幼少期に芽生えた国際協力の情熱。ビジネスでアフリカに貢献する環境を求め三井物産へ
ナイジェリア人の父と日本人の母のもと、日本で生まれ育ったワンバ。幼少期の経験が、ビジネスの観点からアフリカの人々の選択肢や機会を拡げ、豊かな暮らしの実現に貢献したいと志す原点になりました。
「小さいころから長期休暇を利用してナイジェリアと日本を行き来する中で、世界には学校に行きたくても行けない同年代の子がいること、生まれた国によって育つ環境や与えられる選択肢が異なることに子どもながらに疑問を感じていました。
両国のギャップに戸惑うそんな私を見た母が買い与えてくれたのが、マザーテレサやナイチンゲールといった、人々のために活動してきた偉人の伝記です。小学校を卒業するころには、アフリカにルーツを持つ一人として、アフリカの人々の力になりたいと考えるようになりました」
中学、高校とその想いを温め続け、ワンバが大学で専攻したのはアフリカ開発論。在学中には、アフリカに渡ってNGOの活動に参加しました。
「奨学金制度を利用して、ケニア、ウガンダ、ルワンダ、タンザニアの4カ国に約2カ月間滞在し、ウガンダではHIV陽性のシングルマザーとその家族を支援するNGOでボランティア活動を行いました。
NGOのメンバーと交流し、支援を受けて笑顔を見せる現地の人々の姿を目の当たりにしたことで、アフリカと日本の懸け橋となり、自分が恵まれた環境で経験したことや学んだことを活かしてアフリカに貢献したいとあらためて強く考えるようになりました」
帰国後、そのNGOのスタッフから、コロナ禍で資金不足に陥り十分な支援活動ができなくなっていることを知らされたワンバ。そこで彼女が思い立ったのが、クラウドファンディングでした。
「当時NGOが支援していたシングルマザー家族は10,000円で約1カ月暮らすことができました。日本にいながらにしてできることは限られていますが、多くの人々の理解と協力が得られれば、遠くからでもNGOの活動を支えられると考え、資金調達のためのプロジェクトを立ち上げました。
結果的に当初の目標金額を超える支援が集まり、その資金で購入された物資を手にして喜ぶウガンダの人々の写真を見たときの感動はいまも忘れられません。たとえ小さなことであっても自分の行動が、誰かの幸せ、その人の生活の変化につながっていることを実感できたのは初めての経験で、改めて自身の志に火がついた瞬間でした」
現地への貢献に確かな手ごたえを得ながらも、NGOでの活動を通じて、資金が尽きて活動できなくなってしまう非営利団体での限界を感じるようになり、利益を生み出しながらアプローチする持続可能な仕組みづくりの重要性を痛感したワンバ。総合商社を志し、三井物産への入社を決めたのは、それが課題解決には必要だと考えたからでした。
「クラウドファンディングを通じて支援できたのは、ひと握りの人々です。NGOの影響範囲が限定的であることにもどかしさを感じ、水道や電力など生活に欠かせない国家レベルの大規模な社会インフラの整備に携わりたいと思うようになりました。
総合商社を第一志望とするようになったのは、たまたま参加した当社セミナーで、プロジェクト本部でモロッコの風力発電事業に従事する女性社員の話を聞いたことがきっかけです。その国のインフラ政策に沿った国家レベルのプロジェクトにビジネスの視点から携わることができるチャンスがあると知り、総合商社に強く惹かれました。
国をつくる仕事に対して強いモチベーションを持ち、アフリカを舞台に活躍するその女性社員に強く共感し、彼女のようになりたいとの想いで入社しました」
電力とコットン事業を通じてアフリカに力を。持続可能なビジネスモデルの構築に向けて
入社後、ワンバが最初に携わったのがモロッコの風力発電事業。彼女が入社を決めるきっかけとなったプロジェクトでした。
「引き継ぎ書の中に、セミナーに登壇した女性社員の名前が記されているのを見て驚きました。憧れの人が従事していた案件を担当できると知って、とてもワクワクしたのを覚えています」
その後、南アフリカの経済成長の妨げとなっている深刻な電力不足の解消を目的とした発電所事業の担当となったワンバ。現在、これと並行して、農家と消費者をデジタル技術でつなぎ、新たな消費体験を創出するザンビアのトレーサブルコットン事業にも携わっています。
「ザンビアのトレーサブルコットン事業では、現地の農家の人々が栽培したコットンを、農家や生産地等の栽培情報と共に世界中のアパレルメーカーに販売し、消費者が製品を購入した代金の一部をダイレクトに生産者に還元するシステムが構築されています。
農村に新しく井戸を掘ったり、学校に太陽光パネルを届けたり、各家庭に栄養食品を配布したりと、これはまさに私が入社前に思い描いていた、アフリカと日本のみならず、アフリカと世界各地の懸け橋となるようなプロジェクトで、コットン農家の方々の選択肢を広げていく取り組みです。たびたびザンビアの農村を訪問し、アフリカの成長に微力ながら貢献できていることを間近で感じられています」
事業として取り組む以上、プロジェクトを通じて現地に貢献するだけでなく、収益の持続性も確保しなくてはなりません。難しい課題に直面するからこそ、達成感も大きいと言います。
「言葉はもちろん、日本とは考え方や商習慣も異なります。とくにザンビアの農家の人々は、自分たちが栽培しているコットンがどのように製品化され、消費者のもとへと届けられているのかを知らない方がほとんどです。プロジェクトの推進には、全体像を一から丁寧に伝える必要があり、業務が思うように進まないことがこれまで何度もありました。
しかし、そうした苦労を上回る喜びも得られています。たとえば前回の出張時、現地には電気がなくパソコンが使えないため、栽培されたコットンが製品になるまでの過程を自作した紙芝居を使って説明し、製品の実物を見せたところ、それを手にした現地の皆さんが非常にうれしそうな表情を浮かべていました。
一連の流れを理解した彼ら、彼女らから、『あなたたちのプロジェクトが私たちのコミュニティを変えてくれている。ありがとう』と感謝の言葉を直接伝えられるなど、大きなやりがいを感じています」
そして、ビジネスを通じてアフリカの成長に貢献する意義も実感することができました。
「農村の学校に太陽光パネルを配布するなど、コットン事業から現地への還元は非常に大規模です。NGOでは、資金調達状況次第で突然活動を停止せざるを得ないことがありますが、ビジネスのサイクルが回り始めてWin-Winの関係が成立すると、プロジェクトが打ち切られるリスクは低くなります。より持続的かつ安定的に貢献できるところに、商社ビジネスの可能性を感じています」
グローバル人材に向けた次なる一歩。地域エキスパートをめざし、修業生として海外へ
この7月から、ワンバは海外修業生として約2年間の海外派遣プログラムへの参加を予定しています。プロジェクトを通じて、現地の言語や文化をより深く理解する必要性を感じたことが参加を決めた理由でした。
「ザンビアの農村では、現地の言葉で挨拶や自己紹介をすると皆さんが心を開いてくれて、その後のやりとりがスムースに進むことがよくあります。
入社時に担当していたモロッコの風力発電案件でも、私の育成を担当した先輩社員が流暢なフランス語で交渉相手とやり取りするのを間近で見て、語学力や異文化を理解していることが、ビジネスを推進する上で大きな武器になることを実感しました。
アフリカ54カ国中、フランス語圏は20カ国以上に及びます。現地で活動するためには、フランス語スキルはもちろん、各国の文化や考え方を受け入れ、俯瞰的に物事を捉える広い視野が欠かせません。育成を担当してくださった先輩社員も、私が入社するきっかけとなった女性社員も参加したと聞いて、海外修業生への応募を決めました」
海外修業生は、「地域エキスパート」の育成を目的とした制度で、英語以外の言語圏に1〜2年派遣され、語学研修と実務経験を積みます。ワンバはこの制度を利用して、派遣可能最少年次で西アフリカに派遣されます。
「面接では、私のルーツやアフリカに対する想い、入社からこれまでの経験、将来のキャリアパスなどについて熱く語りました。入社2年目の挑戦で修業生派遣が叶ったのは、年次に関係なく社員の志を受け止める企業文化があるからだと思っています。期待に応えられるよう、全力を尽くすつもりです!」
第一線で活躍するビジネスパーソンへと成長するために、今回の海外派遣プログラムを通じて、ワンバには成し遂げたいことがあります。
「まずはアフリカへの理解をよりローカルな視点から深め、現地の信頼できるパートナーやビジネスの可能性を自分の言葉で語れるようになりたいと考えています。1年目でフランス語を習得し、2年目にはフランス語を活かして、西アフリカでパートナーとのネットワークを構築し、文化や商習慣についても学びながら、新たなアフリカビジネスの開発を担当したいと思っています。
また、アフリカでの当社の事業全体を把握することも目標にしています。海外修業生には、食料、化学品、金属資源といった他本部が主管する案件を担当できる機会があるからです。
アフリカへの理解と当社の事業への洞察を同時に深めることで、より高い視座を身につけ、ラストフロンティアといわれるアフリカへの新たなビジネスの可能性を探求するきっかけにしたいと考えています」
西アフリカ地域のエキスパートとして、社会にインパクトを与える事業を牽引する存在に
入社以来、2年以上にわたりアフリカのインフラ開発業務に携わってきたワンバ。プロジェクト本部で働く醍醐味を肌で感じてきました。
「入社してまだ間もないころから、アフリカ案件の打ち合わせに呼ばれたり、アフリカマーケットに対して意見を求められたりと、私の志を活かす機会を与えてもらえたことが印象に残っています。2年目からはアフリカ出張も経験し、海外派遣プログラムへの参加意向を伝えたときも、周囲は私の挑戦をリスペクトしてくれました。
特に2050年までに世界人口の4人に1人がアフリカ人になると言われるほどアフリカは注目市場です。社内の期待が大きく、挑戦を後押しする機運もますます高まっており、大きなやりがいを感じています。
また、今後担当したい案件や地域、キャリアプランなどについて、上司が面談を通じて事細かに聞いてくれることもありがたい点です。社員の想いや意向を尊重し、バックグラウンドや持ち味を存分に発揮できる機会を積極的に与えてくれる環境にとても満足しています」
そんなワンバの現在の目標は、西アフリカ地域の第一人者になること。自身の将来像を次のように展望します。
「アフリカ、とくに西アフリカに関する問い合わせがあった際に、真っ先に名前が挙がるような存在をめざしています。エキスパートとして、アフリカ案件を牽引できるような人材になりたいです」
持続可能な仕組みづくりを通じて、世界中の人々の豊かな未来を実現するために。同じ志を共有できる未来の仲間に向けて、ワンバはこんな言葉で呼びかけます。
「私が現在取り組むプロジェクトのように、その国のインフラ政策に沿って国家レベルで社会に大きなインパクトを与える事業に携わってみたいと考えている方にとって、プロジェクト本部は最適な環境です。また、当本部は担当エリアごとに部署が分かれていて、特定の地域に特別な想いを持つ方も、やりがいを感じながら仕事に取り組めるはずです。
私たちが扱うインフラのプロジェクトは、そのダイナミックさゆえに難しさもありますが、政府、建設会社、金融機関など、多様なパートナーと共に1つ1つの困難を乗り越え、プロジェクトを創りあげていく達成感も大きいです。好奇心旺盛で変化を楽しめる方であれば、刺激的な毎日を送れると思います」
信じるのは、自分の可能性。国境を越えて理解と協力の輪を広げ、持続可能な未来をかたちにするために。アフリカと日本とをつなぐ橋が懸かるその日まで、ワンバの挑戦は続きます。
※ 記載内容は2024年4月時点のものです

