入社19年目の挑戦。チーフとして国内旅行と精算システムのエンハンスメントを主導
旅行システム部 第一チームに所属する本橋。現在、旅行システム部で国内旅行および精算システムの開発チーフを務めています。
「国内旅行システムと精算システムを担当し、エンハンスメントを主導しています。現在のチームメンバーは6名。プロジェクト全体の円滑な遂行に向けて、ステークホルダーと連携しながら、各自が担当する開発案件の進捗管理と調整を行っています」
入社以来、主に海外旅行分野で経験を積んできた本橋が国内旅行システムの開発に携わり始めたのは、2023年11月のこと。キャリアの大きな転換期を迎えながらも、持ち前の高い技術力と適応力で乗り越えてきました。
「国内旅行と海外旅行の業務プロセスには大きな違いがあるため、国内旅行システムを担当することは私にとって新たな挑戦でした。以前、国内旅行を担当していた時期もありましたが、それは15年以上も前のことですから。この半年間、チームメンバーをはじめ周囲の力を借りながら新しい知識の吸収に励んでいます」
海外旅行システムで築いたキャリア、2度の次期システム開発プロジェクトで磨いた技術
新卒でソフトウェア企業に入社し、黎明期に電子マネー運用を担当した本橋は、さらなる成長機会を求めてANAシステムズへ。以来、システム開発の最前線で活躍してきました。
「当社での私のキャリアは、国内旅行システムの開発業務から始まりました。最初に担当したのは、収納代行業者との接続案件です。前職での経験が買われての起用でした。この経験を通じて、異なるシステム間の接続開発における複雑さと重要性を学びました。
入社3年目には、海外旅行システムの担当へ。当時は、汎用機とWebアプリケーションを組み合わせた旅行販売システムがANAとして主流。両方の開発に携わることで、技術的スキルと海外旅行業務の知識を同時に磨きました。
6年ほど案件開発に携わった後、海外旅行の次期システム開発プロジェクトが立ち上げられることになり、自ら手を挙げて参加しました。それまでのエンハンスメント中心の業務から、新システム開発へと挑戦する絶好の機会だと考えたからです」
初めて大規模開発に参加することになった本橋。マルチベンダー体制の中で、個別システムリーダーを務めました。
「老朽化した既存システムの刷新がこのプロジェクトの主な目的でした。海外旅行部門の収益改善が急務となっていて、システム運用コストを削減するため従来の自社運用型からSaaS利用型の基幹システムへの移行が決定されました。
それまでのエンハンスメント業務でもベンダーに協力を依頼していましたが、基幹系、Web系、精算系の各システムを異なるベンダーが担当し、さらにコンサルティングファームがPMOとして参画するという大規模なプロジェクトでした。
私は、私はシステム選定の分析・計画段階から携わりました。開発フェーズに入ってからは、精算関連の部分をメインで担当しました」
新システムの稼働後、本橋はエンハンスメント業務を経て、2021年からは再び次期システム開発プロジェクトに参画。今度はプロジェクトリーダーとして、開発現場を主導しました。
「2018年1月に稼働を開始した新システムは、大規模な旅行商品の造成と販売には適していましたが、運用に多くの人的リソースを要するため、ユーザーの業務形態との相性があまり良くありませんでした。そこで、よりコンパクトで効率的なシステムの構築をめざし、新たな次期システムの検討が始まったというわけです。
ただこの時期には、長年共に働いてきた豊富な業務知識を持つ海外旅行部門のメンバーがリニューアルされていました。そのため、私が現場指揮を担当することになり、新しいチームメンバーとともにプロジェクトを推進する役割を担いました」
未知に挑んで見えた新しい景色。アジャイル導入が技術者としての成長のきっかけに
前回同様、2度目の次期システム開発でもSaaS利用型が採用されましたが、このプロジェクトは本橋個人にとってもANAシステムズにとっても、未知への挑戦となりました。
「この案件では、複数のSIerによるコンペを経て、アジャイル開発を得意とするSaaSベンダーとアジャイル経験の少ない大手SIerがパートナーに選ばれました。当時、アジャイル開発が業界のトレンドとなりつつあったことから、私たちもこの手法を取り入れることを決めましたが、ユーザー側も私たち開発側も、アジャイル開発の経験はゼロ、というところからの取り組み。そのため、『アジャイルとは何か』という基本的な概念から学び始める必要がありました。
プロジェクト開始に先立ち、当社のアジャイル開発の第一人者である役員から、その手法や心構えについて指導を受けましたが、このプロセスは、新しい開発手法への移行を円滑に進める上で非常に重要だったと感じています。
ウォーターフォール型開発では、長期間にわたる分析や計画フェーズを経て壮大なシステムを構想しても、開発期間中にユーザーニーズや市場環境が変化してしまうリスクがあります。アジャイル開発の根本理念に基づいて、ユーザーにビジネス価値を迅速に提供することをめざし、コンパクトな要件定義を行い、開発過程で生じる要件変更にも柔軟に対応していきましたね。
また、開発だけでなく、テストや稼働準備などのフェーズでも常に優先順位を見直しながら、もっとも重要な作業は何かを常に吟味しながら、ビジネス価値の高い機能から順次実装していくスタイルを徹底してみました」
ウォーターフォール型からアジャイル型への開発手法の転換は、開発者にとって大きなパラダイムシフトとも言えるもの。当初は戸惑いもありましたが、プロジェクトの進行は予想以上に円滑なものでした。
「私を含むチームメンバーの多くは、ウォーターフォール型の開発に慣れ親しんでいましたから、当然、新しいアプローチへの移行には当初、大きな不安と戸惑いがあったのを覚えています。
けれども、実際にアジャイル開発を実践してみると、予想外にやりやすくスムーズに適応することができました。理由はなんといってもアジャイル開発プロセスのシンプルさ。優先度の高いタスクを特定し、それに集中する、という明確な指針がチームの方向性を一つにし、効率的な開発を可能にしていました。
プロジェクト開始時にプロジェクトの基本方針(憲章)をプロジェクトメンバーで認識共有できたのがうまくいったポイントだと思います。メンバーそれぞれが自分で考えてた結果、自己組織化につながりました」
アジャイル開発を進める上で、本橋がもっとも重視したのは、ユーザー、ベンダー、そして自社のあいだにフラットな関係性を構築すること。三者の架け橋となり、一貫して透明性の高いコミュニケーションを心がけたと言います。
「コロナ禍という制約がある中でも、週に2回はユーザーのオフィスに集まり、直接対話の機会を設けて率直な議論を交わし、共通の理解と合意形成を図っていました。
当時、私がとくに意識したのが、組織間の壁を取り払うことでした。チャットツールも活用しつつ、各社で個別に決定事項を共有するのではなく、全員が参加する単一のチャットルームを設け、情報の流れを一元化していつでもカジュアルに話を共有できる雰囲気が功を奏したのかなと思います。
問題が発生したときも、ためらうことなく全体に共有し、新たなアイデアや提案があれば、即座にベンダーまで伝える仕組みをつくるなど、オープンなコミュニケーションが生まれました。
ユーザーはシステムの技術的な側面に詳しくない一方、ベンダーにはユーザーの業務知識がありません。そこで私達が両者のあいだに立ち、技術的な実現可能性について説明したり代替案を提示したりと、調整に努めました。意思決定を先延ばしにせず、その場で問題解決するよう心がけたことが、結果として大幅な時間短縮につながり、チーム全体にポジティブな空気が流れていました」
アプリ、インフラ、テスト、移行を担当する4チーム体制で開発プロジェクトを推進した本橋。開発過程で頻発するさまざまな課題に直面しながらも、見事にプロジェクトを成功へと導きました。
「通常、ANAグループのシステム開発は、標準化された品質保証の枠組みに基づいて進められます。しかし、このプロジェクトは新たなプロジェクトのあり方への挑戦として、標準的な枠組みを維持しながらも、これまでとは異なる方法も組み合わせてプロジェクトを推進していったため、予期せぬ事態が起きることも多く、その都度対処する必要には迫られました。
けれども、これまでに学んだマネジメントの知識がすべて役立ったと感じるプロジェクトでした。以前に参画した案件で、どんな困難に直面してもプロジェクトを前進させ続けるコンサルタントの方々の姿勢に深く感銘を受けたことがありましたが、私もそれをきっかけにPMPの資格を取得するなど、プロジェクトマネジメントのスキルを磨いてきたことが、この実践の機会でフルに活かせた、という手応えを感じられました」
対等な対話が導く最適解。先進的な協創型システム開発の実現に向けて
ユーザー、ベンダー、そして自社が三位一体となって取り組んだプロジェクト。本橋はあらためて成功の要因を次のように分析します。
「実際に開発を担当したベンダーの各担当者はアジャイル開発に対する経験値や理解度がさまざまでした。
『アジャイル開発の12の原則』について毎週勉強会を開催することで、ユーザー、ベンダー、そして私たち開発チームの三者が対等な立場で協働し、同じビジョンと目標に向かって一丸となって最適解を追求できたことが、プロジェクトの成功に大きく寄与したのだと思っています」
そして現在、2024年度からは国内旅行と精算システムの開発をリードする本橋。ユーザーにより高いビジネス価値を提供するため、さらに進化した協創のモデルを模索し続けています。
「前回のプロジェクトはスプリント開発がベンダーの社内で進められていたため、開発プロセスの詳細すべては把握できていませんでした。現在進行中のプロジェクトでもアジャイル開発の理念と手法を取り入れていますが、初めて今回は当社内での内製化に取り組んでいるため、その点でこれまでと比較してもまったく新しい挑戦となっています。
今後は新たなメンバーも加わる予定です。人財成長支援にも力を入れ、チーム全体をサポートしながらプロジェクトを成功へと導き、事業成長により貢献できるシステム開発を実現していきたいですね」
※ 記載内容は2024年9月時点のものです

