携わったプロジェクトが、国土交通省「i-Construction大賞優秀賞」受賞
技術研究所は、製品と工事の両方の技術開発を担う部署。工事の品質や生産性の向上に貢献することがミッションです。
「もともと製品と工事はそれぞれ部門ごとに技術開発を行っていたのですが、2022年4月に一体化し、技術研究所として開発を進めることになりました。たとえば、製品に関しては、新しいアスファルト合材の製造や中温化技術、CO2の定着技術などの研究を、工事に関しては、ICTやDXを中心とした施工技術の開発などを行っています」
その中でも、若佐が在籍する社会基盤開発室が手がけるのが、ICT施工の工事技術の開発。ICT施工とは、デジタルシステムの活用によって建設現場における生産性や品質の向上をめざす工事の手法のことを言います。
「ICT施工は、国土交通省が2015年に本格始動したプロジェクトである『i-Construction(アイ・コンストラクション)』によって広く普及しました。当社としても、現場の担い手不足を背景に、人工の低減や工期の短縮をめざしてICT施工の技術を開発しています」
2020年度に「i-Construction大賞優秀賞」を受賞したプロジェクトにも携わっている若佐。「建機搭載型出来形管理システム」の開発を担当しました。
「これまで、国や都道府県など官公庁から発注される工事でのICT施工では、測量を人の手によって行っており、多くの人手や時間がかかっていました。加えて、舗装や路盤の厚みの計測では、その一部を取り出して検査を行う、いわゆる破壊検査を実施していました。
人手や時間を短縮し、かつ破壊検査を行わなくても厚みを計測できる手法としては、3D測量がありますが、従来の3D測量では測量データの解析に多大な時間を要していたんです。
そこで当社が開発したのが、『建機搭載型出来形管理システム』です。建設機械にレーザスキャナーを乗せることで、走行しながら計測ができるので、測量のための人員を割くことなく3Dデータを取得できるようにしました。
あわせて解析ソフトも開発し、データを保存すると同時に解析も行えるようにしたことで、従来は2~3日かかっていた解析時間を1日に短縮することに成功しています」
そんな若佐がいま携わっているのがアスファルト舗装の調査業務です。
「アスファルト舗装の調査業務は、路面のひび割れや道路下の土の性質を測って、維持修繕工事が必要かどうかを調査するもの。私はこれまで測量ばかりを担当し、舗装の構造に関する知識が少なかったため、上司の勧めもあって知識の幅を広げるために関わらせてもらっています」
現場に出ることも多いと話す若佐。働く人たちにストレスをかけないよう常に気を配っていると言います。
「入社してからの3年間、施工管理の現場監督として現場に出ていたので、現場の苦労はよくわかっているつもりです。工期が決められている中、研究所から『開発した技術を現場で使わせてほしい』と言われれば、対応するための準備をしなくてはなりません。こちらとしても極力現場の工程を変えないよう心がけています」
また、現場では、日々のルーティン作業が少し変わったり、いつもと違う人がいたりするだけでも事故が起きやすくなるもの。事故を起こさないことにも細心の注意を払ってきました。
「現場内でのちょっとした接触や転倒が大事故につながりかねません。当たり前のことではありますが、しっかりと安全通路を歩いたり声かけをしたり、事前打ち合わせを念入りにしたりすることを徹底しています」
土木の現場でものづくりがしたいとの想いから、第二新卒で前田道路へ
高等専門学校では土木を学んだ若佐。火力発電プラントの建設に携わりたいと、重電業界で土木事業を手がける企業に就職しました。しかし、事業整理にともなってシステムエンジニアの仕事を命じられます。
「システムエンジニアとして3年間働きましたが、つくったものが目に見えないことに手ごたえを感じられず、土木の仕事に就きたいとの想いを募らせていたんです。また、現場に出たいという気持ちも強かったので、施工管理ができる環境を求めて転職活動を始めました」
そんな現場へのこだわりを、若佐は幼少期から持ち続けていたと言います。
「父が鉄筋工で、『あの建物は俺が組んだんだ』という話を幼いときから聞かされていました。それもあって物心がつくころには、『私も大人になったら自分で建物をつくって、自分がつくったと人に伝えたい』と考えていたんです」
そんな若佐が転職先に選んだのが前田道路。第二新卒として入社できることが決め手になりました。
「中途面接を受けたのですが、年齢が若かったこと、土木未経験であったことから、希望すれば新卒の方々と一緒に入社させてもらえることに。第二新卒であれば、入社式に出席できて同期もできます。新入社員研修も受けられると聞いて、前田道路への入社を決めました」
2017年4月に入社を果たした若佐。神奈川県を拠点とする西関東支店に配属され、営業所を転々としながら、幅広い経験を重ねてきました。
「同じ県内でも、管轄している地域の特性によって工事の種類はさまざま。若いうちからいろいろな工事現場を経験できたことはすごく良かったと感じています」
たとえば、現場が広くても、住宅街の中だと道路が狭いことが多いため現場に持ち込める重機の大きさも異なります。多様な現場経験を得たことで、地域特性からその現場の特徴をイメージできるようになったと言います。
「現在の技術研究所の仕事においても、実際に試行する現場の図面と仕様書を見れば、自分たちの作業エリアがどれくらい取れるのかがある程度イメージできます。それを理解した上で現場との打ち合わせに臨めることは、すごくプラスになっていますね」
あわや施工ができなくなりそうな場面も。以前の営業所のつながりや先輩の助けが支えに
さまざまな営業所に勤めることで得られたものは、それだけではありません。2年目の夏、現場の周辺事情との兼ね合いから、日曜日に施工を余儀なくされたときのことでした。
「日曜日はリース屋さんも建材屋さんもお休み。足りない材料や機械があってもすぐに調達することができません。そのため、いつもより念入りに準備をしていたのですが、前日になって突然、夏バテなどを理由に職人さんが来られないことがわかったんです」
職人さんがいなければ施工はできません。藁にもすがる思いで、若佐は以前の営業所で一緒だった先輩に助けを求めました。
「その先輩が同じ営業所の面々に連絡してくれて、来られないはずの職人さんたちが『若佐が困っているらしいぞ』と言って集まってくれることになったんです。おかげで、予定通り施工することができました。
その一件以来、工事はひとりではできないことをあらためて痛感しましたし、いろいろな営業所につながりがあることの強みも感じました」
施工管理の仕事ではないものの、技術研究所に移ったいまも引き続き現場に携われていることを誇りに思っていると話す若佐。
「竣工後、国交省がその工事を検査し評価するのですが、『建機搭載型出来形管理システム』を試行した現場で高得点を獲得することができました。もちろん、そのシステムだけが評価されたわけではありませんが、自分が携わった現場が良い評価を得られたことはとてもうれしかったです」
このとき、若佐にはもうひとつうれしいことがありました。
「すでに別の業務に取りかかっていたにもかかわらず、私のところにわざわざ知らせをくださった方がいたんです。自分のことをちゃんと覚えていてくれていたことは、とても励みになりました。いまもいろいろな現場にお邪魔していますが、そこにひとりでも知っている方がいると仕事が進めやすいもの。つながりが増えていくこともうれしく思っていることのひとつです」
どんなかたちであれ、現場に携わっていけたら。今後は後進の育成にも意欲
今後も長く現場に携わり続けたいと話す若佐ですが、近年は後輩に教える場面も増えてきたこともあり、後進の育成にも力を入れています。
「同じ部署の後輩たちを指導するだけでなく、最近は新入社員研修の講師やインターンシップの講師を任される機会も増えてきました。どう話せばこちらが伝えたいことが相手に良く響くのか、試行錯誤しているところです」
また、建設業界で働く人材の多くは男性。女性がより働きやすい環境づくりにも関心があると話します。
「いろいろな場面で男性と女性がまったく同じように振る舞えるわけではありませんし、そうする必要もないと思っています。いまはうまく共存していくための糸口を探しているところ。互いに尊重しながら、性差に関係なく誰もがやりたいことに挑戦できる業界にしていけたらいいですね」
複数の営業所での施工管理、ICT施工の技術開発、後進の育成と、若佐がこれまでさまざまな経験を積んでこれたのは、前田道路だからこそ。同社には責任ある仕事を積極的に若手に任せ、成長を後押しする環境があると言います。
「2年目から小さな現場の指揮をさせてもらえるようになり、自分で見積りをつくって受注し、実行予算を立て、竣工後の利益の計算まで行っていました。もちろん、先輩のサポートもありましたが、『このお金は自分が稼いだのだ』という実感が得られて、ますますモチベーションが向上したのを覚えています」
任せられる裁量権が大きければ、それだけ成長につながるもの。そしてそれを温かくサポートする先輩の存在もまた、前田道路の魅力です。若佐はこれからもこの場所で、現場と向き合い続けます。
※ 取材内容は2023年7月時点のものです
