ピアサポートを重視したat GPジョブトレ名古屋で、セルフケア研修やヨガレッスン
at GPジョブトレ名古屋は、昨年9月に開所したばかりの新しい就労移行支援事務所です。鬱など気分障がいの方向けのコースと、発達障がいの方向けのコースがあり、コミュニケーションやセルフマネジメント、ストレスケアや自己探求などの研修・トレーニングを実施しています。
施設長はもともとatGPジョブトレIT・Web渋谷の施設長を務めていた人で、ほかのスタッフもベテラン揃い。その中で私は、主にストレスケアやアンガーマネジメントなどのセルフマネジメント研修を担当しており、昨年ヨガのインストラクター資格を取得したことから、ヨガレッスンも提供しています。
at GPジョブトレ名古屋のトレーニングは、ピアサポートに重きを置いている点が特徴です。ピアサポートとは、同じ悩みを持つPeer(仲間)同士がお互いに支え合う活動のことで、利用者様同士のフラットな情報交換やグループワークを通して、お互いを支える力を育んでいきます。
たとえば、セルフマネジメントの研修では、認知行動療法やアンガーマネジメントの内容で感じたこと・気づいたことをワークブックに記入し、さらにそれを一緒に研修を受けている仲間に話して共有する、という場を設けています。
自分の言葉で書く→伝えるというアウトプットを重ねることで自己認知が深まる構成になっていますし、利用者様同士がフラットに発言し合うことが刺激となり、お互いを支える力に変わっていく。最初はなかなか話せなかった方が、徐々に他の方と活発に意見交換している姿を見ると毎回「すごい!」と驚きますね。
この仕事をする上で私が思うのは「ご利用者様一人ひとりが主人公」だということ。皆さんつらい症状やお悩みを持ちながらも、「もう一歩違う世界に踏み出してみよう」と、at GPに通うことを決意したと思うんです。そうした努力を厭わない方たちなら、未来を自分で選べる力を持てるはずですし、枠にはまらない、その方だけの個性や「らしさ」を持っています。だからこそ私たち職員は脇役に徹して、ご自身の「らしさ」を肯定的に受け入れられるような支援をしたいと思っています。
頑張らなければならないという思い込みが、自分の人生を縛り付けていた
私が「その人らしさ」を大事にしたいと考えた原体験は、中学時代にあります。私が通っていた中学は公立校ながら成績にシビアな校風で、成績の良し悪しのみで人の価値を判断される環境に違和感を持っていました。もちろん努力して成績を上げるのはすばらしいことですが、勉強ができなくても違う才能を持っている人もいるし、それぞれに違う良さがあるはずだと感じていました。
そんな背景もあり、高校時代には勉強よりも個性を発揮できる音楽活動に熱中。当時観た映画『天使にラブソングを』で黒人の主人公が差別のない教会の音楽に救われ、次第に周りを幸せにするという内容に感銘を受け、ブラックミュージックやR&Bにのめり込みました。
「社会人になっても音楽活動を続けたい」と考えた私は、高校卒業後、仕事とプライベートが両立しやすそうなアパレル業界に飛び込みました。
最初はアルバイトから始め、次第に売上の管理なども任されるようになり、楽しさもやりがいも感じていたのですが、家庭環境が変わって働き方に制限が出てきて……。さらにコロナ禍でファッション業界が大きな影響を受けたことで、「このままでいいのだろうか」と考えるようになったんです。
ちょうど売上低迷などもあり仕事がうまくいかず、プライベートでもいろいろなことが重なり落ち込んでいたところ、現場スタッフとの衝突がきっかけで心療内科へ受診しました。いま振り返ると、自分からは「休みたい」と言えないので、先生に「少し休みなさい」と背中を押してほしかったのかもしれません。
診察では先生に「なんでそんなに頑張る必要があるんですか?」と聞かれ、ハッとしました。先生とのお話の中で幼少期の家庭環境で、母がありのままの自分を認めてくれなかったという経験を引き出していただきました。そこで私は「頑張らなければ私の価値はない」と思い込んでいたことに気づきました。小さなころのことを40歳近くになってもいまだに引きずっているなんて、思いもしませんでした。その時に言われた「あなたはそのままで素晴らしいんですよ」という先生の言葉も衝撃的でした。
その後休みをもらってゆっくりと過ごす中で、先生に言われたことが少しずつ納得できるようになりました。私は「頑張ることが当然」という世界から抜け出せず、自分自身を苦しめていたのだなと。それが腑に落ちた途端に、自分の人生の第1章が終わって、次の章に進んだ気がしたのです。
ヨガを通じて利用者様に貢献したい。「やってみよう、楽しもう!」の社風が資格取得を
「人生の第2章で何をしたいか?」と考えたときに思い浮かんだのがこれまでの経験を活かし、ファッションではなく人そのものに関する仕事はどうか、ということでした。心療内科で出会った医師がとてもファンキーな方だったので、彼の考え方の影響もあったかもしれません。
最初に入った事業所では、福祉業界は未経験ながら施設長を任されるようになり、スタッフのマネジメントを中心に奮闘したのですが、いろいろなことがあり「もう少し現場寄りの立場で支援したい」「もっと支援内容の幅を広げてみたい」という想いもあって……。そんな時、GPの新規事業所の求人を見つけ、支援内容や代表の言葉に共感したことから転職することにしました。
GPの面接では、自己理解のツールの一つとしてヨガを利用者様に提供したいと伝えました。
以前に勤務していた事業所で、「リラックスしてる感覚がわからない」とお話になる方が多く、衝撃を受けて。何か良い方法はないのかと当時の事業所の先輩に相談したところ、「ヨガもいいといわれているよ」と言われました。実は私自身、最初は美容目的で始めたヨガが気づけば10年ほど続いていていました。
今となっては恥ずかしいのですが、若いころに軽い気持ちで趣味で始めたヨガが、心にも良いのだということをその時に知りました。
ご利用者様たちは常に不安を感じながら生きていて、これまでリラックスできる瞬間がなかったのかもしれない。少しの時間でも、リラックスするという感覚を味わってもらいたい。
そこであらためて自分にできることは何かを考えました。福祉系の経験が少ない自分にもできることとして、趣味だったヨガを本格的に学び、レッスンを安全に提供したい。利用者様に心地よい感覚を味わってもらいたい──そんな想いでRYT200というヨガ資格勉強をしました。
GPには、会社の理念である「やってみよう、楽しもう!」の考えが浸透していて、こうした私の考えを尊重し、資格取得を後押ししてくれる環境がありました。そうした環境のおかげで、今はRYT200修了後、RYT300の学びを続けています。
実際にヨガのレッスンを始めてみると、私自身も利用者様と一緒に自己理解や自己革新を深め、さらに学んでいく必要があるなと感じます。
利用者様がご自身で自分の道を選び、進んでいく瞬間を見ることが私にとって一番のやりがいなので、そのための支援ができるスタッフでありたいなと思っています。
利用者様が自分の特性を理解し、「こういう人生を歩むんだ」と決断して動くことの尊さ
アパレル業界から福祉業界に転職して人生の第2章が始まり、この数年はまだ下積みという気持ちで仕事に取り組んでいます。福祉の考え方や仕事の仕方を周囲の人から学びながら、ヨガのように自分だからこそできる活動をさらに広げていけたらいいなと思っています。
そのひとつが、インスタグラムによる情報発信。at GPジョブトレ名古屋は開所間もないので、より多くの人に存在を知っていただくことが大切だと考えています。アパレル時代にSNSを運用していた経験を活かし、先日は事務所でインスタライブに挑戦してみました。福祉業界ではまだまだ珍しい取り組みかもしれませんが、ファッションと同じくらい体温の伝わる配信にできればと思っています。
一方で、現代はさまざまな情報が溢れ、自分の本当の幸せが見えず生きづらさを感じている人も多いと思います。私が子ども時代、周囲の大人が示す価値観に苦しんでいたように、自分が大事にしているもの・信じているものの上にいろんな情報が被さってしまっている状態ですね。
それを一枚ずつはがして、その方ならではの幸せを再確認するお手伝いをするのが私の仕事なのではないかと考えています。
利用者様を見ていると、ご自身の障がいの特性に悩まされながらも、その苦しさがあるからこそできる仕事を見つけたり、自分の特性に自分なりの解釈を見つけたりして腑に落ちる・納得する瞬間があるんです。そういう気づきや閃きの瞬間に立ち会うことができると、誰かが決めた幸せではなく、自分で「こういう人生を歩むんだ」と決断する瞬間にいさせてもらえることが、本当に尊いなと感じますね。
GPで働き始めて、「世界の中にはこんなにも多様性があり、それぞれに違う形の幸せがあるんだ」ということが見えるようになりました。自分にとっての本当の幸せを見つけるために、自分を大切にしてあげられる人が増えることを願いますし、そうしたサポートができる支援者になりたいと思います。
※ 記載内容は2024年2月時点のものです
