「お客様にロスなく届ける」に向け、何をするかは自分次第。だから生産計画は面白い。
私のキャリアは、生産企画部の生産計画プランナーから始まりました。
生産計画とは、お客様が必要とする製品を必要な量、納期通りにロスなく届けるために、ものづくりを最適化する仕事です。お客様から発注を受けてから準備を始めていては間に合わないため、あらかじめ顧客ニーズや市場動向をもとに需要を予測し、生産量を決定。購買部門には部材の調達を、製造部門には設備の確保や人員配置を依頼し、納期までに届けられるよう全体を調整します。
難しいのは需要予測。生産量が多すぎれば過剰在庫に、少なすぎれば欠品となり、お客様に迷惑をかけてしまいます。難しさはありますが、状況を見極めながら最適な打ち手(プロセス・交渉・リスク管理)を自ら判断できるのが、プランナーの面白さ。読み通りに需要が入り、計画通りに生産が進んだ時の達成感は、この仕事でしか味わえない特別なものです。
今では胸を張ってやりがいを語れますが……最初から順風満帆だったわけではありません。
営業・製造・購買…人と人がつながった時、ものづくりは動き出す。
もともと私は、白衣を着た物理学者が活躍するドラマに憧れ、なんとなく理系を選んだタイプ。高専では物質化学を専攻するも、「人と関わる仕事がしたい」と思い、アルプスアルパイン入社時には技術畑ではない部署を希望しました。
そして配属されたのは、まったく未知の「生産企画部」です。最初は、会議で飛び交う専門用語も理解できない状態。そんな新人が、「来月の生産計画を10万台から15万台に上げてください」と製造や調達部門に言っても、「本当に必要なの?なぜその納期なの? 根拠は?」と厳しく問われます。自信を持って答えられず、悔しい思いもたくさんしました。
しかし、諦めたくはありませんでした。分からないなら、分かるまで聞く。聞いたことは、理解できるまで調べる。その姿勢を徹底し、何度も現場に足を運び、製造・営業・調達部門と対話を重ねました。すると、各部門の判断基準や仕事の背景など、机上では見えない「生きた情報」が、少しずつ自分の中に蓄積されていきました。次第に予測精度や調整力も向上し、「なぜその数量・納期なのか」を、納得してもらえる言葉で伝えられるようになっていきました。
ある日、製造部門のメンバーから「納期的にキツイけど、大野さんの言うことなら信じる。やるよ」という言葉を貰えました。その嬉しさは今でも忘れられず、自分の仕事に対する覚悟と自信を強くしてくれました。
「残業はせず、成果を最大限に」 私らしい働き方で、キャリアを築く。
気づけば、夜中まで仕事に没頭。そんな日々を大きく変えたのが、妊娠・出産でした。小さな命を前に、初めて長時間勤務のスタイルを根本から見直す必要性を感じたのです。
アルプスアルパインには、子どもが小学6年生まで利用できる時短勤務制度があります。限られた時間で成果を出すために決めたことは、「優先順位を明確にする」「判断の質を上げる」、そして「パフォーマンスを落とさずに、限られた時間内で成果を出す」ということ。覚悟を持って業務の進め方を見直すことで、9時~16時の時短勤務の中でも、大きくスピードや質が向上しました。
同時に、「母としての私」と「働く私」は切り離せるものではなく、どちらも自分の大切な一部だと感じるようになりました。制約があるからこそスキルを磨き、仕事の幅はむしろ拡大。週末には子どもとゲームをしたり、キャラクターのマンホールを巡る旅に出たり…。温かな時間が、仕事のエネルギーにも繋がっています。
妊娠・出産はブレーキではなく、働き方をアップグレードする大切な転機でした。
難しいけれど、ワクワクする。サプライチェーン全体をより良くする挑戦。
2025年、私は次のキャリアへ挑戦する決断をしました。SCM戦略部 SC(サプライチェーン)業務変革プロジェクトへの参画です。これまでプランナーとして製品単体の需給調整を行ってきましたが、部材調達のひっ迫、突然の市場変動など、“部分最適”だけでは乗り越えられない壁を前に、より大きな視点で“全体最適”に挑む必要性を感じていました。
現在取り組んでいるのは、会社の在庫や生産・調達能力を見える化し、各部門が同じ情報をもとに意思決定できる仕組みをつくること。半導体などの重要部材は「長期確保」が必須である一方、お客様の注文は生産直前に入ることが多く、受注と調達時期には大きなギャップがあります。どこで・どれだけ・何のリスクが立ち上がるかを全社で共有できれば、営業や調達は事実に基づく交渉ができ、経営側も迅速に受注・事業継続などの判断ができるのです。
生産計画で培った「こうすれば製造がスムーズに動ける」「このリスクが明確化していれば、事前に調達先と交渉できる」といった勘所が、業務変革プロジェクトに活きています。まだ道半ばではありますが、将来的にはSC全体を俯瞰し、ものづくりの仕組みそのものをより良くしていく「中核」になりたいと考えています。
最後に、私が大切にしているのは、働くことを楽しむ姿勢です。
今後キャリアを積み重ねる中で、後輩も増えてきますが、一方的に教えるのではなく、「どうしたら楽しく働けるか」を一緒に考えたいし、趣味や子育てと仕事は両立できることも伝えたい。自分らしく働き、前向きにキャリアを築ける人が増えるように――。私自身も成長しながら、そんな輪の中にいたいと思っています。
※記事内容は2026年2月時点のものです
