湘南での合宿。議論を重ね知恵を持ち寄る
戦略コンサルティング事業本部/Strategy & Management Consulting事業部では、20人ほどが参加する一泊の合宿を定期的に行っています。前回は神奈川県の湘南エリアで、次回は9月に横須賀へ行く予定です。
海の見える場所がいいんですよね。開放的な環境でケーススタディー合戦をしたり、ビジネスコンテストをしたり。単なる研修ではなく、普段のプロジェクトを離れて、みんなで考え、議論し、知恵を持ち寄る場です。
ビジコンで優勝したチームには自由に使える賞金も出します。前回優勝したチームは、その賞金でフィリピン・マニラに行き、BPO(Business Process Outsourcing)の事例を集めるため、国際イベントに参加していました。
2022年、戦略コンサルティングチームのリーダーとなった私は「経営目線でクライアントと向き合えるコンサルタントをどう育てるか」という課題を感じていました。
今、その答えは少しずつ形になっています。
大きいのは、AIによって仕事の質が大きく変化したことです。
私が若手だったころ、長時間かけて資料を作ったり、企業情報を調べたり、スライドの細かい体裁を整えたり…そういう仕事を何度も繰り返し、先輩がクライアントとどうコミュニケーションするのかを横で見聞きし、仕事を覚えていきました。
今はそうした作業の多くをAIが短時間でやってくれます。1時間かかっていた仕事が10分、15分でできることもあります。
便利になった一方で、「この仕事を何度も繰り返すことで身に付いた感覚を、今の若手はどうやって身につけるだろう」と考えるようになりました。
だから今は、若手がプロジェクトを振り返り、「自分がプロジェクトマネージャーだったらどう考えるか」を考える場を意識的につくっています。合宿もその一環です。単に発表して終わりではありません。「その論点で本当にいいのか」「別の見方はないのか」と、みんなで議論します。戦略コンサルティングには正解がないからこそ、考え続けることが欠かせないのです。
若手には「背中を見て覚えてほしい」と思う一方で、それだけでは足りない時代になったと感じています。
「戦略」は特別な一手ではなく、日々の積み重ね
2022年、talentbookの記事を書いたとき、戦略コンサルティングチームは7〜8人ほどでした。それが今では、倍くらいの規模になっています。
大きく変わったのは、チームの層の厚みです。当時は新卒を中心とした組織でしたが、今は中途でマネージャーとして加わったメンバーや、他部門から異動してきたメンバーもいます。さらに最近では、戦略領域への配属を前提とした新卒採用も始めました。
ただ、人を増やすことそのものを目的にしているわけではありません。年1〜2人程度、じっくり仲間を増やしています。そうやって少しずつ、戦略チームとしての“土台”ができてきた感覚があります。
私自身も多くの経験を積むことができました。
この3年間でM&Aやファイナンスの領域を中心に、さまざまなクライアントの経営課題に向き合ってきました。数十億円規模のディールに関わる一方、資金繰りが厳しく、経営そのものが難しい状況にある会社を支援したこともあります。
そうした経験を通じて、あらためて感じたのは、M&Aは「買うこと」そのものが目的ではないということです。
大切なのは、自社にとって本当に必要な事業は何か、どんなシナジーを生み出せるのかを考え、必要でなければ売却すること。つまり、事業ポートフォリオを継続的に変えていける状態をつくることです。
結局、戦略というのは特別な一手ではなく、日々の経営の積み重ねなんですよね。
正解のない問いだからこそ、クライアントと一緒にリスクを取る
AIによって、情報を集めることや分析することは、これからますます簡単になります。
でも、戦略コンサルタントの価値がなくなるとは、私は思っていません。
なぜなら、経営には正解がないからです。
AIは膨大な情報を整理し、仮説までも出してくれます。でも、そこから「本当に見るべき論点はどこなのか」を選ぶことは別の話です。
たとえば、AIに100個の論点を出してもらったとして、そのうち本当に重要なのは10個かもしれない。その10個をどう選び、どこを深掘りするのか。さらに、クライアントとの対話の中で、人間関係や言葉の裏側にあるものを感じ取り、「ここはもう一歩踏み込んだほうがいい」と判断する。
そこは、これからも人間が担う部分だと思っています。
前回のtalentbookの記事で私は「戦略コンサルは説得業だ」と話しました。その考えは、今も同じです。
ただ、説得の仕方は変わりました。
以前は、コンサルタントが情報を集め、分析し、答えを提示して、それをクライアントに納得して動いてもらうことが多かったのです。
今のクライアントは、自分たちでも調べ、仮説まで持ってきます。「この仮説をどう思いますか」「むしろ、この仮説を壊してほしい」と言われることも増えました。
だから私たちの仕事も、「戦略をつくったので、あとは実行してください」ではなくなってきています。
クライアントだけではやりきれないところに一緒に入り、リスクも一緒に取る。「一緒にやりませんか」という関係に深化しているのです。
自分だったら…一人称の姿勢は崩さない
これからの戦略コンサルティングチームでは、マネージャー一人ひとりが、自分のサービスの“経営者”になっていく。そんな姿を目指しています。
マネージャーそれぞれファイナンスや会計、BPO、事業戦略、M&Aなど得意領域があります。それらを生かしてサービスをつくり、事業と企業を成長させる。一つのサービスが苦しいときには、別のサービスが支える。ピラミッド型の組織というより、個性のあるサービスが集まり、お互いに支え合うチームです。
私自身も、短中期ではサービスや事業の立ち上げに深く関わっていきたい。そして長期的には、特定の業界や領域に限らず、「経営」というもののプロになりたいと思っています。
その一つが、LTSが2024年に設立したME-Lab Japanです。私は取締役として、マネタイズや資本施策を担当しています。戦略を考えるだけではなく、実際に事業をつくり、どう収益化し、どう企業価値を高めていくのか。ここでは、これまでとは違う「経営者としての視点」を鍛えられていると感じます。
LTSに来る人にも、単に「コンサルタントになりたい」というだけではなく、新しいサービスをつくりたい、新しいコンサルティングの形をつくりたい、事業を立ち上げたいという気持ちを持っていてほしいと考えています。
そして、意外と大事なのが「元気」と「愛嬌」です。
仕事は結局、人と人との関係の中で生まれます。誰かのせいにしたり、クライアントを批判したりするのは簡単です。でも、「じゃあ、自分だったら何ができたのだろう」と考える。そんな一人称の姿勢がある人と、一緒に仕事をしたいと思っています。
3年前、私は「一緒に一段と成長していければ」と話しました。
あれから3年、チームは大きくなり、仕事のやり方も変わりました。でも、まだ完成したとは思っていません。
むしろ、AIによって仕事の前提が深くなった今だからこそ、戦略コンサルティングそのものを一緒につくり直せる余地が、まだまだあると思っています。
正解のない問いを面白がり、「自分だったらどうするか」を考え続ける。そんな人と一緒に、これからの戦略コンサルティングをつくっていきたいですね。

