候補者の「知りたい」に応える。相手目線の情報開示が他社との差別化の鍵に
総務部の人財成長支援・働きがい推進チームに所属する久保。現在、チームリーダーとして採用活動と社員の成長支援に取り組んでいます。
「人財成長支援・働きがい推進チームは、2022年4月に人事チームから独立する形で立ち上がった新しい組織です。チームリーダーを中心に10名のメンバーで構成され、採用、人財成長支援、人事評価の3つの業務を主に担っており、そのうち私は採用と人財成長支援全般を統括しています」
ITエンジニアとしてキャリアを積んできた久保が現在のチームに配属されたのは2021年10月のこと。大役を任された経緯を次のように振り返ります。
「旅客システム部門で10年近く、ANA国際線のチェックインシステム開発と当時稼働していた国際線旅客システムのSaaS型への移行プロジェクトに携わった後、ANAに約5年間出向しました。帰任したのは、コロナ禍の影響でANAグループ全体が大きな打撃を受けていた時期。その影響を受けて3年間見送っていた採用活動を再開することが経営課題となっていました。
長く現場を経験し、各事業部門がどんな案件やプロジェクトを抱え、さらにはどんな課題を抱えているかをある程度把握できていることが私の強み。ANAの基幹システムである旅客システムに長年携わり、事業部門に精通している点が評価され、この大きなミッションを託されました。
優秀な人財の獲得と育成を通じて、組織に新しい価値観を取り入れていくことが私に課されたテーマであり、これは難題でもありました。ただ、エンジニアを経験しているからこそ、現場に届く施策を打ち出せると信じここまでやってきています」
採用活動に取り組む上で、久保が常に大切にしてきたのが、相手に対して本音で向き合う姿勢。候補者が「本当に知りたいこと」を伝えようと努めてきました。
「会社の代表者としての自覚を持ち、できる限りリアルな情報を伝えるようにしています。相手が知りたいことをしっかりと掘り下げた上で、許されるぎりぎりの範囲で、納得のいく答えを提供することを重視してきました。
その姿勢が、『ANAシステムズの会社説明は異色だ』『他社が教えてくれないことを教えてくれる』といった声につながり、結果として他社との差別化にも成功していると考えています」
ロールモデルの背中を追いかけ、事業部門から人事へ。“リアル”で育む共感と信頼
事業部門から人事へと大きなキャリアチェンジを遂げた久保。背景には、ある人物の存在がありました。
「就活生だった当時、いまの私のポジションで私を採用する立場にあった方に憧れて、いつか一緒に仕事をしたいと思っていました。現在のチームに配属されたのも、その方から声をかけていただいたことがきっかけです。
その方が2024年4月に事業部門に異動されるまでの約2年間、部下として直接指導を受けられたことは、非常に貴重な経験になりました。
人事には、経営を陰で支え、事業の裏側をうまく動かす力が求められます。部門横断的にコンセンサスを取るテクニックを学べたことは、私にとって大きな財産となりました。
また、採用候補者の心を動かす技術も、その方から学んだことの1つです。明確なビジョンを持ち、それをわかりやすく説明する力や資料化する力、そして推進力を持ってアイデアを次々と形にしていく姿を間近で見て、多くのことを吸収することができました」
着任後、久保が最初に着手したのが社内教育の内製化です。リアルな状況を反映した研修プログラムの整備に力を注いできました。
「以前、当社では階層別研修を外部に委託していましたが、現在はその半分を内製化しています。実際に社内で起きているリアルなシーンや課題を研修でも題材にすることで、より実践的な内容にしたかったからです。
私自身も事業部時代に外部に委託した教育期間のプログラムを受講しましたが、内容がどうしても抽象的だったため、社内の実情に合うように工夫しながら学んでいたのを覚えています。当時から、具体的な社内事例をもとに議論やシミュレーションができる研修が理想的だと考えていました。
とはいえ、それを実現するのは簡単ではありません。部下と共にシナリオを作成し、スクリプトを書き上げ、研修のゴールに沿っているかを常に確認しながら細部を詰めていきました。また、チームメンバーを受講生に見立て、予行演習も繰り返し実施しています」
一方、学生向けのセミナーにも取り組んできた久保。ここでも、“リアルさ”にこだわってきました。
「セミナーでは、会社のプラス面だけでなく、マイナス面も包み隠さず伝えることを意識しています。
また、ビジネス課題を解決することが私たちのミッションであり、ITやデジタル技術はそのための手段である点を強調して、システム会社で働く意義を学生に正しく伝え、共通理解を深めることも大切にしています。
そして、もっとも大切にしているのは、『当社に来てください』ではなく、『あなたのお悩みは何ですか』というスタンスです。当社以外についての質問も多く受けますが、企業人として、社会人の先輩として、質問が尽きるまで応えることが自分のモットー。本来1時間の講演が、質問をできるだけ受け続けた結果、4時間近くに及ぶことも珍しくありません」
IT企業としてのベンチマーク戦略と制度設計。働きがいのある組織づくりへの手ごたえ
発足以来、人財成長支援・働きがい推進チームがめざしてきたのは、その名の通り、働きがいのある環境づくり。その成果が徐々に形となってあらわれ始めています。
「当社はANAグループ全体で実施しているサーベイで高いスコアを獲得してきましたが、グループ外の環境とのベンチマーク指標がなく、『働きがいのある会社調査(Great Place to Work、以下、GPTW)』にも2022年より参加してきました。
GPTWの調査では、『従業員とのエンゲージメント』と『企業の文化や方針、人材に関する施策・制度に関する内容』の双方が問われます。そして当社は、調査結果を分析して働きがいを向上させる全社施策を策定し全社で推進してきた結果、GPTWの調査スコアが毎年向上しており、2022年から3年連続して『働きがいのある会社』として認定を受けることができました」
GPTWの評価を得た背景には、経営戦略としてこんな意図もありました。
「私たちの会社は、資産は人財であるという考え方を持ち、会社設立当初より人財を大事にしてきています。その人財=社員が働く環境を外部環境とのベンチマークをしながら、定期的に働く環境の健康診断を行うことが大事だと考えています。
これまで当社はエアラインビジネスを基軸に経営を進めてきましたが、外販事業を展開するなど、ANAグループ以外の分野にも事業を拡大しています。働きがいのある環境を社員に提供し、社員がイキイキと活躍することで当社、およびANAグループ全体の成長を支えることにもつながります。
こうした新たなミッションを実現する上でも、GPTWの調査を定期的に行い、働く環境が健康であることを継続して確認していくことは意義があると感じています」
一方、ANAシステムズでは近年新卒社員の3年離職率0%を維持しています。採用活動での誠実な対応に加えて、オンボーディングプログラムの充実など、若手社員の活躍を後押しすることにも注力してきました。
「当社は、新入社員の初期配属を本人の希望や適性を踏まえて丁寧に行っています。さらに、人事と事業部門が役割分担して新入社員を育成する体制を整えるなど、全社一丸となって若手を育てるカルチャーが醸成されつつあります。
また、多様な働き方を選択できる人事制度を整えることと同時に、オンラインでのコミュニケーションの場づくりにも力を入れてきました。業務時間内に経営層との雑談の場を設ける『ひまわりトーク』や、部門を超えて横のつながりをつくる社員同士の雑談の場『ひまわりカフェ』といった取り組みを通して、社内のコミュニケーションを活性化させハイブリッドワークを効果的に機能させるための仕組みづくりを早い段階から進めています」
寄り添う人事で描く組織づくり。誰もが活躍できる適所適材の実現をめざして
着任以来、経営戦略・事業戦略の実現を人事面から支援してきた久保。従業員と戦略をつなぐ「架け橋」として、また会社の「顔」として、思い描くビジョンがあります。
「社内から私への相談がまだまだ少ないと感じています。人事が現場から遠い存在になってしまうことは、私たちのチームとってマイナスです。困りごとを解決し、挑戦を後押しする社員の味方として、頼られる人事でありたいと思っていますから、どうすればそれを実現できるかを考え実行していきたいです。
採用面でも、まだ道半ばです。採用候補者の皆さんにとって役立つ情報を提供し、ANAシステムズのファンを増やすことが私の役割。現在、通常の採用活動に加えて、内定者が次のステップに向けて準備するためのサポートなども行っていますが、高品質なサービスを追求してきたANAグループならではのフィロソフィーを受け継ぎながら、相手に寄り添った活動をさらに充実させていきたいと考えています」
その先に久保がめざすのは、適所適材の人事。組織や仲間への想いを次のように語ります。
「社員が働きがいを感じながらイキイキと活躍できる環境をつくることが私の願いです。
思うように能力を活かすことができずに悩んでいる社員も少なくありません。そうした課題を解きほぐし、誰もがやりがいを感じながら気持ちよく働ける組織づくりを進めていきたいですね」
1人でも多くの仲間が強みを発揮し、共に成長できる組織に向けて。これまで積み上げてきた歩みを土台に、ANAシステムズをさらに強い企業へと導く久保の新たな挑戦が、ここから始まります。
※ 記載内容は2024年10月時点(当時、マネージャー職)のものです
