航空測量業務の概要と私のパイロット人生
アジア航測株式会社は、自社で保有する飛行機を使用し、航空測量業務を行っている。
航空測量とは、航空機に搭載したセンサーを使用し、地上の写真を撮影したり、レーザーを使用して標高データを取得したりする業務である。取得されたデータは、地図の作成や防災計画等に役立てられる。また、豪雨や地震等の災害による被害がある場合、被災状況を撮影し、自社ホームページで公表する。
私は2011年から航空測量に従事しているパイロットである。アジア航測株式会社に入社し、5年が経過した。航空測量に従事するパイロットの仕事とやりがいについて紹介する。
通常時の測量業務と災害発生時の業務
私の主たる業務は、自社で保有する飛行機を安全に飛ばすことである。
パイロットは、飛行機を的確に操縦する技術、コミュニケーション能力、状況認識能力および複数の選択肢から最善を選ぶ能力が必要である。
航空測量業務と災害対応業務では、事前に行える準備期間が大きく異なる。航空測量業務は、数日間かけて、計画段階から障害物との間隔を確保し、管制機関と飛行について細かく調整する。一方、災害対応業務は、現地へ行ってみないと状況が把握できないことが多い。急を要する飛行のため、事前準備を前日や当日に迅速に実施する必要がある。また、報道や被災者救助のために、様々な航空機が様々な目的で飛行している。このような状況下で飛行機を安全に飛ばし、空港へ着陸しなければならない。災害対応業務では、パイロット1名と撮影士の他に見張り員を搭乗させて飛行している。安全にミッションを遂行するために、見張り員や撮影士と密にコミュニケーションをとる。見張り員と他機の存在を確認し、他機と接近しすぎないよう適切な間隔を確保する。被災状況が確認できる位置に飛行機を操縦し、撮影士が被災状況の写真を撮影する。
操縦技術やコミュニケーション能力、周囲の状況に応じた判断能力を存分に発揮し、業務を完遂することが私の業務である。自身の業務遂行の結果、被災状況の確認が行われ、その後の復興に役立てられていることは非常に誇らしいことである。
ゴールの無い安全への追及
航空機事故の発生頻度は低いが、ひとたび発生すると重大な結果をもたらすことが多い。
航空機は、時代の移り変わりとともに機体やエンジンなどの信頼性が向上した。しかし、航空機事故は発生し続けている。それは、1970年代以降ヒューマンエラーによる事故が顕在化したためである。人は忘れる生き物であり、間違いをする生き物である。これは人として仕方のないことである。
飛行機の操作には、エンジン不具合や電気系統不具合など状況に応じて定められた手順や推奨される手順が存在する。どの状況下でどの手順を実施することが有効なのか、様々なシチュエーションを想定し、事前に準備をしておくことが重要である。また、自身のエラーの傾向を把握し、エラーを少なくする工夫やエラーに気が付く工夫が必要である。私は、毎回のフライトが安全に終了するよう、自身のフライトを振り返り、エラーの原因や今後の対策を考えて次回に活かす。
アジア航測株式会社は、組織として個人の能力向上や安全性の向上のために定期的な教育や講習会の受講、安全に寄与するための改革を行っている。
安全にはゴールがなく、パイロットとしてのゴールも存在しない。ゴールがない世界で自身がベストを尽くしたと思えるフライトができたとき、充実した気分を味わうことができる。常に自身のフライトを見つめ直し、個人としても会社組織としても改善を重ねていくことで、安全運航と今後の航空測量に寄与していきたい。
(2025年6月寄稿)
略歴
森重 憲章(Morishige Noriaki)
アジア航測株式会社 空間情報技術センター 航空部 運航統括室
2011年日本航空専門学校 操縦科卒業。2011年より小型航空機運航会社で勤務。2020年よりアジア航測株式会社で勤務。自社機の機長そして航空測量業務に従事。
