目標は、遠方の小さく映った人物でも高精度に検出するアルゴリズムの実現。
コネクティブエンジニアリング事業部に所属する國近。現在、人物検知システムの開発に携わっています。
「このシステムは、物体検出技術を応用してカメラで捉えた画像内の人物を検出するもので、とくにインフラ業界での活用が期待されています。例えば危険な場所に侵入した人物を検知し、通知するといった用途が考えられています」
開発における課題やポイントを、國近はこう語ります。
「現在使用しているカメラでは、対象となる人物がかなり小さく写り、そのような条件下では検出精度が落ちてしまいます。情報が少ない中で、それを人物としてどう検出していくか。そのアルゴリズムを検討するのが主なテーマとなります。
開発のポイントとして最も重要視しているのは、現状把握。どういった条件で人物の検出ができ、あるいはできないのかを明らかにする必要があります。作業の日程が決められているので、トライアンドエラーを無闇に繰り返すのではなく、必要な部分に注力することが重要。そのため現在は昼の条件に絞り、検出可能な情報量を探っています」
チームは2人体制で、國近はアルゴリズムの検討と性能評価を担当し、もう1人のメンバーがプロジェクトのマネジメントを務めています。
開発において難しい点は「正解がないこと」と、國近は言います。
「参考にできる文献や過去の事例が少ない中、論文などを手探りで集め、試行錯誤しながら進めていく必要があります。一方で、実験を重ねて結果の正しさを見極め、次の取り組みを考えていく過程はおもしろいですね。新たな知見を得ることができ、大きなやりがいになっています」
人物検知の精度については、かなり高い目標を掲げているとのこと。
「小さく映った人物は特徴量が少なく、高精度に検出することは非常に高いレベルの目標になります。これは、非常にチャレンジングな取り組みになりますね」
自分で開発したAIが実際に動いている様子を見たい。組込みAIに強い当社へ
國近がプログラミングに興味を持ったのは高校生の頃。ゲーム好きだった彼は、プログラムを書いてものを動かすことに興味を持ち、大学は情報科学部に進学しました。
「大学に入学し、実際にプログラミングを学んでみると、難しくておもしろさを感じられなかったんです。けれど、プログラミングでゲームを作る機会があって、できたものが動いた瞬間、その楽しさに目覚めたんです。
大学の途中までゲームの製作に夢中になっていたのですが、ある研究室に入ったらAI関連の画像処理を専門に研究していて、画像を入力するとパッと物体が認識されることに驚きました。画像から犬などが検出されるのを見て、とてつもなくすごいなと。そこからもっとAIを深く知りたくなりました」
就職活動では、産業系に強い会社を選んでいった國近。そんな中で目にとまったのが日立産業制御ソリューションズでした。
「AIの研究をするのも楽しそうだし、AIを使ったシステムのコンサルティングという道もあると思いました。とにかくAIに関わる仕事がしたいと思いましたが、どの道に進むべきか悩みました。
AIを実験するだけなら他社でもできると思いますが、日立産業制御ソリューションズは組込み分野に強い点に魅力を感じましたね。将来的に自身で開発したAIが組み込まれて動いている様子を見てみたい。面接でもAIの話ばかりしてしまいましたが、熱心に聞いてくれた社員の人柄と、自分のやりたいことを優先できそうな環境を魅力に感じて、当社を選びました」
最終的には、自身で研究・開発したものが実際に見られるという点が決め手となり、当社に入社した國近。入社後は約3ヵ月間の研修を受けました。
「基礎的なことから始まり、会社の規則や各事業所の業務内容を学びました。プログラミングに関しては、C言語やC++などの記述方法を学びました。
大学では自由な雰囲気の中でプログラミングを学んでいましたが、社会人になると品質への意識の高さを痛感しましたね。バグを出さないよう細心の注意を払いながらコーディングする難しさを学びました」
手がけた技術が世の中で活用されていく。エンジニアならではの喜びとやりがい
さまざまなことを経験する中で、とくに2年目の終わりに研修員論文に取り組んだことは印象深かったと言います。
「入社1〜2年間で携わった作業や実績をまとめ、論文にして上司の方に報告するという、かなり大掛かりな内容でした。論文のテーマはAI関連で、論文の構成などについて指摘をもらいました。
最初は自分のやったことばかりを報告していたので、内容が伝わらず、相手に理解してもらうには、課題や背景、対策などを順序立てて説明していくことが大切だと教えてもらいました。また細かいところでは文章の表現についてもアドバイスを受けたりしましたね」
研修員論文をまとめ上げ、分かりやすく報告できたことは大きな自信に繋がったと言います。
「発表後、上司から『口頭説明が良かった』とお褒めの言葉をもらいました。研修員論文に取り組んだことで、それ以降、案件を説明する際は、適切な言葉選びや説明の順序、図の見やすさなど、相手に伝わるような工夫ができるようになりました」
現在、開発している人物検知システムは、将来的には侵入禁止エリア監視への活用が期待されています。
「人が侵入禁止エリアに立ち入らないように、未然にそういった事態を検知できるようにすることが目標です。とはいえ、まだ検討段階で目標まで道のりは長いですが、人の役に立つ技術を開発しているという実感があって。それがモチベーションになっています」
AIや画像処理分野など、最新技術に携わる魅力について國近は語ります。
「最先端の技術に触れられることがとても楽しいです。スピードが速いのでキャッチアップが大変ですが、その分、やりがいがありますね。
また、自身で開発した技術が実際に製品に組み込まれて使われるのが嬉しいですよね。開発したシステムが製品化されたら、ぜひ実物を見に行きたい。製品が記事などで紹介されているのを見るだけでも、楽しいです」
最新技術を駆使しながら、社会に貢献したい──それがエンジニアの原動力
入社4年目を迎えた國近。仕事に対する意識にも変化が表れてきたと言います。
「最初は受け身で、言われたことをこなすのが精一杯でした。しかし、より難しく責任ある仕事を任されるようになって、しだいに自ら積極的に提案したり、作業を進めたり。意識が大きく変わりましたね」
今後力を入れていきたいことについて、國近はこう語ります。
「技術面では、AIや画像処理の知識をさらに深めていきたいです。将来的には、いわゆる上流工程にも携わるようになって、お客様とのやり取りを通じて要件や悩みを引き出し、それを解決するためのアイデアを出せるようになりたいですね。
また、後輩が入ってきた際に適切な指導ができるよう、開発の進め方などについて、知識を深めておきたいです。先輩方のように尊敬される存在になりたいですね」
エンジニアとしてのスキルアップとともに、人間的な成長もめざす國近。当社には新しいことへのチャレンジを後押しする風土があると言います。
「上司から新しいことへの参加を促されることが多く、会社全体が新規事業分野の開拓に力を入れていると感じますね。社員一人ひとりがアイデアを出し合う社内コンテストがあるんですが、採用されたアイデアは実際に事業化されることも。
また、もし自分のやりたいことが変わったとしても、希望を聞いてくれる雰囲気があるので、かなり自由度が高いと感じています」
当社に向いている人物像についてはこう語ります。
「新しいことに積極的に取り組んでいく姿勢を持った方が向いていると思います。チャレンジ精神を持ち、常に勉強することを厭わない姿勢が大切。新しいことにワクワクしながら取り組める人が合いそうですね」
AIをはじめとする最新技術は、常に進化し続けています。そんな領域で働く喜びについて、國近はこう述べます。
「生成AIが登場するなど、さまざまな形でAIの進化が進んでいます。スマートフォンが普及したように、いずれは検索などもAIが当たり前になっていくのではないでしょうか。
著しい進化を遂げる最新の知識を得ることも楽しみの一つではありますが、社会により良いものを提供できることにやりがいを感じています。新しい技術を取り入れることで、画像認識の精度はどんどん向上しています。技術を駆使して、少しでも世の中に貢献できることが、大きなモチベーションになっています」
技術の探究を通して社会に貢献することが國近のエンジニアとしての原動力。新しい技術への探究心と、自ら提案し行動する姿勢が、若きエンジニアとしての成長を支えています。
※ 記載内容は2024年5月時点のものです

