってもらいたい』という想いを持っていました。ですから、患者さまから感謝の言葉をいただけた際にはすごくやりがいを感じます」
そして今、新しい仲間にも期待を寄せています。
「社内の風通しの良さ、上下関係が良い意味で近いというのが当社の特長。萎縮せずに仕事ができる環境があります。また、ステップアップしたい人にとって、やる気があれば薬局長やブロック長になれる機会があり、頑張りたい人には非常に向いている職場だと思います」
実際に田中さん自身、入社2年目で薬局長に抜擢されるなど、個人の働きぶりを評価し、チャンスを与える文化が根付いています。
「やる気があれば本当にどんどんやらせてくれる環境に恵まれています。ただし、無理強いはしません。まだ難しいという人に任せることはありませんよ」
一人ひとりのペースに合わせながら、成長を支援する。そんな風土の中で、田中さんは次世代を担う仲間の成長をサポートし続けています。
※ 記載内容は2025年6月時点のものです

