経営陣からインターン生まで、誰もが参加できるカーボンニュートラルへの取り組み
ボッシュは2020年以降、世界400カ所の拠点でカーボンニュートラルを実現しています。カーボンニュートラルを達成するには、利用時にCO2を排出しない水素をはじめ、ゼロカーボン燃料や低炭素燃料を利活用することが求められますが、ボッシュは現在、水素関連事業を拡充し2030年までに売上高50億ユーロをめざしています。
またCO2削減策においては、本社があるドイツで2024年までに新しい空調システムの65%を再生可能エネルギーでまかなう予定などがあり、ボッシュはこれまで企業としての社会的責任を果たすためサステナビリティに貢献してきました。
そんな中、日本のボッシュでCNCJが誕生したのは2023年6月。カーボンニュートラルに関する社会課題を解決するために、会社として何ができるのか。既存事業でのノウハウやリソースをビジネスに反映できないかを考えるため、子会社を含む日本のボッシュ・グループ各事業部からカーボンニュートラルに関心のあるメンバーが有志で集まり、プロジェクトが動き始めました。
CNCJのキックオフMTGの際には、ワークショップや外部の有識者による勉強会を開催。当初から元代表取締役社長のクラウス・メーダー含む経営陣も参画しており、一緒に勉強や意見交換を行うほか、関連企業や人物の紹介など活動のサポートを受けています。
CNCJの主な活動内容は以下の4つです。
- カーボンニュートラルに関するソリューション案の顧客提案
- 関連市場や製品のリテラシー向上
- 業界のステークホルダー(政府、アカデミア、コンソーシアム)とのネットワーキング・ブランディング・産学連携
- 関連事業の成長における戦略策定
メンバーは、月に何度か集まって意見交換やワークショップを実施しています。現在の固定メンバーは20名程度。そのほかに、定例会議のトピックに興味を持った従業員が自由にその都度参加しています。ボッシュだけでなく、グループ会社の社員やインターン生も参加しており、国籍も役職も多様。活動のテーマに想いがある人なら誰でも歓迎しています。
1人では実現できないカーボンニュートラルに、みんなで挑戦したい
今回集まった4名は、どのような経緯でCNCJに参画したのでしょうか。
渡邉は元々所属するパワーソリューション事業部で、カーボンニュートラル関連の新製品の拡販活動に少人数チームで取り組んでいました。しかし新規性が非常に高い市場なこともあり、苦戦していました。
渡邉:社内で同じような取り組みをしている人たちがいると聞いて、CNCJに仲間入りさせてもらいました。私は普段、専門性を持った人たちの知識や経験をお客様に橋渡ししているので、CNCJでもメンバー各々の専門性やノウハウ、コンピテンスを可視化して、外部のニーズとつなげていきたいです。
阿部は、CNCJに参画していた同僚から声がかかったことが参画のきっかけですが、カーボンニュートラルの技術に知見がないため、最初は戸惑いがあったと振り返ります。
阿部:カーボンニュートラルの専門家ではない私に、どういった貢献ができるだろうかと迷いました。けれど、専門家ではないからこそ異なる目線で貢献できるのではないかと思って参画を決めたのです。
私は新規事業開発部に所属しており、普段の業務では新しい事業のたね探しや、大企業やスタートアップ企業と協業の促進をしています。そこで築いたつながりを活かして、CNCJから新しいビジネスを生み出すことに貢献できたら嬉しいですね。
CNCJに初期から参画している林は「仲間作りがしたかった」と話します。
林:元々カーボンニュートラルや水素に関する商材を使って社会課題を解決したいという想いがあったのですが、1人では実現不可能です。同じ考えの人たちに声がけをし、CNCJを立ち上げました。社会課題を解決しながらビジネスとして売上を確保するのは難しく、いま、多くの企業が頭を抱えています。
そこで、すでにグローバルでカーボンニュートラルを実現してきた知見を活かし、日本のボッシュとして発信し、主力の自動車関連事業やそのほかのソリューションを提供することで、売上に貢献できたら嬉しいです。
保延はソフトウェア開発を中核とした部隊である、グループ会社のボッシュグローバルソフトウェアテクノロジーズに所属しています。カーボンニュートラルを実現する上で、DXの知見を求められたため参画しました。
保延:AI関連も含め、システム関連でノウハウや実装が必要なときに支援しています。本業では、カーボンニュートラル関係の数値の見える化をするダッシュボードなどをお客様に提供しているので、CNCJでもシステム関連のソリューションを担当しています。
CNCJのメンバーはカーボンニュートラルの実現に向けて同じ方向を向きながら、互いの特性を活かして日々試行錯誤しています。
スタートアップ企業と協業し、新たな価値を創出したい
これまで学会や大学、自治体、企業と協業していくつものプロジェクトを推進してきたCNCJ。直近で実現したいことのひとつが、スタートアップとの連携や支援です。2024年5月から「ビジネスアクセラレーターかながわ(BAK)」に参画しています。BAKとは、スタートアップやベンチャー企業が、県内に拠点を持つ大企業と連携してプロジェクトを創出及び事業化することをめざすプログラムです。
ボッシュはパートナー企業として参画しており、スタートアップやベンチャー企業が持っているテックシーズや挑戦したいことによって、提案や技術の提供をするのが役割です。
阿部:BAK参画のきっかけは、ボッシュの本社が渋谷から横浜に移転すると決まったことでした(2024年5月末に移転)。そのことを知った神奈川県のBAK事務局から、参画をすすめられたのです。
調べたところ、神奈川県はカーボンニュートラルをミッションとしており、策を探していることを耳にし、ボッシュが貢献できるのではとCNCJとして挑戦することにしました。
さまざまな人や企業、団体と交流し、お互いのチャンスと社会貢献の機会を見つけていくのが理想です。日本には多数の水素関連をはじめ環境技術に強い企業がいらっしゃるので、他社と手を組んで互いの強みを活かしながら新しいものを創出し、日本から何かを発信したい。そのために企業に限らず、神奈川県をはじめとする自治体や大学とも手を組んでいきたい、とCNCJのメンバーは考えています。
お互いがWin-Winになって次のステップに行くのがBAK。すでにカーボンニュートラルを実現しているノウハウや日本に製造工場といったリソースが存在することが注目されていますが、「ボッシュが提供できる技術はこれ」と最初から決めるのではなく、相手との話し合いの中で何を提供するのがベストなのかを決めていきます。渡邉は「BAKを通して多くの方と話せるのは利点」と話します。
渡邉:会社の本業での業務だけに取り組んでいると、限られた方としか会話しないようになり、視野が狭くなりがちです。しかしカーボンニュートラルは街単位など大きいベクトルで取り組まなければなりません。そうなったとき、BAKのようなプログラムはありがたいです。
私たちのこれまでの経験がいままで接したことのない価値観や意見とつながることで、新たな価値の創出につながる可能性があります。その先で、実現できることを見つけられたら良いですね。
難しい課題だからこそ、できるだけ多くの仲間と課題解決に挑みたい
カーボンニュートラルは世界中で取り組んでいかなければならない課題ですが、多くの人は普段の暮らしの中で意識することはないかもしれません。しかし、本当にそれで良いのでしょうか。
保延:企業はサステナビリティに貢献する必要があります。CO2の排出量もカーボンクレジット化されたいま、多くの製品はカーボンニュートラルを達成することでマネタイズできるようにもなってきています。
自分たちに何ができるかを考え、積極的にビジネスとして参画する意識が大切です。その際、ただ社会貢献するのではなく、自社のバリューチェーンに沿って考えると良いのではないでしょうか。カーボンニュートラルはさまざまな業界を横断して取り組むべき課題なので、そこを啓蒙するのもボッシュの役割と自負しています」
林:ボッシュは温室効果ガス排出量の削減に対して、Scope1(自社の工業プロセスなどによる直接排出)とScope2(電気、熱、蒸気の使用に伴う間接排出)で目標達成しており、その経験を活かして他社の工場の温室効果ガス排出量の見える化の達成等しています。その方法自体は単純なものですが、古い工場だとそもそも熱や電力を大量消費する設備が多く達成が難しいこともあります。
そのため温室効果ガス排出量の削減に取り組むかどうかの経営判断に迷っている企業もあると思いますが、その部分でもボッシュはこれまでの経験を活かして後押ししていきたいです」
カーボンニュートラルへの挑戦は長期戦で、多くの企業が手探りで進めている状態です。そして温室効果ガス排出量の削減におけるScope3(Scope1、2以外の間接排出、事業者の活動に関連する他社の排出)の達成はボッシュにとってもハードルが高く、ほかの企業や自治体、学校などと力を合わせて取り組んでいく必要があると考えています。
渡邉:だからこそ、ほんのわずかなことでも何か活かせそうなリソースやアイデアを求めています。取り組みたい気持ちがある方にはCNCJに参加してもらいたいですね。多種多様な人の集まりであるボッシュだからこそ、CNCJのメンバーが増えれば貢献の仕方も広がっていくと思います。
林:カーボンニュートラルの実現において、私たちができるのは社会実装の手前の社会実験かもしれません。でもそれすら、ボッシュだけ実現することは大変困難なので、さまざまな企業と連携して実現したいと思っています。社内外に、どんどん仲間を増やしていきたいです。
CNCJは通常の事業以上に、ボッシュの多様性が生きているプロジェクト。私たちは今後も社内の協力者を募りながら、協業できるパートナー企業とつながり、カーボンニュートラルの実現とビジネス化に意欲的に取り組んでいきます。
※ 記載内容は2024年8月時点のものです
