氷河期の入り口で選んだ“人に賭ける”会社
私がアルプスアルパイン(当時はアルプス電気)に入社したのは1994年です。就職氷河期の入り口と言われる時代で、今のように学生が自由に会社を選べる環境ではありませんでした。就職活動にあたり大学の就職課に相談した際、私が福島県出身ということから「東北に良い会社がある」と紹介を受けたのが、アルプス電気でした。
実は入社試験の前年、アルプス電気はリストラを行っています。不安がなかったと言えば嘘になります。そのため面接では、職場環境のほか、会社の将来性について率直に質問しました。その際、人事や現場の方が一つひとつ丁寧に答えてくれたことを、今でもよく覚えています。「ここは人を大切にする会社なのかもしれない」。そう感じたことが、入社を決めた大きな理由でした。
学生時代は経営工学部に在籍し、品質工学や今ではレガシー言語となっているFORTRANやCOBOLといったプログラミングを学びましたが、当初からやりたい仕事が明確にあったわけではありません。ただ漠然と、ものづくりに携わる場所で働いてみたいという思いでした。
現場で学んだ、利益を生むものづくりの厳しさ
入社後30年以上にわたり、ものづくりの分野で品質保証、研究開発、生産技術と多様な経験を積んできました。
宮城県の古川工場に初期配属となり、品質保証では大学で学んだ知識を土台に製品の信頼性を支える役割を担いましたが、「自ら生み出す側に立ちたい」という思いから同県内の中央研究所へ。薄膜技術やTFT液晶といった先端技術に触れながら、技術者としての基礎を築きました。
その後、福島県・小名浜工場に異動し、車載向け加飾印刷パネルの要素技術開発と量産立ち上げといった、研究とは異なる時間軸や価値観に向き合うことになります。ここではコンマ何円の単位で利益を絞り出すものづくりの世界を、身をもって学びました。
また工程設計にも携わり、「利益を出すものづくり」「不良を出さない安定したものづくり」を追求。この一連の経験が、現在の生産システム開発における軸となっています。
無人化構想と、等身大の目線
現在は生産システム開発部で、次世代ものづくりの一つである無人化構想に取り組んでいます。今後、労働人口の減少はさらに深刻化していきます。当社でもあと数年で、現場の多くのベテランの方々が退職されていきます。その環境の中でも、生産規模を維持・拡大していく必要があります。そのためには、データ活用、デジタルツールの活用、システムによる自動化を推進し、ものづくりに関わる技能(know-how)を技術(method)へ変えていく取り組みが必要です。
システムという新たな視点からものづくりを見つめるようになった今、IT、セキュリティなど、これまで自分が深く関わってこなかった分野を学び続けています。自分の引き出しが増えていくことは、この仕事のおもしろさの一つです。また、部門や拠点、時には海外と連携しながら進める仕事を通じ、人とのつながりが広がっていくことにもやりがいを感じています。
仕事をするうえで大切にしているのは、「等身大の目線」です。相手と対等に向き合い、お互いを尊重する。その姿勢が、チームでものづくりを進めるためには欠かせないと考えています。
人に賭ける会社で、仕事も人生も豊かに
等身大の目線を大切にするようになった背景には、従業員の代表組織である労働委員会での活動があります。8年間委員会活動をする中で、2000年代の経営構造改革、工場閉鎖という厳しい時代を経験しました。労使交渉の内容を職場に伝え、現場の不安や怒りの声を受け止める役割は、決して楽なものではありませんでした。会社、会員双方がどうすれば幸せになるのかを真摯に考え、取り組んだ経験は、今の仕事観にも大きな影響を与えています。
プライベートではキャンプが大きなリフレッシュの時間です。SNSを通じて知り合った仲間と、日本各地でキャンプを楽しんでいます。キャンプインストラクターの資格も取得し、仕事とは違う世界で人とつながれることが、良い刺激になっています。休みを取りやすい環境もあり、仕事と趣味を無理なく両立できています。
これからは、所属グループの若いメンバーが失敗を恐れず、好奇心を持って挑戦できる環境を整えていくことも役割の一つと感じています。志を同じくする仲間たちと一緒に、これからのものづくりを形にしていきたいと思います。
※記事内容は2026年4月時点のものです
