社内外で感じた「時代の変化」。新たな営業スタイルを模索する
2022年12月現在、富士通Japan高知支社に所属する渡部。ビジネスプロデューサー(BP)として担当するお客様や地域の課題解決に取り組んでいます。しかし、そのキャリアのはじまりは、現在とは全く違う部門だったと言います。
渡部 「私が富士通に入社したのは1996年のことなのですが、当時は官公需営業本部という部門におりまして。通信事業者を担当する営業として働いていました。その後組織改編があり、テレビ局や新聞社、広告会社などのメディアを担当する営業部門に異動。
担当したテレビ局では、映像伝送システムのリプレースやコンテンツアーカイブシステムの導入プロジェクトに携わりました。テレビ局には、過去に放送された何十年分ものコンテンツが保管されているんですが、当時、その多くはテープのまま保管されていて。膨大なアナログデータをデジタル化するというプロジェクトを推進していました」
アナログからデジタルへ。自身が携わるプロジェクトを通して、時代の変化を感じていたと言う渡部。その変化は、社内でも感じるようになっていったと話します。
渡部 「2019年の時田社長就任以後、富士通は従来のIT企業からDX企業への転換を掲げ、さまざまな変革が行われています。そのひとつが営業部門の変革です。従来の『営業』から、『ビジネスプロデューサー(BP)』と職種が改められ、その営業スタイルも変化が求められるようになりました」
BPとしての新たな営業スタイルを身につけるべく、自身もBPへの変革プログラムを受講したと言う渡部。
渡部 「変革プログラムの中で言われていたことは『確かにそうだな』と思うことばかりで。『私もそのように変わっていきたい』とこの変化を前向きに捉えていました。
しかし、『明日から営業ではなくBPとしてビジネスを推進してください』と言われるとなかなか難しくて。これまで20年以上『営業』として働いてきたというのもありますし、お客様もわれわれのことを『営業』として見ているわけで。学んだことと現実との間に大きなギャップがありました」
では、どうすればいいのか。学びを試せる場所を探していたと言う渡部。そんな時、別のある研修プログラムに出会ったと言います。
なりたいBP像が鮮明に。研修を通じて、焦る気持ちの正体を知る
2021年、新規ビジネス創出を行うためのスキルやマインドセットを学ぶ研修プログラムに参加した渡部。
渡部 「当時、『イノベーションアカデミー(以下イノアカ)』という共創型の次世代ビジネスリーダーを育成するための社内研修プログラムがありました。約半年間、座学とデザイン思考ワークショップなどのグループ演習を通じて、新規ビジネスのアイデアを発想し、課題や仮説検証を実施。研修の最後にチームの検討結果について社内へ発表を行うというものです。
例年、推薦型での募集だったのですが、この年は応募型に変更。迷うことなくすぐに応募しました」
イノアカに参加してよかったことは2つあると言います。
渡部 「ひとつは、年齢を問わず私と同じように悩んでいる仲間に出会えたことです。参加者は、入社2年目の若手から入社20年以上のベテラン社員まで実に幅広くて。世の中や会社の変化に対しどう感じているのか、これからに対する想いや自身がやりたいことを共有しあえたのはよかったと思っています。彼ら、彼女らとはいまでも連絡を取り合っていて、とても大切な仲間です。
ふたつ目は、新規ビジネスをじっくり考え、発表するという体験ができたこと。研修を経て新たな学びや発見がありましたが、中でも一番の収穫は、『BPとは何か』を自分なりに理解できたことですね」
BP変革プログラムとイノアカ。このふたつを受講したことで、「BP」として歩む自身の姿がより具体的になったと言う渡部。
渡部 「それまでは、何か変わらなくてはという想いだけで、自分自身がどうなりたいかがうまく描けていなかったように感じます。気持ちは焦るものの、行動は何も変わらない。私が感じていたギャップは、そのような状況から生み出されていたんだと思います。
ふたつの研修に参加する中で、本当に私がやりたいことは何だろう、と自問し続けました。そうして出た答えは、『新しいアイデアを形にし、BPとしての私が、それを社会に実装していく』でした」
なりたいBP像が鮮明となった渡部。そこから、次々とアクションを起こしていきます。
地域課題の解決へ。ワーケーションを活用し、地域の本音にじかに触れる
「考えたアイデアの社会実装」に魅了された渡部。BPとして挑戦したいことを具体化させていきます。
渡部 「これまで担当してきたお客様は規模もビジネススケールも大きくて、BPとしての仕事にやりがいを感じていました。その一方で、組織と組織のビジネスと言いますか、顔の見える誰かのために仕事をしているという実感がなかなか湧かなくて。次は、よりユーザーに近い場所で仕事をしたい。そう思うようになりました。
では、それは具体的にどんな仕事なのか。そう考えた時に、頭に浮かんだのは『地域課題の解決』だったんです」
地域課題に目を付けたのは、イノアカでのある体験がきっかけだと言う渡部。考えたアイデアが社会に受け入れられるのかを確認するため、さまざまな地域に出向いたと言います。
渡部 「同じアイデアをある2つの地域の方にぶつけてみると、意外なことに、それぞれから全く違った反応が返ってきたんですね。私からは同じような課題を抱えているように見えたのですが、そこで暮らす人にとっての課題感は同じではなかったんです。この体験は私にとってとても新鮮でした」
イノアカが終了した後も、ネット等を通じてさまざまな地域が抱える課題を勉強したと言う渡部。
渡部 「ある程度は知識が溜まったのですが、やはりネットで得られる情報は限られていて。また一口に地域課題と言っても、地域によって抱えている課題は異なります。パソコンの画面を見つめていても、課題そのものの解像度は上がらない。ならば、これは現地に行くしかないなと思いました」
この目で、この耳で確かめたいと思った渡部は、ワーケーション制度を活用し全国のさまざまな市町村を訪れます。
渡部 「実際行ってみてはじめてわかったことや新しい発見がありました。また、その地域の方々と交流することで、その方々が自分たちの街をどう捉え、今後どうしていきたいのかも聞くことができたんです。
ただ触れて終わりだともったいない。そう思い、秋田県や山形県のある街ではプロボノ活動*¹にも参加。奈良県吉野町ではアンバサダーとして地域の魅力を発信したり、実際の地域課題の解決に取り組んだりしています」
所属部署での本来の仕事もしながら、地域課題の解決に取り組んでいた渡部。さまざまな土地を訪れる中で、これを仕事にしたいという想いが強まっていったと言います。そんな時、富士通Japan高知支社で社内ポスティング制度で人員募集されているのを見つけます。
*¹プロボノ活動…本業で培った専門スキルを用いて、無償の社会貢献を行うこと
顔の見える誰かのために──ワーケーションで高まった想いから踏み出した一歩
2022年、社内ポスティング制度を活用し富士通Japan高知支社に転籍した渡部。それに伴い、生活拠点も高知に移します。
渡部 「現在は、高知県内の自治体を担当するBPとしての業務を中心に、共創やDXによる地域課題の解決にも取り組んでいます。また、富士通と高知県様とはワーケーションパートナーシップ協定を締結しているのですが、その中でワーケーション企画にも携わっています」
高知での仕事について、笑顔でこう話します。
渡部 「コンパクトな地域なので、皆さん顔見知りなんです(笑)。これまでとは違った人との付き合い方や仕事の進め方に戸惑いを感じることもありますが、顔の見える誰かのために働いているという実感があります。まさに私が探し求めていたBP像が高知で見つかりました」
現在も、ワーケーション制度を活用しさまざまな土地を訪れていると言う渡部。ワーケーションの現状と課題について次のように語ります。
渡部 「まだまだ世の中の風潮としては、『ワーケーションは特別なこと』のように捉えられていると感じています。たとえば、私が『ワーケーションしています』というと、『それで業務はできるのか』と心配されることもよくあります。
でも、極論すると自宅でのテレワーク勤務と何ら変わらないと思うんです。働く場所ではなく、仕事としてのアウトプット。これからの働き方でより求められるのは後者になってくると思っています。ワーケーションの認知も理解も、まだまだこれからですね」
高知に来て、楽しくないと思う仕事はほとんどないと言う渡部に、今後の目標について聞きました。
渡部 「こちらに来てからまだまだ日が浅いので、これからもっともっと高知を知っていきたいですね。ゆくゆくは全国の地域課題を解決できるといいのですが、まずは高知の課題にしっかりと向きあい、解決していくことが私のミッションです」
