組織の繋がりが生み出す新たな可能性。オープンイノベーションで目指す研究開発の加速
現在、私は明治ホールディングス株式会社のウェルネスサイエンスラボ オープンイノベーション推進グループに所属しています。オープンイノベーションを通じて「抗老化」「免疫増強」「マイクロバイオーム(腸内細菌叢)」という3つの新機軸の研究の加速と内容の充実をめざし、協業先の探索や共同研究に向けた準備など、スタートアップを含む企業やアカデミアと当社を橋渡しする役割を担っています。
オープンイノベーションを推進する上では、最前線で研究に従事する研究者とやり取りする機会が多いため、自身の研究者としての経験を活かし、相手の研究内容や状況を理解しながらコミュニケーションを図るよう心がけています。
協業先の候補は国内に限りません。世界各国のさまざまな海外企業や機関にもアンテナを張り、有用な技術があれば積極的にコンタクトを取ります。英語を使う場面が多いため、より円滑なコミュニケーションをめざして語学の習得に励んでいます。
このように協業先とのオープンイノベーションの可能性を探るなかで、多くの刺激を受ける日々を過ごしています。とくに、長年にわたって大規模な組織でキャリアを歩んできた私にとって、スタートアップの方の思考や働き方はとても新鮮で刺激的です。小規模な組織であっても研究内容はきわめて先進的で、社員の熱量の大きさにいつも圧倒されています。
医療分野の研究がしたくて、がん研究の最前線へ。違う道を選んで広がったキャリア
私が明治へ新卒入社したのは2010年。入社から8年間、ずっと乳児栄養に関する仕事をしていました。 1年目に粉ミルクを製造する埼玉工場での勤務を経験した後、研究所の乳児栄養グループに移って6年間、粉ミルクの栄養設計やその基盤となる母乳の分析などを担当。最後の1年は本社で粉ミルクの開発に取り組みました。
退職する道を選んだ理由は、研究者としてのキャリアを積みたいという考えがあったからです。一般的に研究者として一人前と認められる博士号を取得したいという目標もありました。大学時代に医学部保健学科で医学研究に触れた経験があったことも後押しとなり、国内最高峰の医学研究機関の1つである国立がん研究センター研究所への転職と大学院の博士課程への入学を決めました。
国立がん研究センターで主に行った研究は、新規の抗がん剤が作用するメカニズムを解析するための薬物イメージング研究です。がん研究の最前線ともいえる先進的な研究に従事できたと思っています。2022年3月に無事に目標としていた博士の学位を取得することもできました。
私が所属していたのは分子薬理学の研究室です。研究を始めた当初は医薬品の研究開発に関する知識が乏しかったため、周囲の専門用語が理解できず、大変でしたね。そのような環境下でチームリーダーとして研究補助員のマネジメントも任されていたことから、とても苦労した記憶があります。丁寧に指導してくださった研究室の上司や一緒に研究に取り組んでくれたチームメンバー、さらには当時の生活を理解して支えてくれた家族には今でもとても感謝しています。
国立がん研究センターは医療機関であるので、コロナ禍で多忙をきわめる医療従事者と調整しながら仕事を進める必要がありました。相手の立場を理解し、研究の目的や内容を明確かつ簡潔に伝えることを心がけ、さまざまな関係者を巻き込みながら研究に取り組んだ経験は、現在のオープンイノベーション推進グループでの業務にも大きく役立っています。
芽生えたのは「製品を通じて社会貢献したい」という想い。アカデミアを経て原点へ回帰
国立がん研究センターでの研究は、時間の使い方が比較的自由であったため、育児との両立を図ることができました。最新鋭の研究設備でがんの克服に向けて、さまざまな切り口で研究を行うハイレベルな研究者とともに研究に没頭する日々は、大変ながらもとても充実していました。
しかし、明治で長く粉ミルクの開発に関わっていた私にとって、アカデミアの研究は日常生活から遠いものに感じられるようになりました。アカデミアでは、専門スキルを磨いて影響力のある論文を発表することが最も重視されます。もちろん企業の研究でも重要な要素ではありますが、私はよりヒトに近いところで研究成果を社会に役立てる、つまり製品をヒトに届けられる環境で仕事がしたいと思うようになりました。実験やコンピュータと向き合うより、もっと人と密接に関わって仕事がしたいという気持ちが芽生えてきました。
「リ・メイジ」の存在を知ったのはちょうどそのころ。製薬メーカーへの転職も考えましたが、自分の家族に手に取ってほしいと思える製品を手がける明治はとても魅力的な存在に思えました。
食品と医療の中間領域に取り組むウェルネスサイエンスラボの存在を知り、食と薬の両分野に携わってきた私にとって理想的な環境だと感じたことも背中を押しました。
また、振り返ってみれば、国立がん研究センターでの業務でうまく立ち回れたり、仕事の進め方を評価されたりしたのは、明治のなかで培った経験があったからこそ。社会人としての基礎を築いてくれた会社で、もう一度やり直してみたいと、明治への再入社を決めました。
復帰して職場に受け入れてもらえるだろうかという不安はありましたが、アカデミアでの研究を通じて学んだことを活かせる場面はきっとあるだろうし、同じ組織に長くいると見えない景色があるため、違った視点や新しい価値を提供できると、前向きに考えていました。「リ・メイジ」後に活躍するロールモデルのような存在になれたらという思いもありました。そのため復帰したとき、皆さんが「おかえり」と戻ってきたことを好意的に捉えてくれて、とても嬉しかったですね。
「リ・メイジ」で社内外の人の流れを活性化。新しい明治への足がかりに
アカデミアでは、企業から研究員を迎え入れることがあります。明治でも多くの共同研究や研究員の派遣を行っており、そのサポートを担当していますが、アカデミア側の経験があるからこそ相手の立場や考えを理解して、スムーズなコミュニケーションができていると感じます。いったん外の世界へ出たからこそ出会えた方々や学んだこと、そして組織を客観的に見る視点が身についたと思いますし、それは現在の仕事に役立っていますね。
また、社外に出たことで、あらためて明治の人の魅力を実感しました。高品質で幅広い世代から必要とされる食品や医薬品のメーカーだからこそ、当社には誠実でやさしい方がとても多いと感じます。現在は以前と別の部署に所属していますが、当時も今もとても恵まれた職場環境で働けています。
とくにウェルネスサイエンスラボは、明治とファルマ、明治グループのKMバイオロジクス株式会社から出向している多様なメンバーから構成されているため、再就職者にとっても馴染みやすい環境であったと思います。
私のように「リ・メイジ」を検討している方には、ぜひ臆せずチャレンジしてほしいと思います。同じ場所に根を張り続け、太く高い幹をつくるのもすばらしいことですが、一度立ち止まり、枝分かれを経験することでしか得られないものがあると思うから。進む道はまっすぐでなくていいし、戻ってもいい。いろいろな働き方、いろいろなキャリアがあっていいと思っています。
入社以来、学会や勉強会などへの参加を通じて知り合った有望な協業先候補との交流を深め、社内との橋渡しを担ってきましたが、新たな関係性を構築できたときは大きな手ごたえがあります。オープンイノベーション推進グループのメンバーとして、今後ますます社外との連携を強化して新しいプロジェクトを積極的に推進し、社会の役に立つ製品開発につなげていきたいです。
一度会社を離れてわかったのは、大多数の人の明治のイメージはヨーグルトやチョコレ―トと限定的であること。これはとても喜ばしいことですが、一方で、当社では他にもさまざまな事業を展開しています。お客さま一人ひとりの生活スタイルやニーズに合わせて多様な製品やサービスを提案していく。明治のこれからの事業拡大に貢献していきたいと考えています。
※ 記載内容は2024年1月時点のものです

