「なぜミスをするのだろう」と悩む日々。そしてわかった自分の特性
幼少期からシステムに関することが好きだった藤浦。小学校のころからプログラミングを作ってゲームアプリを作成したり、学校のHP改修を行ったりと意欲的でした。
「大学でもその分野を学び、就職しました。得意なシステムに関する仕事でキャリアアップをしていきたいと考えた結果、新卒で入社した会社はシステム会社でした」
しかし、新卒で入った当時はいろいろなことに悩み、苦労したと言います。
「具体的にどのような悩みがあったかというと、PCでの作業をしている際に電話対応すると、その後自分がどこまで進めていたかを忘れてしまって作業漏れのミスが発生しやすいということ。次に、先輩社員からの曖昧な業務指示から、隠れた意図や狙いを読み取ることが難しいということ。そして、上司からの叱責を受けると混乱してフリーズしてしまうということ。
当時は、まだ社会人になって間もないからこそ起きている事象であると考え、経験を積んでいけばできるようになると信じていました。そして、悩みながらも自分なりにミスが起きないように工夫し、努力していたんですが……」
度重なる叱責から、思い切って仕事内容や職場環境を変えたほうが良いと考え転職。しかし、転職先での業務でふと違和感を覚え、障がいの診断を受けることになります。
「当時、集計したKPIデータを顧客に納品する業務に携わっていました。会社で定められているチェックシートがあり、その手順に沿ってやっていくのですが、どうしてもチェックが漏れる・手順が飛んでしまうなどのミスが頻発してしまいます。
新入社員ではなく、すでに社会人としてさまざまな経験を積んでいるはずなのに、それでもうまくいかないもどかしさ。これはおかしいと感じてインターネットで調べ、発達障がいADHDの存在を初めて知りました」
そこで、「同じ悩みを抱える人はいないのか」と自ら調べ、すぐに病院を受診することに。
「テストを受けADHDだと診断されたとき、ガッカリとはせずホッとしたのが正直な気持ちでした。長年、悩んで苦しんで『なぜだろう』と考え続けていた自分のことがわかったことで、これからはこれに向き合えばよいのだと一つの道筋が見えたのです。
そして、まずは自分と向き合う時間が必要だと思いました。一旦立ち止まってしっかりと自分を理解しないと、また次の就職先でも悩んでしまうと考えたからです」
さまざまな人との出会いを通じて、発見した新たな自分
そうして、勤めていた会社を退職し、就労移行支援センター(※)に通所することを選んだ藤浦。ここで、就職に必要な知識やスキル向上のためのサポート、カウンセラーとの面談を通し、じっくりと自分と向き合いました。
就労移行支援センターでは、一般企業の実務を想定したデータ入力作業や書類の封入作業の実践、障がいの知識や対処方法を学ぶ座学がありました。通って良かったことは、自身の特性に対する対処方法を学べた点だと振り返ります。
「自分は、集中力のムラが著しく大きいことを知りました。過集中でもあるが、その反面集中力が切れると落ち着かなくなってしまうことを指摘いただいたのです。
データ入力の作業をしていたとき、落ち着きがない自分に対してカウンセラーの方が一声かけてくれたんです。『ちょっと一呼吸を置いてみるといいかもしれない。少しデスクから離れたところで水分を取って、落ち着いてみて』と」
少しでもスピーディーに仕事を終わらせて貢献したい、皆の役に立ちたいという気持ち。その責任感により、藤浦は焦ってしまいミスにつながりやすい傾向を発見しました。
また、一気に集中して手が止められなくなってしまうことで、やがてそれが疲労となって注意力が散漫し、ストレスがかかって体調が悪くなることにつながっていることにも気づけたのです。
「過集中になっているとき、自分の中ではいわゆる“ゾーン”に入った状態になるので気づかないのです。それを、センターに通所することで第三者から指摘してくれたのはとてもありがたかったです。
それからは、タイマーをかけて意図的に小休憩をとる仕組みにしたり、自分が冷静になれる環境やフリースペースを探して業務を行ったりと、自分の力をしっかり発揮できるための工夫の“引き出し”を増やしました」
※ 障害者総合支援法という国が定める法律に基づく支援制度により、障がいのある方の社会参加をサポートする機関
初めての障害者雇用枠の就業。広がった自分の可能性
1年通所した後、藤浦は初めて一般雇用ではなく“障がい者雇用”として派遣事業の会社に就業しました。そこで、新しいメンバーの教育を任され、ペーパーレスの推進に向けたデータ移行業務に携わるなど、自分の可能性が広がったと言います。
「新型コロナウイルス感染症が流行するに伴い、前社では繁忙期以外は在宅勤務になることが決まりました。しかしながら、当時は業務を行うにあたって紙を使うことが多かったため、まずはペーパーレス化の動きが活発に。その中で、私が主体となってペーパーレス化への取り組みに積極的に関与しました」
仕事を遂行する中で、さらなるキャリアアップをしたいという想いに駆られるようになった藤浦。より会社の成長に貢献できる仕事に就くべく転職活動を始めたところ、出会ったのがJA三井リースグループでした。
「転職エージェントの方にお薦めされた企業に複数応募していました。当時、私のJA三井リースの一次面接はオンラインだったのですが、オンラインでもとても話が弾んでさまざまな会話をすることができました。和やかで話しやすくてワクワクするような面接は初めてだったので、驚いた記憶があります」
JA三井リースの面接官から、興味や好奇心を持ってたくさんの質問をしてもらったことが印象的だったと振り返ります。
「たとえば、小学生のころのプログラミング作成や大学で学んだこと、新卒の会社や転職先のことなど丁寧に聞いてくださり、さまざまな分岐点での自分の選択や考えについて共感し、尊重してくれました。なので、選考中も躊躇することなくありのままの素の自分を伝えることができました。
お互い、良い関係でやりとりができる安心感を選考中から感じていました。また、選考中に採用担当の方もフォローしてくださったので、内定が出たときは即決で『ぜひ、働きたい!』と決めたんです」
多くの「Challenge」を積み重ね、培ったスキルを武器に挑戦し続ける
「現在は、JA三井リースオートの総務企画部にて、人事・総務の事務としてさまざまな“仕組みづくり”に関する業務を担っています。人海戦術で乗り切れそうな些細な休暇申請も、中途入社だからこその新たな視点でシンプルにかつシステマチックに運用を回せる体制構築に徐々に変えていこうと提案しています」
シンプルなフローでわかりやすく、スピーディーに業務が進む体制。これは、障がいの有無に関わらず誰もがわかりやすい、働きやすい環境となる第一歩です。
藤浦は、今までの業務経験から培ったITスキルを武器に、さまざまな業務改革に挑戦しています。
「誰かの役に立てたときはとても嬉しいです。業務改革をする際も、ベテランの方が私の提案を聞いて、関係者となる社内の方をつなげてくれます。
中途入社でも徐々に社内人脈が広がっていますし、ベテランの方も一緒にミーティングに入りフォローをしてくれるので、私も安心して不安や疑問を解消しながらさまざまな業務に挑戦できています」
また、JA三井リースオートでは2023年度から1on1施策がスタート。藤浦は、1on1の浸透・定着フェーズの運用を任されています。
「現在1on1施策で取り組んでいる業務は、システムやExcel関数を駆使して約200名の1on1の実施率を数値化して管理すること。
作業に集中したいときには、自販機の飲み物があるところや、窓が多くて開放的なフリースペースに移動するなどセルフコントロールを意識しながら業務を進めています。就労移行支援センターへの通所が終わった現在も、常日頃から自分と向き合い、自己理解に励んでいます」
最近は、JA三井リースグループにて精神・発達障がいをもつ当事者同士での悩みの共有やアドバイスをするコミュニティが立ち上がりました。そこで、藤浦はリーダーシップを発揮し、人事担当者と一緒に今後の施策やアイディアについて話し合っています。
「当社では、障がいのオープン、クローズは一人ひとりに合わせて対処しています。私個人としては、一緒に働く人たちとお互いに気持ち良いコミュニケーションを取りながらワンチームで働きたいため、プロジェクトに携わる方には必要に応じて自分のことを話しています。話をしてお互いに得意なことや苦手なことを理解し合えると、仕事がとてもやりやすくなります。
そして、社内では変に『障がい者』という目で見られることはなく、むしろ『やりたい』と前向きな姿勢を評価し、さまざまな業務に挑戦させてくれる文化があります。これからも、たくさんのChallengeを積み重ねていきたいです」
終始笑顔を絶やさず、持ち前の明るさで挑戦し続ける藤浦。今日もまた、さまざまなChangeを積み重ね、当社グループの経営理念である「Real Challenge, Real Change」を体現しています。
※ 記載内容は2023年9月時点のものです
