利用者さんがさまざまな一面を見せられるように。心がける、安心安全な場づくり
私が副施設長を務めているatGPジョブトレお茶の水は、統合失調症と難病の方を対象とした就労移行支援事業所です。統合失調症の方が15名ほど、難病の方が5名ほど在籍しており、半年から2年間の通所プログラムを経て就職できるようサポートするのが、私たちの仕事です。
事務職をめざす方が多いので、WordやExcelなどパソコンを使った実践的な研修を多く行っています。また、ご自身が診断を受けている疾患について調べたり、ストレス要因や対処を整理したり、長く働くために大切な自己理解の研修にも力を入れているところも当施設の特徴です。
私自身の主な業務は、就労に向けて利用者さんの書類作成や面接対策のサポートすることや疾患についての研修講師、副施設長として他の職員をサポートすることや事業所の運営など多岐にわたります。また、就職がゴールではなく、就職してから長く働くことが重要だと考え、就職後も利用者さんとの定期的な面談を行うなど職場への定着支援にも力を入れています。
さらに私は、副施設長として、他の職員のサポートなどマネジメントの役割も任されています。ビジネスとしての数字の管理はもちろん、利用者さんが通所を続けられるような雰囲気作りも私の仕事のひとつです。
業務を通して、私が一番大切にしているのは、利用者さんが安心できる場づくりです。たとえば統合失調症コースでは、統合失調症のさまざまな症状の中で、自分が以前どんな症状があって、現在はどのような症状や困りごとがあるのかを整理し、自分を知っていく研修があります。就労するための工夫や、どうやったら長く働き続けられるのかが明確に把握できるようになるという狙いです。
この研修は、自分の体験談や悩んでいることを利用者さん同士で共有する時間も大切にしています。お互いに話し、聞くことで「自分にもこういうことがあった」「こういう工夫なら自分もできそうだ」と自己理解が進む反面、ありのままの自分をさらけ出すことにもなります。自分の良い面も悪い面も受け止めてもらえる、話しても大丈夫だと思える安心感がなければ、自分を出すことは難しいですよね。利用者さんが安心して話をして、失敗を恐れることなく自分と向き合える場所、つまり安心できる環境こそが、大切だと考えています。
そのためには、職員が利用者さんの言葉にしっかりと耳を傾け、安心できる関係を築くことが必要ですし、利用者さんが、どんなことも遠慮なく言い出せる場であることがまず大事だと思っています。
2年間の休学の末に。自分ができることは何か、迷いながら突き進んだ途上国支援
私がGPに入社したきっかけを遡ると、学生時代の経験が関係しています。
そもそも私の原体験とも言えるのが、中学生のころに教科書で見た「ハゲワシと少女」という写真です。ケビン・カーターが撮ったこの写真を通して、途上国の現状を知り、いつか支援活動に参加したいという想いが芽生えました。
その想いもあり、大学は国際系の学部へと進学。途上国の支援を学ぶ中で、カンボジアの教育支援を行う団体に出会い、実際に現地に向かう支援プログラムに携わったんです。
プログラムは1~2週間程度の滞在期間での活動だったので、もっと長期間滞在し、現地の方たちとコミュニケーションを取りながら継続的な支援を行ってみたいと思うようになりました。その後は紆余曲折あり、1年間休学をして、カンボジアで教育支援を行うNGOのインターンとして、現地の農村にあるフリースクールやカンボジア都市部の大学生が格安で住めるシェアハウスの運営に携わりました。
今度は長期間支援に携わることができ、現地の学生をサポートする業務はとても楽しかったのですが、NGOを運営するための資金調達や限られた予算の中で持続可能な支援を行っていくことの難しさを痛感しました。そのため、一旦帰国し、自分が本当にやりたい支援活動をあらためて考え直してみました。
そこから興味を持つようになったのが、ソーシャルビジネス。もともと私自身はアクセサリーやファッションが好きで、「ファッション×途上国の支援」という文脈で何かできないか模索をしていたのですが、たまたまフィリピンでのスタディツアーに参加した際、少数民族の方が真珠を売っている場面に出会ったんです。
これを日本で販売したいと考え、再び1年間休学。日本のアクセサリー作家さんに真珠をお渡ししてアクセサリーを作ってもらい、販売する企画を立ちあげました。
こうした背景があったので、就職活動では途上国発の鞄やアクセサリーを扱う会社などを見ていました。ですが、学生時代の経験を振り返りながら就職活動を進めていく中で気づいたのが、私は人をエンパワメントできる活動がしたいということ。エンパワメントとは私の中で、自分が関わった人が自分の力に気づいたり、ありのままの自分も良いなと思えたりするきっかけをつくり、前に進むサポートをするイメージです。人を支援すること、対話を重ねることのおもしろさと難しさをカンボジアやフィリピンで感じたこともあり、人材系の企業への就職を考えるようになりました。
また、大学で海外の文化や多様な価値観に触れて、日本の中でも多様性という部分で貢献できるのではないか、という気持ちがありました。障がい、ジェンダー、国籍などの多様性が受け入れられ、誰もがが自分らしさを大切に生きられる社会にできたらいいなと。
そうした想いもあって、GPを知ったときは、社長や働いている方の志に共感しましたし、障がいのある方の強みを引き出すというアプローチにも興味を持ちました。自分としても新たな挑戦になることに、すごくわくわくした記憶があります。
利用者さんと直接向き合いたいという想いから──異動を希望し、atGPジョブトレへ
2018年にGPへ入社し、新卒研修の一環でジョブトレの施設を見学しました。
実を言うと入社当時は、過去に障がいのある方との接点があまりなかったので不安な気持ちでした。ですが、研修でジョブトレの利用者さんと一緒にグループワークを経験して感じたのは、みなさん一人ひとりすてきな個性を持っていること、そして活き活きとした心地良い雰囲気でした。それまで「障がいのある方に対して配慮のある言動をしなければ」と過度に緊張していた自分に気づかされ、障がいや診断名はその人のごくごく一部を表す言葉に過ぎないと考えるようになりました。
それからの2年間は、障がいのある方向けの求人媒体の立ち上げと運営に携わっていました。当時、求人媒体はまだリリース前の段階、企業様に求人を掲載していただくために営業活動を行ったり、求職者にスカウトメールを送ったり、多岐にわたる業務を経験しました。
そうした中で、次第にGPの求人媒体を利用して、障がい者雇用枠で働こうとしている方たちと直接関わりたいという気持ちが高まるように。そこで、対人支援ができるatGPジョブトレ勤務を希望して、異動することができました。こうして今に至るわけです。
ジョブトレに配属直後に担当した利用者さんは、今でもとても印象に残っています。大学を卒業してすぐに通所を始められたので就労のご経験がなく、通所も安定せず体力面でも自信がなかなか持ちづらいという状況の方でした。
その後、その方は最終的に事務補助の仕事で内定をいただけたのですが、ほぼフルタイムの勤務が条件だったために、勤務が続くかどうか職員全員が心配していました。
しかし、採用企業様がその利用者さんに寄り添いながら無理なくお仕事を任せてくださったこともあり、休むことなくご活躍されていました。働きながら自信を得て元気になっていく様子を見て、利用者さんは職員の予想以上の潜在能力を持っていると実感しました。
一方で、難しいなと思う場面もたくさんあります。事業所では体調を崩すことなく就職が決まった方が、思わぬきっかけで体調を崩して退職してしまったことがありました。今考えると企業実習に行っていただくなど、少し精神的に負荷がかかり、ストレス要因を利用者さんが就職前に認識できるような機会をつくれたら良かったと思いました。
とくに統合失調症は、ストレスが症状の再燃に大きく影響します。利用者さんの強みに光を当てて支援をすることを大切にしていましたが、長く働く上では、自分の苦手なことやストレスに感じることなど「弱さ」について知り、受け止めるサポートも重要であると痛感しました
ジョブトレは安心できる場所であってほしいのですが、時には実際の職場環境と同様の緊張感も必要であると感じており、そのメリハリのつけ方が今後の課題だと思っています。
やりたいと思ったことをすぐ行動に移せるのが、GPの魅力
利用者さんが事業所に通う期間は、最長2年間。その期間を利用者さんと一緒に過ごしていると、皆さんが試行錯誤しながら前進していく姿を見られるので、それが仕事のモチベーションの源です。
また、利用者さんとのやりとりを通して自分自身を振り返り、理解していくことも多くあります。以前、事業所を卒業し、企業で就労中の利用者さんから、「人はそれぞれ異なる背景や価値観持っているのだから、仕事のやり方も違って当たり前だということを学んだ」というお話を聞いたことがあります。
その話を聞いて自身を振り返ると、利用者さんの個性を尊重する一方で、一緒に働く職員の想いや考えの背景に対しては想像力が足りなかったと感じました。この利用者さんの言葉は、私の働く姿勢や行動を見直すきっかけを与えてくれました。
事業所の職員は、年齢、前職の経験、価値観もさまざまで、それぞれが熱意をもって業務にあたっています。時にすれちがってしまったり、ぶつかったりしてしまうこともありますが、それは、ざっくばらんに話し合える信頼関係があるからこそだとも思っています。
これから頑張っていきたいのは、難病コースの支援。難病の方の就労には依然として課題が山積しています。
たとえば、障害者手帳を持っている方や障がい者雇用での就職が可能ですが、難病のある方は障害者手帳を持っていない方が多く、就職、転職活動が難航することもあります。まずは企業に難病のある方とお会いいただき、難病があっても働くことができることを知っていただくため、難病コースの利用者さんがご自身の疾患や強み、働く上での工夫を企業に向けてお伝えするオンラインでのイベントを定期的に開催しています。
年々、難病に対して企業の関心が高まっていると感じているので、今後は企業が利用者さんを雇用したいと思えるような、マッチングに焦点を当てた機会を作るなど新しいチャレンジもしていきたいですね。
最後にGPへ興味を持ってくださった方に、GPであれば自らの想いや意志を大事にしながら、キャリアを築いていけるということお伝えしたいです。
私自身、入社当初はソーシャルビジネスの文脈で何かを成し遂げたいという、大きな目標を掲げていましたが、働く中で考えも変化していきました。ですが、学生時代から自分の軸となっている「誰もが幸せな人生を自分らしく紡げる社会をつくりたい」という想いはずっと変わらず、今は利用者さんの隣で、一人ひとりが自分らしく納得できる道を一緒に探していきたいと思っています。
ただ、今の感覚もこの先変わるかもしれません。そうした時に、GPであれば、自分の想いを大切に言語化しながら、キャリアを築けると思っています。それは、GPに社員の志を大切にしてくれる社風があるから。入社2年目頃から就労移行支援事業所で働いてみたいと上司に相談していて、その後異動が実現したときにそれを感じました。
長期的なキャリアはまだ決まっていないけど、自分で意思を持って未来やキャリアを選択していきたい、そんな人にGPは向いていると思います。
※ 記載内容は2023年11月時点のものです
