地理学での学びを経て導かれたアジア航測への進路
大学では理学部に在籍していましたが、最終的に地理学を専攻することになりました。当初は物理に興味があったのですが、地学に魅力を感じて方向転換をしました。特に人文地理への関心が強く、その延長で街づくりや地域計画に興味を持つようになっていきました。
就職活動では、学んできたことを活かせる仕事を探していました。中でも地域計画や都市計画の分野に興味があり、建設コンサルタント業界に注目しました。当初は航空測量という分野は意識していませんでしたが、説明会などを通じて、アジア航測という会社を知りました。
実は、就職活動の決め手となった重要な経験があります。大学での卒業論文で仙台市内の商店街のコミュニティについて研究する機会があり、商店街の方々と深く関わらせていただきました。組合長さまとの交流や会合への参加を通じて、地域コミュニティの温かさに触れる一方で、中心市街地の空洞化などの課題も目の当たりにしました。この経験から、公共事業を通じて地域の課題解決に関わりたいという思いが芽生えました。
最終的に、専門的な都市計画コンサルタントの小規模企業とアジア航測の2社から内定をいただきました。アジア航測を選んだ理由は、地域、都市、国土などさまざまなスケールの事業に携われる可能性があることでした。また、企業規模による安定性も重要な判断材料となりました。公共性の高い仕事ができる民間企業という点に魅力を感じ、入社を決意しました。
期待とは異なる道で見つけた、技術を通じた社会貢献
入社後の測量実習をともなった山中湖での研修は、印象に残っています。当時は計算方法が分からず、周りの人の計算を写して夜中に提出したことを覚えています。
私が配属されたのはリモートセンシングを扱う部署でした。入社時は都市計画の分野で働きたいという漠然とした希望を持っていましたが、配属された部署では高度な衛星画像の解析など、情報処理を活かした技術分野を扱うことになりました。最初は自分の希望していた仕事とは異なり、大きなギャップを感じるとともに、求められるスキルに戸惑いを覚えることもありました。
けれども、時間の経過とともに、自分の考えに基づいてデータを扱えるようになると、この技術にもさまざまな形での社会貢献の可能性があることに気づきました。例えば、全国の土地利用図を作成する仕事に長く携わり、それが国の基本情報として整備され、広く公開されるデータとなっていくのを目の当たりにしました。
特に印象深い経験として、海外でのプロジェクトがあります。アフリカでは国レベルの森林減少のモニタリングプロジェクトに携わりました。また、オーストラリアでは、農業分野におけるリモートセンシングの研究業務に現地機関と協働で取り組みました。その成果は海外で学会発表することとなり、自分の技術力に対する自信にも繋がりました。
最初は違和感を覚えた分野でしたが、徐々にその価値を見出していきました。当社は測量から調査、計画まで幅広い領域をカバーしており、上流から下流まで一貫した事業を展開しています。私自身も技術の利活用を提案しながら、コンサルティング部門とも協働する機会を得て、技術を通じたさまざまな可能性を実感できるようになりました。自分の担当する基礎的な技術が、より大きな価値を生み出すための重要な一部であることを理解できたのです。
もう一つ、特徴的な出来事は、中堅技術者として成長した時期に訪れた大株主である企業への出向経験です。この経験から、事業や業界を俯瞰的にみて、組織や会社をより良い方向に導いていくことの大切さを強く意識するようになり、その後のキャリア志向の変化と現在の職務に繋がることになりました。
数値化できない課題に挑む日々
現在は事業戦略部門で、全社的な研究開発や技術開発の企画管理、投資モニタリングなどを担当する部署の室長として運営に携わっています。また、投資委員会の事務局長として、委員長と共に委員会の運営方針を考える役割も担っています。
主な取り組みとして、現在の中期経営計画で掲げている『事業ポートフォリオ経営の確立』という課題に向き合っています。具体的には、当社にとっての事業ポートフォリオ経営の方針という本質的な問いから始まり、それを最適化するために必要な数値の可視化に取り組んでいます。技術開発への投資が事業にどのように貢献しているのか、その在り方を見極めていく必要があります。
ただ、正直に言うと、失敗や苦労の連続です。そもそも目的やゴール設定から悩むことが多く、答えを導き出すまでの道のりは決して平坦ではありません。中期経営計画の委員会で定期的に報告を行っていますが、うまくいかないことのほうが圧倒的に多いのが現状です。それでも、時折、取り組みがうまくいったときは確かなやりがいを感じます。
振り返ってみると、学生時代は物事を正解か不正解かという単純な枠組みで捉えがちでした。しかし、実務に携わる中で、必ずしも正解のない課題に対して、いかに価値を見出していくかという思考が身に付いてきました。これは私自身の大きな成長だと感じています。
日々の業務では、投資判断や戦略立案において、数値化できない要素も含めて総合的に判断を下していく必要があります。それは時として困難を伴いますが、だからこそやりがいのある仕事だと実感しています。明確な答えのない中で、最適解を模索し続ける。それが現在の私の仕事の醍醐味といえるでしょう。
技術と経営の架け橋として、新たなキャリアパスを切り拓く
技術者として歩んできた私ですが、現在は企画系の業務に携わっています。この転換は、新しい挑戦であると同時に、私自身の成長の機会でもありました。今後は、技術的なバックグラウンドを活かしながら、企画や経営の視点からも会社の発展に貢献していきたいと考えています。
当社の大きな特徴は、多様な技術者が集まっているということです。それぞれが持つ専門性や性格もさまざまで、そこから生まれる相乗効果は、私たちの強みとなっています。このような環境の中で、技術者としてのキャリアを築きながら、さまざまな可能性にチャレンジできる点が、当社の魅力だと感じています。
私が今後目指すのは、技術者出身という特性を活かしながら、経営管理や企画の分野で新たな価値を生み出していくことです。技術者が企画や経営の立場で活躍する道を切り拓くことで、後に続く方々のロールモデルになれればと思います。また、それが当社の成長や発展にも寄与できると確信しています。
これから当社に加わる方々には、柔軟な姿勢を持って欲しいと思います。確かに、大学での専門教育は重要ですが、それ以上に大切なのは、さまざまなことに興味を持ち、新しいことを吸収しようとする意欲です。自分の専門分野に留まらず、広くアンテナを張り、常に学び続ける姿勢がある人。そんな方々と一緒に、技術と経営の両面から、会社の未来を創っていけたらと考えています。
※ 記載内容は2025年9月時点のものです
