社外のスタートアップと手を組んで新規ビジネス創出をめざす
ここ数年、日本ではスタートアップ市場が盛り上がってきています。規模こそ北米や中国に劣りますが、国自体が力を入れており、2025年5月には「持続可能な都市を高いテクノロジーで実現する」スタートアップのピッチコンテスト「SusHi Tech Challenge 2025」が東京都主催で開催されました。
新規事業の創出に取り組んでいるのはスタートアップだけでなく、日本の自動車メーカーなどの大企業も新規事業をスピンアウトしています。
そんな中、日本のボッシュ・グループにおいても2025年3月にボッシュビジネスイノベーションズが発足しました。これはひと言で言えば、コーポレートベンチャービルディングです。社内外からテーマに沿ったアイデアを募集し、そのアイデアから、いまはまだボッシュに存在しない次世代のビジネスを創出しようとしています。
「ボッシュにはもともと『GROW』というチームが長年、社内のみでアイデアを募り新規ビジネスの創出をめざしていました。しかし、更なるイノベーションを追及するため、2025年からはガラッと方針を変えて社外も見ていこうと立ち上がったのが『ボッシュビジネスイノベーションズ』です。
今後は、社内のみならず社外のスタートアップと手を組んでビジネスを推進していくため、もちろんタレントは社外の人間になります。ならばビジネスを育てていく資金も社外のファンドやベンチャーキャピタル、日本の商社等から調達するなど、大きく変えていこうと考えています。
ボッシュビジネスイノベーションズに参加するスタートアップには、ベンチャービルディングプログラムに参加してもらいます。その過程において、参加者には必要なトレーニングを提供し、ボッシュ社内のエキスパートとの議論も重ねつつ、ビジネスモデルの実現可能性を共に検証していくのです。
その結果、有望なビジネスモデルであると判断された場合には、社内のイノベーションともかけ合わせ、最終的にはジョイントベンチャーの設立や事業拡大などを視野に入れ、スタートアップと一緒にビジネスを育てていく方針です。まだ始まったばかりのプロジェクトですが、いま社内外合わせて5社のスタートアップから生まれた種が芽を出そうとしています」(2025年7月現在)
新規事業開発部はあらゆるフェーズで新規事業を生み出す場所
山本が2024年9月から部長を務めている新規事業開発部では、新規事業の創出に向け社内のイノベーション活動の促進やシステム変更、スキルのビルドアップを推進しています。
新規事業を生み出したい人たちの核になるため、ノウハウや道筋づくりを提供しているほか、お客さまとつなぐ活動もしています。一人ひとりが新たなビジネスを生み出そうとモチベーション高く活動しています。
新規事業開発部には、ボッシュビジネスイノベーションズのほかにもプロジェクトがありますが、その一つが「Open Bosch」です。ここでは社内の困りごとを、スタートアップの技術やソリューションを借りて迅速に解決することをめざしています。
スタートアップ側は成長期にボッシュの事業部門と関係を構築し、サプライヤーや顧客、テクノロジーパートナーなどになる機会を得ることで、資金や企業としての信頼を得ることができます。一方ボッシュは、いち早く最新のテクノロジーに触れ、技術革新を取り入れられるようになります。つまりOpen BoschはWin-Winなパートナーシップなのです。
対してボッシュビジネスイノベーションズは、Open Boschとは方向性もターゲットも異なり、まだ種になり始めたばかりのスタートアップと共にビジネスを育てていくことをめざしています。
その手段の一つとして、2025年3月には「カーボンキャプチャースタートアップチャレンジ」といった、二酸化炭素排出抑制を解決するアイデアを世界中のスタートアップから募集するキャンペーンを実施。ボッシュビジネスイノベーションズは世界に8つの拠点がありますが、合計340ものアイデアが集まり、5つのアイデアが新規ビジネスの種として選ばれました。
「その中には、日本初のDirect Air Captureスタートアップ『Planet Savers株式会社』がありました。同社は二酸化炭素を吸収する技術で、いま注目を集めています。
現在は、同社のビジネスを評価しているフェーズですが、ボッシュは二酸化炭素収ビジネスに注力しているので、ぜひ協業していきたいと考えているところです」
日本発信のビジネスで、社会的な課題解決に貢献したい
「僕たちは、ボッシュビジネスイノベーションズを通して、まだコアではないけれど、将来、ボッシュのコアになるようなビジネスをつくりあげたいと考えています。その中で、日本にも良いスタートアップ、技術がたくさんあることを世界に発信していきたいです」
その際のテーマは、空気や水、ゴミ、ヘルスケアなど、社会的に課題解決が困難なテーマを選んでいきたいと話す山本。世界中が頭を抱えている悩みを、日本発信のビジネスで少しでも解消していきたいと言います。
「優れたアイデアを持ちながらも、人員や資金、技術などの課題があり事業規模を拡大できないスタートアップは多くあります。対してボッシュは世界中の主要国にビジネス拠点があるので、ボッシュと手を組めば世界中にパートナーを広げる可能性を生み出せるというメリットを提供できます。
そこはスタートアップがボッシュに期待していることでしょうし、スタートアップには世界とつながれることをモチベーションにして頑張っていただけたら嬉しいです。
また“日本のボッシュ・グループ”の視点では、ボッシュビジネスイノベーションズで新たなビジネスをつくりあげることで、日本のボッシュからさらに盛り上げていきたいという強い想いをもって、これからも数多くのスタートアップとの取り組みを増やしていくべく、活動を強化してまいります」
新規ビジネスを通して、日本の技術や考え方をアピールしたい
ボッシュビジネスイノベーションズの活動を通していろいろな人に会うようになった山本は、「ボッシュの強みだけでなく、日本企業の優れた点も認識できるようになった」と、新たなビジネスの創出に手応えと大きな可能性を感じています。
「社内における新規事業創出の動きに対して、『新しいアイデアをシェアできる場がほしい』という声を耳にします。自動車だけではない、新たなビジネスを生み出したいという従業員は確かに存在しますし、新規事業開発部は社内のイノベーター活動も期待されているのだなと嬉しくなります」
今後は、希望者に用意したプログラムに準じたトレーニングに参加してもらい、新規ビジネスのアイデア創出を促進していくそうです。
「私たちはボッシュビジネスイノベーションズやOpen Boschなど、ボッシュを盛り上げるようなおもしろいチャレンジをしています。そのことをまず知ってもらいたいし、何かアイデアがあればいつでもシェアしてもらいたいです。
そして日本のボッシュ・グループ全体で、他国に負けない技術や考え方をもって、日本のスタートアップが持つキラリと光るものを社内外にアピールしていきたいと考えています」
同時に山本は、スタートアップにはボッシュが持つこの想いをぜひ利用してほしいと考えています。
「ボッシュを通じてドイツなど海外とのコネクションを持ちたい、ボッシュが持つ技術や知見を使ってこれまで以上にビジネスを推進したいなど思ってくれているスタートアップ企業やボッシュ従業員は、いつでもウェルカムなのでぜひアプローチしてもらいたいです。
一緒に新規ビジネス創出に挑戦しつつ、日本のスタートアップ産業を盛り上げていきましょう!」
ボッシュだけでなく日本の未来を、そして世界の未来を自分たちの手で照らしていきたい。山本はその一心で、社内外にイノベーションを起こし続けようとしているのです。
※ 記載内容は2025年7月時点のものです
