率直さと温かさを大事に。誰もが心の奥底に持つ柔らかい部分に触れたい
アスタネは、GPが運営している事業所の中で唯一の就労継続支援A型事業所です。障がいのある方と雇用契約を結んで菌床シイタケを生産し、浦和や大宮を中心に40店舗ほどのスーパーに納品しています。
私たちがめざすのは、障がいの有無にかかわらず、人が仕事を通して活躍し、社会と関わっていくこと。アスタネは働く仕組み作りをしている場だと考えています。この「アスタネモデル」を参考にした働き方や考え方を広めていくことがミッションです。
職員は現在6名。私は副施設長として、販売・管理、スタッフ募集、スタッフとして働く利用者さんのシフト管理や相談支援、経理など、幅広い業務を担当しています。
また、年間の売上目標達成のためにアスタネのチーム全体に働きかけることも私の役割。今年は、これまで以上に高い目標を掲げているため、どのようなアクションをとるべきかを考え、実践しています。
私が仕事をする上で大切にしているのは、率直さと温かさ。人は誰でも、もともと素晴らしい力を持っているのですが、さまざまな状況や障がい特性・症状によって不安を感じやすく、その結果、もともとの力を忘れてしまうことがあります。ストレスによってなかなか仕事がうまくいかないこともある。それを日々のかかわりの中で気づいたり、相談をしていただいたら、ご本人が、自分自身で、本来持っている自分の力を思い出せるような声かけをすることを心がけています。
一緒に働いていると、一人ひとりの良いところ、すてきなところは自然と見えてくるもの。そう感じた時に、ためらわず本人に伝えることを心がけています。
一方で、職場でもあるので、こちらから何かフィードバックしたほうがいいときは率直に伝えます。よりよいシイタケをお客様に届けるため、アスタネが職場として自律した場であるために、ご本人にとって厳しいと感じそうなことでも、ご本人により届きそうな言葉を選んで伝えることも私の役割です。
時にはなかなか心を開いてもらえない方もいますが、誰もが心の奥底に柔らかい部分を持っています。そこに触れた瞬間、私自身キュンとするような感覚があって、それが好きなんですよね。だから、その柔らかい部分に触れたいと思うし、すてきだと感じたことは言葉で伝えたい。私も、そう思ってもらえる人でありたいんです。
学生時代のフィールドワークをきっかけに、障がい者支援を仕事にすると決意
この仕事をするようになったきっかけは、大学時代に路上生活を送っている方の支援についてフィールドワークで学んだことにあります。中でも、支援者の方たちがなぜこの仕事をしているのか、どんな想いで接しているのかに強く興味を持ちました。
とくに印象に残っているのは、ビッグイシュー日本での活動です。ビッグイシューは、路上生活を送っている方に仕事を提供することで自立をサポートする事業。職員が適度な距離感を保ちつつも信頼関係を築き、生活面や健康面のサポートをしている姿に、仕事を通じた長期的な関わりが、着実な支援につながっていくのだと実感しました。
その活動の中で出会ったのが、路上生活支援の第一人者であり、一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事の稲葉 剛さんと小林 美穂子さんです。お二人は、路上生活を送っている方たちと、日々ちょっとした関わりを持ちながら、必要な時に必要な支援を提供されていたんです。支援のファーストステップとして、最初に住む場所を提供するなど、「住まいは人権」と考えるハウジングファーストの概念を広めています。
お二人が長い時間をかけて路上で出会った方々と関係を作り、問題意識を持って、着実に行動を積み重ねている姿に感銘を受けました。そして、その活動に触れることができたことを幸運だと感じました。
こういった活動を通して、貧困に陥っている方の中には障がいのある人が多くいらっしゃることを知りました。その支援には、専門的なスキルやマインドが必要だと感じるようになり、障がい者支援に携わっていきたいと考えたのです。
そして、ボランティアではなく仕事として続けていきたいという想いから、障がい者支援事業をしている会社への就職を決意。第一志望だったGPに入社しました。
入社して最初に配属されたのは、atGPジョブトレという就労移行支援事業所。私は生活支援員として、相談支援のほか、施設運営にかかわるさまざまな仕事に携わりました。
atGPジョブトレでの経験は、社会人としての土台作りの期間でもありました。利用者さんが「働くとは何か」「長く働くためには何が必要か」を学ぶ中で、私自身も仕事に取り組む姿勢や報連相の大切さなど、基本的なビジネススキルを学ぶことができました。
良い面も悪い面も補い合いながら、一丸となって目標に向かうチームへ
学生時代に路上生活者支援の現場で見てきた、長い時間を一緒に過ごすからこそ築かれる関係性の中で支援してみたい──その想いから、就労継続支援A型事業所であるアスタネに異動しました。atGPジョブトレの就労移行支援は2年間という期間が決まっている一方で、雇用契約を結ぶ就労継続支援A型では、長期間のサポートが可能になるからです。
ただ、就労継続支援A型の事業所では、施設運営から作業まで、職員は幅広い業務を担当する必要があります。さらに、これまではデスクワークが中心でしたが、仕事内容がガラリと変わります。アスタネはシイタケの栽培やパック詰めなど体を使う仕事もあれば、スーパーとの販売調整など臨機応変に状況に対応していくことも必要です。販売では、いかに質のいいシイタケを栽培し、収穫したものをロスせず商品に変えて、売上目標を達成するかが大きな壁であり、やりがいです。また、この目標を達成するためには自分一人で頑張るのではなく障がいのあるスタッフ含めて全員で知恵を出し合いながら動くことが必要です。
その壁を超えるために取り組んだのが、情報収集。アスタネでは障がいがあるスタッフも配送業務を担っています。現場を知っているのは、スタッフです。だからこそ、スタッフたちに、どの店舗の売上が良いのかをリサーチしたり、これまでの在庫管理の方法を教えてもらったり。いろいろなことを教わりながら全員一丸となって目標を意識して動いたことで、2023年は12カ月連続で目標を達成できました。
アスタネでの勤務はまだ1年ほどですが、以前は頼み事をしても消極的だったスタッフが積極的に引き受けてくれるようになったり、休むことが少なくなったり、ポシティブな変化がたくさんあることもうれしいですね。
スタッフはもちろん、職員から学ぶことも多くあります。とくに、アスタネは職場としてどうあるべきかという思想が一致していることが印象的です。シフト制で全職員が常に顔を合わせるわけではありませんが、みんなのめざす方向が同じなんですよね。
たとえば年末の繁忙期に、需要の高い大きなシイタケが足りないことがわかった時。施設長から連絡をもらった新入社員が、すぐに菌床の販売元の会社に問い合わせ、対処法を教えてもらいました。その後、事業所にいた職員全員でシイタケを大きくするための対策を実践したのです。
目標に向かってやるべきことをやる、最善を尽くすアスタネの姿勢と魅力を実感しました。こうやって、仕事を通してスタッフや職員との関係を築けるところにやりがいを感じます。一緒に働くことでお互いの良い面も悪い面も見えてきますが、それを補い合いながらチームになっていると感じます。
就労継続支援A型には大きな可能性がある。一人ひとりの可能性を信じ、全力で向き合う
シイタケを通していろいろな場とつながる。それも、この仕事の楽しさです。幼稚園の園児たちがシイタケ狩りに来ることもありますし、他の地域のマルシェなどに呼んでもらえることもあります。ほかにも、スーパーでの試食会で地域の人たちと触れ合うことも。
アスタネやシイタケを通じて、自分のつながりたい人や場所とつながっていく。そんなライフワークになるんじゃないかと思っています。
また、スタッフからよく言われるのは、「ここでは障がい者として見られている感覚がない」ということ。もちろんそれぞれの特性に合わせた配慮は必要ですが、それはその方の一つの側面に過ぎません。
アスタネはスタッフ一人ひとりの可能性を信じて、「できるよね。やってみよう。楽しもう」という姿勢がスタートライン。うまくいかないこともあるかもしれませんが、やりたいと思うなら全力で応援するし、一緒に取り組んでいきたい。
もちろん、こちらからの一方通行ではありません。私たちが改善すべき点は率直にフィードバックをもらいます。実際、私もスタッフから「職員としての自覚を持ってください」と叱られることがあります(笑)。
障がいの有無にかかわらず、お互いの個性や力を認め合い、同僚として共に成長していく。アスタネでは、みんながそんな想いを持って働いています。
GPやアスタネの社員に共通しているのは、まわりの人に関心を持ち、相手のことを想像できる力があること。そして、結果はわからなくてもプロセスを楽しめること。その姿勢を持った人を、全力で後押ししてくれる、温かい会社です。
就労継続支援A型事業所には大きな可能性があると、私は信じています。スタッフと共に目標達成を本気でめざし、仕事を通じたチームづくりに挑戦したい方と、ぜひ一緒に働きたいと思っています。
※ 記載内容は2024年7月時点のものです

