人生を彩ってくれたロボット
私という人間を語るうえで欠かせないものの一つはロボットです。
昔からものづくりが好きで、ロボットを作り始めたのは10代前半でした。その流れで自然とロボット競技にも参加するようになり、15年以上続けています。
初めて参加した大会は、全国から約200チームが参加するロボット格闘競技「かわさきロボット競技大会」でした。これまで2位や3位になったことはありますが、まだ優勝には手が届かず、いつか1位を取ることをめざして挑戦を続けています。
また、ロボカップジュニアという大会にも10代から出場していました。世界大会には2度出場し、高専3年のときには世界5位になりました。
先日、母校の後輩がこの世界大会で優勝しました。少し悔しさもありますが、自分が欲しかったトロフィーを後輩が獲得してくれたことを非常に嬉しく思います。
これらの大会を通じて、ロボットに関する技術的なことはもちろん、多くの仲間と出会い、何かに夢中になるおもしろさを知りました。
ロボットへの想いを仕事に
当社との出会いは、中学校時代に訪れたCEATECという技術展です。説明員が中学生相手にも親身に対応してくれ、人の良さを感じるとともに、展示品の技術や発想が魅力的という印象を持ちました。
就職活動では、多様な製品の価値を支える基盤技術に携われることに魅力を感じ、電子部品メーカーを志望しました。さまざまな会社を見る中で、中学時代のCEATECでの体験を思い出し、技術と人の両面に魅力を感じて、アルプスアルパインへの入社を決めました。それから気づけば12年経っています。
入社後は、新製品開発やプリンターの量産設計開発の部署に所属しました。その後、社内公募で他社とのロボット共同開発部署への異動に挑戦しました。
実は公募が始まった際、私は応募条件を満たしていなかったんです。ロボット関連の仕事に就きたいのに、その土俵にすら立てない…。悔しい思いを抱えていたところ、私のロボット開発への情熱を知っていた部長が私のところまで来て「やってみる?」と声をかけてくれました。気持ちを素直に伝えたところ、条件面で調整いただき、念願のロボット開発部署へ異動が実現しました。この部署では安価で軽量なロボット向けセンサーの開発がテーマだったのですが、市場からはスペック重視の声の方が多く、残念ながら一度このテーマは終了となりました。部署としての結果は期待とは異なる形になりましたが、この経験から自信と知識を得ることができ、また、やりたいことを周囲に伝える大切さも学びました。
その後も、加飾印刷開発や、新事業企画などに携わり、2年前から現在のマルチモーダルセンシングプロジェクトに所属しています。
趣味で培った力を社会へ
部署名でもある「マルチモーダルセンシング」とは、当社の次の中核技術として位置付けられているもので、複数のセンサー情報とAIを組み合わせる取り組みです。労働力不足などの社会課題解決をめざしています。ミリ波や磁気、静電などさまざまなセンサー技術を研究開発してきた当社だからこそ実現できるソリューションの創出をめざしています。
私たちの部署では、その第一歩としてロボットハンドを題材に開発を進めています。
ロボットは急速に進化していますが、人の手と比べるとまだ苦手な作業も多くあります。例えばビニール袋を扱う作業。ビニール袋は形が常に変わるため画像認識だけでは状態を把握しづらく、ロボットにとって非常に扱いにくい対象です。そこで複数のセンサーを最適に組み合わせることで、これまで人でなければ難しかった作業の自動化をめざしています。
技術の取りまとめ役として、個別案件や特定チームの視点にとどまらず、技術的な観点から部署全体を横断的にみています。各チームの状況や課題を把握し、技術方針の整合を図るとともに、組織全体の技術力向上や課題解決に向けた短期的・長期的な戦略の検討などを行っています。これまでの仕事では特定分野を深く追及することが多かったのですが、現在は技術全体を見渡す立場です。趣味のロボットづくりでは、メカトロニクス、エレクトロニクス、ソフトウェアと、必要なことは分野を問わず何でも自分で取り組んできたので、幅広く技術を見ることは得意です。好奇心旺盛な私の性格にもあっており、「まさに自分がやりたかった仕事だ」と感じています。
次の挑戦を探しながら
ロボット関連は進化が早く、最新情報を追うためにニュースや論文、特許などを常に調査しています。また、ロボット大会仲間との情報交換も重要なヒントになります。仲間の中には、私とはまったく異なる分野で活躍している人も多く、 自分では思いつかないような視点や情報を得られることがあります。
趣味としてのロボットづくりは、社会人になってからも続いています。
今はロボット競技への参加を続ける一方、運営としても関わり、後輩たちの挑戦を支えています。先日はロボカップジュニア大会の審査員も務めました。学生時代から出場しているかわさきロボット競技大会が、コロナ禍で大会運営が厳しい状況になった際には、若い世代にも同じような成長の機会を残したいという思いから会社に大会の趣旨と自身の思いを伝え、協賛を実現することができました。
ものづくりは趣味だけでなく日常生活にも役立っています。先日も、妻が旅行前夜にカメラの備品を買い忘れていることに気づきました。お店はすでに閉まっています。そこで3Dプリンターを使って必要な部品を設計し、その日のうちに製作しました。妻は満足していましたが、私はさらに改良したくなり、形状や使い勝手を見直してしまいました(笑)。
今の部署ではメンバーのマネジメント業務に関わる機会もいただいています。もともとは、自分自身で開発を行い、技術を深めていく専門職をめざしていましたが、マネジメントを経験して、メンバーの能力を生かすおもしろさにも気づきました。専門職かマネジメント職か。まだ答えは見えていませんが、自分にあった道をゆっくりと探していきたいと思っています。
本業、副業、趣味が互いに良い影響を与え合い、好循環が生まれていると感じています。
ロボットは常に私の挑戦の中心にあります。これからもロボットを通じて学び続け、その経験を社会課題解決に生かしていきたいと思っています。
※記載内容は2026年7月時点のものです
