旺盛な好奇心とものづくりへの憧れ。なりたい自分の姿をめざし、新しい挑戦に挑む
幼少期から好奇心旺盛で、乗り物や科学など、たくさんのものに興味があった佐藤。ものづくりに対する憧れも抱き続けてきました。
「科学キットをつくったり博物館に行ったりするのが大好きだったんです。好奇心旺盛だったので、『とりあえずやったことがないことをやろう』とよく考えていました。スポーツもたくさんやりましたね。スキーと水泳がとくに好きでしたが、部活としては陸上部や硬式テニス部などに励みました。
将来は自分で何かつくりたいという漠然とした想いがあったので、大学では機械工学科に入り、そのまま大学院の工学研究科機械工学専攻に進みました」
機械設計系の研究室に入った佐藤が取り組んだのは、軽量構造物の耐久性の研究。その後、就職先として選んだのは、自動車メーカーでした。
「ものづくりに関わりたいと考えていて、就活ではとくに完成品メーカーを見ていました。部品だけではなく、完成品を世の中に出していける仕事がしたかったからです。最終的に自動車メーカーに入ったことには、もともと乗り物が好きだったことが影響していると思います」
自動車メーカーに入社後、研究開発部門にて部品設計に携わった佐藤。性能の向上やコスト、品質、納期などさまざまな要素を鑑みながら、4年間開発に従事しました。グローバル戦略車のプロジェクトに参加するなど社内から高い評価を受ける一方、佐藤の胸中には心境の変化が起こり始めます。
「思い描いていた仕事はできていたので、有意義な時間を過ごせてはいました。ただ、プロジェクト開発をひと通り経験してみて芽生えてきたのは、持ち前の好奇心が刺激されるような、新しいことに挑戦したいという気持ち。自分がなりたい姿を考えると、これではまだ足りないと感じていたんです」
その“自分のなりたい姿”について、佐藤はこう述べます。
「これからの人生の長いスパンのなかで、ものづくりの領域から、『新しいもの、技術を世に出していく人になりたい』という願望がまずひとつあります。
そして、もうひとつは、『ものづくりの多くを知りたい』という気持ち。製品は設計だけでなくたくさんの部署、工程を通って世に出ていくもの。メーカーがつくっただけでは、製品を世に出すことができません。もう少しユーザーの近くで、ものづくりの広い知見を得たいという想いがありました」
日本初の公道走行ロボットの審査を担う。先進的な取り組みに関わる醍醐味
新天地での新しい挑戦への期待に胸を膨らませ、転職を決意した佐藤。当時のことをこう回想します。
「キャリアの軸足を変えるくらい大きな変化をもたらしたいと思っていたんです。メーカーとは違うかたちでものづくりや製品に関われる組織といえば、一つは認証機関。メーカー時代に認証取得の業務に携わっていたこともあって、一般財団法人日本品質保証機構(以後、JQA)のことが真っ先に頭に浮かびました」
決め手となったのは、JQAの業務内容でした。
「サービスロボットや、最近では配送ロボットのような公道を走行するロボットがあるのですが、そうしたものの認証や制度を扱う部署があると聞きました。日本初の認証の制度制定にも関わっていて、自分にとって経験も知見もない分野です。
最新技術を世の中に普及させていくために重要となる認証制度。まさに自分がやってみたかった仕事です。新しいことに挑戦できるチャレンジングな環境に惹かれました」
入構後、佐藤は主にISO13482というサービスロボット規格への適合性評価を担当しています。近年、普及が加速しつつあり、「認証を取りたい」と考えるメーカーも増えている分野です。
「現在はメーカーさんの開発文書などの資料を見て、実際にそれが国際規格に適合するかしないかを見ていく仕事がメイン。また最近は自動配送ロボットの社会実装をめざす外部団体の方の仕事にも力を入れています。
この団体では、公道を走る自動配送ロボットに対する安全基準や審査・試験の手順の策定などの活動をしており、これは日本で初となります。いろいろなメーカーさんとも話をしますが、最低でも同じくらいのレベルの知識がないと話についていけないので、たくさん学ばなければなりません」
JQAに来る前は、自身も開発に携わっていた佐藤。認証を取得しようとするメーカー側の気持ちがよく理解できるからこその葛藤もあると言います。
「先方の意図するところがよく理解できるのは、自分の強みだと思っています。ただ開発の苦しさを知っていながらも、品質や安全性に関しては認証機関として譲れないことがあって、メーカーさんの要求通りにいかないこともあります」
一方、JQAの仕事のやりがいについて、佐藤は熱っぽく語ります。
「自動配送ロボットの審査手順策定は、日本では限られた企業しかやっておらず、JQA内でも私と上司しかやっていない取り組みです。世間に対して新しい何かをつくっている感覚があり、それが非常に大きなやりがいになっています」
求められる第三者機関としての公平な視点。感謝の言葉をもらえることが励みに
入構から1年半。印象に残っている出来事として、佐藤は“直接感謝されるようになったこと”を挙げます。
「仕事の中で、開発フェーズのメーカーさんとやりとりをする機会が少なくありません。そのため、『この規格の要求がどういう意味なのかわからない』『このルールはどのように解釈すればいいのか』といった質問が多く寄せられます。
ある程度知識が付いてきたので、用語やルールの解釈などができるようになりました。すると、メーカーさんから感謝の言葉をいただくことがあるんです。
メーカー時代はエンドユーザーから離れた位置にいたので、仕事をしていて誰かから直接感謝された経験はあまりありませんでした。でもいまは、声をじかにいただけるため、モチベーションがアップしたり、『この仕事をしていてよかったな』と励まされたりします」
一方、こうしたメーカーとのコミュニケーションの中での学びも多いと話す佐藤。自身の成長の過程をこう振り返ります。
「私たちはメーカーさんに対して、公平な視点で話をしなければいけません。ただ自分に開発側の経験があるぶん、最初のころは、『自分が開発の立場だったらこうするのだけれど』と、自分の経験に軸足を置いたマインドで話してしまったことも。
一方、先輩たちは、自分の意見を大切にしつつも、ベースには常に標準規格の要求事項があるのがわかります。そしてそれに対して、さまざまな解決策や考え方を持っているんです。
まずは規格の要求事項をしっかりと理解して、もう少し広い認識レベルで会話ができるようになれたらと、努力してきました。最近、それが少しずつできてきているかなと感じています」
明確な基準を示すことが、日本のものづくりのスピードアップを後押しする
仕事と向き合う上でいつも大切にしていることがあるという佐藤。次のように続けます。
「まだ自分にできないことや、新しいことに挑戦し続けることをいつも意識しています。部署の中にはいろいろな仕事がありますが、専門のテリトリーをつくってしまうより、なるべく自分にできないことから優先して挑むくらいの気持ちで取り組んでいます」
新しいことに目を向け、挑戦を楽しんでいるかのようにさえ見える佐藤。組織にとって新鮮な刺激となってきた彼にとって、JQAはどう見えているのでしょうか。
「部署にかかわらず機構全体として協力する姿勢が非常に強いですし、人と人とのつながりが強固な印象です。そして皆さんとても誠実で、まじめな方が多いですね」
「どんな人と一緒に働きたいか?」との問いかけに対して、自身と重ね合わせるように佐藤はこう答えます。
「私はいまの部署しか知りませんが、好奇心旺盛な方に合うのではないかと思います。案件に大小はありますが、社会課題に対する新しい解決策をつくっていくプロセスにおいてプレゼンスを発揮したい方にはうってつけの環境ではないでしょうか。
とりわけ、新しい技術・新しいロボットに関われることには大きな魅力を感じます。自分がつくるわけではありませんが、認証という観点から、社会実装のお手伝いができる仕事には誰もがやりがいを感じられるはずです。
また、いまの日本メーカーは不具合にとても敏感で、ときには過剰品質になるような開発を求められることも。そんな中で、『これが基準です』と指標を示すことができれば、それが目安となって、開発スピードが上がります。
新技術・製品を早く世に出すことができれば、普及も進みますし、国際的な競争力の獲得ものぞめます。基準があること、そしてわれわれが認証を行うことが、スムーズな社会実装の後押しになると信じています」
認証制度開発普及室でのこれまでの充実した日々について佐藤はこう話します。
「普段からさまざまなメーカーさんといろいろな製品について話をするので、その都度、分野も目的も設計も変わってきます。使われる技術もそれぞれ違いますから、理解するには勉強が欠かせません。幅広い学びが得られる、非常に良い立ち位置だと感じています」
佐藤の新しいキャリアは始まったばかり。JQAでの将来をこう展望します。
「開発側の知見を持ち合わせた認証業務のスペシャリストになることが大きな目標です。そのためにも、まずは機能安全の分野の知見を身につけていきたいですね。機能安全とは、ロボットをはじめとする機械分野において非常に大事な考え方で、より高度化・複雑化する機械類の安全性を制御によって実現するものです。
これまでのキャリアで触れてこなかった分野ですが、だからこそそれが身につけば、より広い技術分野における対応力がつくと考えています」
好奇心に動かされてJQAに飛び込んだ佐藤。今の仕事は自身の心を満たす内容か聞いたところ、「満たされていますね。いろんなメーカーさんとやり取りをするので、日々刺激があって、勉強になります」と答えます。あえて未経験のことに挑戦し続ける好奇心。それは日本のものづくりの新しい領域を確かな方向へ導いていく原動力になるはずです。
※ 記載内容は2023年6月時点のものです
