海外で芽生えた志と、アルプスアルパインとの出会い
小学校4年生から中学2年生まで、親の仕事の関係でスウェーデンに住んでいました。現地では、日本のアニメや、日本製の家電、車などについて声をかけていただくことが多く、子どもながらに「日本のものはすごい」と感じていました。
こうした経験を通して、「メイド・イン・ジャパン」が国境を越えて人に喜ばれていることを実感しました。日本のモノづくり産業の一端を担い、グローバルで活躍したいという、目標を持つようになりました。そのため、就職活動では車や家電のメーカーを中心に企業を探していた中でアルプスアルパインから内定をいただき、入社を決めました。
現場で実感した、アルプスアルパインで働く誇り
入社してからは約8年間、宇都宮営業所で勤務し、品質営業と新規受注営業の双方を担当しました。品質営業では、部品不足や不具合が発生した際に技術部門と連携し、時には自ら工場へ足を運んで部品を届けるなど、現場での対応に向き合う日々でした。トラブルが起きたときほど、スピードと正確さ、そして関係者同士の連携が重要であることを、実体験を通して学びました。
特に印象に残っているのは、インフォテインメントシステムのソフトウェア不具合に対応した際の経験です。全車両の書き換えが必要となり、1台ずつUSBを接続して、1日あたり約200台の作業を進めました。応援として遠方拠点から約40名が集まり、張りつめた空気の中で全員が同じ目標に向かって作業を行いました。この時、モノづくりの大変さ、責任の重さについて身をもって体験しました。
新規受注営業では、車内のノイズをマイクで検知し、逆位相の音で打ち消す「ノイズキャンセラー」製品を担当したことが印象に残っています 。お客様から次世代モデルの開発についてご相談をいただいた際に、「この分野はアルプスアルパインしか考えられない」と言っていただいたことがあります。長年にわたり技術を磨き続けてきた先輩方の積み重ねがあってこその言葉だと感じ、技術が受け継がれ、信頼を得て評価されていることをその言葉で実感しました。アルプスアルパインの一員として働くことへの誇りを、強く感じた出来事でした。
市場とブランドを読み解き、価値をかたちに
アメリカ駐在を機にマーケティングへと転身し、商品企画や展示会のプロデュース、それらに必要な市場調査・分析を担当しました。
マーケティングの魅力に気づいたのは、自身が発起人になったホームオーディオの開発プロジェクトでした。クラフトスペースで試作を重ねながら対話を重ね、実物を用いたプレゼンを行う中で、仕事の面白さを改めて実感しました。また、ブランド分析にも注力し、顧客の広告やコンセプトを振り返ることで、「人の心に届く価値」や「企業が大切にしてきた考え方」を本質的に学びました。一貫した世界観や表現に気づけたことが深く印象に残っています。
2024年の帰国後は、デジタルキャビンソリューション開発部にて、2030年を見据えた市場調査・分析に取り組んでいます。ユーザーや顧客ブランドの視点を分析しながら、顧客と同じ目線で体験価値を考えるためターゲットユーザー像を設定し、求められる価値を探っています。
顧客が社内で作っていたペルソナ像(サービス・商品・施策の対象となる「理想的なユーザー(人物)」を、実在する一人のように具体化した人物モデル)の存在を知らないまま、私はブランド分析をもとに、顧客の立場に立ってペルソナを描いていました。その後に公開された内容を見て、両者がほぼ同じだったことを知り、大きな手応えを感じました。
想いを言葉と形に。小さな発信が輪になって広がるまで
イノベーションを起こし続ける会社でいるために自分にできる役割は、「話を止めないこと」だと感じています。意見を言いにくい雰囲気の会社にはしたくなく、たとえ小さな声でも発し続けることが大切だと考えているからです。自分の発信をきっかけに、誰かが「やってみたい」と感じ、その想いが少しずつ周囲に広がっていく——そうした流れを生み出したい。意見や想いを発信することには、恥ずかしさや難しさもありますが、一人ひとりの声が集まれば大きな力になると信じ、これからも発信を続けていきたいと考えています。
会社を内側から動かす一つの挑戦として立ち上げた、社内ポータルサイト「BIVOUAC」では日々の気づきや問い、挑戦のきっかけになるテーマを扱い、企画からサムネイル制作、原稿執筆までを一貫して担当してきました。完成形を提示することよりも、新しい視点を社内に持ち込むことを大切にしています。
あわせて、社員が気軽に想いやアイデアを書き込めるアイデアボックスを立ち上げ、これまでに約120件の声が寄せられています。一つひとつに触れる中で、新しいことに挑戦したいという前向きな熱量を感じ、マーケティングや商品企画の立場としても心強いと背中を押されています。
プライベートでは絵を描いており、これまでに個展も開催してきました。こうした活動を続ける中で、アメリカ全オフィスに飾られるカンパニーアートを担当する機会にも恵まれました。会社の方針や想いを咀嚼し、表現として落とし込んだ経験は、展示会ブースのビジュアルや企業ビジョンの表現など、仕事の広がりにもつながっています。
自分なりの距離感で、誰かの役に立ち続けていく。好奇心に正直に、やりたいと思ったことに手を伸ばしていけば、仕事は自然と広がってきました。これまでの経験で得た実感です。これからも発信と対話を軸に、会社の未来に関わっていきたいと考えています。
