インフラ運営の基盤となるプラットフォームの開発を推進
インフロニア・ホールディングスが総合インフラサービス企業への進化をめざす中、その戦略の要となるのが総合インフラサービス戦略部インフラサービス改革室です。
同室が担うのは、インフロニアグループが抱える多様なインフラ運営事業をあらゆるステークホルダーの視点や利便性を踏まえつつ最適化するため、統合的な見地から技術開発に取り組む重要な役割。2024年4月に室長に就任した後藤を中心に、当改革室はグループ全体の成長戦略を推進してきました。
後藤:インフラサービス改革室は、インフロニア・ホールディングス設立後に新設された部門です。私たちの主な役割は、グループ各社の専門性と能力を統合し、われわれが公共インフラを運営するにあたり、より高度化、効率化することにあります。
コンセッション事業や包括的民間委託の運営改革に注力しています。具体的には、愛知県有料道路のコンセッション事業では資産管理システムを導入し、資産管理と連携した効率的な計画策定と発注業務を行っています。
また、他企業と連携し、舗装のライフサイクルコストの算出や、ドライブレコーダーの画像を用いた道路点検の効率化などに取り組んでいます。
インフラサービス改革室には、グループ会社からの出向者のほか、インフロニア・ホールディングスで新たに採用されたメンバーも在籍しています。2024年2月に入社した池田と、同年5月に入社した青木もその一員です。
池田:私の主要な担当領域は道路および橋梁関連の業務です。これと並行して、共同で開発した修繕計画策定支援サービスの普及活動や、橋梁の余寿命診断に関する構造解析にも携わっています。
青木:私は、道路や橋梁などのインフラ資産のアセットマネジメントを担当しています。これらのインフラ資産に関する情報やデータの価値を高め、効果的に活用するための方法を検討することが主な役割です。池田さんを含む他メンバーと協力しながら、業務を進めています。
池田:修繕計画策定支援サービスはまさに青木さんが専門とされている分野です。これまでもチーム内で議論を重ねてきましたが、技術的に不明確な点が少なくありませんでした。青木さんが加わったことで、これらの技術的課題が明確に解決され、業務の進捗が大幅に改善されたと実感しています。
多彩なキャリアと専門性の融合。インフラサービス革新を実現する理想の環境を求めて
1998年に前田建設に入社した後藤は、土木施工管理を軸にキャリアを歩み、2016年からコンセッション事業に携わっています。
後藤:入社後、最初の3年間は日本国内のダムや空港の造成工事現場に携わり、その後本店の総合企画部に所属し、続いて香港で10年間、インドで2年間にわたって土木施工管理に従事しました。
2016年1月、突如としてコンセッション事業への異動を命じられ、当時進行中だった愛知県の有料道路事業の入札チームに加わることになりました。それまでとは業務内容も環境も大きく変わり、まるで転職したかのような感覚を味わった記憶があります。
コンセッション事業と土木施工管理の仕事は、一見すると異なるように見えますが、仕事の進め方やコミュニケーションの方法、チームで目標を達成するプロセスには共通点が多くあります。施工管理で培ってきた経験があったからこそ、新しい役割への適応にそれほど大きな違和感はありませんでした。
インフロニア・ホールディングスが設立されたのは2021年のこと。これをきっかけに、コンセッション事業に新たな機能がもたらされました。
後藤:特筆すべきは、コンセッション事業における技術開発の領域が大きく広がったことです。これまでは、事業の黎明期ということもあり、まずは案件獲得が大きな目標でしたが、複数の案件を獲得し、それらを効率的に運営する段階に入ったことで、技術開発に注力する必要性が生まれました。
コンセッション事業でとくに印象深かったのは、大阪市の工業用水プロジェクトです。私はリーダーとして応札チームを率いましたが、案件獲得後、自ら現場責任者として赴任することを決断しました。
応札段階からの経緯を熟知し、大阪市との質問回答や対話など、多くの事項をすでに理解していたことが理由です。プロジェクトの全体像を把握した上で現場に入ることができたため、スタート直後から多角的なアプローチで業務に取り組むことができました。
一方、異なるキャリアパスを経てインフラサービス改革室のメンバーとなった青木と池田。それぞれ専門分野で深い知見と豊富な経験を培ってきました。
青木:私のキャリアは建設コンサルタントとして国内業務を担当することから始まっています。2004年からはインフラ資産のアセットマネジメントの研究に軸足を移し、国内外のプロジェクトに携わってきました。この間、大学での研究活動や国内プロジェクトのコンサルティング、さらに直近10年間は国際協力の分野で海外業務にも従事しています。
これらの経験を通じて一貫して追求してきたのは、自身の理想とするアセットマネジメントの実現です。私の考えるアセットマネジメントは、単なる劣化対策や予算削減のツールではありません。インフラの価値を最大化し、人々の生活の質を向上させるための戦略的アプローチだと考えています。
池田:私は2011年に新卒で地盤調査を得意とする建設コンサルタント会社に入社し、主に地盤調査・防災点検・地下水調査業務を担当しました。その後、より深い専門知識と論理的思考力を身につけるために、大学院の博士課程に進学。水循環に関する研究に従事し、水文学の理論的側面を深く探求しました。
2016年には、水環境のインフラ整備を担うコンサルタント会社に入社し、下水道施設の土木設計や水処理に関する研究開発に携わりました。さらに2019年には総合建設会社に転職し、地層処分の研究開発、電力土木を中心とする営業支援、設計計画支援、コンサルティング支援、現場支援業務など、多岐にわたる経験を積み、現在に至っています。
時をほぼ同じくして入社を果たしたふたり。参画の決め手となったのは、インフロニア・ホールディングスが秘める大きな可能性でした。
青木:適切な維持管理を基盤としつつも、インフラを効果的に活用して都市開発を推進し、質の高い公共サービスを提供することがアセットマネジメントの本質ですが、この理念は、インフロニア・ホールディングスが掲げる「総合インフラサービス」のビジョンと完全に合致します。
大学での共同研究を通じて「みおつくし工業用水コンセッション株式会社」の代表取締役社長を務める川井さんと出会い、対話を重ねる中でインフロニア・ホールディングスが他に類を見ないアセットマネジメント企業であると確信し、入社を決意しました。
海外での経験を通じて、日本のアセットマネジメント技術の強みを世界に発信する機会を得ましたが、同時に日本の技術の現状に疑問を感じる場面もありました。インフロニア・ホールディングスでの活動を通じて、世界に誇れる日本のアセットマネジメントのモデルを構築し、世界のインフラ運営の在り方に新たな指針を示すことができればと考えています。
池田:これまでインフラ事業で培った上流から下流までの一貫した実務経験と、博士課程で学んだ理論的な研究成果を実践的に応用できる職場を探していましたが、その条件を満たす環境を見出すことは容易ではありませんでした。
そんな中、2021年にインフロニア・ホールディングスが、私の専門である水事業を含むコンセッション事業への積極的な参画を表明し、自身のキャリアと研究成果を具現化できる可能性を強く感じたことを覚えています。
インフロニア・ホールディングスは、従来の建設現場では障害要因として扱われがちな水を含め、インフラに関わる全領域を扱う方針を打ち出しています。この先進的かつ包括的なアプローチに深く共感し、自身の専門性を最大限に活かせる環境だと確信し、入社を決めました。
青木:池田さんが指摘した通り、理論的研究・実践的研究を問わず、研究成果を実証するためのフィールドは国内にほとんど存在しません。インフロニア・ホールディングスは、ものづくり機能を有するだけでなく、多様な資産を保有し、実際の現場運営にも携わっています。理論と実践を融合できる可能性のある理想的なプラットフォームだと考えています。
現場で育んだプロフェッショナリズム。キャリア初期の経験が専門家としての原点に
研究活動と実務経験を並行して積み重ねてきた青木と池田。両者ともに、仕事へのモチベーションの源泉となる重要な転機がキャリア初期にありました。
青木:私はキャリアを通じてアセットマネジメントの実践に取り組んできました。これは建設コンサルタント時代のある出来事に端を発しています。
社会人2年目、九州の山間部にある渓谷に架かる橋梁設計プロジェクトに参画しました。その美しい自然景観を前に、インフラ整備と環境保全のジレンマに直面し、プロジェクトの本質的な必要性に対して疑問を感じました。この率直な気持ちを会社とクライアントに伝えたところ、当然のことながら理解を得ることはできませんでした。
この経験が私のこれまでのキャリア、アセットマネジメントに対する考え方の根幹を形成しています。インフラ整備の必要性についての議論では、視点や立場によって異なる解釈が生じるものです。そのため、絶対的な正解を求めるのではなく、なぜそのインフラが必要なのかを多角的かつ徹底的に検討することが、アセットマネジメントの本来あるべき姿だと確信しています。
この原体験以降、私のキャリアはさまざまな方向に枝分かれしていますが、その根本にある理念は一貫して変わることなく、現在に至るまで私の職業観の核心を成しています。
池田:私にとっても、最初に入社した建設コンサルタント会社での経験が、その後のキャリア形成に大きな影響を与えています。その会社では、営業活動を除くほぼすべての業務をひとりで担当することになっていたため、主体性を持って業務を推進しなければ、プロジェクトが停滞するリスクがありました。
たとえば、施工現場では時間的制約や空間的制限を与えられ、迅速な作業を要求されましたが、当時私が担当していた地盤・地下水調査は、その後の業務全体に大きな影響を及ぼす極めて重要な工程です。時には、「この条件下では適切な調査が実施できません」と主張するなど、新米であったにもかかわらず、経験豊富な現場所長と対等に渡り合う中で、「自分には克服できない課題はない」という自信と挑戦精神を育みました。
また、自ら行動を起こし、不明点があれば独自に調査し、それでも解決できない場合は有識者に相談する、というプロセスを徹底したことで、自己主導型の問題解決アプローチが身についたと感じています。同時に、「自分の担当業務で絶対に滞りを生じさせない」という強い責任感を養いました。
さらに、多岐にわたる業務に携わる機会を得たことで、幅広い分野への興味と適応力を培うことができました。当時のこうした経験が、現在の私の多面的なスキルセットと柔軟な思考力の基盤となっています。
分野を越えた知の結集を。専門性と対話力、情熱で切り拓くインフラ運営の新時代
コンセッション事業のリーディングカンパニーとして国内での地位を確立するインフロニア・ホールディングス。その中核を担うインフラサービス改革室の一員として、青木と池田には、それぞれめざす姿があります。
青木:情報やデータの価値を高めることが私にとって重要な課題ですが、長年アセットマネジメントに携わってきた経験から、重要なピースがひとつ欠けていると感じています。それは、アセットマネジメントを実践する専門的な組織の存在です。
行政機関でも地域コミュニティでもなく、複雑な課題を深く理解し、実践に落とし込める組織でなくてはなりません。「みおつくし工業用水コンセッション株式会社」をはじめとするSPC(特別目的会社)で活躍している方々をはじめ、インフロニア・ホールディングスのメンバーと議論を重ねながら、そうした理想のチームを構築していきたいと考えています。
池田:私は、流域マネジメントと呼ばれる水インフラの包括的な管理業務に携わりたいと考えています。現時点では具体的な業務として確立されていませんが、将来的に重要性が増す分野だと確信しているからです。
幸いにも、当グループには後藤さんをはじめとして、工業用水など水関連分野に精通した専門家が多数在籍しています。この恵まれた環境を活かし、部門を越えた活発な議論を通じて相乗効果を生み出して、新たな価値創造に貢献したいと考えています。
それが実現できるのは、総合力と先進性を兼ね備えたインフロニア・ホールディングスだからこそ。他社にはない当グループの強みと可能性について、チームを率いる立場から、後藤は次のように強調します。
後藤:コンセッション事業のトップランナーとして、理論と実践の両面から事業に取り組める点が私たちの強みです。事業の現場を実証実験の場として活用することで、革新的なソリューションの開発から即時の実装まで一貫して行うことが可能になり、それが競争優位性を生み出すと考えています。
たとえば現在、神奈川県三浦市で展開している下水道コンセッション事業では、不明水問題に取り組んでいます。不明水とは、本来下水ではない水が下水管に流入する現象のこと。この課題に対して、豊富な経験を持つ専門家の知見を活用しながら、マンホールポンプのリアルタイムモニタリングシステムの構築を進めています。
このように、各事業現場での取り組みを横断的に連携させることで、新たな技術やサービスの開発が加速されると確信しています。私たちの目標は、グループ内の事業会社間の垣根を取り払い、総合力を最大限に発揮することです。オープンイノベーション精神のもとで知見を結集させ、業界全体の発展に寄与する革新的なソリューションの創出をめざしています。
総合インフラサービス企業としてさらなる成長を遂げるために。未来の仲間に向けて、3人はこう呼びかけます。
池田:当グループの強みは、他のインフラ、建設関連企業と比較して高い自由度と個人に大きな裁量権が与えられる点にあります。主体性を持って行動できる環境が整っているため、自己成長に意欲的な方々にとって理想的な職場と言えるでしょう。
この環境を活かして積極的にスキルアップを図りたいと考えている方々に加わっていただきたいです。
青木:当社グループの大きな特徴のひとつは、組織の枠にとらわれない開放的な議論の文化があることです。後藤さんが常々強調される「是々非々」の姿勢、つまり物事の本質を見極め、正当に評価する姿勢には、私も深く共感しています。
私たちが扱うインフラ事業は公共性が高いため、この視点は非常に重要です。民間企業としてビジネスを展開しつつも、公共の利益を常に念頭に置き、正しいと信じることを主張できる環境がここにはありますし、それが技術者としてのモチベーション維持に大きく寄与すると考えています。
後藤:人材を採用する上で、専門性、コミュニケーション能力、パッションの3つの要素が重要だと私は考えています。専門知識、それを効果的に共有しチームに貢献できるコミュニケーション能力、そして自身の仕事に対する情熱を兼ね備えた方々と共に、インフラ業界の未来を切り拓いていきたいです。
※ 記載内容は2024年7月時点のものです
