データセントリック時代の可能性と課題。次世代データ基盤の構築に向けて
──まずは現在の業務について教えてください。
鳥井:大手製造業のお客様を中心にDX支援を行っています。PM(プロジェクトマネージャー)として、他社のソリューションを活用した働き方改革や、データ分析基盤の企画・構築、ルールやガイドライン策定など、一連のコンサルティングをリードしています。
磯田:私は最近、お客様の次世代データ基盤の構築や、データ・AI活用をテーマとしたラウンドテーブルのファシリテーションなど、データマネジメントやAIの案件に携わることが多いです。コンサルタントとしてプロジェクトの初期段階から参画し、お客様の漠然とした課題をかたちにしていきますが、どちらかというとアーキテクトやエンジニアに近い役割が中心です。
また、プロジェクト以外ではプリセールスやRFP(※1)への回答、お客様向けイベントのサポートなども行っています。
福島:私は大手通信事業者のお客様を担当しています。プロジェクトの立ち上げから参加し、システムの設計・構築・運用に携わってきました。
※1 RFP: Request for Proposalの略称。提案依頼書の意味で、業務委託において、発注者が受注者に対して具体的な提案を求める際に用いられる文書のこと
──鳥井さんと磯田さんがData Management &AI(以下、DMAI)ソリューションに関わるようになった経緯を教えてください。
鳥井:私がデータマネジメントに初めて触れたのは、いまから10年近く前のことです。たまたまDMAI案件を担当したことがきっかけでした。
当時は、まだ現在のようにデータマネジメントが注目されていなかった時期だったため、参考になる事例やプラクティスも少ない中で、お客様の課題をお聞きし、試行錯誤しながら一緒に解決策を探るかたちで進めていました。
データは集めて管理さえすれば、どんな戦略にも活用できると考えられがちですが、実際はそう簡単ではありません。社内に散在するデータを集約する方法や、集めたデータの管理・標準化、見せ方など、課題はさまざまです。ステークホルダーが多いこともあり、関係者間の意見や方向性を一致させ、共通のビジョンに向かって進める難しさを感じていました。
磯田:私は2年半ほど前に日本ヒューレット・パッカード(以下、HPE)に転職し、入社後の初仕事でDMAI案件を担当しました。前職ではユーザー企業の社内SEならびにCoE(※2)として、ビッグデータ基盤のクラウドリプレイス案件やSRE(※3)業務、アプリケーション開発などに携わっていたというバックグラウンドがあったため、DMAI案件にアサインされたのだと思います。
※2 Center of Excellenceの略称。プロジェクトを推進するための人材やノウハウを集約する組織
※3 Site Reliability EngineerまたはEngineeringの略称。ここではサービスやプロダクトの信頼性の向上を図るために、システム運用の自動化、効率化、最適化を行うエンジニアおよびその組織のこと
データ基盤の構築から文化変革まで。DMAIがもたらす組織へのインパクト
──印象に残っているDMAI案件と、それらに携わるやりがいを教えてください
鳥井:最初に担当したプロジェクトが印象に残っています。経営管理系のデータ分析基盤の導入をおこない、私たちもお客様も、将来的にその基盤を全社的に広げたいと考えていましたが、当時はそれが実現しませんでした。
ところが、数年後にお客様側で全社的なデータ基盤構築の取り組みが決まり、HPEに再びお声がけをくださいました。初期のプロジェクトで一緒に仕事をさせていただいたお客様から、再度お手伝いする機会を得たのは非常にうれしい経験でした。
私はこれまで、PMとして初期の要件定義やグランドデザインから、基盤の設計・構築、さらに、統制を保つためのルール・ガイドラインの作成など、プロジェクトの円滑な進行をサポートしてきました。
データマネジメントを通じて、データ活用による意思決定を支援することは、お客様の業務プロセスに大きな変革をもたらします。単に業務に必要なIT機能を提供するだけでなく、組織文化を変える仕組みづくりに貢献できることに、大きなやりがいを感じています。
磯田:私は最近担当したプロジェクトがとくに印象に残っています。もっとも早い段階から関わった案件で、お客様は「データ活用を進めたい」という経営ビジョンを掲げているものの、データ基盤が整っておらず、データサイエンス部門での活用が進んでいない状況でした。
データマネジメントの取り組みはビジネスとシステムの両方にまたがるため、単独の組織で完結することが難しく、合意形成が大きな課題となります。そのため、システム部門をはじめ、複数の部門と協力し、多くの人を巻き込みながら進める必要がありました。
さらに、お客様社内の稟議プロセスでは、明確な課題がないと投資を得にくいのが現状です。しかし、個別の課題に対応していると、次第にサイロ化が進んでしまいます。
そこで、全社的なイノベーションを創出する上で、データの民主化の必要性を根気強く説明した結果、なんとか中期IT戦略のテーマに、統合的なデータ基盤の検討を盛り込んでいただくことができました。まずはスタート地点に立てたと感じています。
変革を実現するには、新しい価値観を取り入れ、組織全体が共通のビジョンに向かって動くことが重要です。データドリブンな文化を浸透させ、企業の競争力向上に貢献できることに、大きなやりがいを感じています。
また、技術スタックもまだまだ進化を続けているため、常に情報をキャッチアップし続ける必要がある点も、この仕事のおもしろさです。
──DMAIの今後の展望を教えてください。
鳥井:個々の業務部門でのデータ分析は多くの企業で行われていますが、組織横断的にデータを一元的に分析・可視化する取り組みは、まだ十分には進んでいません。HPEでは、グランドデザインの策定から基盤構築、ルールやガイドラインの作成まで一貫して支援する体制が整っています。ニーズの高まりとともに、これからもこうした取り組みがさらに広がっていくと期待しています。
磯田:今後、ビジネスやテクノロジーの変化はますます加速していくでしょう。それにともなってデータも変化し続けるため、データやその周辺環境は継続的インテグレーションが必要です。データ統合、加工や蓄積の機能だけでなく、データライフサイクル管理、データ品質維持、AI・マシンラーニングの精度維持、新しい活用のアイデアなど、データエンジニアやデータサイエンティストが必要とされる場面がたくさんあり、データ系エンジニアの需要がますます高まっていくと考えています。
福島:以前、ビッグデータを扱っていたことがあります。データを大量に集めて分析してたのですが、当時は分析ソフトウェアの性能がいまほどではなかったため、思うように進まないこともありました。最近はAIを活用しながら、昔できなかった分析もできるようになってきたので、まだまだこれから伸びる分野だと思っています。
多彩な学びの環境が成長の糧に。自主性と挑戦を尊重する文化が導くキャリアの多様性
──社内の学習環境についてお聞きします。DMAIを含む新しいプロジェクトに参加するために、どのようにスキルアップを図っていますか?
鳥井:HPEでは社内の教育制度が整っており、必要な書籍の購入支援や外部研修の受講など、業務に必要なスキルを高めるためのサポートが充実しています。私のように実地で経験を積みながらスキルを磨くタイプのエンジニアは、必要に応じてその都度トレーニングを受講するなど、柔軟にサポートを活用しています。
磯田:私が最近とくに興味があるのが生成AIです。確立された技術や体系化された知識も少ないため、皆が模索している状況ですが、社内にはこの分野を専門的に研究している有識者がいて、最先端の情報をシェアしてもらえるので非常に助かっています。
ネットではまだ手に入らない情報も多く、最新の技術動向を身近にキャッチできる環境があるのはたいへんありがたいです。
普段の勉強方法としては、案件中に生じた疑問はまずAIと納得いくまで対話することが多いですね。技術系の質問に関しては、比較的信頼性が高いと感じており、非常に重宝しています。
福島:私も本を読んだり、ネットで最新情報を収集したりすることが多いですが、とくに部内の勉強会の準備を通して、知識が広がったと感じています。HPEで唯一「2024 Japan AWS All Certifications Engineers」を受賞したことも、その成果の1つです。
この勉強会は、若手のスキルアップや資格取得を支援するために数年前に始めたもので、私が中心となって取り組んできました。約10名のメンバーで毎朝開催し、各自が勉強したことを発表してつまずいた点や理解が難しかった点を全員でディスカッションしています。
理解しているつもりでも、いざ説明しようとすると難しいことも少なくありません。そのため、勉強した内容を各自が発表する形式にしています。理解を深めると同時に、プレゼンテーションスキルも身につけてほしいと考え、継続してきました。
また、ひとりで学ぶと興味のある分野に偏りがちですが、全員で共有することでスキルの偏りを解消できることも、この勉強会の大きなメリットだと感じています。「オーディエンスのいない勉強会」が目標です。誰もが傍聴者となることなく、全員が積極的に発言できる場をめざしています。
──では、皆さんはどんなところにHPEらしいカルチャーを感じますか?
鳥井:私が当社に入社したのは、「人は良い仕事をやりたいと願っていて、会社がそれにふさわしい環境を整えれば、誰でもそうするものだ」という理念に共感したからですが、いまもその精神が根強く残っていると感じます。非常に働きやすい環境です。
磯田:私は中途入社ですが、HPEは個人の希望を尊重してくれる印象があります。やりたいことを積極的に伝えられる環境が整っていますし、部署異動も活発です。
私自身、飽きっぽいところがあるため、同じ業務に固定されずに流動的に動ける点は魅力的ですね。また、ストレッチゾーンにチャレンジできる案件にアサインしてもらえることもありがたく感じています。
福島:HPEでは、PMとテクニカルコンサルタント(以下、TC)の2種類のキャリアコースが用意されています。たとえば、昇格の条件もPMとTCで異なり、TCは技術分野での貢献が評価される仕組みです。社員の希望を尊重し、技術を追求するキャリアパスが整備されているのは非常に良い点だと思います。
また、スキルに応じた業務に参加できるのも魅力です。先ほどAWSの全資格を取得した話をしましたが、現在はAWS関連の案件にオブザーバーとして参加しています。成長するにともない、頼られていると感じる場面が増え、キャリアの幅の広がりを感じています。
働きやすい環境が支える自分らしいキャリア。3人の挑戦は、次のフェーズへ
──皆さんは子育てもされていますが、働きやすさの面ではいかがですか?
鳥井:基本的には在宅勤務がベースで、必要に応じて出社したり、お客様先にうかがったりしています。ほとんどリモートで業務を行っているため、子どもが急に熱を出しても対応しやすいですね。周囲の協力を得やすい環境があり、とても働きやすいと感じています。
磯田:私もリモートワークが基本なので、ワークライフバランスがとても取りやすいです。ミーティング時間の事前調整は必要ですが、授業参観や個人面談、登下校の見守りやPTA活動などにも問題なく対応できています。上司を含め、育児をしている方が周りに多いので、安心して働ける環境です。
福島:リモートワークができることは本当に大きいと感じています。子どもが熱を出したり、お迎えが必要になときも、嫌な顔をされることはまずありません。お互いの生活を尊重する文化があるおかげで、とても働きやすいです。
鳥井:PMの立場から付け加えると、仕事はひとりで完結するものではなく、多くの人と協力して進めるものです。それぞれに事情があるため、それを考慮したプロジェクト運営が求められます。誰もが働きやすい環境を前提にプロジェクトを進めることが大切だと思っています。
──では最後に、今後の目標を教えてください。
鳥井:PMとして、さらに大きな仕事を手がけたいと考えています。いまでも十分にやりがいのある仕事に携わっていますが、歴史に残るような巨大プロジェクトのPMをしてみたいですね。
たとえば、歴史的に「大阪城は秀吉がつくった」と言われますが、その陰には優れたPMがいたはずです。私もそんなPMになりたいと思っています。
磯田:私は、お客様のビジネスに貢献しながら、新しい技術領域を習得できるポジションで活躍し続けたいと考えています。お客様が興味を持ちそうな技術分野は、できる限りマスターし、周囲から頼られる存在になりたいです。
福島:私も磯田さんと同じく、新しい技術に関わる仕事がしたいと思っています。ITのどの分野でも専門家と対等に話ができるくらいの知識を身につけたいですね。
※ 記載内容は2024年11月時点のものです

