学びを積み重ね、自分なりの専門性を見つける
これまでを振り返ると、自分のキャリアは常に「新しい環境に飛び込む」の繰り返しだったように思います。
2008年に入社し、経理部門でのキャリアがスタートしました。会社に入社するまでは、簿記を学んでいましたが、知識として理解しているだけで、実際の仕事でどのように活かされているのかまでは想像できていませんでした。それでも実務経験を積む中で、学んできた知識が少しずつ自分の中に入っていく感覚がありました。会計や財務の知識はもちろん、事業や経営の仕組みへの理解も深まり、新しいことを知る面白さを感じるようになりました。
実は元々、数字が特別好きだったわけではありません。今でも昔の知人に、経理・財務の仕事をしていると話すと驚かれることがあります。それでも、一つひとつ経験を積み重ねる中で、自分なりの専門領域を広げていくことができました。
海外経験ゼロからの中国赴任で得た気づき
私にとって大きな転機となったのは、2021年の中国赴任です。入社以来13年間、経理業務に携わる中で、「もっと視野を広げたい」「新しい環境に挑戦してみたい」という思いが強くなり、海外勤務を希望するようになりました。上司にもその気持ちを伝え続けた結果、中国拠点への赴任が決まりました。赴任先では、現地経営を財務面でサポートすることをはじめ、業績向上に向けた改善計画や予算策定など通して、現地のメンバーとともに成長することが重要な役割でした。
日本の本社から求められる目標や方針を伝えながら、何ができるのかを現地の経営メンバーと議論し、実行につなげていきました。現地拠点には、まずは着実に成果を積み上げ、工場の操業と雇用を守りながら生き残っていきたいという思いがあります。一方で、本社からは、全社戦略や他拠点との比較を踏まえ、より高い収益性や生産性を、より早く実現することが求められます。その両者の間に立ち、双方が納得できる現実的な目標を描きながら、事業を前に進める難しさを学びました。
また、現地メンバーとの信頼関係づくりにも力を注ぎました。言葉だけで指示を出しても人は動きません。日々の対話はもちろん、食事やゴルフ、マラソン大会への参加などを通じて交流を深めました。また、仕事で困っているときには率先してサポートすることで、一緒に事業運営を支える仲間として少しずつ信頼関係を築くことができたのではないかと思います。
赴任期間中には、大規模な事業環境の変化や現地特有の予期せぬトラブルにも直面し、工場の操業が困難となるような不確実性の高い環境下でも、事業継続に向けた対応を進めました。工場の再稼働時期が見通せない状況でも、決算や予算管理は止めることができません。生産再開後の業績を予測し、想定されるリスクを洗い出しながら、メンバーとともに次の打ち手を検討しました。前例のない状況の中で、事業を継続させる難しさと経営の責任の重さを強く実感した経験でした。
数字をまとめるだけではなく、その先を考える仕事へ
現在は本社で税務業務を担当しています。中国赴任を経験したことで、数字の向こう側にある事業や現場を見るようになりました。
工場の投資判断や生産活動、各国における事業運営が相互に結びついていることを実感し、税務業務に対する見方は大きく変わりました。税務は単に正確な申告を行う仕事ではありません。設備投資や事業戦略、国をまたぐ取引など、会社のさまざまな意思決定を支える役割を担っています。
中国で工場経営の一端に触れた経験は、現在の業務にも生きています。税務上の正しさだけでなく、「この判断が現場の事業運営にどのような影響を及ぼすのか」「事業の成長につながる選択になっているのか」まで考え、関係者と対話しながら、より良い選択肢を提案するようになりました。
各国で税制や商慣習、事業環境が異なるなか、常に一つの正解があるとは限りません。だからこそ、国内外の担当者と丁寧に対話し、それぞれの事情を理解しながら、グループ全体にとって最適な着地点を探ることにやりがいを感じています。税務の専門性を軸に国や部門をつなぎ、会社全体の価値向上に貢献できることが、この仕事の大きな魅力です。
挑戦の先に、新しい景色が見えてくる
これまでの私の挑戦を支えているのは、20代前半の頃に尊敬する先輩からいただいた「できる仕事は手放して、できない仕事にどんどん挑戦しなさい」という言葉です。当時の私にとって、とても印象的な言葉でした。自信があるタイプではありませんが、好奇心は強い方だと思っています。そのため、新しい環境や業務に不安を感じることはあっても、「まずやってみる」という姿勢を大切にしてきました。
今振り返ると、その考え方が中国赴任や税務業務への挑戦にもつながっていたのだと思います。経験したことのない仕事や環境でも、まず飛び込んでみる。そこで得た経験や学びが、自分自身の成長につながってきました。
土日はもちろん、平日も仕事が終わりにジムへ通っています。「今日はこのメニューをやり切る」と決めて取り組み、1週間ごとの目標や「いつまでに何キロを上げる」といった目標を立てています。
小さな目標でも自分で決めたことを継続し、やり遂げる経験を重ねることで、「自分は自分を裏切らない」という確かな自信が生まれました。有言実行を積み重ねてきたことが、今の自分の支えになっています。
これまでのキャリアを通じて感じているのは、新しい環境に身を置くたびに、自分の視野が広がっていくということです。最初は分からないことばかりでも、経験を重ねることで新しい知識や考え方が身につき、それまで見えていなかったものが少しずつ見えるようになります。その過程に面白さを感じています。
目指しているのは特別な存在になることではなく、複数の視点から物事を捉え、会社にとってより良い答えを考えられる人です。これまでの経験を通じて、わたし一人の視点だけでは見えないことがたくさんあると実感してきました。だからこそ、これからも新しいことに興味を持ち、学び続けていきたいと思います。
※記事内容は2026年7月時点のものです
