ワンチームでお客さまのインフラストラクチャーを支える
私は現在、シニアプロダクトマネージャーとして、ラックや冷却システム、UPS(無停電電源装置)など、社外製品の担当をしています。シニアプロダクトマネージャーというのは、製品の責任者のようなもの。製品の納品だけではなく、お客さまが製品を使えるようになるまでをサポートすることがミッションです。小規模の案件であれば、ワークステーションと一緒に購入していただくUPS。大きな案件であればサーバー、ストレージ、ネットワークなどと、冷却システムを組みあわせ、ラックごと購入されるケースもあります。
私が担当している製品は、お客さまのITインフラに必要不可欠なソリューションです。ラックはサーバーやストレージを安定稼働させる土台となりますし、冷却システムはそれらの機器が本来の力を発揮し続けることを可能にします。また、UPSは万が一の際にお客さまの大切な機器やデータの破損を防ぎます。このように、私が担当している製品は、お客さまのビジネスを支えているのです。
案件への携わり方は様々で、担当製品の仕様についての問い合わせなど、製品の窓口として営業をサポートする場合もあります。一方、案件規模が大きくなると、お客さまとの長期にわたる密なコミュニケーションが必要です。例えば水冷システムが必要な案件ですと、空調や消費電力など、お客さまの環境を踏まえた導入設計が必要なため、丁寧なすり合わせが必要になります。また、検討を重ねる中で「予算に合わせて仕様を最適化したい」、「やはりこの機能が欲しい」など、お客さまの要件が変化することや、新たな要望が出てくることも。ですからそのような案件では、案件の最初から携わり、ベストなソリューションをお客さまと一緒に追求します。
この、お客さまの要望に合わせて提案できるところが、仕事の面白さでもあります。箱に入ったものを販売するだけではなく、お客さまごとに必要なソリューションを提案する。そのための体制がデル・テクノロジーズでは整っていますし、部門を超えて連携する風土があります。案件を推進するのは外勤営業や技術営業、内勤営業など、主に営業のメンバー。そして、エンジニアやプロダクトチーム、私自身を含めた製品のスペシャリストなどが、技術や知識を活かしお客さまのニーズに応える。案件の規模が大きくなるほど、ステークホルダーは多くなりますが、様々なメンバーがタッグを組むことで、お客さまの要望を叶えることができるのです。
もちろん、連携は国内だけに留まりません。海外のメンバーとも密なやり取りが必要です。例えば、海外で働いているAIスペシャリストや、ペナンの工場のメンバー。特に、ラックスケールサーバーは、海外の工場で必要なコンポーネントをスタッキング―いわばお客さまごとにカスタマイズをしてから出荷をするので、お客さまが何を必要としていて、どのような配置で使いたいかなど、綿密に連携します。そして、製品が納品される際には、国内のサービスチームが導入を支援する。このように様々な人の手を渡り、お客さまへと製品をお届けしています。
AI時代のニーズに合わせたソリューション
昨今、AIの需要が増えていますが、それに伴い、私が担当している水冷ソリューションに注目が集まっています。注目されているというよりは、AIを実行する土台である「GPUサーバー」の性能を引き出すためには水冷が必然と言ってもいいかもしれません。IT機器は電力を消費する際に熱を発しますが、正常に動作するためには、適切な温度に冷やしながら稼働させなければいけません。特に、性能が高く消費電力が高い機器ほど発熱量は多くなるので、高度な冷却能力が求められます。そうなると、空気で冷やすのでは充分ではなくなるので、液体で冷却することが必要になるのです。
特にGPUサーバーの発熱量は驚愕、と言いますか、従来のサーバーを凌駕するレベルです。発熱量、イコール消費電力なのですが、GPUサーバーより少し前の「スパコン」ですと40~50kWの消費電力でした。しかし、GPUサーバーはその約3倍の百数十kWまで跳ね上がります。スパコンをどうやって冷やすのかを考えていた時代を思うと、「そんなの本当に冷やせるの?」と思うくらいの発熱量です。
それでも、過去の経験からAIデータセンターの冷却設備も設計することができました。スパコンの空冷システムを設計していた際に、空冷と水冷で圧倒的なパフォーマンスの差があると実感しました。それぞれの計算スピードをテストしたのですが、空冷だとテストの最後まで実行することができない。1回のテストでは最後まで完走できず、何度も繰り返してようやく通る、という状態でした。一方、水冷で試した際は数回のテストで終わりました。それだけ冷却方法によって、処理能力に差が出てしまうのです。ですから、水冷であればGPUサーバーも冷やせるだろうと思いました。結果、驚くくらい冷やすことができましたし、GPUサーバーの圧倒的なパワーを実感しました。
ただ、GPUサーバーを適切に稼働させるためには、データセンターの設計自体を変える必要があります。例えば、従来のサーバーであれば100ラック置けていたデータセンターでも、GPUサーバーを導入する場合は10ラックくらいしか置けない。なぜかというと、フロアに持ってこられる電力量に限りがあるからです。もちろん、水冷設備用の配管を整えるなど、冷却方法を変えることにより様々な検討要素が増えていきます。従来通りのお客さまの環境では対応できない。ですから、AIを導入するということは、ほとんどのお客さまにとって新たな挑戦となります。
お客さまとチーム、共に成長する
新しい価値を提供するには、お客さまの理解を得ることも重要です。GPUサーバーの駆け出しの頃は、その苦労がありました。今でこそ導入のために何が必要か、お客さまが理解されていることも多くなりましたが、はじめは納得を得るのに苦労することもありました。先ほどの例ですと、データセンターの1室を借りているお客さまにとっては、従来は100ラックのために割いていた費用を、10ラックに投資することになります。お客さまにとっては大きな変化です。ですが、導入後のパフォーマンスを考えると、コストをかけて新しい機器を導入するのであれば、稼働環境もしっかり整えるべきということは理解してもらえました。
理解が深まる、というのは社内のメンバーも同様です。ニーズが拡大した今、私や私のチームが知識を持っているだけでは案件は進められません。それこそ、当社の初めての水冷案件では、当時は特殊な仕様でしたので、営業もエンジニアも、リソースが相当割かれていました。ですが、技術が広まりつつある今では、ある程度完成形に近い形でラックが納品されます。そうなると、少ない人員で導入ができる。さらに、案件の数も格段に増えている。ですから、現場に出るエンジニアや、お客さまの第一の窓口となる営業など、一人ひとりのスキルが重要になります。
ですから、戦略的にスキルトランスファーを図っています。一昨年と昨年に1回ずつ、メーカーの担当者をお招きし、クーリング技術について学べる「ブートキャンプ」を実施しました。参加者には、電気の計算方法や配管の図面など、専門的なことを学んでもらいました。その結果、当社の営業やエンジニアの知識が深まり、技術的な内容でもお客さまと円滑にコミュニケーションが取れるようになりました。社内での連携もよりスムーズになり、ワンチームとしてスキルが培われてきたと感じています。
もちろん、メーカーの方も普段から講師をされているわけではないので、対応していただくための交渉など、様々な調整が必要でした。ですが、知識をつけることが、エンジニアのパワーになります。私自身、長くエンジニアとしてのキャリアを築いてきました。エンジニアにとって差別化となる強みを作るというのは、デル・テクノロジーズに入ってやりたいことの一つでしたので、こうして実現できて嬉しいです。
チームの力で、お客さまに最高の体験を
チームを構成する、それぞれのメンバーが責任感を持って仕事をしていると感じます。例えば、ラックの導入を担うサービスチーム。対応が難しいのではないかと思う相談も、丁寧に調べたり、問い合わせを重ねてくれたりと、どうしたら対応できるかを一緒に考えてくれます。自分事として対応してもらえるのは非常にありがたいですし、お客さまの要望を叶えるためには必要不可欠だと思っています。
頼れるメンバーが多いので、一人で悩む必要がない。私の担当製品だとしても、困ったことがあれば営業やSEに相談することができます。相談をしたことで、「担当なのだから、自分で何とかしてください」とも言われない。Minakuchiさんが困っているのなら、皆で一緒に考えましょうと言ってくれる。心強いですし、非常に助かります。
全員がお客さまにとって本当によいものを追求したいというマインドを持っている。だからこそ、杓子定規ではない対応ができるのだと思います。例えば、少し前にヨーロッパへ出張してきました。お客さまが検討している製品を、利用予定の環境下でテストしたいと仰ったからです。このような出張はよくあることではないのですが、これまでの経験から、テストができる環境に心当たりがあり、営業との連携で無事実現することができました。これも、お客さまのためを思ってチームで動いた結果だと思います。
お客さまの予算の中で最高の体験を届けたい。その姿勢は、部署の規模や役職を問わずに多くの社員に共通している、ぶれない柱のようなものだと思っています。この姿勢はお客さまにも伝わっていると感じていますし、チームで連携して解決に向かえるところは、デル・テクノロジーズの強みだと思います。顧客目線とチームワークがあってこそ、お客さまにとってのベストを追求することができるのだと思います。
