「変化の大きい車業界への興味」からアルプスアルパインに入社
私のキャリアは調達部門から始まりました。調達とは、製品づくりに必要な部品を必要なタイミングで確保し、安定して供給し続ける仕事。サプライヤーとの交渉や納期管理など、製品が生まれる「前段階」を支える重要な役割を担っています。 今でこそ調達という仕事の奥深さや、モノづくりを支えることへのやりがいについて語れますが、入社前の私はその仕事内容をほとんど知りませんでした。大学では法学を専攻していましたが、就職活動当初は法律関係に限らず、幅広い業界に目を向けていました。そんな中で強く惹かれたのが、大きな変革期を迎えていた自動車業界です。CASEや電動化の進展により業界構造そのものが変わりつつある中、変化の最前線で挑戦したい。そう考え、自動車業界向けの製品を幅広く手掛けるアルプスアルパインへの入社を決めました。
調達という仕事に興味を持ったのは、入社前の職場実習がきっかけです。先輩から、「調達が無駄なコストを減らせば、その成果は会社の利益として見える」という話を聞き、自分の頑張りが結果として見えやすい点に魅力を感じ、資材部門を希望しました。 キャリアをスタートした当初は、業務を覚えることで精一杯でした。その中で、供給不足や計画変更などさまざまな課題に向き合いながら、お客様へ製品を届けるための最適な方法を考え続ける――そうした経験を重ねるうちに、その難しさとやりがいこそが、調達という仕事の醍醐味だと感じられるようになりました。
「絶対に供給を止めない!」災害時に直面した大きな試練
調達担当として大きな試練となったのが、2024年の能登半島地震でした。「担当部品のサプライヤーが被災した」という情報を受け、まず確認したのは、「その部品がどの製品に使われているか」。調べてみると、複数のお客様向け製品で使用されており、供給が止まれば広範囲に影響が及ぶ可能性がある事が分かりました。
幸い、サプライヤー側にも一定の在庫はありました。しかし、安心はできません。復旧時期は見通せず、この先も安定して供給できる保証はなかったからです。技術部門と代替部品の検討を進めましたが、車載製品は品質や信頼性への要求が厳しく、代替部品が見つかってもすぐに切り替えられるわけではありません。正解が見えない中で判断を続ける難しさを日々感じる中で意識していたのが、自ら情報を取りに行くことでした。メールだけでは分からないこともありますし、返信を待っている時間もありません。困ったときには技術部門や関係部署へ直接足を運びました。顔を合わせることで初めて見えてくる情報もあれば、その場で解決の糸口が見つかることもあります。そうした対応を積み重ねた結果、在庫の活用や代替部品の検討を進めながら供給をつなぐことができました。
私たちが扱う部品の先には製品があり、その先にはお客様がいます。「絶対に供給を止めない」――その責任の重さを、これまでで最も強く実感した出来事でした。
国が変われば、仕事の常識も変わる。北米トレーニーで広がった視野
調達として経験を積む中で、もう一つ大きな成長の機会となったのが北米拠点へのトレーニー派遣でした。もともと海外勤務に興味があり、特に北米ビジネスは規模も大きく、「いつか挑戦してみたい」と考えていたのです。
アメリカでは機構部品の調達や品質関連業務など、それまで接点の少なかった領域を担当しました。そして、自分がこれまで見ていたのは事業の一部分に過ぎなかったことを実感します。実際には、部品選定やサプライヤー戦略の判断一つをとっても、品質や供給、生産にまで影響が及びます。現地でさまざまな業務を経験したことで、個別の判断だけでなく事業全体を見ながら考える視点を身につけることができました。
また、印象的だったのは部署を越えた交流の活発さです。バーベキューやゴルフなどのイベントが2週間に1回程度開催され、さまざまな人と関わる機会がありました。多様な部門に相談相手が増え、必要な情報にアクセスしやすくなるなど、人とのつながりが業務にも大きく役立つことを実感しました。ちなみに、アメリカで始めたゴルフは、今も続けています。上達を目指すというより、人と一緒にプレーする時間が楽しくて。新たなつながりを広げるきっかけになっています。
変化を先読みし、最適解を描く。戦略資材担当として次の挑戦へ
帰国後、私は戦略資材部門へ異動しました。戦略資材は、調達よりも上流の立場から事業を支える役割です。部品価格や市場動向、サプライヤーの強みや技術ロードマップを見ながら、サプライヤーや部品選定をはじめとした中長期的な戦略を考えます。 現在担当しているモバイル分野は、需要や市場環境の変化が激しく、昨日までの前提が今日には変わることもあります。そうした市場や技術の変化を読み解きながら、将来の供給体制や競争力向上に繋げていくのは難しさもありますが、刺激的で面白くもあります。異動してまだ1年足らずですが、まずは専門性を身に付けるべく日々学びを深めています。
調達では供給を守る責任を、アメリカでは事業全体を俯瞰する視点を培いました。そして今は、戦略資材として将来を見据えた意思決定に挑戦しています。これからも経験の幅を広げながら、事業の成長を支えるとともに、変化を新たな価値へとつなげられる人財を目指していきたいと考えています。
※ 記載内容は2026年6月時点のものです
