変化に対応し、強固な基盤を築く。セキュリティマネジメントの最前線
セキュリティマネジメント部は、国内外のANAグループの情報セキュリティ領域を統括する部門として、情報セキュリティ全般に関わる業務を担当しています。
「不審な通信が検知された際のチェックやインシデント対応、従業員向けの情報セキュリティに関する注意喚起など、私たちの業務内容は多岐にわたります。
ANAグループの情報セキュリティは社外から高く評価されていますが、その基盤を支えているのが当社です。ANAグループ全体のセキュリティガバナンスを強化・推進する重要なミッションを担っていることを意識しながら、日々業務に取り組んでいます」
セキュリティマネジメント部が担うのは、運用統括、エンジニアリング、ANAグループ向け機能の3つの役割。中でも百合は、主にANAグループやANAシステムズ社内に向けた情報セキュリティに関する周知や教育を担当しています。
「ANAグループ社員向けの啓発資料の作成、ANAグループ各社への訪問・情報セキュリティ教育の実施、社内のISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)に関する取り組みやe-learning教材の作成などが主な仕事です。
教育プログラムは年に3〜4回実施しています。教育用コンテンツや啓発資料壁新聞の作成は、1〜2カ月のスパンで、企画から制作から提供までを一貫して行っています」
情報セキュリティの領域では、日々変化する脅威に対応するため、技術力の継続的な向上が不可欠です。難しいからこそ、挑戦しがいがあると百合は言います。
「日々新しい攻撃手法が現れるなど、変化の早い業界なので情報のキャッチアップは大変ですが、新しいことを学べる環境は魅力的です。まさか30代半ばでITを本格的に勉強することになるとは思っていませんでしたが、こうした成長の機会をいただけることをとてもありがたく感じています」
未経験から情報セキュリティの世界に飛び込んだ百合。部門の仲間に支えられながら、これまでの経験と独自の視点を活かし、チームに貢献してきました。
「毎日、朝夕のブリーフィングで問い合わせ内容を共有し、チーム全体で目線を合わせるなど、相談しながら進める文化が根づいています。そのおかげで、知識や経験が少なくても働きやすい環境です。
利用者側の目線と、『自分が理解できていないこと』をよく知っていることは、長くユーザー部門に在籍していた私ならではの強み。この視点を忘れずに持ち続けたいですし、私がもっとも価値を発揮できる部分だと考えています」
支える仕事から、生み出す仕事へ。挑戦を重ねて切り拓いたキャリア
百合がグランドスタッフの道を選んだのは高校1年生の時。悩み抜いた末の決断でした。
「私が通っていたのは、将来の目標を決めてから、それに必要な授業を選んで学ぶカリキュラムを採用している高校でした。父がSEだったためIT関連の仕事か、自身が憧れていた空港で働く仕事かで迷い、最終的に選んだのが後者です。その後、専門学校に進学し、グランドスタッフをめざして本格的に学びました」
卒業後、百合はANAグループの空港ハンドリング会社へ。成田空港でANAの国際線を中心とした旅客ハンドリング業務に従事しました。
「旅客ハンドリング業務は、空港の旅客サービスの最前線に立つ仕事です。チェックインや搭乗手続きのサポート、お荷物のお預かりや管理などが主な業務でした」
そんな百合に転機が訪れたのは入社8年目。グループ人材公募制度を活用し出向を決意します。
「すでにチケットをお持ちのお客さまをサポートする仕事よりも、そのチケットを販売し、利益を生み出すような経験をしてみたいと考えるようになったんです。そんな時に見つけたのが、ANAグループ会社の営業部門のポストでした。
出向先では、ビジネスマナー研修をはじめとするBtoB向け研修商品の営業を担当しました。コミュニケーションを通じて信頼関係を築いていくプロセスを経験できたことは、とても貴重な学びになったと感じています」
3年間の出向を経て成田に戻った百合。しかし、その後の道のりは決して平坦ではありませんでした。
「国際線の旅客担当に戻りましたが、長く現場を離れていたため資格がすべて失効してしまって。新入社員と同じステップを一から踏み直すことになりました。
モチベーションを維持するのに苦労しましたが、担当できる航空会社を増やしたり、全社横断教育に参加したり。自分を奮い立たせながら、業務の幅を広げていきました」
そうした前向きな姿勢が人材開発部門の目に留まり、百合は総務部へ異動することに。新入社員研修や階層別研修を担当しました。
「その後、ライフステージの変化を機に転居をすることになり、勤務地の関係から、出向時にお世話になったグループ会社に転職。出向時に扱っていた研修プログラムやコンテンツを作成する業務に携わりました」
そして2022年、百合はグループ転籍制度を活用し、ANAシステムズへと転籍します。
「ちょうど新しいことに取り組みたいと考えていた時、転籍の募集を見かけ、高校時代の進路選択を思い出しました。空港で働く夢を叶えたのであれば、次はITかもしれない。そう考えて応募を決めました。
文系出身で未経験だったため、難しいだろうと思っていましたが『後悔したくない』という思いでしたね。その結果、ありがたくポストをいただくことができました」
挑戦を支える環境が成長を後押し。未経験であることが新たな価値を生み出す源泉に
百合が配属されたのは、セキュリティマネジメント部がちょうど未経験者を積極的に受け入れる体制へとシフトしたタイミング。手厚いサポート環境のもとで、着実に成長を遂げてきました。
「わからないことを丁寧に教えてもらえる環境で、上司やチームメンバーが毎日のように1on1を実施してくれました。そのおかげで、新しい職場や仕事にも比較的スムーズに馴染めたと思います。数カ月経ったころには、『もう1年ほどここにいるような感じがする』と言っていただけました」
社内のガイドラインや情報セキュリティの基礎知識を習得し、新入社員向けのセキュリティ教育のサポートをはじめ、段階的に業務の幅を広げてきた百合。これまでの経験を活かせる場面も多いと言います。
「たとえば、研修資料の作成やプレゼンテーションのスキルが役立っています。チームにはデザイン面に強い人材が少ないため、情報セキュリティ関連の資料をよりわかりやすくまとめながら、ANAグループ各社向けに情報提供をするようにしています」
ANAグループ全体のセキュリティガバナンスを強化・推進する上で、セキュリティマネジメント部がめざしているのは、「愛されるセキュリティ組織」。チームの一員として、百合もまた、相手に寄り添ったコミュニケーションを大切にしてきました。
「セキュリティ部門は通常、事業部門に対して制限を設けたり、『待った』をかけたりする立場なので、必ずしも良好なやり取りばかりとは限りません。だからこそ、単に『NO』と言うのではなく、相談に乗りながら代替案を提示するなど、建設的なアプローチを心がけています」
一方で、地域貢献活動にも取り組み、小中学生向けの情報セキュリティ教育やイベントも実施しています。
「当社の部門横断の取り組みの一つとして、地域の中学生の職場体験を受け入れ、情報セキュリティのレクチャーやAIを活用した業務体験、空港システムの見学などの3日間のプログラムを提供しています。
また、川崎市のキングスカイフロント地区で開催される地域の小学生向けの夏の科学イベントでは、謎解きをモチーフにしたセキュリティ教室も実施しています」
転籍して間もなく丸3年になる百合。未経験であることが、かえって新しい提案やアイデアを生み出す原動力になっていると言います。
「私が理解できないことは、きっと事業部門の方々にもわからないはずです。だからこそ、私ならではのアイデアや提案が生まれると考えています。
未経験でも活躍できるのは、職場に新しい挑戦を後押しする雰囲気があるからこそ。『こういうことをやってみたい』という提案に対して、前向きなアドバイスをもらえたり、挑戦を後押ししてもらえたりする環境に、本当に感謝しています」
未来を描き、挑戦を続ける。目の前の仕事と向き合うことが、キャリアを切り拓く鍵に
現在、部に配属された新卒社員の育成チームリーダーを務める百合。メンバーを育成する上で、とくに大切にしていることがあります。
「30代になった時の自分の姿を各自が想像し、そこから逆算して3年後、1年後にどうありたいかを一緒に考えてもらっています。知識や業務スキルの習得だけでなく、将来の目標に向けてモチベーションを高めることを重視しています」
百合がそう考える背景にあるのが、自身の経験です。さまざまな領域でキャリアを積んできたからこそ、気づいたことがあると言います。
「環境を変え、新たな挑戦をする時は、自分の武器となるものが必要です。どこにいても力を発揮し続けるには、自分の強みを理解し、磨きをかけておくことが重要だと考えています。
大事なのは、目の前の仕事に真剣に取り組むこと。直面する課題と誠実に向き合うことで培った経験が、次のステップで役に立つ力になると強く実感しています」
未経験でITの世界に足を踏み入れ、最前線で活躍する百合。ANAグループのIT人材に求められるのは、技術力だけではないと語ります。
「専門的な知識やスキルも重要ですが、それ以上に大切なのは、技術に詳しくない方々への理解と共感力です。わかりやすい言葉で丁寧に説明したり、不便を解決しようとする姿勢で対応したり。相手の立場に立ってコミュニケーションが取れる人が必要だと感じます」
そして百合自身も、キャリアの新たな目標に向けて挑戦を始めています。
「セキュリティ業務のミッションをより深く理解し、専門知識を高めることが直近の目標ですが、将来的にはマネージャーとしてチームをまとめる立場になりたいと考えています。
私に向いているのは、技術を極めることよりも、チームメンバーとコミュニケーションを取りながらチームを運営していくこと。情報セキュリティという高い専門性と責任が求められる分野だからこそ、チーム内で楽しさや喜びを見出せるような、明るい組織づくりをめざしたいですね」
自分の可能性に、蓋をしない。挑戦の先にいる、いまよりも成長した自分と出会うために──百合はこれからも未知に挑み続けます。
※ 記載内容は2025年2月時点のものです
