ものづくりへの憧れから、CADスクール通学を経て建設業界へ
大学では政治経済学部で政治を専攻していた関。学生時代、建設業界に特別な関心があったわけではありませんでした。
「高校時代から家族といっしょにテレビのニュースを見て政策について話す機会が多く、自然と政治に対して興味を持つようになっていました。とはいえ、政治の世界に足を踏み入れるつもりはなく、就職活動ではメーカーや金融を幅広く受けて、最終的には人材系の会社に就職しました」
その後、人材派遣コーディネーターとして求職者のスキルを確認したり、仕事を紹介したりする過程で出会ったのが、設計支援ツールであるCADでした。
「以前から建築・土木分野やものづくりに憧れがあったんです。知識を習得してCADオペレーターになれば、文系学部卒の自分でも転職する道が開けるのではないかと考え、スクールに通って勉強し始めました」
希望がかなって橋梁設計や建築設計を手がける建設コンサルタント会社へ転職した関。新設の橋梁設計を扱う部署で、7年ほど設計図面を作成する業務に従事します。
「未経験者採用に積極的な会社だったこともあり、先輩社員が丁寧に指導してくれたので、入社後に戸惑いはありませんでした。たとえば、『段ボールで立体図面をつくってごらん』と上司から課題を出され、時間を割いて見守ってくれたことも。新しい分野の知識を吸収すること自体を楽しんでいました」
その後、仕事の幅を広げる目的でコンサルティング事業部に異動。その経緯について関はこう振り返ります。
「設計図面を書く仕事にはコンマ数ミリ単位の整合性が求められるため、マニアックなおもしろさがありました。ただあるとき、実際に自分が書いた図面が構造物として完成した様子を見学したところ、あまりのスケールの大きさに圧倒されてしまって。図面と実物との違いに驚きました。そしてより実物に近い世界へ、視野を広げるために、異動して新たな業務を経験したいと思うようになっていきました。
異動先となったコンサルティング事業部では、橋梁を含めた、道路・トンネル・公共施設の整備や維持管理に関わるマネジメント支援、官民連携の自治体向け提案などに携わりました」
コンセッション事業に惹かれ、前田建設工業へ。発注者に寄り添う提案を心がける
関は自治体向け提案などに携わる中で、官民が連携して公共サービスの提供を行う「パブリック・プライベート・パートナーシップ(PPP)」に関わる機会があり、その代表的な手法であるコンセッション方式に興味を持つようになりました。
コンセッション方式とは、高速道路、空港、上下水道などの公共施設について、施設の所有権を公共が有したまま、施設の運営は民間事業者が行うスキームのことを指します。
そしてコンセッション案件がまだ少なかった当時から、いち早く実績をつくったのが前田建設工業。愛知県の有料道路8路線72.5kmを約30年にわたり管理・運営を行う国内初の道路コンセッションを手がけ、注目を集めていました。
「講演の際にコンセッション事業を紹介する中で、よく愛知県の有料道路を事例として引用していて、そうした経験から、主体的にコンセッションに関わってみたいと思うようになっていったんです」
そもそも関がコンセッションに惹かれたのは、その意義や将来性でした。
「公共が抱えるインフラの老朽化が進んでいますが、人口減少や高齢化、税収入の減少といった課題を抱えていて、すみやかな対応が難しいケースも。そこに民間の経営ノウハウや技術力を投入することができれば、効率的に維持管理を行うことが可能です。
とくにコンセッションは、運営期間を数十年という単位で設定できるなど、民間企業が大きな裁量権を持ち、特性を発揮しながら貢献できるところに特長があります」
そして、コンセッション事業で実績を上げていた前田建設工業に強い憧れを持つようになった関は、思い切って前田建設工業への転職を決意します。
「憧れだった前田建設工業から内定通知を受けたときは、とてもうれしく、ワクワクしましたね」
関は2018年10月に前田建設工業に入社。
本人の希望通り、コンセッションやPPP/PFI案件に携わることになりました。提案書の作成など、コンセッション案件の応募に向けた準備作業を担当。そして現在は、経営革新本部の事業戦略担当として、獲得した案件の運営サポート業務に携わっています。
「提案は、技術的な部分と経営的な部分から構成されます。前田建設工業がとくに強みを持つのが、事業経営部分。これまで多くの案件を獲得して運営してきたノウハウがあるからです」
現在、神奈川県三浦市の「三浦市公共下水道(東部処理区) 運営事業」に携わる関が、提案段階でとくに意識したというのが、発注者のニーズを汲んだ提案づくり。
「三浦市の意向に寄り添った提案を心がけました。また、コンセッション事業は数十年単位で地域のインフラを担うため、地域住民に受け入れられることも重要な要素になります。
地域の関係者の方に直接お会いして実情や課題に耳を傾け、雇用促進など長期的な地域貢献につながる方策も盛り込みながら提案した点も評価されました」
産休・育休制度をはじめ、社内の制度を活用しながら仕事と育児を両立
これまでいくつかの提案を担当してきた関ですが、中でもとくに印象的だったと言うのが、入社して最初に取り組んだ案件です。
「東北地方の水関連の案件で、かなり多くの企業が参画している大規模な案件でした。未経験で知識がなく手探りの状態ながらも、周りの先輩社員からのサポートを受けながら取り組みました。
最終的に提案は通りませんでしたが、『いまだったらこうしたのに』、『もう少しうまく進められたのに』と悔やまれることも。そうやって苦労や失敗を繰り返して、経験やノウハウが培われていることを実感しています」
また最近、働き方に大きな変化がありました。2022年の下半期に、関は産休・育休を取得。2023年4月末に復職を果たし、現在は1児の母として仕事と育児の両立に励んでいます。
「さいわいなことに、当社では産休・育休制度が整っています。まだまだやり遂げたいことがたくさんあって、出産後も仕事を続ける選択肢しか考えていませんでした。とはいえ初めての経験のため復職が近くなると不安が募ることも。復職後に携わる案件の情報を少しずつ追いかけながらイメージトレーニングしていました」
復職を果たしたいまも、多様な制度をうまく組み合わせながら、快適に働くことができていると言います。
「フレックスや時短勤務といった制度を積極的に活用しています。また、上司の許可を得てリモートワーク中心の勤務をしていますが、ときどきオフィスを訪れて同僚と交流する機会が充実した時間に。周りには産休や育休を取得された方も多く、とても理解がある職場なので働きづらさは感じません。子どもと過ごす時間も大切ですが、仕事に打ち込む時間があることがいい気分転換になっています」
迷ったら難しい方を選んできた。未経験のことでも、前向きにチャレンジを続けたい
コンセッション事業に携わりたいと前田建設工業への入社を決めた関。当時の初心は変わらぬまま、さらなる成長をめざしています。
「入社時のワクワクした気持ちを大事にしたくて、仕事で行き詰ったときには、当時の内定通知書を引っ張り出してきて、『頑張ろう!』と気合いを入れ直すこともあります。携わる案件を通じてコンセッションの知識やノウハウを蓄えながら、いずれはひとつの案件をまとめ上げられるようになりたいです」
入社するまで、コンセッション事業は未経験。そんな関だからこそ実感できている当社の魅力があると言います。
「入社したときの率直な印象は『大人な会社』ということ。1から10まで面倒を見てくれるのではなく、自ら主体的に学び、助けが必要なときは手を差し伸べてくれる。
そんな環境の中、積極性を身につけるにしたがって、仕事がどんどんおもしろくなっていきました。やりたいことを実現できる機会が多く、自由度が高いところが前田建設工業の魅力。自ら能動的に動けるタイプの方には、ぴったりの環境だと思います」
常に自分自身に向き合い、必要なスキルを習得しながら、未経験分野にも臆せず挑戦してきた関。その背景には、彼女が大事にしている信念がありました。
「CADのスクールに通っていたときに出会った友人が行動派タイプで、何にでも挑戦する人だったんです。そんな彼女がよく口にしていたのが、『迷ったら難しいほうを選ぶ』という言葉。感銘を受けて、私もそんな考え方を大事にするようになりました。後ずさりはしたくないんです。いまの自分には難しいと思うことにも前向きに取り組んできました」
決して後ずさりはしない──実現したい未来や理想の自分像を追求しながら、関は前向きに、挑戦を重ねていきます。
※ 記載内容は2023年7月時点のものです
