急速な経済成長を遂げるフィリピンでは、成長を支える社会インフラの整備が強く求められています。この課題に真正面から取り組んでいるのが、三井物産プロジェクト本部です。
三井物産はフィリピンの総合インフラ会社「Metro Pacific Investments Corporation(以下、MPIC)」へ2023年に出資参画し、同社を通じて電力、水道、高速道路、鉄道、ヘルスケア、食と農業など、幅広い領域でフィリピンの社会発展に貢献しています。
今回は、MPIC主管室であるプロジェクト開発第一部アジア第二事業室(本店)、MPICへの中間投資会社及びMPIC傘下高速道路事業会社(在フィリピン)への出向者計4名に、社会インフラの整備を通じた国創りに携わることの醍醐味、グローバルチームワーク、そして日々感じる仕事のやりがいについて語っていただきました。
「毎日がダイナミック」「フィリピンの成長を肌で感じられる」「総合商社だからこそできる社会貢献がある」――その言葉からは、フィリピンの未来を創造する一助となることへの熱意と誇りが溢れています。
登壇者プロフィール
▲写真左から、福田、川辺、池森、佐藤
川辺 直人:プロジェクトマネージャーとして案件全体統括。2017-2021年半ばまでフィリピン駐在。出資検討段階から本件に携わり、出資に至るまでの現場交渉・各種契約締結に向けた実務処理を担当。帰国後も、本店にてMPIC事業経営を現地メンバーと共に主導、MPIC企業価値向上をめざすだけでなく、MPICとの他領域での新規協業案件創出に向けた協議にも注力中。
福田 理佳子:BI(※)として社内手続き含む関係会社管理及び業務支援を主に担当。出資参画以降、関係会社側の立ち上げ業務から始まり、登記等法務手続き、内規・業務プロセス整備や税務・会計対応等、事業の安定履行のため現地メンバーと連携しながら管理業務、及びその効率化検討を行う。
佐藤 俊祐:MPIC傘下高速道路事業会社へ出向し事業開発及び財務を担当。BD(※)として2020年初めのプロジェクトスタート時は東京本店にて社内手続き他を担当、その後2021年半ばよりマニラ支店に移り出資参画手続き・投資会社立ち上げまで担当し、2024年初めより同出向者としての業務を開始。三井物産本店及び投資会社とも連携しつつ出向先で業務遂行中。
池森 敬大:当社・投資パートナーとの共同持株会社であるMit-Pacific Infrastructure Holdings(MPIH)へ出向。2020年4月に当社入社後、主にフィリピン・タイのインフラ案件開発を担当。BDとして東京本店にて本件の出資参画プロセスを担当するとともに、出資参画後の2024年1月よりマニラへ異動、MPIHの管理業務と共に、MPICにも席を置きつつ、現地側でMPICの価値向上・当社との協業案件創出を担当。
※ 当社事業本部に所属する非管理職は、職務グループがBD(Business Development)、BI(Business Intelligence)に大別される。BDは、主にパートナーやお客様と一緒にビジネスのフロントに立って多岐に渡る業務を推進する職務グループ、BIは、ビジネスプロセスを熟知し、事業の安定的な履行や効率化、経営や事業管理のインテリジェンス機能となる職務グループ
総合力を活かして「何でも」――企業価値向上に貢献
MPICは、フィリピンの社会インフラ開発と運営を担うコングロマリットで、MPICの事業領域は多岐にわたります。
池森:MPICは電力の発電や配電、上下水道、高速道路、病院、ヘルスケア、鉄道など、いわゆる社会インフラの運営や開発を行っているコングロマリットです。最近では、食料や農業といった分野にも積極的に投資を行っています。
【MPIC傘下事業会社】
MPICの目標は、フィリピンの社会インフラ整備を通じて経済成長を支え、国民の生活の質を向上させることです。フィリピンは1億人以上の人口を抱え、平均年齢25.3歳という若い国。個人消費を基にした内需が経済を牽引していますが、経済成長のボトルネックとなっているのが様々な社会インフラの不足です。
2023年9月、三井物産は海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)と共に、MPICの株式を取得し、事業経営に参画しました。
【プロジェクトストラクチャー】
池森:三井物産、特にプロジェクト本部の主な役割は、蓄積してきた先行事例や知見を提供したり、新規案件の開発を支援したりすること。もちろん、良い案件があれば投資も検討しますが、エネルギー供給や物流事業における販路拡大、マーケティング活動の支援、デジタル化支援など、投資に留まらない事業展開の支援も検討しています。
三井物産の強みはその総合力。プロジェクト本部自体は特定の商材を扱っているわけではありませんが、それゆえ、幅広い分野での案件開発が可能です。また、三井物産の他の本部との連携により、MPICの事業領域全てをカバーできる体制を整えています。
川辺:MPICの企業価値向上に貢献できることであれば、基本的には「何でもやる」。それが我々の基本スタンスです。
▲共同持株会社MPIH事務所開所式
三井物産だからこその「総合力」を活かしたビジネス展開
急速な経済成長を遂げるフィリピン。駐在経験のある川辺と現在駐在中の佐藤は、そのスピーディな変化を肌で感じています。
川辺:フィリピンは本当に成長が速い国です。最初に出張で訪れた2014年頃は、空港から三井物産マニラ支店までの一般道を進むのにも一苦労でした。混雑してしまって、2時間以上かけて移動したこともあります。それが1~2年ほど経つと空港までの高速道路が整備され、15分程度で行けるようになりました。
フィリピンではこうした社会インフラ整備を進めているものの、経済成長が急速で整備が追いついていないのが現状です。
佐藤:例えば、朝は車を使って30分で行ける場所が、帰りの混雑時には1時間半かかることもあります。この渋滞問題は人々の生活の質を下げる要因になっています。
川辺:インドネシアのジャカルタやフィリピンのマニラなどの大都市では、交通渋滞によってGDPの数パーセントが失われているという調査結果もあります。渋滞は、人々の時間が無駄になるだけではありません。例えば野菜を運ぶ際に渋滞で腐ってしまうなど、物流にも大きな影響を与えるのです。
そういった社会課題の解決に向けて、三井物産はMPICの事業を通して、総合力を活かしながら多面的に貢献しています。
佐藤:三井物産にはプロジェクト本部を含めて16の事業本部があり、非常に幅広い事業領域をカバーしています。トレーディング事業で言えば、エネルギーや鋼材の供給などを通じてMPICの事業に直接的に関与・貢献することが可能です。
さらに、三井物産が有する世界的なネットワーク、投資先・関係会社のサービスや機能を活用してMPICグループの事業価値向上に資する取組を行っています。プロジェクト本部は、これらの異なる様々な要素を組み合わせて新しいビジネスモデルを創出する役割を担っています。
商社としての幅広いグローバルネットワークや多様な知見を、MPICがめざしていることと掛け合わせながら、MPICの企業価値向上やフィリピンの国創りに向けて日々奮闘しています。
東京-フィリピン――グローバルチームの緊密な連携
MPICプロジェクトは、東京にある三井物産本店、中間投資会社であるMPIH、事業会社MPIC、マニラ支店といった複数の拠点にまたがるメンバーによるグローバルチームで進められています。
▲チームでの久々の対面ミーティング
川辺:基本的には東京の本店と現地という形で分けていますが、One Teamとして対応しているのが特徴です。それぞれの場所においてもっとも効率の良い役割を担いながら一体となってプロジェクトを進めています。
しかし、地理的に離れたチームが効果的に連携し、チームワークを発揮するためには、緊密なコミュニケーションが不可欠です。
福田:チーム全体としては、1週間に1回の頻度で、週例会議を行い、それぞれの担当について進捗確認をしています。現地の池森さん、佐藤さんを含めて、1日に何度もチャット、メールのやりとりや、重要テーマについてはオンライン会議も行います。チームのチャットグループがあり、そこでタイムリーに情報共有や議論を行っています。
佐藤:池森さんと私は以前本店の担当チームにいたので、本店側の動きもよく理解しています。ですから、離れていても大体同じ目線で業務を進められますね。
福田:連絡を密にしてお互いの状況を理解して動くことが重要だと思います。パートナーや顧客と協働しながら事業を遂行する役割を担うBDと事業の安定的な履行や効率化、経営や事業管理を担うBIで職務グループは分かれているものの明確な線引きは存在せず重なる部分が多いです。そういったときに両方が同じ目線を持ち、お互いの状況を理解しながら動くことで、対応に漏れなく案件推進をしていくことができます。
また、離れていて様子が見えないからこそ相手の業務内容や立場への理解を深めること、そのうえで普段の業務において感謝の気持ちと相手への尊敬を伝えることを意識しています。
それぞれの強みでOne Teamを支える
多様な個性と強みを持つチームメンバーの協働によって支えられているMPICプロジェクト。「お互いの業務や役割を一言で表すと、どんな言葉になりますか?」との質問を投げかけてみました。
川辺――指揮官でありインキュベーター
2013年入社でプロジェクト全体統括を担う川辺は、チームの指揮官です。
池森:このチームの指揮官として全体を見渡し、常に必要な対応を適時かつ的確に判断されているのが川辺さんです。同時に、フィリピンに関する豊富な知見・経験をお持ちなので、フィリピンにとって必要なもの・当社に求められていることを深く理解しており、新しいアイデアを生み出すインキュベーターとしての役割も果たしています。
川辺自身も、フィリピンでの経験が現在の仕事に活きていると語ります。
川辺:現地の課題や変化を肌で感じた駐在経験を活かし、他の本部との連携や新規事業の提案など、MPICの成長を加速させるための支援を積極的に行っています。
福田――思いやりのあふれる、頼れるチームの心臓
2016年入社の福田は、東京の本店でチームの要としての役目を果たしています。
佐藤:福田さんはまさにチームの心臓。その働きによって血が巡り、我々が現地・現場でアクションできるのです。常に相手の状況を理解し、自分が忙しくても現場側で助けが必要なところを補おうとする姿勢はチーム員にも気づき・刺激を与えてくれますし、組織力の向上、そしてチームの雰囲気を良くすることにも繋がっています。
福田自身も、フィリピンの人々の生活向上に貢献したいという強い思いを持って仕事に取り組んでいます。
福田:このプロジェクトを通し、間接的にでも生活の質の向上へ貢献することができたらという気持ちで日々仕事をしています。現地へ出張し、フィリピンに住む皆さんの生活の様子を直接見聞きしたり、現地メンバーと仕事をしながら話を重ねたりする中で、ますますその思いが強くなりました。
佐藤――熱意ある新領域の先導役
MPIC傘下の高速道路事業会社に出向し新しい領域に挑戦している2017年入社の佐藤にも大きな期待が寄せられています。
川辺:普段は静かな佐藤さんですが、案件に対する熱い思いは誰にも負けません。高速道路事業はプロジェクト本部では過去に取り扱っていない領域ですので、先導役として重要な役割を果たしてくれています。
そして、新しい領域に挑戦することの意義は、佐藤自身もひしひしと感じているよう。
佐藤:高速道路事業は、プロジェクト本部にとって初めての取り組み。試行錯誤の連続ですが、この経験が将来のプロジェクト本部の発展にもつながると信じて取り組んでいます。
池森――境界線のない最強プレーヤー
チームの中で最若手である2020年入社の池森。MPIHに出向して幅広い業務をこなしています。
福田:池森さんの仕事は本当に多岐にわたっています。現地での信頼関係構築、MPIHの管理業務、さらにはMPICの価値向上や三井物産との協業案件創出など、その中で自分のプレーに境界線をもうけずに周囲を巻き込みながら力強く推進して活躍しています。また、自分が大変な状況でも、常に周囲を気遣い、元気を与えてくれるなど、チームの雰囲気を良くする愛されキャラです。
MPICの企業価値向上に携わる者としての責任感を胸に、池森はこう語ります。
池森:既存の社会インフラ事業に加えて、食と農業をはじめとするMPICの第4の柱を築くことも我々の使命であり挑戦です。既存の事業を強化しつつ、新たな分野を開拓したいとの思いで取り組んでいます。
フィリピンの未来を創るMPICプロジェクトの魅力と挑戦
社会インフラ整備や三井物産の総合力を活かしたMPICの企業価値向上を通して、フィリピンの国創りに貢献することができるMPICプロジェクト。この仕事の魅力と挑戦について感じていることをそれぞれ次のように語ります。
池森:MPICのミッションは、フィリピンの経済成長に貢献し、フィリピンに住んでいる人々の生活の質を上げることにあります。新しい分野への投資もさることながら、フィリピンの基幹インフラを日々担っている立場でもありますので、社会的な使命を持った仕事だと感じています。
また、MPICと三井物産の掛け算から生まれる無数の選択肢、新たなビジネスチャンスを最前線で自身の肌で感じることもできますので、毎日刺激的でワクワクとした日々を過ごしています。
一方で、このプロジェクトには様々な挑戦も存在します。
佐藤:高速道路事業はプロジェクト本部にとってこれまで経験のない領域であり、多くの場面で試行錯誤が必要です。しかし、この経験は必ず将来の案件開発にも活きるでしょうし、プロジェクト本部のノウハウの蓄積にもなります。
▲出向先の高速道路事業会社のメンバーと
川辺:プロジェクト本部は従来、単一アセット型の投資が多かったのですが、MPICへの投資は過去の投資とは異なった新しい挑戦です。MPICは一つの会社の下にいろんな事業領域が広がっていて、しかもその領域が常に成長しています。これは新しいチャレンジであり、大きな学びの機会です。
また、MPICプロジェクトは、まさに国創りに真正面から取り組める案件です。多くのステークホルダーと協力しながら、フィリピンの未来を形作っていく。これは非常に稀有なチャンスであり、同時に大きな責任を伴う挑戦でもあると考えています。
福田:事業管理の観点では、MPIHはプロジェクト本部で初めてフィリピンに設立した実体のある会社です。会社経営関連のルールは所在国によって異なる部分もあり、現地で果たすべき責任は大きく、日々ナレッジを蓄積しながら抜け漏れのない安定した会社経営を実現すべく取り組んでおります。
求める人材像と後輩へのメッセージ
MPICプロジェクトに携わるチームメンバーたちは、このプロジェクトの魅力と挑戦を踏まえて、どのような人材を求めているのでしょうか。若い世代の求職者たちに向けて、メッセージを伝えます。
川辺:MPICの事業分野は非常に幅広く、しかも常に新しい領域に挑戦しています。そのため、一つの分野にとどまらず、様々なことに興味を持ち、積極的に楽しんで取り組める方が向いていると思います。
また、これはフィリピンの国創りにも貢献できるプロジェクトです。自分の仕事が社会にどのような影響を与えるかを常に考え、社会貢献に強い意欲を持っている人と、是非一緒に働きたいです。
池森:MPICでは、電力、水道、高速道路、鉄道、ヘルスケアから食と農業まで、本当に多様な分野に触れる機会があります。それぞれの分野の専門知識も大切ですが、それ以上に、新しい分野に積極的に飛び込んでいく姿勢が重要だと考えています。未知の分野でも、粘り強く学ぶ意欲と柔軟な思考、そして何よりもそれを楽しむ姿勢があれば必ず道は開けると思います。
フィリピンの人々の生活が実際に豊かになっていく様子を目の当たりにする、この実感は何物にも代えがたいものです。社会をより良くしたいという強い思いを持っている人にとって、この仕事は大きなやりがいを感じられると思います。
佐藤:フィリピンは急速に変化している国ですから、私たちを取り巻く仕事環境も非常にダイナミックです。毎日新しい課題が生まれ、それに個人・チームとして積極的に対応していく。このような環境を楽しめる人や、変化を恐れずに前向きに取り組める人には、非常に魅力的な仕事だと思います。
福田:東京とフィリピンという物理的な距離はありますが、常に密にコミュニケーションを取りOne Teamで仕事をしています。現在に至るまで色々な出来事がありましたが常にチームワークを力にプロジェクトを全員で推進してきました。
私自身は、特に出資参画しMPIHの立ち上げを行った当初には登記等法務手続き、内規制定、会計税務等の業務プロセス整備等、一つの会社として果たす責任の重さを感じ時間も限られる中不安を感じることもありましたが、チームメンバーはじめとする社内外関係者との協働を通し日々多くのことを学び、一つ一つ積み上げていった実感があります。グローバルな環境で自分の成長領域を定めずに仕事に取り組みたい方はきっとやりがいを感じられると思います。
三井物産プロジェクト本部にとって新たな挑戦であるMPICプロジェクト。チームメンバーたちの熱意と努力をもって、三井物産の総合力を活かした幅広い領域でMPICの企業価値向上やフィリピンの発展に貢献することで、単なるビジネスパートナー以上の存在として、フィリピンの未来と共に今後も歩んでいきます。
※ 記載内容は2024年9月時点のものです
