マネージャーになっても現場を感じられるように、求職者様との接点を取り続ける
私は、精神障害のある方のキャリアプランナーのチームに所属し、2024年4月からマネージャー職に就いています。
マネージャーとしての重要な役割は、チームのマネジメントです。毎週月曜日にはチーム全員が集まる時間を設けています。ここでは、会社の方針や重要なアナウンス事項を共有し、メンバーそれぞれの目標進捗や週のスケジュールを確認します。
また、メンバーのメンタルヘルスについても、元気度を10段階で共有してもらい、お互いが今どういう状態なのか認識できる体制を整えています。さらに、各メンバーとは1on1ミーティングを毎週実施し、直近の求職者対応での課題や将来的なキャリアについて率直な意見交換を行っています。
一方で、自分の個人の目標として求職者様のサポート幅を広げていく動きはマネージャーになっても継続したいと考え、少ない人数ですがキャリアプランナー業務も担当しています。とくに意識しているのが、精神障害者保健福祉手帳の等級が1級の方や根強い偏見がまだある障害名の方などのサポートです。
たとえば、厚生労働省の位置づけでは1級の基準はいわゆる就労が難しい状態であり、社会でも等級情報から偏見が強い傾向にあります。そうした方々のサポートを自ら積極的に行い、リアルを体感することでエージェントとしてサポートできる可能性を見出し、そのノウハウを社内に共有することで、チーム全体の知見を高めることに貢献したいと考えています。
そのほかには、他部署との連携も重要な役割です。ゼネラルパートナーズ(以下、GP)の就労移行支援事業所を卒業された方が就職フェーズに入る際には、当然GPのエージェントをご利用いただきたいのですが、以前は連携不足から他社のエージェント経由で就職されたケースも多々ありました。
もちろん、利用者さんの選択肢という観点では他社でもご利用いただき問題ないのですが、自社の社員同士の連携を密にすることで利用者さんによりご希望に沿った求人のご提案など還元できることがあると考え、就労移行支援事業所のメンバーとミーティングを2週間に1回ほど行い、進捗状況や課題の共有、施策の実施など連携を強化しています。
おかげで以前よりも自社経由で就職される方も増えており、社員同士の連携のしやすさも増していると現場からは聞いています。
海外ボランティアの経験や自身の当事者性が、社会課題に向き合う企業への関心につながる
大学生のころ、メディアで見たアフリカの貧困問題に心を動かされ、自分もなんらかのかたちで関わりたいと考えていました。そんな中、トーゴでフランス語のアシスタントティーチャーを募集するボランティアプログラムを見つけました。フランス語学科に所属していた私は、学んできた言語を活かして社会貢献できる機会だと感じ、活動への参加を決意。偶然にも、トーゴでボランティア経験のある大学の先輩がいて、話を聞けたことも背中を押しました。
ボランティアの1カ月間には、現地での厳しい生活を目の当たりにしました。トーゴの平均年収は日本円で5万円ほど。井戸水で料理をすることも多く、病気やマラリアが蔓延しています。
一方で、地域や人とのつながりの強さには感銘を受けました。トーゴではみんなで子どもを育てる文化や他の家庭をサポートする習慣が根づいていて、経済的には貧しくても心の豊かさや人のつながりの強さを感じました。日本は先進国では有りますが、核家族化や精神疾患の発症率・自殺率も高く、本当の豊かさとは何だろう?と考えさせられた経験でした。
この経験や私自身もある分野ではマイノリティーの当事者であることから、長い人生で仕事にするなら、社会問題に関わる仕事に就きたいという想いが芽生え、障害者雇用に取り組むGPへの就職につながりました。
入社後は、法人営業の部署に配属。障害者雇用の採用義務がある企業をメインに電話をかけ、アポイントを取る営業活動からスタートし、求人票の作成やキャリアプランナーとの連携、面接の調整など、一連の営業業務を担当しました。
当時のマネージャーから学んだことは、企業側の要求をそのまま受け取るのではなく、本質を理解し偏見を解消することの重要性です。たとえば、過去の経験から「○○障害の方は紹介しないでほしい、過去に訴訟を起こすと脅されたことがあり採用が怖い」と雇用を躊躇する企業がありました。
しかし、そのトラブルは障害名とは関係がなく、また訴訟は誰にでもある権利です。営業として本質的な視点から、企業のアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)に対して、傾聴しつつも丁寧に何が本質的な問題であるのか紐解き、障害者雇用を進めていくために必要なアクションが何か説明すること。その泥臭いように思える対応一つひとつが、偏見や社会問題の解決につながると考えていました。
そして、営業を4年ほど経験して成果も安定して出せるようになったころに、求職者側の現状やリアルな声も知りたいと思うようになりました。当時は営業としてまだやり残したことがあると感じていたので、上司と相談し、兼務というかたちで自身から提案し、身体障害のある方のキャリアプランナーをさせてもらうことになりました。
実際にキャリアプランナーとして働いてみると、その方の人生に密接に関われるという魅力とやりがいがありました。そこで8カ月後にはキャリアプランナーに転身。精神障害のある方を担当するチームに異動しました。キャリアプランナーの業務では、営業経験から得た企業目線を活かし、求職者の方に就職に必要な実践的なアドバイスができました。結果として、年間50~60人の方を就職につなげています。
とくに印象に残っている就職決定の一つは、グローバル企業での豊富な経験と実績を持ちながら、複合的なマイノリティーである側面やプライベートなご事情も重なったことにより職を失い、生活保護の受給を余儀なくされていた求職者の方です。高いスキルと専門的なキャリアを持つ方でしたが、障害者雇用では事務職の求人が多く、この方のスキルにあう求人のマッチングに苦心しました。そこでこの方のポータブルスキルは何か棚卸を行いました。
一つめは、未経験の業務に対しても習得され常に結果を出してきた高いキャッチアップ能力、二つめはPCスキルの高さ、そして三つめは英語力というポータブルスキルを前面に出し、企業がこの方の応募書類を見たときに配属先がイメージできる書類を作ることを心がけました。結果、3つのポータブルスキルを活かせる企業での就職が決まりました。
その方はカウンセリングの際に「好きな楽器を買うのが夢だ」と語っていたのですが、就職後にお話しを伺った際には、生活保護を受給していた時よりも年収が増え、着実に貯金ができていると嬉しそうに話していました。この方の人生が上向きに変わる分岐点に関わることができたのは、キャリアプランナーとして本当に嬉しかったですね。
実際に企業からも活躍してくれていて助かっているという声もいただき、こういった就職決定を世の中に増やしていくことで、社会課題を変えていきたいと思います。
自分が希望して発信すれば、それに応えてくれる会社の風土がある
今回マネージャーに昇格したのは、1年ほど前に「マネージャー職に興味があります」と言ったのを上司が覚えていてくれて、ポジションに空きが出たタイミングで声をかけてもらえたからです。期待してもらえていることは素直に嬉しいので、組織を良くしていくという前向きな気持ちで取り組んでいきたいと考えています。
一方で、マネージャーになるとプレイヤーと目線が変わることに不安を感じていました。また、裁量の大きさや、他部署を含め全体最適を考えるための視座の高さは、自分にはまだ足りないこともわかっていました。でも、それを自分の伸びしろと捉えることにしています。マネージャーミーティングなどでも、しっかりと自分の意見を述べた上で、先輩マネージャーからのフィードバックがあれば、それを糧に視座を上げていければと思っています。
メンバーに接する際、私は心理的な安全性を大切にしています。これまで複数のマネージャーの下で働いた経験から、本音を話せる環境が、信頼関係や業績に大きな影響を与えると感じています。そのため、メンバーの話をよく聞くようにしています。何かミスがあっても、まず原因や背景を探り、私の教え方が悪かった可能性も考慮し、その上で改善方法を一緒に話し合います。メンバーに「この人になら本音がいえる」と思ってもらえる関係を築いていきたいですね。
現在は、キャリアプランナーの研修を1カ月半に1回程度実施しています。研修内容は、カウンセリングから求人紹介、応募書類作成、面接対策、進捗管理まで広くカバーしています。研修を始めたのは、キャリアプランナーになって1年ちょっと経ったころ。自分の経験を組織に還元したいと当時のマネージャーに相談したところ、研修担当というポジションを創設してもらいました。
研修をするにあたって、属人化しがちなカウンセリングや求人紹介の業務を体系化し、重要なポイントを言語化しました。とくに、新人が理解し、アウトプットしやすいようにキャッチフレーズを作るなど、伝え方を工夫しています。研修により業務の再現性が高まり、抜け漏れも減ったという声が多く寄せられています。
研修の前には、取り扱うテーマにおける認識や、研修におけるゴールをマネージャー全員とすり合わせています。それぞれが持つ考え方に違いはあるものの、その背景や本質を掘り下げることで共通認識を持てたことは大きな成果でした。カウンセリングや面接対策で大事なことはなにかなど、組織全体で標準を合わせることができたと感じています。
社会課題の山は、まだ3合目に到達したばかり。さらに上をめざして登り続ける
社員を応援してくれるGPの社風が、とても好きです。キャリアプランナーを兼務したいと希望したとき、研修担当のポジションを用意してくれたとき、そしてマネージャーにアサインしてくれたとき、社風が社員に浸透していることを感じました。ですからGPでは、やりたいことや興味があることはどんどん口に出して言ったほうがいいですね。
マネージャーになった当初は気負ってしまい、メンバーに対しすべての質問に答え、早くレスポンスして、頑張らなければと思い込んでいました。あるとき、メンバーにマネジメントの悩みを相談したところ、それ以降、数値共有の改善方法やチームの問題点などを自発的に提案してくれるようになりました。そこで気づいたのは、相手を信頼し、自分の弱みをさらけ出すことの大切さです。そして、それがメンバーの成長にもつながることを実感しています。
マネージャーとしての現在の目標は、チームメンバーをサポートし、機会提供を通じてキャリア形成を促進することです。また、個人的にはマイノリティーな分野の方たちが生きやすい社会を作りたいという気持ちを持っています。現在は就職支援にとどまっていますが、その先の定着や活躍が重要だと考えています。
なぜならそれがかなってこそ、将来のことを見据え、自分の意志を持って生きられる方が増えると考えているからです。そのためには、今あるビジネスモデルに捉われず、他部署と連携しながら新しいサービスを創出するといった取り組みに挑戦していきたいですね。
日本全体を見ても、障害のある方の定着率は低い現状です。これは個人の問題だけでなく、企業や社会の制度の問題が背景にあると考えています。すべてを解決することは難しいかもしれませんが、まずはGPから就職した方が100%定着し、活躍できるような組織をめざしています。課題全体を山にたとえれば、今は3合目にたどり着いたにすぎません。登る山はまだまだ高いですが、果敢に挑戦していくつもりです。
※ 記載内容は2024年7月時点のものです
