寂しい想いが出発点。同期6人で始めた新しいサービス「aerukamo」
2020年7月、富士通はニューノーマルにおける新たな働き方として、これまでの出社を基本とした働き方ではなく、テレワーク主体での働き方に移行しました。それによって「オフィスへ出勤する」ということが、富士通社員にとって当たり前のことから、特別なことへと変わっていきました。
そこから、さかのぼること2年。岡安は、新卒で富士通へと入社しました。
岡安:新卒で配属されたのはIT戦略本部で、AI×Chatbotの企画や社内への発信を担当していました。
私が入社した2018年は、まだ新型コロナウイルス感染症が流行する前で、同期がそばにいたので何か困ったことがあればすぐに聞いたり、相談したりすることができていました。
そこから、感染拡大で状況が一変。今まで会社に行けば話せていた同期と会うことも珍しくなりました。会社に行っても誰にも会えない、出社日を合わせるのが難しい、実は同じ日に同じ場所にいたなど、すれ違いに寂しい思いを募らせていきました。
この状況を何とかできないか。そう考えて岡安ら6人の同期が集まって作り始めたサービスが「aerukamo」です。
岡安:リモートワークが進んだことにより、自分のペースで仕事を進められる柔軟性や、自分自身で働く場所を選択できるなど、メリットが多くあります。一方で、同期と話をする中で、同僚との直接的なコミュニケーションや新たな人脈の形成が難しくなるという課題が見えてきました。
フリーアドレスも進んでいたこともあり、たとえ出社していたとしても、いつもの席にいるとは限らない。だからといって、毎回出社するたびに電話やチャットで確認するのは煩わしいですよね。さらに、見慣れないマスク姿にコミュニケーションの難しさを覚えました。
それぞれの課題感や不安を語っていくうちに、「もっと手軽にお互いの居場所や出社日を伝えられるアプリケーションがあればいいのでは?」と思い、自分たちで作り始めることにしました。
当時は、感染症対策のために出社を記録しなければいけなかったので、それを効率化するシステムとしても使えるものを考えていました。
最初の課題感やアイデアを言語化し、サービス方針を導き出す
それぞれが異なる業務を行うかたわら、動き出した有志活動。そこに強力な応援が加わります。
岡安:福田さん(CDXO兼CIO)に提案をしたところ、とてもポジティブな反応をいただきました。そこから社内に協力者が増えていったのですが、とくに大きな出会いがデザインセンターの木内さんでした。
今では、岡安と「毎日、aerukamoの今後について話をしている」という仲である木内。大学時代からデザインを学び、入社後もデザイン領域を幅広く担当しています。
木内:富士通デザイン株式会社(現 富士通株式会社 デザインセンター)に入社した後、Web、PC・スマホのアプリのUX/UIを出発点とし、商談対応からサービスデザインまで幅広く携わってきました。入社した年には、展示会用サイネージのUIやビジュアルに関わる仕事に携わり、徐々に仕事の幅が広がっていきました。
また、若手のころに女性向けPCの有志プロジェクトで商品化を実現したり、ハッカソンに参加したりと、興味があることに手を挙げて参加してきました。
岡安らと同様に有志での活動経験があり、自分がやりたいと思ったことに飛び込む姿勢は、aerukamoの開発に参画するときも同様だったと言います。
木内:岡安さんたちの想いに共感し、一緒に活動したいと参画を決めました。私がその中でできることを考えた時に最初に気になったのが、サービス方針が言語化できていなかったことでした。
最近、プロダクトマネージャーとして、サービスの成長戦略に重点を置いて検討することが増えていたので、メンバー間で共通認識を合わせることがサービスを成長させる上で重要だと感じています。実際、議論を始めてから半年ほどは、メンバー内でサービスのコアについて適切な表現がまとまらず、試行錯誤する日々が続きました。
けれども、最初の課題感やアイデアを言語化するうちに、ビジネスでもプライベートでも信頼できる仲間を見つけることが大事だという共通認識が見えたので、「未来のなかまと出会える」という今のコンセプトを導き出すことができました。
地道な活動が利用者を増やすと信じて。認知度向上と定期的な改善に力を注ぐ
コンセプトが決まり、開発も順調に進んでいったaerukamoですが、今度は別の壁が待っていたと言います。
木内:サービスは、作ってリリースすることがゴールではなく利用者がいて初めてスタートラインに立てます。ただ、最初の10人、そして100人の利用者を獲得するのは簡単なことではありませんでした。
告知にかけられる予算も、開発メンバーも少なく、限られたタッチポイントでできることをするしかありません。出社している人に使ってもらわないと意味がないので、岡安さんと食堂でタブレットをもって登録を促したり、オフィス内のサイネージを活用したりしました。
岡安:それ以外に、新入社員研修でaerukamoの紹介を入れてもらうようにしました。若手をターゲットにした理由は2つあります。1つめは若手の発信力や影響力。2つめは入社して早い段階でアプリを知ってもらうことです。
2つめのヒントになったのが木内さんに教えてもらった“アンパンマン戦略”(笑)です。アンパンマンって、どの世代の方でもほぼ全員が知っていますよね。
それは、子どものころに一度は見たり、聞いたりしているから。子どものころ、つまり社会人では新入社員の方に知ってもらうことで、その後もずっと知っていてもらえるし、若い世代に伝えていってくれるという考え方ですね。
また認知度向上とあわせて、ユーザーから見える改善が途絶えないようアップデートは2週間に1度以上行われています。
岡安:地道な活動が利用者数を増やすことにつながると考えていました。
認知度を上げることと並行して、ユーザーの声に耳を傾け、早く実現することで満足度を上げていくことにも重きを置きました。ただ、コンセプトを決めた時と同様に、今やるのか、なぜやるのかを言語化して進めるようにしています。
木内:ユーザーからの要望やアンケート結果をそのまま反映したアップデートは、実はあまりないんです。その人が信頼できる仲間と出会えるというサービスの軸がぶれないように、ユーザーからの声を表層的に捉えるのではなく、その声の裏側にある真意など、本当は何を求めているのかを汲み取ることを大事にして開発をしています。
社内サービスを1.5万ユーザーにするために
木内:aerukamoは、通常のサービスのように世に出ているものではないので、外部SNSを利用して発信することができませんでした。そのため、社内SNSなどの社内リソースをフル活用してこまめにフライヤーや動画、バーチャル背景を用意し、社員の目に触れるような場所に配置してきました。
これらを発信することに、岡安さんは注力してくれています。
岡安:aerukamoを知ってもらうために最近始めたのは、ほぼすべての社内イベントに登壇し、aerukamoの良さ、なにができるのかをユーザーに直接伝えることです。毎回300人程度の社員が視聴してくれています。
試行錯誤を繰り返す中でも、笑顔が絶えない岡安と木内。その理由とは。
木内:常に手探りで進めてはいますが、このプロジェクトが成長している1つの要因として、個人の役割が明確で、各自が責任をもって進めているという点が大きいと感じています。
社内の調整や発信などは岡安さん。サービス戦略やプロダクト品質の維持などを私。実開発は開発リーダーと責任元がはっきりしているため、迅速なジャッジや対応が可能となり、短いサイクルでの開発・成長に繋がっているのではないかなと。
サービスを育てていくのは大変ですが、信頼できる仲間との思考錯誤は楽しいですよ。
岡安:aerukamoはユーザーとの距離も近いので、デザイン面でのフィードバックもたくさんもらえますよね。たくさんの方がイメージキャラクターのカモちゃんが可愛いって言ってくれて、とても励みになります。
今後の展望として、aerukamoは社内サービスの枠を超えて、ビジネス化をめざしているとのこと。
岡安と木内の笑顔が全社、そして世界に広がるように、今日もaerukamoの「みらい」を2人は一緒に語り合います。
※ 記載内容は2024年1月時点のものです
