時代に合わせた変化を取り入れながら、変わらない価値を再定義することも私たちの使命
グランビスタ ホテル&リゾート(以下、グランビスタ)に1983年に入社以来、40年にわたって多彩なキャリアを歩んできた大坂。2015年に執行役員に就任し、その後もホテルの総支配人、事業運営統括部長など、会社の成長に大きく貢献してきました。
「最初は、仙台にあったホテルの宴会部門で4年ほど働き、その後は札幌グランドホテルに移り、企画業務に10年間従事しました。1997年頃に本社の企画部署へ異動しますが、2年後には札幌グランドホテルに戻り、マーケティングや営業推進を7年間担当。
それから仙台のホテルで支配人を経て、2009年から本社でセールス・マーケティング、事業開発、ブランディングなど、幅広い業務に携わってきました」
広く捉えれば、人材開発もマーケティングだと話す大坂は、そういった視点で人材開発にも力を入れてきました。
「商品の質を向上させるためには、人材育成が不可欠だと考え、札幌グランドホテルの営業推進室に人材開発を組み込んだこともあります。現場に設置した理由は、もちろんマネジメントスキルを教えることも大事ですが、私たちの業界では人を磨くトレーニングが必要だと感じています。
より実情に即した場所で、いいサービスができて料理やワインなどの実践的なスキルを持つ人間が後輩を育てる。そういった技術的なスキルを磨けることは、会社としての魅力や強みにもつながると考えています」
そして2024年に、札幌グランドホテル・札幌パークホテルのセールス&マーケティング統括支配人に就任。営業推進課、CRM課、客室予約課など、5つの課を大坂は統括しています。
「現在は約20年ぶりに札幌での業務に戻っていますが、この間に多くのものが変化していることを日々実感しています。そこに自身の今の感覚と過去の経験を合わせ、その上で新しいことにチャレンジするのが直近の目標です。
一方、札幌グランドホテルは90周年、札幌パークホテルは60周年を迎え、その変わらない価値を若い世代に向けて再定義する必要性を感じています。これは、お客様に限った話ではなく、当社のキャストメンバーもそうですし、これから入社される方に向けても、仕事のやりがいや楽しさをもっと伝えていきたいですね」
キーワードから見えてきた当社の価値。策定に向けて800名にアンケート調査を実施
グランビスタのブランドステートメントが策定されたのは2013年のこと。当時、本社の開発事業部長を務めていた大坂は、そのプロジェクトの一員になり、旗振り役となって策定に着手します。
「まず策定の背景として、当社は2007年に『三井観光開発』から『グランビスタ ホテル&リゾート』へと社名を変更しました。その際、株主、雇用、顧客、事業開発、社内の5つの市場に対して、企業における目的をわかりやすくメッセージとして再定義することになったのです。また、当社は多様な事業体が集まっていますので、もともとあった他事業と方向性を一つにするためのものでもありました。
策定にあたっては、社内で当時の経営陣へインタビューを行い、会社の歩みを振り返ってもらいながら、めざすべき姿を聞いていきました。また、幅広く意見を取り入れるため、全国の20代から50歳までの一般利用者800名を対象に、当社に対してどのようなイメージを持っているかのアンケート調査を実施。すると、“北海道発”、“多様な事業体を持っている”、“地域の一番館”、“地域活性化への貢献”など、いくつかのワードが見えてきました」
経営理念は守りつつ、ステートメント、プロミス、バリュー、ホスピタリティ、アクションという新たな構成要素を構築。「地域の価値で、未来を変えていく。」を当社のブランドステートメントとして提案します。
「出てきたキーワードをパズルのように当てはめていく過程で、当社の価値をあらためて実感できましたね。また、これらには『当社が地域の価値を発信する拠点となり、地域文化に触れてもらうことで人と地域をつないでいきたい』という当社の想いも強く反映されています。
もともと私は、マーケティングでよく聞かれる『シンクグローバル、アクトローカル(地球規模で考え、地域で行動する)』という考え方を大事にしていました。ローカルのホテルとして地域のために行動しながらも、より広い視野でグローバルに考えていく。そういった思考が染みついていたため、ステートメントは個人的な価値観にもしっくりきました」
いろんな捉え方があってもいい。1つひとつのワードに込められた願いと伝えたい想い
グランビスタのブランドステートメント「地域の価値で、未来を変えていく。」には、さまざまな想いが込められています。あえて地方ではなく、“地域”という言葉を選んだ理由をこう話します。
「地域という言葉には、より広い意味が込められていると私たちは考えています。たとえば、札幌を考える時は北海道の視点でもいいですし、北海道を考える時は北日本の視点でもいいのです。これはシンクグローバルの考え方にも通じていて、上位概念で見ていけば海外からは日本の価値にもなりますから、私たちは地域という言葉にこだわりました。
そして、未来という言葉も、1秒後、明日、1年後のどれも未来であり、さらに言えば10年後から100年後まで、すべてが同じ『未来』なんです。つまり、このステートメントは“世界の価値で100年後を変える”という風にも解釈できますし、 “札幌グランドホテルの価値で明日を変える”と捉えることも可能になります。
解釈が広がれば広がるほど大きな仕事ができ、狭めれば深い仕事ができるのではないかと考えています。読んだ人の経験値や物事の考え方によって変化する解釈の幅広さが、このステートメントの魅力ではないでしょうか」
ブランドステートメントを支える4つのアクションポリシーにも、それぞれに重要な意味が込められています。
「“広い視野で『つながり』を考え、行動しよう。”は、先ほどの地域の考え方に通ずるところがあります。“時代の潮流を創ろう”は未来を作っていこうという意味。“フロンティアスピリットを持ち、挑戦しよう。”は、他3つのアクションを起こすための挑戦する気持ちであり、エンジンのような役割です。また、フロンティアスピリットには、キーワードの1つである『北海道発』という意味が込められています。
最後に、“グランビスタの『多様性』と『個性』を活かそう。”がありますが、ステートメントをどう捉えるは人によって変わりますし、変わってもいいことだと私たちは考えていますので、それが多様性と個性につながっています」
続けて、策定当初からあるキャストメンバーへの想いを話します。
「事業所内での業務にとどまらず、地域の発展に貢献したいという意識を持った人たちが集まり、お客様に良いサービスを提供してほしい。これが策定当初からある私たちの想いです。そういう人たちが集まって働けば楽しいでしょうし、より仕事へのやりがいを感じられるのではないかと思います。
また、自分たちのアイデンティティを見つめ直した時に、目の前にある仕事が地域の価値向上につながっていることをもっと知ってほしいですね。ステートメントには、こういった私たちの想いに共感してくれる人が増えてほしいという願いも込められています」
かっこいいと思える仕事が一番。人を幸せにできることに誇りを持って楽しんでほしい
ブランドステートメントを策定してから10年が過ぎ、変化を実感できる場面は多いと言います。
「策定後は、ステートメントに共感して、当社を選ぶ人が増えてきていると人事から聞いています。私自身も、とくに若手社員がステートメントを信じて業務に取り組む姿を見ると、非常に頼もしく感じますし、策定してよかったなと心から思っています。
実現に向けて日々努力していますから、そういう人たちが会社を引っ張っていく存在に成長してくれたら嬉しいですね」
そんな大坂には、キャストメンバーらと共につくりたい世界観があります。
「“かっこいい”と思えることがしたいですね。それはステートメントにも通ずるところがあり、私たちの仕事は社会貢献ができて、人々を幸せにできる仕事だと考えています。
そこで一生懸命働くことはかっこいいと思いますし、新しいことに挑戦する時はかっこよく勝って、失敗する時はかっこよく負ける。キャストメンバーには、自分の仕事に対してプライドや信念を持ちながら、何よりも楽しんでもらいたいです。おいしい料理や素敵な客室をお客様にお届けできる素敵な仕事ですから」
最後に、この仕事のおもしろさや魅力を次のように話します。
「ホテルの商品はACSと言われ、Aは環境や設備などを意味するアコモデーション。Cのキュイジーヌは料理、Sはサービスという3つで基本的には構成されています。新しい商品を生み出していくためには、すべての知識を身につける必要がありますが、これらを組み合わせて実際にお客様へ提供できることは楽しいものです。
完成した商品が売れると嬉しいですし、試行錯誤しながらも商品を生み出し続けられることが、この仕事のおもしろさだと感じています。そのためには新しいアイデアは非常に重要で、若い世代が積極的に意見を出せるような仕組みづくりや、それらのアイデアが早期に実現できる環境を整えていくことも必要だと考えています。
札幌グランドホテルの真の伝統は、90年の歴史の積み重ねだけではありません。札幌で最初の本格的洋式ホテルとして誕生した時、その存在自体が革新的でした。このホテルから発信されるものはすべてが新しく、それこそが本来の伝統であり使命だと考えています。革新的なものを発信し続ける精神は、これからも持ち続けていきたいですね」
※ 記載内容は2025年2月時点のものです

