やりたいことが変わっても、学生時代の経験は企業に入ってから役に立つ
──入社前は何をされていましたか?
大学では、基礎工学部という理学部と工学部の中間の学部で物理を専攻していました。研究テーマは1年ごとに変わっていましたが、現在の仕事にも関連している材料の研究などもしていました。
じつは、一時期博士をめざしていたんです。子どものころから勉強が好きで、教授という仕事はおもしろそうだと思っていました。父も教授だったので、研究室で実験を見せてもらったりしていた影響が大きかったと思います。
博士をめざそうとしていた時は、さまざまな勉強会や学会へ出席し、積極的に他の研究室とコミュニケーションを取っていました。自分の研究室と違う人の話を聞く中で、自分の考え方だけでなくいろいろな観点があると気づきがありました。
その当時に身につけたのですが、今の仕事でも自分の専門分野について説明する時は、親戚に説明するぐらい優しく説明するように心がけています。
教授という仕事は、自分の興味関心を強くもつことが必要で、誰も見向きもしないようなことに対して誰よりも興味を持って他の人にも興味をもってもらわないといけないものです。結局、自分はそこまで熱意が持てるところがなかなか見つからず、所属していた研究室が別の大学に移るタイミングで就職活動を始めました。
アルプスアルパインの面接を受けた理由は、手で触れるハードウェアに興味があったからです。今の仕事では東京大学と共同開発を行っていますが、学生時代に研究でつながりがあった方が共同開発先にいます。人とのつながりが、意外なところで出てきますね。
「できない」と思ってしまったら、世に新しいものを生み出せない
──現在はどのような仕事をされていますか?
今年5年目で、入社以来ずっと技術部所属で開発をしています。部やグループの名前が変わったり、担当製品が変わったりしていますが、入社してから共に働いている同僚が多いです。
現在は、センサの開発設計を務めています。シミュレーションや図面を引く設計、お客様の要望に対してどのように仕様を作るかという課題達成が主な業務です。
開発設計は、お客様に求められる仕様が明確な場合もありますし、そうではない場合もあります。ときには、今まで実績がないような仕様の開発依頼がくることも。そんな、今までに世に出ていないものを作る際に「実績がないから」「難しいから」できないではなく、お客様に満足してもらうために求められた仕様をどのように実現させていくかを考えることが非常に大切だと思います。
ただ、お客様の仕様を実現するだけでは受け身になるので、企業としても自分のためにもしっかりと意思を発信し、相談しながら働くことが大切だと思います。
現在設計開発しているセンサは、開発開始から量産化まではだいたい2〜3年かかります。スマホは車と比べるとかなり早くモデルチェンジがあり、開発スピードが速いので、ある時に実現難易度の高い仕様だと思っていたものが、数年後には当たり前となり、さらにははるか難易度の高い仕様が求められることもしばしばです。
開発内容が先端で、難易度が高いです。スマホは成熟してきているところもあるかもしれませんが、そこからMRやXRへのつながりがあり、また新しい開発設計へと広がっていくかもしれないと思っています。
誰もやっていないことは、自分のためになるチャンス
──楽しいことや、やりがいはありますか?
一時期、会社としても過去にまったく経験がないものに携わっていました。難しかったのですが、誰も経験がないので入社年度による経験の差もありませんでした。
普段の業務と畑違いな内容でもあったので、自分で勉強し、自分で考えて問題解決や提案をしていました。とても手応えがあった時期だと思います。当社はお客様の規模に関わらず、若手にも責任ある仕事を任せてくれる会社だと思っています。
他の人がやっていないようなことをやり、それが人のためになったという時は楽しいです。日々の業務ではセンサ開発でシミュレーションも使っていますが、自分でシンプルな方法を考え、センサを作る前の段階から仕様達成の予想ができるようになり、実証もできるような仕組みを作った時は嬉しかったですね。
身の回りの製品に使われることは開発のやりがいの一つですが、じつは難しい仕様要求にチャレンジし、それが認められて採用されることも大きなやりがいの一つです。
学生時代と違い、今は上長や同僚が自分としっかり向き合ってくれる、最後まであきらめさせてくれない環境なので、とても励みになると思っています。上長との面談の際に、お客様ともっと対面して広がりを持っていきたいと伝えたところ、現在は実現できています。
当社は、個人の成長につながるのであればしっかりとサポートしてくれる会社だと思います。すてきな取り組みとして、所属している拠点では「革新アイデア」という新事業のアイデアを役員に発表してフィードバックをもらう仕組みがあり、モチベーションの維持にもつながっています。
答えがないとできない人から、答えを考えて見つけ出せる人へ
──入社した時の自分と、将来ありたい自分はどのような人ですか?
入社した時は、言われたことに対してできない理由を考えてしまいがちでした。
学生時代は答えが決まっていることについて勉強することが多いですが、企業へ入ると答えが決まっていることだけでは事業にはならないので、いかに答えがないところに対して考えていくのが大切になってきます。
同僚や上司に言われたことだけで良いと思い込んでいた時期もありましたが、そのせいで他部門と相談せずに業務を進めて、量産出荷に間に合うかどうかというピンチも経験しました。
「上に言われた通りの内容だけで本当に大丈夫か、しっかりと考えてください」と関係者から厳しくも正しい言葉をかけてもらったことが今でも印象に残っています。今は、自分も新入社員の指導員をさせてもらっていますが、教えるよりも考えてもらうように心がけています。
過去に関わってきた上長やリーダーたちは、自分の気持ちを理解してくれて「逃げたくなるような状況もわかるけど、そこで逃げずに頑張ってほしい」と伝えてくれていました。自分もそのようなことができるようになりたいと思います。
少しずつ自分の業務範囲を広げていきながら、相手の立場にも立てる。ときには厳しいことも言うかもしれませんが、やるべきことはきっちりやる存在になっていきたいです。
※ 記載内容は2023年11月時点のものです

