二人の祖父からつながった、アルプスアルパインとの縁
私がアルプスアルパインに入社したきっかけのひとつは、祖父の存在です。父方と母方の祖父が、どちらも昔、アルプス電気(現・アルプスアルパイン)で働いていました。二人とも宮城県の涌谷工場に勤めていて、小さいころから家族の会話の中で自然と社名を耳にしていました。地元でもよく知られた会社だったので、自分にとってアルプスアルパインは、もともと身近な存在でした。
私は農業高校の出身で、工業系を専門に学んできたわけではありません。それでも進路を考える中で、地元で名前を知っている会社に入りたいという思いがありました。求人を見たときにアルプスアルパインの募集を見つけ、高校卒業後の2020年に入社しました。
祖父に入社のことを話したとき、特別に多くを語るわけではありませんでしたが、笑顔を見せてくれたことを覚えています。昔から知っていた会社に、自分が社員として入る。そのことに、少し不思議な縁のようなものを感じていました。
わからないことを聞きながら、工程設計の土台を築く
入社後はまず研修を受け、その後の製造実習では車載製品の現場で、実際にものがつくられていく流れに触れました。部品が加工され、組み立てられて少しずつ製品に近づいていく様子を目にし、「こうやってつくられているのか」と実感したことを覚えています。
本配属後は、古川第2工場で工程設計に携わっています。工程設計は、設計部門から届く仕様をもとに、製品を安定してつくるための流れを考える仕事です。どの順番で組み立てるのか、どこで接着や洗浄を入れるのか、どんな条件なら品質を保てるのか。一つひとつの判断が、現場でのつくりやすさや品質につながっていきます。
農業高校出身で、工業系の専門知識を学んできたわけではなかった私にとって、配属当初はわからないことばかりでした。最初の3年間は指導員の方とマンツーマンで進めるOJTがあり、初めての仕事は一つひとつ教わりながら覚えていきました。作業の意味や考え方をその都度確認できたことが、今の土台になっています。
6年目になった今でも、自分ではまだまだだと感じることがあります。だからこそ、わからないことをそのままにせず、リーダーやマネージャー、設計部門や製造技術の方々に確認しながら進めることを大切にしています。必要な人に聞き、自分でも考える。その積み重ねによって、少しずつ工程設計に必要な視点が身に付いてきました。
相手に伝わるまで考え、安定したものづくりにつなげる
現在担当しているのは、スマートフォンなどのカメラ機能に関わるカメラアクチュエーターの工程設計です。製品そのものの仕様を決めるのではなく、設計部門から届く仕様をもとに、その製品をどのような手順で、どのような条件でつくるかを考えています。
たとえば、部品を組み立てる順番、接着剤を塗布する工程、部品や半製品に残った小さな異物を取り除く洗浄工程などを、製造の流れとして組み立てていきます。生産現場への指示書や、実験・検証を依頼するための指示書を作成することも日常的な業務です。
試作は、まず手作業や簡易的な治具を使うところから始まります。実際にやってみて課題を確認し、必要に応じて条件を見直しながら、将来的な設備化や自動化につなげていきます。
実際に進めてみると、自分たちが考えた工程が、そのまま現場でうまくいくとは限りません。洗浄工程ひとつをとっても、時間や圧力を変えながら検証を重ね、異物の残り方をデータで確認しながら、現場で安定して進められる方法を探っていきます。
以前、検証の指示書を作成した際、詳しく書いたつもりでも、現場から「ここはどうするのか」「もっと分かりやすくしてほしい」と指摘を受けたことがありました。自分では理解しているつもりでも、相手に伝わっていなければ意味がない。その経験から、内容を正しく理解したうえで、相手が迷わず動ける形に整理することを意識するようになりました。
現場の方々は、通常の業務の合間を縫って検証に協力してくれています。だからこそ、何を確認したいのか、どのように進めてほしいのかを事前にわかりやすく伝えることが大切です。お客さまから新しい要望が入ったときも、関係者と認識をそろえながら検証や資料作成を進め、自分たちが考えた工程の形にできたときに、この仕事ならではのやりがいを感じます。
周囲に支えられながら、経験を広げていく
印象に残っている仕事のひとつが、中国・無錫の工場への出張です。期間は約1カ月半。日本で対応していた製品を中国の工場へ移管するにあたり、主に洗浄工程の改善や工程確認に関わりました。初めての長期出張で不安もありましたが、担当している工程をより広い視点で見る機会になりました。
現地メンバーとは日本語でやり取りできる場面もありましたが、相手によっては思ったように伝わらないこともありました。そのため、日本語が得意なメンバーを介して内容を伝えたり、資料を使って確認したりしながら、認識がずれないように進めました。仕事以外でも現地の方々と話す機会があり、距離が縮まっていく感覚がありました。言葉や環境が違っても、同じものづくりに向き合う仲間として協力できる。そのことを実感できた経験でした。
これからは、自分の考えを、よりよい工程づくりや会社への貢献につなげられる人になりたいです。工程を見直すことは、単に作業を減らすことではなく、現場で働く人が進めやすくなり、品質も安定し、結果として会社の利益にもつながっていくことだと考えています。まだまだ学ぶことは多いですが、これまで教わり、助けられてきた経験を生かしながら、少しずつ自分も周囲を支えられる側になっていきたいです。
※ 記載内容は2026年1月時点のものです
